負け犬ヒロインの育て方 6 (ラスト)   作:きりぼー

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第二十章

 

プロット『霞ヶ丘詩羽』

 

※※※

 

 霞ヶ丘詩羽。『冴えカノ』のNo2ヒロイン。『負け犬シリーズ』ではサブヒロインとしては登場せず裏方に回っている。『霞ヶ丘シナリオ』はわかりにくい設定ではあるが、不在時の負け犬5の迷走からもわかる通り重要である。大きな方向性やイベント管理なども司っている。

 

「澤村さん、しっかりしなさい」

「詩羽・・・」

「もう、あなたにはチート能力は邪魔みたいね・・・」

「そんなことない。これから大事な役割が待っている」

「それは他の物語での話でしょう?それに『負け犬7』はすでに完成いているわけだし・・・もう、それ捨ててしまいなさいよ」

「捨てられるものなの?」

「あなたがそう望むなら」

 

 作中でなんども問いかけられてきた質問。何を望むのか?

英梨々は大きくうなずいた。

 

「お願い」

 

 詩羽が英梨々の髪を少し撫でる。

 

「情緒不安定になると、異世界を呼び出すっていうのは面白いキャラだとは思うけれど、きっと探せばいそうね。なんにせよ、普通のラブコメには不要な能力だし、いらないわね」

「大丈夫かしら・・・?」

「あなたが思っているよりは、あなたはちゃんとヒロインをやれているわよ。文句いいたいことはあるけれど」

「例えば?」

「そうねぇ、『プライドが高い』と自分で言っておきながら、『ふらないで』って頼むのは卑屈ね。この場合はなんていうべきかしらね・・・『ふったらただじゃおかないんだから』とか、それとも、『倫也はあたしの彼氏なんだから、忘れないでよねっ!』とかかしら?」

「そんなの・・・わからない」

「じゃ、がんばりなさいよ、あんた完勝するんでしょ?」

「ええ。ありがとう詩羽」

「素直なあなたにもだいぶ慣れてきたわ」

 

 詩羽が消える。

 

※※※

 

 一本の傘の中に倫也と英梨々が立っている。雨の音だけが聴こえる。

 

「これは『リテイク』なのか?」

「修正って感じね、よくわからないけれど」

「で、英梨々の主張はこの物語をしっかり英梨々ENDで迎えて欲しいってことか?」

「それはもちろんそうだけど、あたしはこの物語の中で加藤さんと比べられて、倫也にふられるのだけは怖いからやめてっていっているの。それは世界が消滅したり、殺されたりするよりもずっと残酷なのよ。わかる?」

「ああ、わかる。でもな英梨々、それはやはり物語をしっかり進めて、試行錯誤や悪戦苦闘して初めてたどり着けるところだろう?大事なのは結末じゃない、一つ一つのイベントや会話が面白いかどうかだろ?今日の更新を読んだ人がくすりっと笑ってもらえるなら・・・あるいは心から怒ったり、泣いたりしてくれたなら、それはそれですでに成功しているんだよ」

「倫也って、油断していると理屈っぽいね。あたしはそんな話はしていないのに」

「・・・そうだな。大丈夫、お前が心配するようなオチにはならない。お前をふったりしない」

「うん」

 

英梨々が笑う。笑うと可愛い。

 

※※※

 

 二人が駅に着く。倫也は傘をたたむ。少しだけ片側が濡れていた。

 

「さて、倫也・・・ここで加藤さんを待つわよ」

「また!?」

「この迎撃イベントを勝てずして、あたしの勝利はないわ」

「そうなの!?迎撃って・・・別に加藤は攻めてこないだろ?」

「ええ、今の加藤さんにそんな力はないわね」

「今の?」

「いいのよ、細かいことは・・・えっと、確か深夜アニメみたいな軽い話題で過ごすといいらしいわよ?」

「やっぱ、経験は大事なんだなぁ・・・」

 

英梨々は少し緊張しはじめた。倫也は『記憶喪失の演技』もそろそろ限界だろうなっと考えていた。

 

(つづく)

 

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