衝撃のラストが待ち受けるゲームの実況プレイはーじまーるよー。*1
前回はオフ会0人なところで終わりましたね。今回はファストフード店から再開です。
某マクドナルドに集まった燎原くんたちは、春休みも半ばに今年度最後のSNS部会議をしていました。そこで関あやめの『部のPV作ろうぜ!』という発言にデジャヴを覚えますね。
きらら……ではなくきらきらな新入生を騙す……でもなく夢を見せるきらきらな同人サークルアピールの為のムービーを作りたいとのこと。
つまりはーちゃんに対するIri§先生……ってコト!? となった部長が
……うるせえ!
──なんだかんだと言いながら小規模ながらもそれなりにゲームを作ってきたSNS部。
そんな制作したゲームのプレイ動画を繋いで最後に1枚絵をバーン! と載せて、SNS部いいとこ一度はおいで……と新入生をちょうちんアンコウのごとく誘い込もうという罠ですね。
親しみやすさがあやめの案なのですが、部長は実際だとまあまあ……いえかなり大変な活動と知った新入部員になんと申し開きをしたらいいかと、良心の呵責でネガティブに入ります。
でもはっきり大変だと告げてもなお入ろうとする変なやつなんて、せいぜいたまちゃんと燎原くんぐらいですからね。
しかしどう足掻いても部長とあやめ、そしてこの店でバイト中の歌夜は受験生になるので、戦力はたくさん欲しいというのが本音です。
ついでに言うと、たまちゃんが副部長になったので彼女にも頑張ってもらいましょう。
いっそのこと部長としてSNS部を牛耳っても良いと言われますが、自分に務まるのかと不安のたまちゃん。そこに歌夜がお代わりのコーヒーを持ってくると、ついでに言葉巧みに扇動します。
『かーっ! 副部長の肩書きがあれば生徒会の手続きも楽になるんだけどなー! コーヒーの似合うたまきおじさまになら任せられるんだけどなー! かーっつれーわー!』とのこと。
だ、騙されてゐる……!
……横で同じくコーヒーを飲む燎原くんが茶番を眺めていると、半分でギブアップしていたので残りを貰いましょう。それから改めて、PVの内容を決めるべく語ります。
PVならナレーションが要ると乃々が言い、あやめは歌夜にジングル*5を書いて貰おうと提案。
我々にも1枚描いてもらうことになるそうですが、そこでたまちゃんが進言。本当に部を牛耳ってもいいのなら、こんなこともあろうかと……と言って、絵コンテを出してきました。
先日のゲームのイベントスチルで使った『呪いで紙袋にされていたおじさま』をベースにあれやこれやして──そう、魔法少女変身バンク風おじさま変身アニメーションを描くぞッ!!
………………イケるな!(乱心)
この部に着いて行きます~感というよりはたまちゃんの攻めキャラ感しか伝わらない計画を進める彼女を遠巻きに眺めていると、バイト上がりの歌夜が戻ってきたので軽く説明しておきます。
それから暫くして店を出て、たまちゃんたちは歌夜に曲を書いてもらうという話をします。いえ、どんぐりではなくジングルです。
しれっと間違えながらも、たまちゃんは歌夜の自作の曲への面倒くさ…………強い感情を理解しているので、『簡単なのを』と言ったら嫌なことをわかっている上で提案しました。
ぶっちゃけ、素敵な新歓にしたいから本気で曲を作って欲しいと煽れば歌夜は乗ります。
うーんチョロイン。攻略サイトの攻略しやすいヒロインランキング上位なだけはある。ちなみに1位はたまちゃん、最下位は百武照です。
それではたまちゃんが歌夜の扱いに慣れてきた辺りで今回はここまで。Afterを挟んでChapter8にてお会いしましょう、ではまた。
──たまのとんでもない提案から少しして、店を出て歩く。すると、おもむろに関さんが体を伸ばして関節を鳴らしながら言った。
「来年もこうやって、みんなで何か作れるといいよなあ。まあ、こっちにかまけて浪人しても本末転倒だし難しいかぁ」
「大学の受験勉強って、全く部活動に参加出来ないくらい大変なんですか?」
「や、関さんがアホなだけかもよ」
「お前も人のこと言えないだろ……」
池谷の問いにあっけらかんと答える歌夜と、それに言い返す関さん。
「……ん?」
それらを後ろで見ていたら、不意にたまが俺の裾を掴みながら部長たちに声をかける。
「……あの、私たちは……違う路線で帰るので、ここで、失礼します」
「────」
裾を掴む手に力を入れて、暗に何も言うなと伝えてくるたま。特に不思議がることもなく、軽く返答してそのまま別れた三人の背中を見送ったのち、たまは俺の腕に顔を押し付けた。
「……たまき先輩?」
「──先輩たちは来年は受験生、後輩として、ちゃんと見送らなきゃって、わかってるのに」
「その辺で、少し休むか」
小さく嗚咽を漏らすたまを連れて、俺と池谷はとりあえずとその場から離れた。
──コンビニ近くのベンチに座らせたたまと池谷に、買ってきた飲み物を渡す。
「なんかね、先輩たちは来年卒業するんだなあ、って思ったら……なんだか急に胸がいっぱいになってきちゃって……ごめんねりょーくん」
「気にするな」
「卒業ったってまだ1年あるじゃないですかっ。なんだかんだ皆さんも、来年もこうやってゲーム制作に付き合ってくれますよ」
池谷の言葉に頷いて、たまは俺が渡した飲み物を呷る。数分して傍らのゴミ箱に空の容器を捨てると、ポツポツと雨が降り始めた。
「降り出しましたね、早く駅に行きましょう」
「…………う、うん。そうだねっ」
少しばかり気まずそうなたまと、持っていた傘を広げる池谷を連れて小走りする。
駅に到着して池谷と別れたのち、俺はおもむろにたまに問いかけた。
「──で、ここの路線からじゃ帰れないことをついぞ恥ずかしくて言い出せなかった本田珠輝さん。なにか言うことは?」
「……ご、ごめんなさい」
「まあいいさ。池谷の傘に入れて貰おうにも三人は無理だし、俺だけ濡れながら帰るのはさすがに勘弁して欲しいからな」
そう言いながら先のコンビニまでのルートを思い出し、さっさと傘を買って来るかと思案する。その時、聞き慣れた声が耳を撫でた。
「──そこ行くお困りの子猫ちゃんズ、こんばんは~っ」
「……照さん?」
「て、テルさん!? なんでここに!?」
「なんでって、同じ店で勉強してたから?」
「神出鬼没だな……」
駅に続く階段付近にたむろしていた俺たちのもとに、相変わらず本心を隠したような仮面を表情に貼り付けた照さんが、たまと俺を見ながら傘を閉じてから続ける。
「卒業が近づき未来の分まで悲しんじゃうたまたまちゃん、気が早いなあ」
「せっ……せやけど」
「分からなくもないけどねっ」
からからと笑いながらそう言った照さんに、たまは俺の手を掴みながら言葉を返す。
「……テルさん、また元気が出るまほう……掛けてくれたりしませんか?」
「んー、そうだなあ……じゃあ試しに──」
「────?」
そこで言葉を区切り、俺を見てほんの一瞬
「──三人で部活作ろっか!そこでふにゃっとなんかしよう。同人ゲーム制作とかねっ!」
「……冗談ですよね?」
「割とマジマジの本気アイデアだよ?」
「どの辺が!!?」
たまの驚愕の声を聞きながら、俺は少しだけ、照さんの本心を垣間見た気がした。