負け犬ヒロインの育て方 6 (ラスト)   作:きりぼー

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第27章

 

プロット『倫也と恵』⑤

 

※※※

 

 雨の中、倫也と恵が相合傘をしながら歩いている。

 

「なぁ加藤。さっき、倫也くんって呼んだろ?」

「うん。それがどうかしたの?」

「そこは分別をつけたほうがいいんじゃないか?」

「分別?」

「俺とお前の関係」

「クラスメートB?」

「そう、それ」

「腕を組んで歩いているのに?」

「うん」

「そう・・・」

 

 恵が腕から離れて少し距離をとる。そして雨に濡れた。

「ちょっと、加藤濡れるから」

倫也が慌てて腕を伸ばして傘をさしだす。倫也はほぼ傘の外だ。

 

「安芸くんが半分濡れるなら、わたしも半分濡れるよ。クラスメートBとしてさ」

「お前は濡れちゃだめだよ」

「どうして?」

「泣いているみたいに見える。そういうの嫌なんだよ」

「勝手だなぁ」

 

 倫也の家が見えてくる。

 

「わかってるから。大丈夫だから。ちゃんとクラスメートBをやるから」

「うん」

「英梨々が彼女で、わたしはクラスメートBで、この物語は英梨々のためのもので・・・わかってるから」

「うん」

 

 狭い傘の中で2人は向かい合っている。恵の髪がもう雨に濡れしまっていた。

恵が震えている。

 

「だったら・・・最初から優しくしないでよ!わたしのことをほっておいてよ!クラスメートBなんて役いらないよ・・・」

「ごめん」

 

 天候が荒れている。雷鳴が鳴る。

 

「わたし・・・気が付いたんだよ」

「・・・」

「何度やってもダメだった。どんなに繰り返しても安芸くんは英梨々を選ぶ。安芸くんがわたしのことをどんなに好きになってくれても・・・意味がなかった」

「加藤・・・お前・・・何周したんだよ・・・」

「そんなの覚えてないよ!」

「ちょっとまて・・・」

 

 突風が吹く。赤い傘が舞い上がって飛んでいく。

2人が濡れていく。

 

「この物語は・・・『負け犬6』は、『英梨々ルートに分岐するための物語』なんかじゃない」

「そんなまさか・・・」

「この物語は・・・『負け犬シリーズ』を完結させるだけの物語だった」

「えっ?だって、『負け犬7』があるだろう?」

「うん・・・でも、『負け犬7』は・・・この『負け犬6』よりも先に投稿される・・・」

「そんなバカな話があるかよ?読者が混乱するだろ?」

「連載中に読んでいる人なら問題ないんじゃないかな」

「・・・もういい。とりあえず、家にあがって風呂に入れ。風邪を引くぞ」

「・・・そうだね」

 

 倫也と恵が雨に濡れながら家に着く。倫也が鍵を開ける。

 

「ねぇ倫也くん・・・」

「なんだよ?」

「こんな・・・こんな『相合傘』イベントでごめんね」

「気にすんな。お前のせいじゃねーよ」

 

 恵が電気をつけ、慣れた足取りでバスルームに向かう。

それからバスタオルを一枚もって倫也に渡す。

 

「これでふいてね。わたしは先に、お風呂いただくから。一緒ってわけにもいかないし・・・ね?」

「さすがに学習したよ」

「・・・もう。せっかくシリアスになってきたのに」

 

(つづく)

 

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