部長編もクライマックスなゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回はまた乃々が炎上しそうになったところで終わりましたね。今回はその数日後からです。
途中で色々あってたまちゃんが理系クラスに移ることを決めたエピソードがあるのですが、そちらは残念ながらカットとなります。原作買って、読め! (全10巻発売中)
とかなんとか言っていると、珍しく一人で登校していた燎原くんは、通学路の途中にある自販機でジュースを買っている部長とヨツンヴァインになっている乃々を見つけます。
これ見なかったことにし──イベント進行しちゃったよ。どうやら可愛く恥ずかしがりつつ驚く練習がしたかったそうなのですが、想定が歌夜だったのに部長が現れちゃったので全てがぐっだぐだになっています。「きゃあ☆ どこ見てるんですかぁ☆」じゃないんだよ。
部長相手だとハシビロコウみたいな安心感があるから練習にならないとかまあまあ失礼な事を言いますね。まあ確かに部長はハシビロコウっぽさがあるにはありますけど。
それはともかくリテイクを要求してきたので素直に従っときます……が、そこにたまちゃんが現れて部長にスキンシップを取ります。ってなんでここにたまちゃんが!?(くぅ疲)
君らまだ仲直りしてなかったよね? と質問すると、たまちゃんは『今から仲直りする』とストロングスタイル。こいつ強いぞ……
たまちゃんも思うところはあったようで、これからは理系クラスに転入してプログラミングに強くなるぞ! とのこと。そっかあ。
……理系クラスってプログラミング習うの? という当然の質問をする乃々と燎原くんは、『無くはないけど微妙』と返されます。
その辺のことはわかっていない乃々がむしろ英語の方が大事そうだと言い、部長もそれはそう、と的を射たような顔をしていました。
時間は過ぎて、画面は部長たち三年組の方に。テストのあれやこれやの話をしながら昼食を摂る部長と歌夜は、あやめが実は栄養士志望だという話を聞きます。
いつもはあんな…………アレな感じなのに、将来設計はご立派ァ! なんだから意外ですね。ステまヒロインで一番庶民的というか。
そんな話をしていると、部長が先生に頼まれごとをしていました。なにやら理系への移転をする生徒の課題を見てあげてほしいとかで、彼女はそれを了承します。
たまちゃんは妹みたいなもんやし……と少々乗り気ですね。などといったところで短いですが今回はここまで。いよいよAfterを挟んで最終Chapterへ突入します、次回をお楽しみに。
──たまの付き添いで空き教室に向かった俺は、既に席についている部長と、たまと同じく理系クラスに転入していた水葉を見つける。
俺とたまを見て合点がいったような表情をする部長から察するに、大方『そちらの関係者が理転するから見てやって欲しい』と言われて、たまのことを思い浮かべたのだろう。
「で、では……お二人は先生から貰った課題を解いて、私が質問に答えるということで。それと……その……犬井さんは……」
「俺はたまの付き添いなのでお気遣いなく。横で勉強風景を眺めてるだけなので」
「なるほど……」
それはそれで気になるのですが、とでも言われているような気がしたが、いざ課題を解き始めれば、俺の存在など無かったかのように集中している。……が、適宜質問をする水葉に構う部長を見て、露骨にたまの機嫌が悪くなっていた。
「私はその問題解けたのに、解けないはーちゃんが椎奈先輩と喋れるのズルい!」
「しょうがないでしょ分かんないんだし!」
「…………教育って難しい……」
──ああだこうだと文句を言い、言われつつ、それから二人は着々と課題をこなして行く。最後の一問を解いた水葉は、荷物を纏めながらふとたまに向けて口を開いた。
「でもまあ、確かにこんなみみっちい足の引っ張り方は違うわね。これからは飯野家の総力をもってあんたに泣きべそかかせてあげる」
「度を超すようなら普通に怒るぞ」
「今日こそは飯野家総出でIri§先生の居場所を突き止める。そして私はIri§先生の教えによってあんたの成績に打ち克つのよ!」
……そうきたか。それはやめた方がいいと言おうとしたが、それよりも早く、水葉は捨て台詞のように言い終えながら教室を出ていった。
「ついに身バレ……」
「俺としては、なんやかんや最後まで関さんの正体が割れることはないと思いますがね」
「ぶ、部室で勉強しませんか?」
「……そうですね」
と言いつつ、それとなく水葉のお目付け役こと田山さんに止めるようメールをしておく。
──たまの提案を飲んで空き教室から移動する傍ら、俺はたまと部長の表情を見て、軽く頭を掻いて深く息を吐く。恐らく、きっと……今回は俺の出る幕は無い。
二人の問題は二人に解決させるべきだろう。そう考えて、部屋に入る二人に向けて言った。
「たま、今日は先に帰る」
「え? そう……わかった」
「悪いな。──では部長、失礼します」
「…………はい、お疲れ様です」
ふと部長に笑みを向けると、彼女は察したように表情を歪めて、けれども意を決したように頷く。俺は扉を閉め、そのまま壁に寄りかかった。
──椎奈は扉の近くに立ったまま、おもむろに珠輝へと声を掛ける。
「……本田さんは、凄いですね。新しいことを学んで、大きな決断に踏み切って」
「それは……椎奈先輩だって」
「私はただ、安全な道を選んでいるだけです。幼い頃からプログラミングに触れてきたから、なんとなく数学が得意だから、そうやって意固地になって、将来のイメージもろくに持たないまま」
無意識にスカートの裾を掴んで、椎奈は少しの間を空けて更に続ける。
「ちょっとでもいい大学に入るために、なるべく不安要素を少なくしたい──って、たくさん予防線を張って、取り繕っている」
幼馴染の将来設計を聞いて、珠輝たちの決断を見て、胸の内にある不安を──自身には誇れるものは無いとばかりに吐露する椎奈に、珠輝は肩を震わせて声を荒らげた。
「~~~~! 素敵ですよ! 先輩はっ! 今も、今までも! 私だって不安でいっぱいで、りょーくんに何度も甘えたくなって、この自分の気持ちが正しいのかなんてわからないですけど」
そう言いながら鞄からスケッチブックを取り出して、急ぎながらも丁寧にラフを描く。
「……でもSNS部に入って、色んなことを学んで、色んなことを知りました。誰かを笑顔にするのはこんなにも素敵なことなんだって」
そのページを千切って椎奈に見せると、その紙には、椎奈の手が
「これ、お返しです。──私を導いてくれた椎奈先輩の手。そして、私がいつかなりたいと思う手でもあります。去年頑張った私の手を描いてくれた椎奈先輩みたいに、私も……ゲームを作れるように、なれたらいいなって」
「────」
紙を受け取って、椎奈は自分のものらしい絵の中の手を見る。
「つまり……えっと……そう言う感じで、何を言いたかったんやっけ」
「──理数系に強くなって、ゲーム作りに活かしていきたい、ですか?」
「そう! それ!」
ふっと笑い、椎奈は紙を胸に抱きながら、珠輝に優しく問いかけた。
「大変ですよ?」
「知ってますっ」
「……世は全て事もなし、と」
部室から離れるように廊下を歩く燎原は、成長している珠輝にどことなく寂しさを覚えながらも、窓から見える夕焼けに視線を移す。
「いつまでも昔と同じままで、とはいかないからな。俺もそろそろ成長を────」
「きゃあ☆ どこ見てるんですかぁ☆」
「ぎぃやぁああああああああ!!!??」
しなければ、と続けようとした燎原だったが、学校のどこかから聞こえてきた叫び声に足を止める。聞き覚えのある声にふと水葉の顔が過ったが、気のせいかと頭を振って帰路を歩く。
──その日、『夕方の薄暗い廊下に置かれている自販機の前で四つん這いになり、こちらを見上げてくる女の幽霊』の噂が流れ、星ノ辻の怪談に加わったのは、また別の話。