見てやってください。
負け犬1の表紙設定にしたのですが、どう表示されているかいまいちわかりませんね・・・
プロット『恵と詩羽とポンコツヒロイン』
※※※
英梨々が扉を開けて屋上へあがる。詩羽が本を読みながらメロンパンを食べている。
「詩羽っ~!」
詩羽は顔を上げ英梨々を確認すると、また本に目線を落とした。
「ちょっと、無視しないでくれる?」
「いま、いいところなのよ・・・」
「本はあとで読めるでしょ、それどこじゃないのよ!」
「それはまぁ、見ればわかるけれど・・・あせっても仕方ないわよ」
「見れば?」
「霞ヶ丘詩羽先輩ですね?」
「ひっ!」
英梨々が後ろを振り向くと恵が立っていた。
※※※
※※※
「いつのまに・・・」
「いつのまっていうほどのことかなぁ?」
「加藤さん、その子ちょっとポンコツなのよ。許してあげて」
「・・・詩羽・・・もうちょいちゃんとフォローしなさいよ」
詩羽はため息ついて本を閉じる。
「あなたの質問を受け付ける前に、先に質問させていただきたいのだけど、いいかしら?」
「はい」
「あなたは私に質問をして『探り』をいれたり、台本の不自然さを『詮索』したり、世界観について詳細な『検証』を始めたりすると・・・サスペンス調になるのだけど、それは構わないのかしら?」
「・・・」
「あなたが『クラスメートB役』を辞めたいというなら、やめてもいいわよ。もちろん『ヒロイン』として参加してもらっても結構よ。クラスメートAさんに申請さえすればね」
「そうすると何が変わるんですか?」
「さぁ?今、あなた『探り』をいれたわね?気を付けて」
(この物語は役割に重点が置かれいてる・・・?わたしが『ヒロイン』になることを嫌っているように思える・・・。そもそも、この世界観が元々の世界なら、わたしはこの世界観をおかしいとは思わないはずだ・・・)
「心の中で世界観の『検証』を行ったわね?気を付けて、言っておくけれど・・・私は『サスペンス調』のほうがどちらかといえばやりやすいのよ。こんなポンコツヒロインでラブコメもどきをするよりね」
「ちょっと、それ誰のことよ・・・」
英梨々が怒ったふりをする。
(あたしがポンコツヒロインかぁ・・・、ヒロインとして成り立っているなら、いいかな?ポンコツもヒロインも中途半端な感じがするけれど)
「わかりました。霞ヶ丘先輩。このままでいいです」
恵が振り返って戻ろうとする。
「ちょっと待ちなさいよ。あなた、私と話をするために手土産をもってきたんじゃないの?」
恵が手に持っていた小さな袋に目を落とす。フラットな表情の口元が少し上がった。
「あ。はい。すみません。貴重なお時間をいただいてしまって・・・」
恵が袋を渡す。
「本当に。大変。まったくもって。どうしようもなく。失礼なことなのだけどね。加藤さん・・・私、チョコレート苦手なのよ。だから、これは受け取れないわ」
詩羽が袋の中からチョコレートを出し、手でひらひらさせていた。
「そうですか・・・変わりがあるのだけど、学校では渡してはいけないらしくて・・・」
「学校では食べないわ、それに、ここにはクラスメートAさんはいないでしょう?」
「・・・」
恵は屋上から降りて教室に荷物を取りに戻った。
英梨々がため息をつく。
「あなたたち、記憶がなくなっても仲が悪いのね」
「別にそうでもないのよ。そういう関係性って、だけじゃないかしら?それにね、澤村さん・・・加藤さんが『記憶を失っている』のか、『記憶を失ったフリ』をしているのか、どっちなのかしらね?」
「そういう難しい話はお任せするわよ・・・」
「そうね、それがいいわ。あなたはストーリーをほうっておいて、倫理君と過ごす時間を『主役』として恥じないように過ごしなさい。加藤さんがこのシリーズでそう振る舞ってきたようにね・・・」
「わかった」
※※※
恵が袋をもって屋上に戻ってくる。
「霞ヶ丘先輩。これです・・・『ボンボン』ですが」
「そう、気を使わせてしまって悪いわね。大事にとっておくわ」
「では、失礼します。・・・あっ、一つ質問いいですか?」
「何かしら、答えられるものだとよいのだけど」
「霞ヶ丘先輩は、サブヒロインとしては参加しないのですよね?」
「ええ、しないわ。降板したからね」
「じゃあ、何の役なんですか?」
「質問は一つのはずよね?でもまぁいいわ。そうね・・・じゃあ『澤村さんの取り巻きA』でもいただこうかしら?これでいい?」
「・・・はい。質問を二つ受けていただいたので、お土産も二つどうぞ」
恵が『ボンボン』をもう一つ渡した。これで倫也の分とクラスメートAの分が詩羽に渡ったことになる。
恵は顔をいつものようにフラットにして教室へと戻った。
「もうなんか・・・クラスメートBって感じじゃなくなったわね」
「そりゃあそうよ。加藤恵がクラスメートBなんてずっとできるわけないじゃない」
「・・・どうすんのよ」
「先行逃げ切りかしらね・・・倫也くんをしっかりつなぎとめておけば大丈夫」
「そうよね・・・」
詩羽はもらった『ボンボン』の缶を眺める。ご丁寧に2つとも詩羽が受け取っている。
「なんか、おかしなやり取りだったわよね?」
「そうね、こういうのが上手じゃないのでしょうね、加藤さんは」
「どういうこと?」
「伏線勝負をしてきたのよ、気遣いみたいなもんでしょうけど」
「そう、任せるわよ・・・」
詩羽は楽しそうに笑った。確かに自分もサブヒロインだと感じていた。倫理君を恵と取り合うよりもずっと気が楽なのだから。
「そうそう、澤村さん。その加藤さんからもらったチョコレートだけど、毒入りだから食べたら死ぬわよ?」
「えっ?」
「加藤さんもそう言っていたじゃない?」
「冗談でしょ」
「なら、食べてみたらいいわよ。あなたが死ねばあとはクラスメートBとして倫理君と過ごせる。加藤さんの考えそうなものじゃない?」
「・・・でも今はクラスメートBでしょ。ずっと一生懸命、役に徹しているようにみえるけど」
「まぁいいけどね。私は回避できたし・・・」
「じゃ、捨てるわ」
「そう?捨てるなら私にもらえる?」
「どうすんのよ?」
「食べるのよ。当たり前じゃない。その『七花亭』のチョコレートおいしいのよ?」
「だって毒が入っているのでしょ?」
「そうだったかしら?」
「あんたねぇ・・・いいわ、このチョコは倫也と半分こするから」
「それはやめておきなさいよ」
「なんでよ」
「あの主人公はよく死ぬのよ。死亡フラグはできるだけ回避しないと」
「・・・」
「で、どうするの?私にくれるかしら?自分で食べるのかしら?」
「・・・あげるわよ」
「そう」
「君主危うきに近寄らず」
「博学ね」
詩羽が英梨々から板チョコを受け取ると、さっそく包装を破いて口に咥えた。パキリッとチョコを折って食べる。
「・・・霞ヶ丘詩羽っ~!」
「いやだ、あげないわよ?良かったじゃない、生き残れて」
「・・・」
※※※
恵は詩羽が受け取らなかったチョコレートをゴミ箱へと投げ捨てた。誰にも聞こえないように舌打ちをした。
(つづく)
今回初めて挿絵をいれたのですが、需要ありますかね?
恵か英梨々・・・
どっちかの一枚絵を最後に飾りたいなと