プロット『倫也と恵』⑤
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雨の中、倫也と恵が相合傘をしながら歩いている。
「なぁ加藤。さっき、倫也くんって呼んだろ?」
「うん。それがどうかしたの?」
「そこは分別をつけたほうがいいんじゃないか?」
「分別?」
「俺とお前の関係」
「クラスメートB?」
「そう、それ」
「腕を組んで歩いているのに?」
「うん」
「そう・・・」
恵が腕から離れて少し距離をとる。そして雨に濡れた。
「ちょっと、加藤濡れるから」
倫也が慌てて腕を伸ばして傘をさしだす。倫也はほぼ傘の外だ。
「安芸くんが半分濡れるなら、わたしも半分濡れるよ。クラスメートBとしてさ」
「お前は濡れちゃだめだよ」
「どうして?」
「泣いているみたいに見える。そういうの嫌なんだよ」
「勝手だなぁ」
倫也の家が見えてくる。
「わかってるから。大丈夫だから。ちゃんとクラスメートBをやるから」
「うん」
「英梨々が彼女で、わたしはクラスメートBで、この物語は英梨々のためのもので・・・わかってるから」
「うん」
狭い傘の中で2人は向かい合っている。恵の髪がもう雨に濡れしまっていた。
恵が震えている。
「だったら・・・最初から優しくしないでよ!わたしのことをほっておいてよ!クラスメートBなんて役いらないよ・・・」
「ごめん」
天候が荒れている。雷鳴が鳴る。
「わたし・・・気が付いたんだよ」
「・・・」
「何度やってもダメだった。どんなに繰り返しても安芸くんは英梨々を選ぶ。安芸くんがわたしのことをどんなに好きになってくれても・・・意味がなかった」
「加藤・・・お前・・・何周したんだよ・・・」
「そんなの覚えてないよ!」
「ちょっとまて・・・」
突風が吹く。赤い傘が舞い上がって飛んでいく。
2人が濡れていく。
「この物語は・・・『負け犬6』は、『英梨々ルートに分岐するための物語』なんかじゃない」
「そんなまさか・・・」
「この物語は・・・『負け犬シリーズ』を完結させるだけの物語だった」
「えっ?だって、『負け犬7』があるだろう?」
「うん・・・でも、『負け犬7』は・・・この『負け犬6』よりも先に投稿される・・・」
「そんなバカな話があるかよ?読者が混乱するだろ?」
「連載中に読んでいる人なら問題ないんじゃないかな」
「・・・もういい。とりあえず、家にあがって風呂に入れ。風邪を引くぞ」
「・・・そうだね」
倫也と恵が雨に濡れながら家に着く。倫也が鍵を開ける。
「ねぇ倫也くん・・・」
「なんだよ?」
「こんな・・・こんな『相合傘』イベントでごめんね」
「気にすんな。お前のせいじゃねーよ」
恵が電気をつけ、慣れた足取りでバスルームに向かう。
それからバスタオルを一枚もって倫也に渡す。
「これでふいてね。わたしは先に、お風呂いただくから。一緒ってわけにもいかないし・・・ね?」
「さすがに学習したよ」
「・・・もう。せっかくシリアスになってきたのに」
(つづく)