STAGE 7-1
少しずつメインヒロインの登場が増えるゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回は藤川歌夜をセラピーしたところで終わりましたね。今回からはChapter7、完成したゲームを即売会に持ってきたところから再開です。
とはいったものの、現在、なぜかスペースに居るのは裕美音ただ一人。
自分の描いた漫画のコピー本と自分がモデルのゲームが並んだところにぽつねんと座る裕美音は、周りのサークルが売れているなか一人だけでウサ耳を着けて着席していました。
本来ならたまちゃんと燎原くんが居るのですが……すまねえ、二人とも別のサークルで買い物をするために『散ッ!!』してるんだ。
おまけにたまちゃんが持ってきた試遊用のパソコンは充電し忘れてるから使えません。
たまちゃんは川へおじさま本を買いに、燎原くんは山へ熟練度ボーナスのパーク本を探しに行きましたとさ──くそっ見付からねえ!
……仕方がないので自分達のサークルに戻りましょう。そろそろたまちゃんのSOSでやってきた助っ人が参戦している頃なので、燎原くんも裕美音の助太刀に参ります。
──戻ってくると、そこには何時振りかのはーちゃんこと飯野水葉が居ました。
飯野家のレズメイド……もとい田山さんが何故か仕込んでいたモバイルバッテリーでパソコンを充電してくれていたそうです。
とりあえずスペースに座り直して客を待ちます──が、なんかよく分からないけど裕美音とはーちゃんは燎原くんを真ん中に座らせて左右に散らばります。*1……*2
そう! 部室に居ないときの裕美音はわりかし大人しいので! 微妙に気まずいのである!
だからって燎原くんを緩衝材に使うのはNG。ままええわ、そんなことより客が来ない方が問題です。今使っているスペースは島中といって行列が出来ると通路を塞いでしまうので、言っちゃなんだけど混雑しなさそうなサークルが配置されるんですね。舐められてる……!(屈辱)
とかなんとか言っていると、裕美音は折角のお祭りだからとウサ耳カチューシャをはーちゃんの頭にセットして買い物に出て行きました。えっ!? 燎原くんとはーちゃんで接客を!?
うおおお! おニワトリ様、我に力を! GAに2期をおおお!!*3
一人チームが減った途端客足が増えてくる稀によくある謎の流れに四苦八苦しつつ、二人掛かりでゲームとコピー本を売っていると、おじさま本を確保してきたたまちゃんがようやく戻ってきてくれました。ちょっと遅かったんとちゃう?
ヨシ、いつもの三人だな。まるで序盤の時のような並びに喜びつつも、次にやってきたお客さんは、なんとたまちゃんをご指名します。あっ、あんたは……誰──っ!?(ガッシュ)
──はい。謎の女性の正体は、STAGE 1-9にもちょろっと描写されたスケブの人でした。*4
お姉さんは新作ゲームを一部購入し、スケブを描いてくれたときのお礼をします。差し入れをしてくれたので……とたまちゃんはお姉さんのスケブに絵を描くらしいです。はーちゃんは差し入れの凄さで張り合うのをやめなさい。
スケブを預けていったんその場を去ったお姉さんのためにと絵を描くたまちゃんは、ゲームの試遊の整理券番号が間近に迫っているからと席を立ちます。暇なら続き描いといて、とはーちゃんにスケブを手渡してそそくさと去っていったたまちゃんを見送り少し倍速。
それでは裕美音が戻ってきた辺りで今回はここまで。次回は数Chapter振りにあの人が再登場します、お楽しみに。
──たまが水葉にスケブを渡して早歩きで去る背中を見送った俺は、隣でぼやきながらもなんだかんだで絵を描いている彼女を見る。
「本田珠輝が渡されたスケブなのに私が描くってどういうことよ……スケブを頼まれるって、ようはファンってことでしょうに」
「まあ、良いんじゃないか。あのお姉さんはそういうのを気にする人には見えん」
「鶏がそういうならいいけど」
……ナチュラルに鳥の扱いを受けている。それはさておき、ふと感じた気配に視線を向けると、そこには裕美音が立ってい────
「待たせたな~っ」
「…………どちら様かな」
裕美音らしき少女は、♡マークのプリントされたシャツをズボンに入れ、リュックを背負い、丸眼鏡をかけ、紙袋に戦利品を入れている。
「りょうくん、私私」
「私私詐欺は結構だ」
「いやいや違うって、向こうのBLノベルゲームを出してるサークル主さんと意気投合して作品の主人公のアニメオタク青年なコスプレをお借りして広告塔になる任務を引き受けた次第なの」
「そうか」
こてこての『秋葉原に居そうなオタク』の格好をしている裕美音は、一息でそう説明した。すると、絵を描いていた水葉がくすりと笑う。
「ふっ、なにそれ。今時そんなステレオタイプのオタクなんか居ないわよ」
「──だよね~」
「……? なによ、じろじろ見て」
裕美音はなんだかんだと言いながら、水葉という友人が笑う顔が見たかったのだろう。そんな考えをごまかすように、丸眼鏡をかけて言った。
「いやはや水葉たんの笑った顔が"♡檄♡"可愛いと思いましてなデュフ」
「気ん持ち悪っっっっっ!!!」
──水葉の本気の拒絶で冷静さを取り戻した裕美音が、おもむろに口を開く。
「たまちゃんがさ、自分の努力で誰かを笑顔にするのって素敵なことだって言ってて……そういう所を私も見習いたいと思ってね」
「その為だけにその格好で笑われに来るとか……アンタ、マゾヒストなの?」
「これはノベル自体も普通に良かったからこその広告塔なんだよっ!」
ステレオタイプのオタク、ウサ耳の少女、そして頭が鶏の俺というあまりにも異常なトリオが嫌でも目につくのか、客足は徐々に増えてきていて、ゲームとコピー本を売りながら俺は呟く。
「おい、お前たちも接客をしろ。──新作と同人誌、合わせて600円となります」
「あっ、併せてこちら『俺と彼氏とオタクの変』がD3のスペースで売ってますぞ~」
「そっちの接客じゃない」
思わぬ伏兵のダイレクトマーケティングに襲われながらも、俺たちはなんとか客を捌く。
視界の端でVRの試遊をしているたまを見る水葉が、頬杖を突きながら口を開いた。
「でもまあ、確かに、楽しもう楽しませようってことに一生懸命な本田珠輝だから、私の家にまで来て親と姉の説得に協力してくれたのよね。──ってことではい、布田裕美音」
「はい?」
「体を張って頑張ってる御褒美にスケブを預けるわ。良い感じに続きを描いといてちょうだい、アンタの言ってたゲーム買ってくるから」
「はい!?」
「これは……さっきよりも度し難い何かが渦巻いているよ……」
「あの……」
「ピイッ!?」
「どちら様でしょう? それ、別の方にお願いしたスケブなのですけれど」
先の女性が戻ってきて、なぜか自分のスケブを描いている
「この子も新作で手伝ってくれていたので、合作ということで……」
「ちなみにとあるキャラのモデルです」
「まあ、そうでしたか。失礼しました」
上手く誤解を解けたのち、女性は完成したスケブを受け取って、会釈をして帰って行く。
サークルに座り直すたまに、裕美音は恥じらいを混ぜた声で礼を言っていた。
「た、たまちゃん殿かたじけない~。そんなところも大好きだと思っておりますぞ~っ」
「ふふ、なに?そのキャラ」
くすくすと笑うたまと裕美音の間に座る俺は、くだんのゲームを買ってきた水葉と二人で裕美音へと言葉を投げ掛けるのだった。
「意気地無しめ」
「ヘ・タ・レ~っ」
「うるさーい!男体化させてりょうくんとカップリングしてやる!」
「やめろ……!」