池谷乃々で遊ぼう! なゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回は乃々の攻略が完了したところで終わりましたね。今回は翌日の部室から再開です。
この実況が『池谷乃々攻略実況』だったらもう完走してる頃ですね。
などと言いつつ画面では、たまちゃんと乃々がなにやら話をしています。
乃々を好きにしていいたまちゃん……何をされてもいい乃々……過熱した欲望は、ついに危険な領域へと突入する────わけではなく、単純にゲームのアイデアを固めようってだけです。
横で勝手に興奮して鼻血垂れ流してる裕美音は置いといて、いざゲームを作ろうにも、何をすれば乃々の炎上に怒っている人たちが納得するのか……という話なのですが、ぶっちゃけその程度じゃ怒りは収まらないでしょう。
乃々の配信自体は、謝罪配信と謝罪文投稿が終わったらしいので、これからはファンのための活動だけやるとかなんとか。はぇ~すっごい逞しい。……まあその判断は賢い方でしょうね。
それはそれとして、今回ここに居るのは我々の要望に何でもする為なのだとか。ん?(詠唱)
歌夜「夏にCD出すから歌ってくれる?」
のの「はい」
たま「ポーズのモデルお願いしていい?」
のの「はい」
投稿者「パック開封デスマッチしない?」
のの「…………」
──なんとか言えよ変態。私とお人形遊びするのは嫌だって言いたいのかよえーっ!?*1
……まったく。んだらば部長に『この企画そのままやるのは受験生にはキツいのでボツ(意訳)』と言われるので、根本から考え直します。
どうやら裕美音所属のイラスト部の方でもゲームを作ろうとしているようで、たまちゃんも簡単なゲームでも作れるようになれたらいいのにとのこと。プログラム担当の部長に師事することも視野に入れますが……なにやら部長いわく既に先約が居るとか。いったい何野何葉なんだ……!
とか言っていたらイラスト部に『この泥棒猫!』しに行ったたまちゃんを連れて、今日のところはアイウィル撤収。犬井宅でなんやかんや家事をやってくれている照さんに出迎えられるのは素晴らしいぞ!(ダース・ベイダー)
──と、たまちゃんと燎原くんは照さんにゲームのプログラム……いわゆるエディター(*2)を教えてもらえないかと聞きますが、本人も詳しく説明できるかは微妙だとか。
とはいえ照さんも一応は受験生なので、無理はさせられません。しゃーない切り替えていけ、と考えつつ皿を洗っていると、照さんはなにやらゲームで遊んでいました。
育て方で姿が派生するネコチャン育成ゲームらしいのですが……申し訳ないがショゴスとクラーケンが合体事故を起こしたようなクリーチャーを猫と言い張るのはNG。
しかしたまちゃん、こんなことでもアイデアが浮かんだようでメモを纏め始めました。流石は原作主人公……些細なところからでも閃くとは頭ウマ娘のトレーナーか?
ですが夜更かしもNG。
オラッとっとと寝ろ! でも燎原くんの布団に入るのはやめなさーい!(走者猫)
……そんなわけで翌日。
学校でもアイデアを纏めるたまちゃんに、燎原くんは当然として、またしても何も知らない清水マリカと気づいたときにはるるな沼に沈んでいた飯野夏が手伝ってくれました。夏さんちょっと熱意がキモ──いや何も言うまい。
そして企画のアイデアが固まったので、放課後に乃々を呼び出して外で待ち合わせます。部室ではなく外に呼び出したのはいったい何故なのか? それは──乃々にはパパになってたまちゃんを癒してほしいからだよ!
といったところで今回はここまで。次回、物理的に不可能! デュエルスタンバイ!
──たまの爆弾発言は別として、ひとまず話を聞くことにした乃々は、俺たちと並んでベンチに座ってスケッチブックを覗き込んだ。
「ののちゃんのファンが喜ぶのは~とか、そういうのはあんまりよくわからないんだけど、昨日と今日で色々考えてみたんだっ。とりあえずストーリーの『起』は裕美音の案のまま」
「ああ……私(♂)が呪いでどうこうっていう」
「改めて聞くと酷い出だしだな……」
例の企画を思い出して俺と同じように苦笑をこぼす乃々は、たまの声に耳を傾ける。
「それでね、最初は妖精さんみたいに可愛い感じだけど──育て方で色んな姿に変化する育成ゲーム! ……なんてどう?」
「こういうおもちゃありましたよね」
「──で、上手く進化させるとカッコよくて頼れるパパに進化する!」
「なんでそっちに行った?」
可愛らしい妖精が美少女になって最終的にダンディなおじさんになる謎の進化を見せられて、俺はどう反応していいのかわからない。
……が、乃々はたまから渡されたスケブをめくりながら、感嘆する声を出した。
「でも、なんかネタとしても面白いし、アリなんじゃないですか?」
「ほんと?」
「ほんとです。ああ……でもなんだろう、このアイデア──よくわからないけど、『なんかいい』ですね。たまき先輩らしいというか、先輩の好みが真っ直ぐ出てるのが良いのかなぁ」
ポツポツと呟くように言った乃々の言葉に、たまは過剰に反応する。
「ももももしかして……うちがファザコンだとか思ってるん!?」
「違うのか……?」
「違うんですか!?」
──違わないだろう。それは兎も角として、乃々はたまに続けて言う。
「ほんとに私のことは雑にネタにしてくれて良かったので、るるな民も喜ぶと思います」
「そうか。──なあ、乃々」
「はい?」
「お前なら、どんな風になりたいんだ?」
「……えっ?」
俺がおもむろにそんな質問をすると、乃々は固まった。横でたまが首をかしげるが、乃々は困ったように小さい声で返す。
「べ、別に私の案は要らなくないですか?」
「いや、案が多い方がデザインを考える方としては助かるんだが……」
俺にそう言われて、乃々が少ししてから悩むそぶりを見せてから答える。
「じゃあ、かっこいい魔法少女的な……」
「魔法少女か。了解」
メモ帳を取り出して、俺は手短に『魔法少女(かっこいい)』と残す。すると──横合いの茂みから突然何者かが二人現れた。
「──私はっ!!!!! のののののさんが部屋着だったのが新鮮過ぎて忘れられないので是非部屋着ののさんをお願いしますああでも部活PRのコスプレののさんも捨てがたいどっちがいいかなぁ決められない」
「なんだか面白い企画ね本田珠輝と保護者妖怪! ゲームの出来での決闘受けて立つわ!」
「お前らどこから出てきた」
「……ふふふっ」
やたらと高いテンションであるくだんの炎上の被害者こと鶴瀬、そしていつもの水葉が、頭に枝を巻いて紛れていたらしい。
その光景を見て笑みを浮かべた乃々がくすくすと笑うと、口を開いた。
「りょー先輩、たまき先輩。私らしいゲームを考えてくれて──私のなりたいものを聞いてくれて、ありがとうございます」
「……! うんっ!」
「また明日からも、頑張りましょうね」
「そうだな」
諸々の問題が起きたが、それでも良いところに落ち着いたのだろう。この笑顔が見られたのなら──この労力もまた、悪くない。
──後日、部室で乃々をモデルにしたたまと俺のデッサン会が行われたのだが。
「たまちゃんにガン攻めされる猫のポーズ……」
「猫耳パーカー」
「お姉さんポーズもよかったけど私はもちょっと自然体が感じられる方が好きかなぁいやでもやっぱり────」
「……なんでしょう、なにやら悪寒が」
「ののちゃん、風邪?」
「──裕美音と飯野姉と鶴瀬か……怪電波を発するな邪教徒どもめ」
部室の外からの怨念めいた威圧感に呆れることになるのは、また別の話。