負け犬ヒロインの育て方 6 (ラスト)   作:きりぼー

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第六章

 

プロット『英梨々が詩羽に相談をする』

プロット『GWの過し方』

サブプロット『倫也と英梨々デート①』

 

※※※

 

 学校生活もだいぶ慣れてきた四月の中旬。とても暖かい春らしい日だった。

 昼休み。英梨々と詩羽が屋上でランチを食べながら相談している。

 

「長かったわ・・・(じみじみ)」

「どうしたのよ詩羽?」

「あら、あなたフルネームで呼ばなくなったのかしら?」

「いちいちめんどくさいのよ、テンションあげなきゃならないし・・・」

「まぁ問題ないわね。ところで、やっと普通のプロットが来たわよ」

「ついに倫也とあたしのデートイベントね!」

「ええ、ここでしっかりアピールして主役の座を守るわよ」

「で、どんな感じにするの?」

「まず、GW中の加藤さんは北海道に家族旅行中。すなわちこのGWは澤村さんの独壇場なのよ」

「ほうほう・・・」

「わかっているのかしら?」

「わかってるわよ」

「ここで物語の2人の関係性を決定づけていきたいわ。まず暇な倫理君には目的をもってもらいましょう」

「目的?」

「本来はゲーム制作のための企画に悩んでいるのよ、悩んでいるだけで何もしていなかったけれど・・・」

「ゲーム企画がないから本当に暇だということね?」

「そういうことになるわね。そこで、あなたのマンガを手伝ってもらいなさいよ」

「ああ、それは原作にもあったわね」

「ええ、なんなら通常の少女漫画でも応募して、そして漫画家デビューして、倫理君をアシスタントにしてしまえばいいわ」

「なんかどっかで聞いた展開よね・・・」

「いいのよ、それで。そして応募作品のための取材を名目に、GW中にデートをしなさいよ」

 

詩羽がデートの口実を用意した。英梨々は詩羽に頼りきりになる。

 

「わかったわ。で、どんなデートがいいかしら?」

「少しは自分で考えなさいよ・・・って言いたいところだけど、無難なレトロイベントを消化していくのが王道ね」

「映画とか?」

「映画は私が原作でしているから却下ね」

「そこでまた私情をはさむわけ?」

「・・・映画イベントってね、映画鑑賞中のことはあんまり描写されないじゃない?あとの感想を言うぐらいなのよ」

「それのどこがいけないの?」

「喫茶店で会話するなら、話題は限定されてないほうがいいのよ。むしろ、お店自体に話題がある方が話を発展しやすいわね」

「新しいお店にいくってことね?」

「そうね、元町のおしゃれなケーキ屋とかね」

「なんとなくわかってきた」

「そうなのよ、結局ね、盛り上げるためのツールがデートの内容であって、究極的には部屋で2人が過ごす描写が恋人っぽくなっていれば、もはやデートイベントは必要ないわ・・・」

「そういえば、あの2人はこの作中でデートしてないのに恋人ぽかったわね・・・」

「あなたも倫理君と2人で部屋で過ごす様子が原作でも描写されているのよね」

「ゲームしていたわ」

「そう。英梨々の理想とする恋人との過ごし方はインドアなのよ。ゆえに読者から見ると変化がなく物足りなく思える。言い方を替えるなら、英梨々が倫理君と2人でまったりとした時間を過ごしているのを、『ああ、幸せそうで良かったな』と思ってもらえたら成功なのだけど、見ようによっては手抜きなのよね」

「うーん。だから外でデートするわけね?」

「そういうわけで、第一弾はボートね」

「また、ずいぶんとレトロね?」

「人類史とともに歩んできたデートイベントはそれなりの意味があるのよ」

「そんなに長いの!?」

「注意点は水に落ちないことね」

「余計なアクシデントは起こさずに無難にこなすってこと?」

「普通に楽しめばいいのよ」

「わかった」

「あとは倫理君と相談しておくわ」

「・・・」

「心配しないでいいわよ。あなたを裏切るようなことはしないから」

「うん」

「いい?英梨々と倫理君でデートを重ねて恋人になっていくのよ。『付き合っている』事実なんてなんの免罪符にもならないじゃない?」

「やっぱりあたし自身に魅力がないといけないってことよね?」

「そうね、あなたが魅力を出して、しっかり英梨々ルートに行くのが・・・」

「なに?」

「いえ、なんでもないわ・・・とにかく、しばらく英梨々のターンが続くわよ」

「わかった。それでもあたしが恵の魅力に勝てなかったらどうなるの?」

「その発想がタイトルそのものよね・・・」

「あっ、負け犬ヒロインか・・・」

 

(つづく)

 

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