負け犬ヒロインの育て方 6 (ラスト)   作:きりぼー

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第十章

 

プロット『倫也と英梨々の仲直りイベント』

 

※※※

 

 英梨々の部屋に倫也と英梨々

 

「で、倫也がなんでここにいるのよ?」

「謝りにきたんだよ」

「何を?あんた何かしでかしたわけ?」

「別に何もしてねぇーよ」

「別に何もしてないなら謝ることなんてないんじゃないの?」

「でも、おまえが怒っているだろ」

「怒るのはあたしの自由でしょ?誰かの許可がいるわけ?」

「そうじゃねーよ。でも、怒ってるなら理由があるわけだろ?だったら話せよ」

「はぁ!?あんたがその理由を気が付けないから怒ってるんでしょうが!」

「・・・」

 

 ちなみにGWも明日まで、天気は晴れ。時刻はまだ午前10時頃。英梨々はジャージ姿。倫也はラフな格好をしている。

 

「英梨々がヒロインなんだよ・・・いつまでもケンカしててもしょうがないだろ・・・」

「何その理由?あたしが物語の主役だからって、気をつかっているわけ?じゃあ、いいわ、あたしもこんな物語の主役やめます。今日やめます。今やめますぅー。あーすっきりした」

「そんなにすぐ投げ出していいもんでもないだろ?」

「別に?」

「そーかよ。じゃあもういいよ!」

「あきらめるのね?」

「・・・あきらめるって何を・・・」

「あたしをよ」

「なぁ英梨々・・・あきらめるもなにも、お前が付き合うって言いだしたんだよな?好きだっていったんだよな?」

「そうよ?」

「なら、お前が俺を嫌いなら、それで消滅だろ」

「うわぁー。最低だわ。そりゃー100年の恋も一気に冷めるわ」

「一桁多いよ!」

「だいたい、あんたは付き合ってる時に、あたしにもっと好きになってもらいたい、あたしを好きになりたいって努力したの?ハーレム型主人公だかなんだか知らないけれど、あたしがあなたを好きってことに甘えていたんじゃないの?」

「・・・俺なりに努力してきたつもりだよ。気が付いてもらえず、おまえの気持ちを変えられなかったのは残念だけどさ・・・」

「へぇー。で、何したの?」

「一緒に登下校しただろ。同じ深夜アニメみて意見交換して・・・俺はお前と一緒に登下校できて楽しかったよ。それに漫画だって手伝えて、展開やセリフなんかの意見を採用してくれたのは嬉しかったし・・・」

「ちょ・・・ちょっと・・・」

 英梨々がしどろもどろになって慌てはじめる。

 

「それに、英梨々が新しく少女漫画に応募したいっていうから、たくさんの少女漫画雑誌だって読んだし、おまえに合う作風のところだって探したし・・・これから一緒に内容を話合おうって思ってたんだよ・・・全部、機嫌を損ねていたみたいだけどな!」

「ちょっと・・・部屋からでてくれる?」

「いや、帰るよ。悪かったな邪魔して」

「いいから、部屋の外で待ってなさいよ!」

 

 英梨々が涙目で倫也を部屋から追い出してドアを閉める。

 

「まて、あたし。落ち着け」

 

(まず、なんでケンカしてた?あたしがボートに誘って倫也が御託を並べてイライラしたからだ。本当にそれだけだった?『倫也との関係は決別している』からでは?『恵と倫也の幸せ』を本当は願っているからでは?でも、あたしはさっきの倫也は好きだ。一生懸命な倫也は好き。許せる。だいたいあたしが付き合って欲しかった理由が不純だ。英梨々ルートに進めて『負け犬7』に繋げるなんて・・・それが動機だなんて・・・。ではどうしたらいい?プロット通りに進めれば詩羽がなんとかする。やっぱりプロット進行重視のキャラでいいのか?あたしの気持ちは?あたしは何がしたい?)

 

「考えてもわからーん」

 

英梨々がドアを開ける。倫也が部屋の外でまっすぐ立っている。

 

「そんな直立で待たないでよ」

「気にするな」

 

英梨々が再び部屋の中に倫也を通す。

 

「ちょっと着替えるから椅子に座って後ろ向いてなさいよ」

「外にでている間に着替えてくれませんか!?」

「見たきゃ見てもいいわよ」

「・・・」

 

倫也がカーテンを閉める。

 

「なんで、カーテン閉めるのよ」

「窓に反射してる」

「サービスよ、サービス」

「いいから、さっさと着替えてよ!」

 

英梨々が洋服ダンスから黒のワンピースを選ぶ。全体的に柔らかい作りで、肩のフリルには白いラインがあしらわれている。英梨々が着ると堅い印象にはならず、どこかいじわるな妖精的な可愛さになる。

 

「で、加藤さんとはどうなってるの?」

「なんで、おまえがクラスメートB役の子なんて気にするんだよ」

「いいでしょ。五月のイベントは?また日直?」

「いや・・・お土産を渡す。だってさ」

「ふーん」

「こんなのイベントになるのか?」

「はぁ!?あんたバカなの?死ぬの?」

「なんだよ、ここでそのセリフ使うのかよ?」

「なんで付き合ってもいない異性にわざわざGWのお土産を買うのよ?それってけっこう覚悟がいると思うのだけど?だいたい、倫也は女の子からお土産とかもらったことあるの?」

「英梨々からよくもらってたよ。那須のお菓子とか」

「・・・(ため息)・・・何年前の話しているよ・・・」

「なんでお土産をくれるのかって、確かに考えたらおかしいよな」

「気づけよ鈍感」

「鈍感なのはハーレム型主人公の特性だから許せよ」

「もはや、どうしようもないわね・・・もう、こっち向いていいわよ」

 

英梨々が黒のワンピースを着て、髪型も黒のリボンでツインテールに結んでいる。

 

「どうかしら?」

「・・・いいんじゃね?」

「もう少しちゃんと褒めてくれないと、機嫌をまた損ねそうなんだけど?」

「可愛いよ。英梨々らしく、とても似合ってる」

「そう」

 

英梨々は笑って一回回る。それから椅子に座って倫也と向かいあった。

2人の目が合って、お互いに顔が少し赤くなって、目線をそらした。

 

(つづく)

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