負け犬ヒロインの育て方 6 (ラスト)   作:きりぼー

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エピローグ⑤

 

 緑ジャージに黒ぶちメガネ。髪をほどきストレート。ぼさぼさでなく綺麗に手入れをされたシルクのような髪は光っているように見えた。

 

「おまえなぁ・・・」

「なにか文句あるのかしら?」

 

倫也がため息をつく。

 

めんどくさい。どいつもこいつも女はめんどくさい。思い通りにならないとすぐ拗ねる。同じ作者のキャラだからか?いいや違う。『私が一番』って扱いしないとだいたいめんどうなことになる。ハーレム型主人公?そりゃあ何股もかける男はいるよ。それは女に気がつかれないように隠しながらな。公然と何股をかけられるか?そんなやつはお金もちだろうし、女もプロだわ。ありえねぇわ。

 

「おーい、倫也、もどってこーい」

「ああん!?」

 

倫也の顔が怖い。

 

「悪かったわよ。とにかく暑いから家の中にいれてもらえる?」

「そうだな。上がれよ」

 

英梨々が家の中にはいる。

 

「そんなに怒らないでもいいじゃない」

「別に怒ってねぇよ」

「そうかしら・・・」

 

英梨々が冷蔵庫を開けて、コーラをコップに注いだ。

 

リビングのソファーに座る。

 

「もうハーレム主人公ではないんだし、そんなに気をつかわなくていいんじゃないの?」

「どの口がそれを言う!?」

「えっと・・・次回にまた着替えてくるわよ・・・」

「ああ。頼むわ。」

「あたしはね、倫也の部屋でゲームして過ごすのが好きなわけだし」

 

倫也の顔がこわばる。

 

「・・・英梨々、もしかして俺の部屋にいこうと思ってる?」

「ん?そうだけど。何か問題ある?」

「あるか、ないかでいえば・・・あるな」

「何それ」

 

倫也が辛そうな顔をする。

 

「まぁ階段の下から見上げてこいよ。気をつけてな」

「はい!?」

 

英梨々が立ち上がって倫也の部屋へ上がる階段のところで止まる。

すでに『KEEP OUT』とプリントされた黄色のバリケードテープが階段をあがることを拒んでいる。

 さらに露骨に目立つピアノ線のトラップ。天井からぶら下がる槍。観察すればもっといろいろ見つかるだろう。

 

「何よ、これ・・・」

「さぁ?」

「さぁ?って、あんたの家でしょ。恵の仕業ね?」

「古い話になるが・・・この物語の不条理を追及するとサスペンス調になるらしいぞ」

「あったわねぇ・・・そんな設定が。遠い昔に感じるけれど」

「まぁそういうことだ」

「あんたはどうやって部屋へはいっているの?」

 

倫也は体操をして誤魔化している。なんも考えてないのだ。詳しいことなど。

 

「わかっていることは・・・お前がそれでも部屋に行きたいというのであれば、分岐するということだ」

「何が分岐するのよ」

「さぁ?」

 

英梨々もため息をつく。

 

「なんなのかしらね・・・この物語は・・・あたしはけっこう真面目にやってきたつもりなのだけど」

「そうだな」

 

英梨々がリモコンでTVをつける。

倫也が手を伸ばして止めようとしたが遅かった。

 

TVに移ったニュースキャスターらしい人が突然のことに驚いている。

 

「・・・」

英梨々がリモコンでチャンネルを変える。

 

サッカースタジアムが移る。慌てて選手たちが広がろうとする。

 

「・・・」

「・・・英梨々。あんまりTVの中の小人さんモブをいじめてやるな」

「・・・ねぇ、倫也・・・どうして、こんなことになったのかしら」

「お前が突然ジャージに着替えていたからだろ?」

 

英梨々はTVを消して考える。確かにそうだった。

 

「次回は駅からでいいかしらね?お互いに着替えたということで」

「ああ、それで問題ない。ちゃんと普通のラブコメに戻ろう」

「これ、ジャンルはラブコメなの?」

「やめて、ブーメランなげないでっ!」

 

(つづく)

 

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