時間の流れが早すぎる気がするゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回は百武照とドキドキSNS部したところで終わりましたね。今回は部室から再開です。
早くも来週で三学期も終わり、来年からは部長たち先輩組も3年生となります。
部室に一人だけ居る歌夜から以前、夏コミに出ないかと誘われていますが、まだ詳しいことは話せていないことをたまちゃんと燎原くんも悩んでいます。そうしていると、不意に歌夜に声を掛けられ、『私をおじさまにしてくれない?』とか言われました。ごめんなんて?
……なんでもネットの知り合いからオフ会に来ないかと誘われているようで、その内の一人が顔見知りとはいえ年齢性別を隠している歌夜は変に思われないか心配なご様子。
なんでそれで出てくる言葉が『おじさまにしてくれ』なんだよ……という至極真っ当な意見が二人の口から飛び出すと、歌夜は説明します。
どうやら、一時期ネットで恋詩露咲るるなこと池谷乃々と絡んでいるSingna(=歌夜)が男だと思われていてガチ恋勢に因縁つけられていたことがあったらしいですね。
うーん、これは全部乃々が悪い!(適当)
そんなわけで放課後になったのだ。私服を持参していた歌夜と合流し、お店まで歩きます。
くだんの誘ってきた人は歌夜にとっては唯一の顔見知りであり、よく歌夜の曲に絵や動画を描いてくれている方らしいのですが、その人は人気も人脈も凄いそうで。
激ヤバクリエイターに囲まれて
そんな歌夜は我々二人に居てもらって精神がアレになったら頭を撫でてほしいとのこと。
まあいざとなったら燎原くんがなんとかするからへーきへーき。*1
などと言いながら目的の居酒屋に到着。玄関付近に立っていた女性が声をかけてきてイベント開始、彼女の
えー今日はー、オフ会当日ですけどもー。参加者は、我々三人以外、ドタキャンされました。なんでやろなあ(すっとぼけ)
……はい、クリエイターが来るというのは歌夜の勘違いですね。単なる大学の友人を交えたオフ会だったそうですが、なーぜーか毎回毎回ドタキャンされるそうです。なんでやろなあ(二回目)
んまあそう、それはそれとして飲み物を注文しましょう。燎原くんたちは当然ジュース、テマワリ先生はトリアエズナマ……ビールを注目。
ちなみに私は呑みません。下戸なので一発芸・マーライオンを披露することになります。
そうしたら乾杯して飲みましょう。プロ──ジット! ワーッハッハッハッハ!*2
──と、呑み始めて数分。速攻で酔っ払ったテマワリ先生が荒れに荒れていました。
実は漫画家を目指しているテマワリ先生──もとい
自己紹介もされたのでこちらもしますか。こっちが超大型新人で、俺が
その後もたまちゃんが自分も絵を描いているとスケブを見せたら、また泣きながらビールを呷る周防……いやテマワリ先生で統一するか。
──テマワリ先生は昨日も漫画を持ち込みに行ったら、いつものようにボロクソ言ってくる編集にまた色々言われたそうで、『あと一歩あと一歩ってそんなに言うなら他の編集にも私の原稿見せてこいやオルレアン!!』と逆ギレ。
そうしたらお返事メールで編集六人から扱き下ろされたのだとか。むごい……(自業自得)
そのまま酔っぱらいながらこちらにダル絡みしてくるテマワリ先生を適当に捌きつつ、出された飲み物と料理をつまみましょう。
ジュースはストローをくちばしに突っ込んで飲み、からあげは箸で持ち上げて開いたくちばしの奥に捩じ込み──レモン掛かってる!!
燎原くんは某足フェチと違ってあんまり柑橘系は得意じゃないし、そもそもからあげにレモンは地雷です。ちょっとテマワリ先生への好感度が下がりましたね、今後に期待。*3
燎原くんをバードマンバードマンと言って異様に懐いてくるテマワリ先生が鬱陶しくなってきていると、今度はたまちゃんにロックオン。
いつの間にか注文していた熱燗を呑みながら、テマワリ先生はたまちゃんに紙を渡してサインをねだります。それでは、若い子はポテンシャルあるから激ヤバ絵描きになれるよ~と絡んできているのを見ながら今回はここまで。
次回はSNS部のPVを作ります、ではまた。
「ねえねえ見て~バードマンよぉ~っ。ねえ見て~鳥人間がからあげ食べてるよ~」
共食いよ~ねえ見て~~と言いながら俺の肩をぐわんぐわんと揺するテマワリ先生に流石に鬱陶しさを覚えながら、俺は無心で注文したドリンクや料理をつまんでいた。
「しぐなん~バードマンが反応してくれないよお~共食いしてるよお~」
「あはは」
わかりやすい作り笑いも気づけないほどに泥酔しているテマワリ先生が、やがてたまにターゲットを切り替えるまで耐える。しばらくしてお開きとなる頃に呼んでおいたタクシーが到着し、俺と歌夜でなんとか彼女を車内に放り込んだ。
「バードマ~~~ン!」
「もう会うことはないでしょう」
「じゃあ意地でもまた会うからね~~~!!」
発進したタクシーの中から聞こえてきた声が遠くなって行き、視界の措くで信号を曲がるのを見送ってから、俺はようやくマスクを脱いだ。
「──いったい何回店員さんから奇っ怪なモノを見る顔で二度見されたのやら」
「……なんでずっとそれ着けてたの?」
「顔覚えられたら厄介そうだと思ってな」
鞄にマスクを放り込み、室内の温度も相まって汗で濡れた髪を掻き上げる。
「少し気持ち悪いな」
「そりゃ居酒屋の暖かい室内でそんなの付けてたらねえ……あっそうだ」
「歌夜先輩?」
俺の呟きに言葉を返した歌夜と、彼女の声に聞き返したたまは、指差された先を辿る。視線の先にあったのは、まだ開いている銭湯だった。
「──あ、燎原くんは男湯だゾ☆」
「あはは」
「もしかしてさっきの根に持ってる?」
「少し」
舌を出してウインクする歌夜に今回ばかりは正当性のある苛立ちを覚えつつ、俺は二人を連れて銭湯に向かうのだった。当然だが、二人は女湯で俺は男湯に入っている。
──夜も更けてきた頃、適当に買ってきた紙パックのジュースを片手に、三人で公園のベンチに座って、言うなれば二次会を始める。
「こうして、改めて星を見上げるとさ、やっぱりあんまり見えないよね」
「都会は街自体が明るいからな。本当は見えるはずなのに見えないのは、仕方がない。たまの家の方なら見やすいんだが……」
「うちそんな田舎ちゃうもん!」
からかい半分で歌夜の言葉に俺がそう言って返すと、わかっているのだろう、たまも本気ではない怒るそぶりを見せる。
「……どこの空にもあるけど、輝けるのはほんの一握り。テマワリ先生に、姉さんに。私の周りで目が眩むくらい輝いているのに、いざ空に浮かべば霞んでで見えないなんて、寂しいよね」
「──お前は気を抜くとすぐポエミーになるな。音屋の性か何かなのか?」
「あっはっは、常に音楽を書く頭をしてるとね、自然とこうなっちゃうのかもね」
歌夜の表情を見ると、俺の隣でジュースを飲んでいたたまがおもむろに言った。
「……私たちは、輝いてますか?」
「たまちゃん?」
「──ま、まだまだ私は未熟者だし、りょーくんみたいに背景とか描けないけど……」
「萎縮させちゃったかな」
ふっと笑い、歌夜はたまの頭を軽く撫で回してから立ち上がり、俺たちに振り返ると続ける。
「さっきのはただのリリックだからね」
「歌詞……ですか」
「あーでもなー、曲があっても絵がないとな~。どこかに社会人生活で忙しくなるテマワリ先生の代わりに、私の曲に絵を頼めそうな人とか居たりしないかな~?」
ちら、と俺たちを見て、歌夜は意味深にニヤリと笑う。乗せられていると理解した俺と隣のたまは、それがおかしくて小さく笑って返す。
「──じゃ、そろそろ帰ろっか。別に燎原くんちに泊めてくれても良いんだけど~?」
「奏さんに連絡しますね」
「え゛っ、ちょっ!? なんで姉さんと連絡先交換してんのさ!?」
「原因が慌てるのか……まったく。ほら、家まで送るからふざけるのもほどほどに、な」
それはそれとしてたまは泊まっていく、と俺が言うと、歌夜は「なにそれっ!」と、夜の公園のど真ん中で抗議の声をあげるのだった。