カップリングとはすなわち現代文なゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回は村上母とうちの母ちゃんが大暴れしたところで終わりましたね。
今回は教室から再開です。
燎原くんと裕美音に勉強を見てもらっているたまちゃんでしたが、廊下から歌夜に呼ばれてそちらに向かいます。どうやら裕美音はそれが面白くないみたいですね。
嫉妬? 嫉妬なんですか!?(アルフレート)と煽ってもいいんですか、ちょうど生徒会入りした清水マリカが居るのでこいつに探らせましょう。行け! マリカ! ピッピカチュウ!
……マリチュウは情報を抜き取れないどころか歌夜に我々が隠れているのを見抜かれて寝返りました。お前もう戻ってこい。
嘘つくのが苦手なマリカはそれでもたまちゃんと歌夜のやり取りが怪しいと睨んでおり、こちらに情報を聞いてきました。この流れは……総集編的なアレじゃな?*1
藤川歌夜……奴はSNS部の音楽担当で動画投稿でもかなりの人気を得ており、姉への憧れを拗らせていて更にはOGである百武照とはいまだに確執が残っているとかなんとか。
おまけに最近は燎原くんだけではなく、たまちゃんまで名前で呼ぶようになっていると裕美音がマナーモードと化しながら説明。
こうなったら他の知識を借りるしかねえ! ということで、やって来たのはイラスト部。助けてー! たまちゃんが隠し事してまーす!
高三なので活動が控えめになってきている部長、生徒会書記の槍居智亜に尽力を求めると、彼女はバッサリと『BL妄想に使われるのが嫌になったんじゃないのか』と言ってきました。
……そりゃそうじゃ!(オーキド)
いや普通に考えたら自分を勝手に男体化させてBLのネタに使ってくる友人とか絶縁不可避でしたわ。たまちゃんと燎原くんが寛容過ぎているだけだからちょっと感覚が麻痺してましたね。
しかもSNS部の新作ゲームでも裕美……ユミーネ嬢が激ヤバBLトークしてましたし。
……いやそれはそれとして受験生がゲームしてるんじゃないよ(正論)
──とかなんとかいいつつ、我々はたまちゃんと歌夜を尾行してアニメショップにやってきたのだ。まるでホテルにしけこむ浮気現場を覗いてしまったみたいだぁ……。
そうやってコソコソ隠れていると、少しして店から出てきたたまちゃんたちにあっさり見つかりました。なんでやろなぁ(マスク装備)*2
荷物を後ろに隠して何故か顔も赤い……これマジで事後なのでは? となっているところで短いですが今回はここまで。いえ別にたまちゃんは大人の階段は登ってないです。
次回、メインヒロイン襲来。お楽しみに。
──歌夜と清水と別れ、帰路を歩く俺は、後ろで会話を交わすたまと裕美音の声を聞く。
「裕美音、最近元気ないけどどうしたの? 私、大丈夫かなって心配なんだよ」
「…………。~~~っ、教えない!」
モヤモヤとした表情をしているのだろう裕美音は、唐突に俺の腕を掴んで引っ張りながら、残されたたまに捨て台詞のように言っていた。
「たまちゃんが隠し事してるから、教えてあげないっ。今日はりょうくんちに泊まるもん! ごめんねまた明日──っ!」
「は?」
「裕美音──!? りょーくーん!?」
そのまま信じられない力で引きずられて数分。俺の家に到着してようやく腕を離した裕美音は、今になって冷静になったのか顔を覆いながらくぐもった声で問いかける。
「…………トマッテイイデスカ」
「──はぁ。好きにしろ」
気にしてないと暗に伝えるように頭を雑に撫でて、玄関の鍵を開けて中に入る。
続いて入ってきた裕美音を居間に上がらせて後ろ手に鍵を閉めると、俺は夕食の献立を脳裏で組み立てながら居間へと向かった。
──夕食を終えて風呂に入り、しっとりと濡れた髪を乾かす裕美音は、おもむろに呟いた。
「あの時のチョコ、ずっと渡せてなくて、10日も経ってて、箱もちょっとへこんでて、なのに……私に勇気が無いの。たまちゃんに、小さい頃、酷いことを言っちゃったって謝りたいのに」
「そうか」
パジャマの裕美音を横目に、彼女の分の布団をテーブルをずらした居間に敷く。
のそのそと布団の上に座り込んだ裕美音は、ため息混じりに言葉を続けた。
「ねえ、りょうくん。私……腐女子なんてやめて色々とわきまえた方がいいのかな」
「『オタクやめようかな』とか聞かれても困るんだが。……いいか、裕美音。たまは昔のお前に色々言われたし、お前も色々とやらかしているがな……少なくとも嫌われてはいないだろう」
隣にすとんと座り、わずかに湿り気が残っている髪に指を通して優しく撫でる。
裕美音はされるがままにまぶたを閉じて、俺に寄りかかりながら言葉に耳を傾けていた。
「明日こそ渡して、それから謝ればいい。大丈夫、ちゃんと、お前はやり直せるよ」
「りょうくん……うん、ありがとう」
「じゃあ、そろそろ寝るか」
「ねえりょうくん、このまま寝よ?」
「嫌だよ」
「そう言わずに~」
よいではないかよいではないか、としなだれ掛かる裕美音。俺はそんな裕美音を────布団に転がしてそのまま巻き寿司を作るようにぐるぐると掛け布団で巻いていった。
「高校生にもなって同年代の男に引っ付いて寝ようとするんじゃない」
「──あーっ! あーっ、簀巻きにしないで! 布団で巻かないで──っ!」
「ご近所迷惑だからいちゃつくのも静かにね」
「親父も机にかじりついてないで、寝ろ」
「おっと飛び火が」
──後日、数年ぶりの、時効になっているだろう仲直りをしようとした二人の会話を聞きながら、俺は遠巻きに口角を緩める。
それはそれとして洋酒チョコだった裕美音の遅いバレンタインチョコにより酔ってしまったたまのために、授業開始の数分前に自販機まで走ることになったのは、また別の話である。
……果たして俺は100m走の自己新記録を狙えそうな早さで往復し、なんとか冷えた水でたまも正気に戻れた、とだけ言っておく。