負け犬ヒロインの育て方 6 (ラスト)   作:きりぼー

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今回は挿絵付きです。
見てやってください。

負け犬1の表紙設定にしたのですが、どう表示されているかいまいちわかりませんね・・・


第十五章

 

プロット『恵と詩羽とポンコツヒロイン』

 

※※※

 

 英梨々が扉を開けて屋上へあがる。詩羽が本を読みながらメロンパンを食べている。

 

「詩羽っ~!」

 

詩羽は顔を上げ英梨々を確認すると、また本に目線を落とした。

 

「ちょっと、無視しないでくれる?」

「いま、いいところなのよ・・・」

「本はあとで読めるでしょ、それどこじゃないのよ!」

「それはまぁ、見ればわかるけれど・・・あせっても仕方ないわよ」

「見れば?」

「霞ヶ丘詩羽先輩ですね?」

「ひっ!」

 

英梨々が後ろを振り向くと恵が立っていた。

 

 

※※※

 

 

【挿絵表示】

 

 

※※※

 

「いつのまに・・・」

「いつのまっていうほどのことかなぁ?」

「加藤さん、その子ちょっとポンコツなのよ。許してあげて」

「・・・詩羽・・・もうちょいちゃんとフォローしなさいよ」

 

詩羽はため息ついて本を閉じる。

 

「あなたの質問を受け付ける前に、先に質問させていただきたいのだけど、いいかしら?」

「はい」

「あなたは私に質問をして『探り』をいれたり、台本の不自然さを『詮索』したり、世界観について詳細な『検証』を始めたりすると・・・サスペンス調になるのだけど、それは構わないのかしら?」

「・・・」

「あなたが『クラスメートB役』を辞めたいというなら、やめてもいいわよ。もちろん『ヒロイン』として参加してもらっても結構よ。クラスメートAさんに申請さえすればね」

「そうすると何が変わるんですか?」

「さぁ?今、あなた『探り』をいれたわね?気を付けて」

 

(この物語は役割に重点が置かれいてる・・・?わたしが『ヒロイン』になることを嫌っているように思える・・・。そもそも、この世界観が元々の世界なら、わたしはこの世界観をおかしいとは思わないはずだ・・・)

 

「心の中で世界観の『検証』を行ったわね?気を付けて、言っておくけれど・・・私は『サスペンス調』のほうがどちらかといえばやりやすいのよ。こんなポンコツヒロインでラブコメもどきをするよりね」

 

「ちょっと、それ誰のことよ・・・」

 

英梨々が怒ったふりをする。

 

(あたしがポンコツヒロインかぁ・・・、ヒロインとして成り立っているなら、いいかな?ポンコツもヒロインも中途半端な感じがするけれど)

 

「わかりました。霞ヶ丘先輩。このままでいいです」

 

恵が振り返って戻ろうとする。

 

「ちょっと待ちなさいよ。あなた、私と話をするために手土産をもってきたんじゃないの?」

 

恵が手に持っていた小さな袋に目を落とす。フラットな表情の口元が少し上がった。

 

「あ。はい。すみません。貴重なお時間をいただいてしまって・・・」

 

恵が袋を渡す。

 

「本当に。大変。まったくもって。どうしようもなく。失礼なことなのだけどね。加藤さん・・・私、チョコレート苦手なのよ。だから、これは受け取れないわ」

 

詩羽が袋の中からチョコレートを出し、手でひらひらさせていた。

 

「そうですか・・・変わりがあるのだけど、学校では渡してはいけないらしくて・・・」

「学校では食べないわ、それに、ここにはクラスメートAさんはいないでしょう?」

「・・・」

 

恵は屋上から降りて教室に荷物を取りに戻った。

 

英梨々がため息をつく。

「あなたたち、記憶がなくなっても仲が悪いのね」

「別にそうでもないのよ。そういう関係性って、だけじゃないかしら?それにね、澤村さん・・・加藤さんが『記憶を失っている』のか、『記憶を失ったフリ』をしているのか、どっちなのかしらね?」

「そういう難しい話はお任せするわよ・・・」

「そうね、それがいいわ。あなたはストーリーをほうっておいて、倫理君と過ごす時間を『主役』として恥じないように過ごしなさい。加藤さんがこのシリーズでそう振る舞ってきたようにね・・・」

「わかった」

 

※※※

 

 恵が袋をもって屋上に戻ってくる。

 

「霞ヶ丘先輩。これです・・・『ボンボン』ですが」

「そう、気を使わせてしまって悪いわね。大事にとっておくわ」

「では、失礼します。・・・あっ、一つ質問いいですか?」

「何かしら、答えられるものだとよいのだけど」

「霞ヶ丘先輩は、サブヒロインとしては参加しないのですよね?」

「ええ、しないわ。降板したからね」

「じゃあ、何の役なんですか?」

「質問は一つのはずよね?でもまぁいいわ。そうね・・・じゃあ『澤村さんの取り巻きA』でもいただこうかしら?これでいい?」

「・・・はい。質問を二つ受けていただいたので、お土産も二つどうぞ」

 

恵が『ボンボン』をもう一つ渡した。これで倫也の分とクラスメートAの分が詩羽に渡ったことになる。

恵は顔をいつものようにフラットにして教室へと戻った。

 

「もうなんか・・・クラスメートBって感じじゃなくなったわね」

「そりゃあそうよ。加藤恵がクラスメートBなんてずっとできるわけないじゃない」

「・・・どうすんのよ」

「先行逃げ切りかしらね・・・倫也くんをしっかりつなぎとめておけば大丈夫」

「そうよね・・・」

 

詩羽はもらった『ボンボン』の缶を眺める。ご丁寧に2つとも詩羽が受け取っている。

 

「なんか、おかしなやり取りだったわよね?」

「そうね、こういうのが上手じゃないのでしょうね、加藤さんは」

「どういうこと?」

「伏線勝負をしてきたのよ、気遣いみたいなもんでしょうけど」

「そう、任せるわよ・・・」

 

詩羽は楽しそうに笑った。確かに自分もサブヒロインだと感じていた。倫理君を恵と取り合うよりもずっと気が楽なのだから。

 

「そうそう、澤村さん。その加藤さんからもらったチョコレートだけど、毒入りだから食べたら死ぬわよ?」

「えっ?」

「加藤さんもそう言っていたじゃない?」

「冗談でしょ」

「なら、食べてみたらいいわよ。あなたが死ねばあとはクラスメートBとして倫理君と過ごせる。加藤さんの考えそうなものじゃない?」

「・・・でも今はクラスメートBでしょ。ずっと一生懸命、役に徹しているようにみえるけど」

「まぁいいけどね。私は回避できたし・・・」

「じゃ、捨てるわ」

「そう?捨てるなら私にもらえる?」

「どうすんのよ?」

「食べるのよ。当たり前じゃない。その『七花亭』のチョコレートおいしいのよ?」

「だって毒が入っているのでしょ?」

「そうだったかしら?」

「あんたねぇ・・・いいわ、このチョコは倫也と半分こするから」

「それはやめておきなさいよ」

「なんでよ」

「あの主人公はよく死ぬのよ。死亡フラグはできるだけ回避しないと」

「・・・」

「で、どうするの?私にくれるかしら?自分で食べるのかしら?」

「・・・あげるわよ」

「そう」

「君主危うきに近寄らず」

「博学ね」

 

詩羽が英梨々から板チョコを受け取ると、さっそく包装を破いて口に咥えた。パキリッとチョコを折って食べる。

 

「・・・霞ヶ丘詩羽っ~!」

「いやだ、あげないわよ?良かったじゃない、生き残れて」

「・・・」

 

※※※

 

 恵は詩羽が受け取らなかったチョコレートをゴミ箱へと投げ捨てた。誰にも聞こえないように舌打ちをした。

 

(つづく)

 




今回初めて挿絵をいれたのですが、需要ありますかね?

恵か英梨々・・・
どっちかの一枚絵を最後に飾りたいなと
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