プロット『加藤家にて、ヒロイン集合』①
※※※
「なんで、英梨々と霞ヶ丘先輩と氷堂さんがここにいるのかな?」
昼。恵の部屋にヒロイン3人がお邪魔している。休日にも関わらず、それぞれが学校の制服を着ている。
恵はベッドに座って、詩羽と英梨々は床のクッションに座って小さなテーブルを囲んでいる。美智留は洋服ダンスの上で座禅をしたまま微動しない。
「そうね。加藤さん。その疑問は、まったくもって同感なのだけど、いろんな事情があるから英梨々に説明してもらうわ。もう、わたし・・・考えるのすらめんどうになってしまって」
「えっ?あたし?だって恵・・・ほら、プロットがそういう題名だし、問題ないでしょ?」
恵がため息をつく。
「それに少しはこっちの事情も察してくれてもいいじゃない?氷堂さんなんて悟ってしまったのよ?今や彼女のイデアは涅槃にいるわ」
「そう・・・」
「だいたい恵は細かいことを気にしすぎなのよ」
「細かいことの積み重ねがリアリティーを生むんだと思うのだけど」
「加藤さん、ここで演出論をする気にはなれないわ。いい?私達三人がここに到る理由を説明するのに何話費やす必要があると思っているの?そんなの一人で十分じゃない?」
そうここは負け犬シリーズの加藤家。第一話で描かれたように、家の中に入るのは大変な場所だ。
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「波島出海に全部投げるのはちょっとかわいそうじゃない?」
「澤村さんはさすが優しいわね・・・、でも私達にそんな余裕があるのかしら」
「こちらはこちらで少しイベント進めて分割するのがいいと思うけれど」
手助けしようとする英梨々、全体の見通しを立てようとする詩羽で意見が少しわかれた。
そこで恵が口をはさむ。
「それは成長した出海ちゃんを信用していないことにならない?」
「そ・・そうね。ものはいいようよね・・・」
3人が目を合わせうなずく。
「ここは先輩として・・・後輩を見守りましょうか」
3人の目が泳ぐ。
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恵の部屋のドアがノックされる。
詩羽と英梨々に緊張が走る。
「あら、恵。お友達にお茶も出さないで・・・」
恵の母親がお盆にのせて麦茶のはいったコップを4つ持ってきた。
「お構いなく」
詩羽が座ったまま一礼する。
「お構いするわよぉ、こんな綺麗な人がお友達なんて、お母さん嬉しいわぁ」
恵ママが笑顔で答える。
「いただきまーす」
英梨々が麦茶を受け取る。
『リテイク』
恵ママが静かに言った。
※※※
恵の部屋のドアがノックされる。
「あら、恵。お友達にお茶も出さないで・・・」
恵の母親がお盆にのせて麦茶のはいったコップを4つ持ってきた。
「ありがとうございます」
詩羽が座ったまま一礼する。
「こんな綺麗な人がお友達なんて、お母さん嬉しいわぁ」
恵ママが笑顔で答える。
「いただきまーす」
英梨々が笑顔でいいながら麦茶を受け取る。
『リテイク』
恵ママが静かに言った。
詩羽の顔が軽くひきつる。
※※※
部屋のドアが軽くノックされた・・・
恵の母親がお茶を運んできてくれた。
チャコールグレーのワンピースを着ていた。コクーンシルエットが若い印象を与え、細いゴールドのネックレスがVネックのところから少し輝いているのが見えた。
ゆったりとした所作で小さなテーブルの上に麦茶の入ったコップを置いていく。
氷がカロンッと音を立てた。
「恵。お友達にはお茶ぐらい出しなさい」
詩羽が座ったまま軽く頭を下げ会釈する。黒い髪がゆれた。
「お構いなく」
「お構いするわよぉ、こんな綺麗な人がお友達なんて、お母さん嬉しいわぁ」
恵ママは少し微笑んだ。容姿は恵に似ていて黒い髪を後ろで結っていた。
「いただきまーす」
英梨々は満面の笑顔で麦茶の入ったコップを手にもって一口だけ飲んだ。
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「詩羽・・・何回リテイクした?」
「さぁ・・・数えるなんて愚かなことはしないわ」
「・・・何がいけなかったのよ?」
「描写でしょうね。私達の対応は特に問題なかったはず・・・」
「ああ、お母さんはひさびさの登場だし服を新調したみたい」
「そういうことは早く言いなさいよ!恵」
「英梨々、あんまり考えていると疲れるよ?」
「恵、あんたはよく一緒に暮らしていて平気よね」
「一緒に暮らしている設定はあっても、一緒の時間を文章化して過ごしているわけじゃないのもの」
「・・・うーん」
詩羽がため息をつく。物語が荒唐無稽になりつつある。
恵が雨の中に飛び出してから修正がなかなかきかない。
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「あんた、お母さんのこと怖くないの?」
「怖いよ?」
「・・・だったら、もっと怖そうにしなさいよ」
「ん~、無駄なことに体力使わないほうがいいよ。リテイクを受けたからといって、よくなってるかどうかも怪しいし・・・」
「・・・あんたどんな生活送っているのよ・・・」
「さぁ?」
「あんたもいい加減じゃない!」
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「それにしても遅いわね、出海さん」
「わたし達がちゃんとフラグ立ててあげないとね」
その時、ピンポーンと呼び鈴がなった。
(つづく)