流星のロックマン Arrange The Original 3   作:悲傷

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 フジ山なのか、フジヤマなのか、フジマウンテンなのか、調べるのに苦労しました。
 流星のロックマンの用語辞典とか欲しい。

 ちなみに、今回登場するキャラは公式でも名前が明かされていません。重要キャラなのにね……。明らかになる日は来るのかな?


二章.流星ソング
第19話.WAXA壊滅


 WAXA。それはサテラポリスとNAXAが合併してできた組織。凶悪化する電波犯罪に対抗するため、この二つの組織は連携する道を選んだのである。

 そんなWAXAニホン支部はフジ山の頂に設けられている。厳重な審査を通った優秀な職員たちが、ニホンや国際社会の治安維持のために、日夜働いているのだ。

 そして今日も……いやこの日は特別だった。基地内に設けられた指令室。ずらりと並ぶコンピューターに、厳しい目をした職員たち。

 彼らの中に、一人だけ違う階級章をつけた男性がいた。役職は長官。そう、このニホン支部のトップに立つ男だ。年齢は50代くらいで、白みがかかった髪と、穏やかそうな目に、口髭を蓄えている。

 

「長官……」

「うむ」

 

 女性隊員の一人が展開したエアディスプレイ。そこには宇宙に浮かぶ赤い星が映っていた。横に並ぶデータを見て、長官は苦い顔をした。

 

「メテオGの速度が上がったか……」

「はい、しかも進行方向を地球へと、さらに変えました。これにより、地球に衝突する可能性は67%にまで上昇しました」

 

 彼の隣にいた、緑色のウィザードも腕を組んだ。体が量産型に比べると少し大きい。長官のウィザードだ。

 

「昨日のコダマタウンでのウィザード暴走事件ですが、やはりクリムゾンの反応があったようです」

「やはりか。それで回収はできたのか?」

「いいえ。残念ながら」

「そうか。キング財団に先を越されたか……」

 

 本当に忌々しいと、長官は歯をかみしめた。

 

「クリムゾンの発生が確認されるたびに、メテオGと地球の衝突率が目に見えて上がる……本当に何なのだ、あれは」

 

 女性隊員がエアディスプレイを操作しながら答えた。

 

「元素素性など、あらゆる情報が不明となっております」

「ヨイリー博士の力をもってしても……か」

 

 あの人にできないのなら、他の誰にもできないだろうと長官は結論付けた。むろん、もう少しすれば分析してくれるだろうが。

 

「とにかく、これ以上クリムゾンが発生すると危険です!」

「長官、早く対策を立てないと……」

「落ち着くんだ、二人とも」

 

 ウィザードと女性隊員に、できる限りゆっくりと、声を和らげて告げた。こういう場合は大きな声を出したり、強い口調で言うと逆効果だ。

 

「慌てることはない。君たちも知っているな、現在何が行われているのか」

 

 女性隊員が姿勢を正した。

 

「WAXAのアメロッパ、シャーロ、アッフリク、そしてニホン支部による同時作戦ですね」

「そうだ。他にもいくつもの支部が参加している。アメロッパが中心となった、メテオGの軌道変更作戦だ」

 

 アメロッパのサテラポリスは世界一優秀だ。その地位はWAXAとなった今でも揺るがない。加えて、自分たちを含めた組織が協力しているのだ。部下たちの頼もしさを、長官はよく理解している。

 空に浮かぶあの赤い星はさっさと駆除してしまいたい。緘口令(かんこうれい)を出して情報を隠蔽しているが、限界がある。不安を抱える民間人も多く出てきている。

 だがそれももうすぐ終わる。

 

「このミサイル作戦が成功すれば……」

 

 そんな期待を裏切るように警報が鳴った。

 

「な、なに!?」

 

 驚く女性隊員のとなりに、男性隊員が駆け寄ってきた。

 

「大変です!」

「どうした!?」

「アメロッパ、シャーロ、アッフリク、その他のWAXA主要支部の機能停止を確認。壊滅状態です!」

「な、なんで……」

「リンクを切断せよ!」

 

 うろたえる女性隊員を遮り、その場にいる部下たちに命令を下した。世界中にあるWAXA支部がほぼ同時に壊滅するとなると、無線ネットワークを通じたハッキング攻撃の可能性が高い。ここは各支部とのリンクを切断し、安全を確保するしかない。

 隊員たちは即座に操作パネルに手を伸ばした。機械音が鳴りやみ、静かになる。

 

「……どうだ?」

「……大丈夫です!」

 

 少し離れたところにいる隊員と、彼の相棒のウィザードが答えた。

 

「ギリギリで間に合いました。リンク切断完了。ニホン支部の機能に被害はありません」

「ご苦労。皆よくやってくれた」

 

 隊員たちからホッと声が上がった。

 

「ところで、原因は?」

「メテオGに向けて発射されたミサイルです。メテオGに接近したことにより、大量のノイズを浴びてしまったのが失敗でした」

 

 ミサイルの状況把握のため、アメロッパ支部はミサイルから送られてくる情報を受信していた。それがノイズの侵略経路になってしまったのだろう。リンクをしていた支部にも伝染してしまったのだ。

 

「ニホン支部が助かったのは運だな。地球の反対側に位置していたのが幸いした」

「ですが……他の支部はもう……」

「これではメテオGへの対抗戦力が……」

 

 男性と女性隊員が肩を落とす。他の隊員たちも意気消沈を隠せないようだった。

「パン!」と掌を叩く音がした。長官に皆の目が集まる。

 

「皆……メテオG破壊ミッションは我々に託された。嘆いている暇はない」

 

 隊員たちの目が険しくなった。

 

「今、メテオGに対抗できるのは、このニホン支部にいる僅かなメンバー……我々の双肩にかかっているのだ。この地球に住まう全ての人々の命運は、我々の決意によって決まるのだ。総員、奮闘してもらいたい!」

「……はっ!」

「はいっ!」

 

 隊員たちの顔から不安が消えた。

 

「よし。科学チームはメテオGの素名分析を進める。ヨイリー博士の指示に従え!」

「了解です!」

「データ分析班はメテオGの軌道を再調査せよ!」

「はっ!」

「サテラポリスにはバトルチームの増員を要請してくれ。作戦実行班は彼らになる可能性が高いからな」

「分かりました!」

 

 隊員たちが忙しく動き始める。作戦室には喧騒に包まれた。

 

「……長官」

 

 ウィザードが顔色をうかがってきた。長官は「分かっている」と頷いた。

 

「今はこれでいいのだ」

 

 部下の前では勇ましく振舞ったつもりだ。だが現実は残酷だ。多くの支部が壊滅してしまった今、孤立無援となったニホン支部だけでどうやって対抗しろというのだろう。絶望的という言葉が生ぬるくすら感じる。

 それでもやるしかないのだ。長官たる自分が折れるわけにはいかないのだ。それが例え、奇跡に縋りつくようなことだとしても。




〇スティーブ
 NAXA所属。キズナプロジェクトのメンバー。
 星河大吾さんと共に、宇宙ステーションキズナに乗り込んだ宇宙飛行士の一人です。
 現在は宇宙で行方不明扱いになっています。

 参照.マロ辞典より抜粋
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