ゲーム制作とはげに難しきかな……なゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回は即売会で新作ゲームを売ってきたところで終わりましたね。今回は部室から再開です。
たまちゃんと歌夜と燎原くんの三人で訪れると、ゲームを作る追いこみ作業でとっ散らかった部室であやめと乃々がぷよぷよ…………のようなパズルゲームで遊んでいました(すっとぼけ)
やはりプロの作った商業ゲームには勝てねぇ……と悩んでいる二人に、歌夜はおもむろに『久しぶりになぜなにしいなちゃんやろうぜ!』と提案していました。
恐らくこの実況を見ているホモの皆さんは初耳かと思われますが、『なぜなにしいなちゃん』は原作のおまけでの話なので、ゲームではいわゆるヘルプの用語集みたいな扱いなんですよね。
とりあえず乃々をラジオのMC的なポジションに据えて開始……と行きたい所さんですが、そもそもなんのこっちゃとなっている後輩組。
ゲーム作りのノウハウに詳しい部長を中心とした駄弁りをメモしていたのがきっかけというあやめの説明で納得するも、とはいえ部長自身は本の受け売りでしかなく、更にはその本も元々は自分の母親が持っていた物なのだそうで。
──だから、村上母を呼ぶ必要があったんですね…………え゛っ!?(ガバ穴)
歌夜が助っ人で呼んでいた村上母──の後ろから、なんか見覚えのある人が。パッと見では燎原くんの姉に見える若々しい姿……そう、燎原くんのお母ちゃんこと、犬井碧が現れました。……なぜか星ノ辻の制服姿で。*1
おっ、お母ちゃん! 頼むから帰れ! あんた映画監督の仕事はどうした!?
……仕事は終わったからその帰りに寄った……? 才能ある奴はこれだからよォ!
──まあ仕方ない、切り替えていきましょう。歳上が自分のところの制服を着ているキツさは百武照で学習済みです(データキャラ)
そんなこんなで始まった面白いゲームとはなんぞやという再確認の回。
村上母のお話では、ゲームとは達成感を与えるモノであり、子供が夢中になるのは、大人と違って理不尽ではないからと説明します。
村上母は、親がちゃんと子供を褒めるべきであり、部長に対し忙しさにかまけて構ってあげられないことを懺悔しながら壁にめり込みました。お……お母さん!(一回目)
……それはともかく、ゲームで達成感があるのはどんな時かという質問に、たまちゃんは『強い敵を簡単に倒せたとき?』と答えます。
私もソウルシリーズなんかで遊ぶときはパワーレベリングと特大剣で叩き潰すのが好きなので……よくわかりますとも。ええ。
要はプレイヤーが凄い解き方をしたときは相応な報酬などで褒めてあげよう、ということです。ブレワイ鬼つええ! ということですね。
意味深な情報にはキチンとアイテムを置いておく……面白いとはそういうことなのです。
あやめも意味深に段ボールを置いておくから文芸部時代の黒歴史を暴かれるんだぞ! 聞いているのか!(飛び火)。
んまぁそう、あえて大っぴらに置いておけば、逆に有り難みが薄れますよ。たぶん。
まあ、あやめの黒歴史は置いておいて、ラジオのMCらしくお便りを渡された乃々が、ラジオネームスミレさん(仮名)のお悩みを聞きます。
『私はゲームの要求に応えられず上手くクリアできません』とのことで、乃々は人には向き不向きがあると切り捨てました。はーつっかえ。
とはいえ、この悩みに関しては、『別解を探すかパワーレベリングで潰すか』ですよねぇ。ヒントがあってもアイテムがあっても
かといって単なる作業になってしまってもいけない。○○を100回調べろ! とかそんなんされたらレビュー☆1案件ですよ。
しかしそれでも、レア素材を出すためには周回しなければならない時もある。村上母は、そのせいで晩御飯が遅れてごめんね……と壁にめり込みながら謝罪。お……お母さん!(二回目)
とかなんとか言いつつ、労力を褒めるハードルは多過ぎれは作業となるので、適度に試練を与えましょう……と締めくくります。
と、そんな時に更なるお便りが。ラジオネームアイリースさんからのお言葉で、『ガチャなんかの運要素もいいんじゃないか』とのこと。
村上母はそれに対して、ちょっとツキが来てる気がして50連ぐらい回しちゃって豆腐ハンバーグを連発しても許してね……と壁にめり込みながら謝罪。お……お母さん!(三回目)
そいだば早速だけど宝探しゲームするぞォ! と村上母が提案してきた辺りで今回はここまで。犬井母の制服姿と村上母の地獄を味わいながら次回をお楽しみに。
──部長のお母様からゲームのノウハウを学びながら、横に座って俺をちらちらと見てくる制服姿の自分の母親というこの世の地獄から目を逸らしていると、部長母が話題を締めた。
「以上、知人のベンチャーでゲーム製作を手伝ったけど瓦解した経験からのアドバイス~」
「重い…………っ」
「この部面白いわねえ」
「あの話を聞いて出てくる感想がそれか……」
からからと笑う母さんは、しかしてその瞳を部長母と、俺以外の部員たちに向ける。
少し観察すれば人間関係を把握し、少し話せば輪の中心に立つ──『どちからというと詐欺師に向いている』と親父に評された才能を、映画監督兼配役選びに向けているのは幸か不幸か。
「……もしかしてSNS部って、各分野のエキスパートを集めて極限の闇を濃縮しようとしてる?」
「いや別に蠱毒ではないんだが」
「ほら、たまちゃんみたいな"光"って、その人のコンプレックス刺激するじゃない」
「──そうか?」
「あの子は人と仲良くなれても、人の心を救うまでは出来ないから、あんたがどうにかしないといけないのよ。わかってる?」
──わかってる。
そう返して、俺は部長母が唐突に始めた宝探しゲームで動かされている部員をよそに、母さん共々部長母の居る壁際に避難した。
「……あの、部長のお母様、部費のカンパなんてして良いのですか?」
「ん? ああ……まあ、ね。ちなみにコインの方も別に見つけなくていいのよ? ──19年前、元旦那と最初で最後の海外旅行に行ったときの英ポンドでね……無くしてもいいの。あの甲斐性なしのことをちゃんと覚えておけるように……男は見極めないといけないってことをいつか椎奈にも伝えられるように……そういう母としての自戒のためにただ置いてただけみたいな所あるし……」
「重いし暗い……」
「長いよ菫ちゃん」
さしもの母さんでも、部長母の抱えている問題を前にして冷や汗を垂らす。
「……あー、あー。ごめんごめん、こういうのはやっぱり、こう、恨み辛みとして積み重なってくというか……なんというか」
「いやあ、分かるよ菫ちゃん。私も監督やってるとさあ、『うちのアイドルを主演にしてくれ』とかナマ言われるからさあ……いつも(うぜーなこのハゲ)って思いながら撮影してるわけですよ」
「ん~そういうのって何処の業界でもあるんですねえ。うちも上が無茶振り無茶振り&無茶振りで、勘弁してほしいですよまったく」
傍目からすれば大人と学生だが、その実、おそらくほぼ同年代であろう二人が社会人特有の悩みをぶちまけ合っている。
部長母は、自分が馴れ馴れしく
すっと懐に入り込み、ああして仲良くなっては胸のうちを暴露させる。何が恐ろしいかと言えば──不快ではないことが恐ろしいのだ。
プライベートを打ち明けることも嫌ではない相手という印象を抱かせるのが
俺が意図して真似ているが、本人には遠く及ばない天性の人たらしっぷりは、遠巻きに見ていると、はっきり言っておぞましかった。
「──5枚目のコインありましたよっ!」
「ゴミ箱の下に隠されてた~」
──ふと、たまと池谷が最後の硬貨を見つけ、気づけば宝探しゲームは完遂されている。
今日、俺たちが入ってきた当初は散らばっていた段ボールも、探し物のついでに片付けられていて、部室はスッキリとしていた。
「あやの歴史的蔵書もラックに収まったわね」
「もう、もういいだろ……っ」
部長のお母様が持ってきていた壁に付けるラックに、関さんの作品が並べられている。
悶える関さんをよそに、歌夜があっけらかんとした態度で本を開いた。
「じゃあクリア記念に関さんの過去作鑑賞会しよっか。おっこれ読みたかったんだよね」
「ぎっぽゃあぁああぁぁあぁあぁあ!!??」
「む、むごい」
部室に隠している関さんも悪いが、こう何度もネタにされているのは流石に不憫である。
俺が歌夜の額を軽く小突いて本をラックに戻す裏で、関さんは部長母の部費のカンパといって用意していた封筒を受け取った。
「もういいでしょこういう流れ! みんな飽きてるって! 賞金貰って終わり……って空!?」
──が、関さんが開けた封筒の中には、なにも入っていなかった。
「思い出してあやめちゃん、今までゲームで現実の賞金を貰えたことはあった?
ゲームとは楽しいから遊ぶもの、プレイの結果に達成感という報酬が与えられる──つまりあなた達は宝探しによって手に入れたの、そう……この片付けられた美しい部室を……!」
「いい話みたいにしないでくれる!?」
「そうだぞぉ菫ちゃん、賞金渡すって言っちゃったんだからなんかあげないと」
ひょこりと部長母の後ろから顔を覗かせる母さんは、そう言って部屋の隅に置いていた女性らしさの欠片もない大容量バッグに手を突っ込む。
「……そういえば、りょーくんのお母さん、なんで制服着てるの?」
「俺が母さんの行動を理解できたことはこの15年で一度としてない」
「ああ……まあ……そうだね」
小さい頃から俺と同じように母さんを見てきたたまですら、アレの思考は理解できまい。「はあよっこいしょ!」と言って取り出した紙切れを持って、母さんは俺たちに近づいてくる。
「えーっと、にーしーろー、ほい三枚」
「あっどうも。……あの、これはいったい」
代表で部長が渡されたそれは、なんらかのペアチケットであった。
「ん? こんどやる私が撮った映画の先行上映の招待チケット。君らはやらないとは思うけど、転売しちゃあいかんぞぉ」
にっ、と笑って、母さんはバッグを背負い直して部長母と共に外へと向かう。
「それじゃあ、菫ちゃんとちょっと呑んでくるからここらでお開きねっ!」
「母さん、制服から着替えてもらえないか」
「わかってるって……あっ! ここに来るまでにすれ違う生徒には『燎原の姉です』って言っておいたから安心してちょうだいっ!」
「うーんいい迷惑」
わーっはっはっはァ! と笑いながら部室を去る母さんと部長母を見送って、俺は重苦しいため息をついて、部長から渡されたチケットをたまにぴらっと投げ渡す。
「俺は良いから裕美音でも連れていけ」
「あ、えっ、いいの?」
「構わん。……それと、本人も言っていたが、転売はするなよ」
「ちなみにしたら幾らするんだ?」
気になったのだろう関さんがそう質問し、俺は無言で、数年前に転売されたことのある抽選でゲットするタイプの映画のチケットの落札画面を彼女に見せた。
「0がいちにーさん…………え゛っ、落札価格6桁超えてんだけど……!?」