負け犬ヒロインの育て方 6 (ラスト)   作:きりぼー

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こちらは前回エピローグ⑥として投稿した分になります。
お手数ですが、今日投稿したエピローグ⑥が本日投稿分になります。

ご迷惑おかけします。


エピローグ⑦

 

 倫也と英梨々の2人が電車を降りて改札から駅を出る。階段を上って地上にでると、そこは元町中華街。横浜だ。

 

 英梨々は大きなロゴの入ったピンクのシャツにベージュの短パンという動きやすい恰好をしていた。リボンの色もピンク。

 

「あのなぁ・・・なんで、毎回衣装を変えるんだよ!」

「『負け犬7』では余裕がなかったからできなかったでしょ。あんな滅茶苦茶なプロットさせておいて、その言い草はないんじゃないの?」

「・・・うーん」

「やっとわかってきたのよ。この物語のいい加減さの良さが。あんまり細かいこと気にしないほうがいいわよ」

「あっそ」

 

倫也が地図を見ている。それから位置を確認すると歩きだした。まだ人が多いので手はつないでいない。

 

「で、どこにいくのよ?」

「物語がおかしな方向になる前に、できるだけ回収しておくんだよ」

「・・・おかしな方向になるの?」

「さんざんなってきただろ?ならないように願うけどな。お前がどんなルートを進むかまではこっちはわからねぇし」

「ふーん。でも大丈夫よ倫也。たぶん」

 

少し道が開けて、人通りが少なくなる。

倫也は英梨々の手を自然と握る。英梨々は満足そうに笑顔を作ってうなずいた。

 

「こうやって、恋人っぽいことをすると、恋人ごっこもだんだん本物になるのかしらね?」

「『ごっこ』じゃねぇーよ。ちゃんと『恋人だよ』、お前が彼女になってからずっとな」

「そうかしら、ずいぶんと恵と過ごしていたように思えたけど・・・」

「そこは、もうつっこむな・・・。ほんとに。いや。まじで・・・」

「わかったわよ、わかったから、落ち着きなさいよ」

「こっちはな、命がけなんだよ!」

 

そこで、たまらなくなって英梨々が手を離し、しゃがみ込んで笑った。

 

「あはは。バカじゃないの。確かにあんたは『負け犬7』で殺されるわね。でも、それって面白い冗談じゃないわよ?」

 

英梨々は笑いすぎて目元に涙が浮かぶ。

立ち上がって歩きだす。倫也も歩く。

 

「もういい・・・」

「ごめん倫也。でも、殺されないと結ばれないカップルって、ずいぶんな話よね。そこまであたしと結ばれるルートはなかったのかしら」

「他の条件が厳しかったろ」

「そうよね・・・でも、何も死ななくていいじゃない」

「別にお前のためなら何度でも死んでやるよ」

「うわぁ・・・」

 

英梨々が倫也の前を歩いている。

 

「ときどき言う、そういう主人公っぽいセリフはやめたほうがいいわね。倫也」

「なんでだよ。そこは顔を赤らめて惚れ直すところでしょ!?」

「だってあなた、恵を輝かせるために、恵の物語のために死ねるっていってたわよ?」

 

倫也の目が泳ぐ。

 

英梨々は立ち止まって倫也をじぃーと見ている。英梨々はいたって楽しそうだった。

 

「はぁ・・・俺の目の前にいじわるに成長した英梨々がいるよ・・・昔は可愛いただのポンコツだったのに」

「あのねぇ・・・」

 

※※※

 

 2人が山下公園に着いた。

 

「あっちに、実物大で稼働するガンダムがある」

「へぇ・・・」

「それが、あの赤いドレスでの強いフラグの時のガンダムだ」

「なるほど」

「服装も違うし、ガンダムは近くでみないで物語を進めるぞ」

「どこに?」

「このまま右手に進むと、高台の公園がある」

「登るのかしら?」

「うむ」

「だったらここで、少し休みましょうよ」

「そうだな」

 

リテイクされたボツ原稿では、このまま港の見える丘公園に向かい、途中で喉が渇いて大変だった。だから、ここで英梨々は休憩することを選んだ。

 

 倫也と英梨々が空いているベンチに並んで座る。

 

「こうしてみると、なんだか恋人みたいね」

「あのなぁ・・・」

「倫也。気分がいいから、そこの自販機のジュースをおごってあげるわ」

「どうも」

「何がいいかしら?」

「いろはす」

「水!?」

「ああ」

 

英梨々が少し小走りに自販機に行く。Suicaでいろはすを二本買った。

 

倫也はその様子を眺める。短パンからは細い華奢な足が見える。でも目立つのは輝いているツインテールだった。多くのモブが英梨々に見惚れている。それが倫也には少し自慢に思えた。

 

英梨々が嬉しそうに小走りで戻ってくる。

そして、ペットボトルを軽くなげ倫也に渡す。

 

「あんたのためなんだからねっ!」

 

倫也はきょとんとして英梨々を見る。

英梨々の顔がだんだん赤くなる。

 

「なんかいいなさいよ!恥ずかしいでしょ・・・」

 

今日はいい天気。とても平和。

倫也が腹を抱えて笑っている。

 

(つづく)

 

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