ここに来て新キャラが登場するゲームの実況プレイはーじまーるよー。
前回はクラスメートの健全なオタク活動に尽力したところで終わりましたね。
今回はイベントシーンから再開です。
生徒会室で黒幕スパイごっこをしているなんだかんだそこそこ出番のあったハーフ系ガールこと清水マリカが、ボスこと生徒会長に会長席で遊ぶのをやめろと叱られています。
3年の先輩である生徒会長は、小さいながらもバリバリ活動する出来る女。
そもそものマリカが大して役に立ってないのを除いても、かなり優秀なお方です。
そんな会長は今日は文化部室棟の抜き打ち調査に参るご様子。『わたしたち生徒会は顧問のしごとを教師と分担して部活動をまとめる存在、生徒の主体性のために恣意的な選別やひいきはしてはいけない(戒め)』と纏めていますね。
おい聞いてるか元生徒会の槍居さん。
たまちゃんたちをヘッドハンティングしようとしたり露骨なイラスト部贔屓をしていた槍居智亜のアレが単なる異常行動だったことを再確認しつつ、二人は部室棟へ。いざぁ……♂
マリカはわざわざ部室に赴いて実態調査をするのメンドくない? とボヤきますが、活動報告書で済ませるのはあくまで救済措置。机の上で字を読んでるだけでは食わず嫌いに気づけず、抜き打ちチェックの意味もあるとのこと。
いいこと言いますね後藤さぁん……と、それはそれとして、会長はどういうわけか、制服の下はスカートではなく袴です。
食わず嫌いが駄目なら制服のスカートに着替えないのかと聞かれていますが……スースーするから嫌らしいですね。私服も和装なタイプとは、どっかで学園生活してる武士みたいだぁ。*1
……んだらば抜き打ち1発目はイラスト部。ちょっとこの部特権多くない? と指摘されましたが、『愛』に必要なのでセーフらしいです。
もしかしてステまで一番やりたい放題やってたのって槍居サマなのでは……?
はい、お次はDTM研──でしたが追い詰められている歌夜のハンドサインでOKと判断。
次の演劇部も特に問題ありませんが、なにやら以前に花形役者をやっていた子が問題を起こしたらしく、ネットに変な書き込みが多くてダルかったとのこと。はぇ~~~(目そらし)
……まじかよ恋詩露咲るるな最低だな。*2
なんだかんだこれ楽な仕事やな! となっているマリカに、会長はそれを指摘。
元副会長の姉に『あらゆる部活をさ迷う幽霊のせいで地獄だった』と伝えられていた会長は、最後の部室に到着して言います。
──恐怖した生徒会はこの部屋を差し出し、ようやく封印に成功したのだ! ……と。
まあSNS部のことなんですけどね、初見さん。『幽霊』って部室の美味しいところだけ齧っては辞めてを繰り返してた照のことですし。
などといったところで短いですが今回はここまで、次回をお楽しみに。
──たまと二人で部室に向かうと、部屋の中から『あああ悪霊退散────っっっ!!』『退散するのはそっちだああああばああおあ!!』という謎の声が聞こえてきた。
「騒がしいぞ、どうした」
「あれっ、マリカさん?」
「おや本田サンとリョーゲンさんごぶさた~」
何事かと思い部屋に入ると、そこでは関さんが小さい少女と話をしており、その横には清水も居る。どうやら生徒会の関係者なようだ。
「こちら生徒会のボスだよっ!」
……関係者どころか大元だったらしい。
なぜか下半身をスカートではなく袴で着飾ってる少女は、座ったままなのと低身長も相まってこちらを見上げながら口を開いた。
「生徒会会長、
「……そうですか。俺──んん、自分は2年の犬井燎原です。こっちは本田珠輝」
「どうも……あの、『高校の』3年生ですよね?」
「? もちろん」
──生徒会のトップは身長が高いか低いか極端でないといけないのだろうか。
恐らくたまも同じ事を思っていることだろう、槍居さんはかなり身長が高かったが、こちらは低すぎる。目測でも130あるかないかだ。
「前任者がこの部に付記をつけている。……『ゲームを作る大変さ』や……『活動と部屋の広さが合っていない』だとか」
「まあ、言い返せないですね」
「犬井! もうちょい頑張れ!」
「無理言わないでください関さん」
実際、いつも〆切ギリギリの同人ゲームを作るだけの部活だ。照さんがもぎ取ったから流れで使わせてもらっているだけで、生徒会がもう少し強気に出てきていたら、とっくに差し押さえられていることは確実。
と、会長は書類をめくりながら続けた。
「……けど、これには少し私怨が多く含まれている。だから直近の活動を教えて」
「たま」
「えっ私!?」
「頑張れ副部長」
さりげなく後ろに隠れていたたまの首根っこを掴み、入れ替わるように前に立たせる。
「え、えっと……部員は八……いや六人、うち三人が3年生で勉強が忙しくて……今は夏のイベントに向けての作業中でして……」
「ふむ。八……六……三と」
「お前、どさくさで裕美音と水葉もカウントしようとしたな」
「実質部員、かな~? って」
そんなわけがあるか。と軽くチョップしつつ、手帳に『八→六→三人』と活動人数を減らしている会長に、俺と関さんはたまに続いて言う。
「今は、というかこの時期は去年と同じように追い込み期間でして」
「そんなもんで、終業式後の1~2週間ぐらい部室を使わせて欲しいんすよー!」
横からぬっと泊まり込み許可証を出してきた関さんに、会長は言葉を返す。
「……それは本当に部室じゃないとできないの? 部室棟を夏休み中開けるのは私たち──」
──が、話を聞いていた清水が、あっけらかんと簡単に許可を出してしまっていた。
「いいよ!」
「わーい、じゃあこの日数分ハンコください」
「がってん!」
「会長の言葉を最後まで聞いたらどうなんだ」
俺の呟きは届いていなかった。その直後、清水の背中をつねりながら会長が声を荒らげる。
「な、なな何を考えてるの!? 部室棟は生徒会が鍵を開けに来ないと──」
「その代わり~、私も制作に協力させて☆」
「はあああああああ!!?? 何をっあなた本当に──良くないものに憑かれて」
「ダイジョブだよボス~」
からからと笑う清水は、それからたまを見る。
「本田サン、理転してからどんな感じ?」
「──勉強は大変だし、数学はぶちょ……椎奈先輩が教えてくれるけど……」
「それも、なにかトクベツな理由があったんだよね。居残りしてる本田サンの目、すごく真剣でマジメだったから」
清水はそう言うと、たまに目線を合わせて表情を緩める。彼女はそのまま言った。
「真剣な理由は、このSNS部とカンケーあったりするのかな?」
「……うん」
「そっか……なりたいジブンを見つけたんだね、本田サン。──じゃあイーじゃん! ボスも言ってたでしょ、食わず嫌いはよくない、触れて確かめて分かることもあるって」
SNS部──というよりは、クラスメート・本田珠輝の味方をしている清水の言動は、正直に言って槍居さんと変わらないただの贔屓だった。
だが、会長のような立場の人間には、こういう感情的な方が
「はぁ……わかった、清水さん、ここの子と知り合いみたいだし、私はいいとおもう」
「ヤッター噂のお泊まり合宿ぅ~」
「ただし、これが部室棟を開けるために生徒会のあなたがやらないといけない仕事」
仕方ないと言わんばかりの表情で、会長は清水に規則書を取り出して見せる。
文字を読む目の動きをさせていた清水は──泡を噴いて倒れた。
「た、タタリじゃあ~~~っ」
「なんなんですか悪霊とか祟りって!」
「会長殿、失礼」
「ん」
たまのごもっともな叫びを横目に、俺は規則書を借りて中身を斜め読みする。
──要約すると、生徒会の人間は部活の名前や使用目的をその都度指導教官に連絡すること、部室棟解放中の責任は生徒会が負うこと、解放中の部室棟の見回りを昼と夕に一回ずつ行うこと、部室棟の清掃、正門の開け閉め、
「私は毎日登校はむり……。だから清水さんが毎日やる日もたくさんある」
「マリカさん大丈夫!?」
「……この……タタカイが終わったら……私……ユメを叶えるんだ……ゲームのスタッフロールのスペシャルサンクスに名前が載るユメ……」
「いくらでも載せてあげるからしっかり──!」
あまりにも膨大な作業が待っていることを理解して気絶しそうな清水は、うわ言のようにそう言って倒れ伏す。
前回までの追い込み作業で泊まり込んでいたときは知り得なかった裏の苦労を理解して、俺は清掃と見回りくらいは手伝ってあげるべきかと思案するのだった。