池谷乃々の株がストップ安なゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回はSNS部vsイラスト部の熾烈な戦いを繰り広げた辺りで終わりましたね。今回は…………ちょっとアレなことになっています。
前回との間に燎原くんも百武照も関わらないので飛ばしたエピソードがあるのですが、現在SNS部にやって来た眼鏡ガールこと鶴瀬まつりちゃんが──乃々に突然キスされたとかなんとか。
調べてみればその時の配信がそのまま動画サイトに転載されており、動画の中では確かに乃々が漫画喫茶でまつりちゃんにキスしている光景が流れています。モラルゥァア゛ーッ!*1
燎原くんの中の『こいつほんま……』ポイントが急上昇して行くのがわかりますね。
見るからに顔グラが不機嫌そうな感じになっており、部長と共に乃々もとい恋詩露咲るるなのコミュニティページを開いてます。分かりづらいですけどかなりキレてますねこれ。何が学校では黙っててくれだよ晒してやるよオラァ!!
先日の百合営業で少なかったフォロワーが爆増して、約8000人に増えていますね。
約8000人に例の事態を見られている事実に、まつりちゃんはぶっ倒れました。
とりあえずソファーに転がすと、魘されながら寝言で『どうして……(炎上猫)』と呟いています。どうしてでしょうね(半ギレ)
──等と話していると、部室にくだんの池谷乃々容疑者が入ってきました。捕まえろ! 普通に警察案件だ!(普通インパルス板倉)
速攻で首根っこ掴まえて椅子に座らせて、その後ろに立って逃げられないようにすると、乃々は部長に例の動画を見させられます。
『これは良くない名前の売り方だと思います』という部長のマジレスと共に炎上中の例のアレを見て、乃々はベッドの下に隠したエロ本を親に見つかった時のように困惑していました。
──なんであんなことしたのか答えろよ……質問は既に……『拷問』に変わっているんだぜ(アリーヴェ帰るチ)(さよナランチャ)。
……曰く、あんなことをすればリスナーに百合営業としてウケると思ったらしいですね。
『それってつまり……池谷さんは私のことは別に好きじゃないしあのキスはお芝居だった……ってコト!?』と起きてから質問するまつりちゃんに、その通りだと返す乃々。
まつりちゃんはその返しに『理由が分からなくて悩んでたから弄ばれ耐性を試せるのかと思った』とか言ってました。タフという言葉は鶴瀬まつりのためにある。
まつりちゃんは色々と納得したらしく、今日は帰るとのこと。
このままこいつに2~3発ビンタしても許されると思うんですが、乃々に好かれるために修行するから関わるのは控えめにしたいそうです。
そのうえで学校ではるるなと呼ぶなって保身に走る池谷さんさぁ……。
それではまつりちゃんが部室から出ていった辺りで短いですが前半はここまで。
来週の後半をお楽しみに。後半というか公判では? とは言ってはいけない。
──池谷と鶴瀬の間で起きた炎上騒動。生配信を切り取られ転載された動画は最悪なことに某サイトで皮肉にも大人気となっていた。
「──
「……燎原くん、落ち着こうとしてるのはわかるんだけど、般若心境をぶつぶつ呟いてるの普通に怖いからやめてくれない?」
横に座っている歌夜がそう言って俺の肩を揺する。自分の頭に血が上っているのを、他人事のように理解していた。
「落ち着きたいなら、前にスローテンポのいい曲書いたからそれ聴きなよ」
「帰ったら聴く」
「おお……燎原くんもキレるんだ……」
……聞こえているが、それに答えることはない。というか、歌夜は俺のことをなんだと思っているのだろうか。俺だって苛つきもする。
なにより、今回の騒動は、ただただ個人的に気に入らないのだ。
池谷が異常なまでに承認欲求に駈られているのは理解しているし、多少派手なパフォーマンスが
「──やり方が気にくわない」
「え?」
「なんでもない」
思わず口を衝いて出た言葉を聞かれ、歌夜の声に誤魔化して返す。部長に転載動画を通報しておくように言われ、眼前で不機嫌そうに携帯を弄っている池谷に、おもむろにたまが口を開いた。
「──『ネットで売れるなら別にいいじゃん、鶴瀬さんもそこまで気にしてないっぽいし』……とか、そんなこと考えてる?」
「……まあ、それなりに」
池谷を見ながらたまは続ける。
「あの子……鶴瀬さんは、ののちゃんの事が本当に大好きなんだね。
大切に想ってるからこそ、お芝居でキスされたのが、ショックだったんじゃないかな?」
「……そういうものなんですか? ファーストキスって。たまき先輩はりょー先輩とそういうことしたことあるんですか?」
「え゛っ!? どっ、どうだろう!?」
「小学生の頃のはノーカウントだろう」
確か昔、ドラマの影響か何かで、お遊びでそんなことをした覚えがあるが、あれは単なる若気の至りだ。それに裕美音ともしている。
「と──とにかく、自分がちやほやされたい為だけに、人を踏み台にするのは良くないと思う! だからあとであの子にちゃんと「──みんなやってることじゃないですか。そんなの」
しれ、っと。池谷はそう言った。
「……私は欲しい自分を手に入れる為なら多少、人に迷惑掛けたりしますよ。別に、これくらいの炎上は慣れっこですし。
たまき先輩だって、受験生の先輩たちにずっと部室に居てほしいって思ってるくせに」
「それは……っ」
「迷惑だから、嫌われるから、そうやって我慢して這いつくばってるくらいなら、私は今後も──「さすが池谷さん~!」
再燃した俺の中の怒りの感情と池谷の言葉を遮るようにして、不意に部室に裕美音が入ってくる。その手には、企画書なる紙束があった。
「──そんなSNS部に~? なんと~? 企画書持ってきちゃいました~!」
『!!!??』
この場の全員が、裕美音の突然の提案に驚愕したのは、言うまでもない。