流星のロックマン Arrange The Original 3 作:悲傷
これにて第一章が閉幕です
第二章、近日中に公開出来たらいいな……
コダマ小学校のロケット打ち上げ式。トラブルこそあったものの、怪我人一人出ることもなく治まった。マナブたちは急いでシステムを復旧させた。といっても、ウィザードのマグネッツとコイルがいるので、さほど時間はかからなかった。
点検が終わり、とうとうその時が来た。
「ほらよ、マグネッツ」
ウォーロックはマグネッツにある物を渡した。電子データだ。
「これは……」
「昨日、スバルのやつがプレゼントするって約束したの、忘れたか?」
「あ、あれッスか。ありがとうッス!」
マグネッツは中を見てみた。それは集合写真だった。マナブと科学部二人、スバルたちルナルナ団。コイルにウォーロックにペディア。皆が映っている。
「オイラは一人じゃない……」
「そういうこった。がんばれよ」
「はいッス!」
マグネッツは喜んで受け取ると、ロケットの中に入った。
「じゃあ、マグネッツ。今度こそ行くよ?」
「はい、了解ッス!」
マナブが合図を送る。カウントダウンが始まる。そして発射の合図。噴射口が火を吹き出し、徐々にロケットが持ち上がり……勢いを増して空へと飛び立っていった。
歓声。町のあちこちから見守っていた人々が手を叩き、手を振る。だが間違いなく、一番胸躍らせていたのはマナブだろう。やがてロケットは見えなくなる。そしてハンターVGに送られて来たデータ。マグネッツが撮影したその画像には、見渡すばかりの星の海。
「やった……やったあああああ!!」
両手を上げるマナブ。彼らのハンターVGが電子音を鳴らした。
―― チーム名:科学部×ルナルナ団 ――
―― レゾン :ロケットを打ち上げる ――
―― レゾン達成 ――
告げられたのは文字の羅列。だがスバルを有頂天にするには十分すぎた。たまらずマナブの手を取った。
「おめでとうございます。部長さん!」
「うん、ありがとう!」
「ぶちょ~!」
「ええん、ぶちょ~!」
ポン太とリカがマナブに抱き着いてきた。ルナたちも涙を流していた。
「僕たち、すごい場面に出会っていますうう!」
「うおおおお! がんどうじだぜえええ!」
「ええ、ほんとすごいわ。これがレゾンなのね」
「……そうだね」
スバルは皆から離れて、もう一度空を見上げた。相変わらず、赤い星が瞬いている。
今、マグネッツは宇宙にいるのだ。それはつまり、今最も大吾に近い場所にいるということだ。
「もしかしたら、父さんとすれ違ったりしてるかもね」
「そうだな、これからのマグネッツの活躍が楽しみだぜ!」
「父さん、僕もいつか……」
「じゃあその夢、協力させてくれないかな?」
「え?」
肩を叩かれた。目に涙を残していたが、マナブは満面の笑みだった。
「スバルくんは僕の夢を叶えるのに協力してくれた。なら、今度は僕の番だよ」
「部長さん……」
「僕がWAXAのロケット開発部門に、君は宇宙飛行士に。そうしたらさ、二人で星河大吾さんを探しに行けるよね?」
「……はい!」
なんて頼もしいのだろう。志同じくしてくれる人がいてくれる。これほど嬉しいことはない。
「というわけでスバルくん……」
マナブがハンターVGを取り出した。それだけで意味は伝わった。スバルも取り出し、向け合った。通信音が鳴る。ブラザーリストには新しい人が一人。
「お願いします。部長さん!」
「ああ、よろしく!」
◇
そんな二人の光景をにこやかに観察している者がいた。場所は学校の屋上。貯水タンクの上に腰かけている一人の青年。
「うんうん、さすが星河スバルとウォーロック。俺が見込んだ男だ」
「ウォーロックは評価に値しないと思いますが」
暁シドウの隣にアシッドが顔を出した。
「良かったのですか、私とシドウならもっと早く効率的に解決できたはずですが」
「今回は彼らの実力を確認したかったからな。サテラポリスにある記録は、あくまで間接的に得た情報だろう?」
つまり不確かだと言いたいらしい。
「それに、あの二人でどうにもできそうになかったら、その時に初めて俺たちが動けばいい。スピカモールの時のようにな」
「はぁ、まあ無事に解決できたから良かったのですが……ウィザードの暴走のせいで、大量のノイズの塊であるクリムゾンが発生してしまいました。加えてキング財団に持ち去られたようです。今後、奴らの活動は本格化してきますよ」
「そのための、今回の戦力調査だろ? スカウトに値するか、見極めないとな」
そう言って、暁シドウは立ち上がった。
「とりあえず、ロケット打ち上げ成功をお祝いして、一服!」
胸ポケットからうまい棒を取り出すと、サクサクサクと軽快に食しだした。
「……食べすぎではありませんか、シドウ?」
◇
ロケットの打ち上げに、お祝いムード一色となる町。姉と弟はそれを冷ややかに眺めていた。
「けっ、さっきまで危なかったってのに、呑気な奴らだぜ」
「呑気はあなたよ」
姉の言葉に、弟は首をすくめた。
「だってよ、スペード・マグネッツじゃ勝てねえっていうから……姉ちゃんが止めなかったら、今頃この町は吹っ飛んでたのによ」
「ロックマンは私たちの最大警戒対象よ。無計画に電波変換した姿をさらしたこと、反省しなさい」
「……ちぇ、分かったよ」
弟が観念したとき、タイミングよく姉のハンターVGが着信音を告げた。
「そろそろ来ると思っていたわ」
「けっ、まためんどくせえ報告かよ」
姉がエアディスプレイを開くと、SOUND ONLYと表示された。
『報告を聞こうか』
「はっ!」
姉は恭しく敬礼した。相手にも姿は見えていないはずなのだが。弟はというと、ポケットに手を突っ込んで、背中を向けている。
「……以上です。ノイズドカードの性能テストと、クリムゾン生産回収の結果は上々です」
『だが、報告にあったロケットの爆発は失敗したのだな?』
「……はい」
『ふん、そんなものか』
その態度は、弟を怒らせるのに充分だった。
「おい、言っとくけれどな……!」
「やめなさい!」
姉のピシャリとした声。弟はすぐに口を閉じた。
「ロックマンの邪魔さえなけりゃ……」
『そう、そのロックマンだ。お前たちの次の任務だ』
「は?」
「どういうことです?」
これには姉も眉をしかめた。
『ロックマンの正体は、コダマ小学校の11歳の生徒であると情報をつかんだ』
「は、まじかよ。俺と同い年かよ!?」
『もう分かるな。お前たちにはコダマ小学校へ潜入調査してもらう』
「了解しました」と言おうとした姉の言葉を遮り、弟は反論した。
「あんな奴、大したことねえよ。俺が一人でぶっ倒してやるよ!」
『ならん。私は今すぐロックマンを倒そうとは思っていない。あれは研究対象として非常に興味がある。強さの秘密と、弱点を徹底的に探り出すのだ』
「……ちっ!」
弟を手でいさめて、姉はコホンと咳払いした。
「了解しました」
『うむ……クインティア』
「は!」
姉が姿勢を正す。
『ジャック』
「おう」
弟が不機嫌に返答する。
『失敗は許さん。お前たちは私の手足となって働いていればそれでよいのだ。分かったな?』
「はい、すべてはミスターキングの仰せのままに」
『よろしい』
ねぎらいの言葉一つかけることなく、ブツリと通話が切られた。
「姉ちゃん……いつまでこんなこと続けるんだよ」
「ジャック、我慢しなさい。せっかくここまで来たのだから。あと少しよ」
クインティアはそう言って、空を見上げた。そこには赤黒い不気味な星。
「そういえば姉ちゃん、知ってるか? 流れ星の話。消えちまう前に3回願い事を言うと叶う……だってよ。馬鹿みてえだよな」
「ええ、そうね。でも、もしそれが本当なら、私たちの願いは叶うわ。だって、あの赤い流星は消えることがないのだから」
姉はそれに向かって手を伸ばした。
「この星が終わる、その日まで……」
赤い流星は、ただ不気味にたたずんでいた。
スバルとウォーロック。二人の戦いは、まだ始まったばかりである。
〇クルスガワ カオリ
コダマ小学校の売店のおばちゃん…と見せかけて、その正体は理事長先生です。校長先生よりも偉いです。普段は売店で子供たちの成長を見守っているのだとか。
理事長先生が作る焼きそばパンは絶品で、学外から買いに来るおじいちゃんがいるくらいです。
ちなみに、最近はうまい棒を買い占めていくイケメンの兄ちゃんがお気に入りだと言っていました。誰のことなんでしょうね~。
〇うつかり しげぞう
コダマ小学校に焼きそばパンを買いに来るお爺ちゃん。その正体は、キズナプロジェクトの元開発チーフ。スバルくんのお父さん、星河大吾さんの元上司です。天地守さんの恩師でもあります。
スバル君のお父さんたちを切り捨てる決定を下したことは、ずっと後悔していたみたいです。
FM星人との戦いの際には、スバルくんを宇宙に送り出すために協力してくれました。
お酒好き。
参照.マロ辞典より抜粋