流星のロックマン Arrange The Original 3   作:悲傷

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 そう、アレオリ3の更新時間です!

 ……いつまで続くかな?


第2話.ハンターVG

 コダマ小学校。星河スバルが住むコダマタウンにある学校だ。今日は2学期の初日なので、当然教室には先生と生徒たちがいる。

 この5―A組も同様だった。スバルは自分の席で担任教師の説明を聞いていた。

 

「この2つの事件が、僅か半年で起きた地球の危機だ」

 

 担任教師の育田道徳は教室の前の壁に備え付けられている、巨大な電子パネル……ブラックボードを指で触った。「FM星人の襲来」「ムー大陸の復活」と大きな文字が映った。

 

「もう一度言う、僅か半年だ。電波ネットワークによって……最近はウィザードが普及したこともあり、私達の生活は大変便利で豊かになった。だがその一方で凶悪な犯罪も増えてきている」

 

 スバルはコクコクと頷いた。この2つに加えて並行世界からの侵略未遂があったので、実際は3度だ。それを救ったのがスバルことロックマンだということは、さすがの育田先生も知らない。

 

「これらに対抗するためには、サテラポリスの力に頼るだけではなく、我々市民一人一人が電波ウイルスに対抗する力を持つ必要がある。よって……皆待たせたな」

 

 ようやく、いつもの優しくて楽しい育田先生の顔になった。スバルたち5―A組の生徒たちも一斉に興奮したような顔になる。

 

『おいスバル……』

「どうしたのロック? 皆に聞こえちゃうから、あまり大きな声出さないで」

 

 携帯端末からウォーロックの声が聞こえたので、スバルは耳打ちする様に注意した。

 

『いや、皆ソワソワしてるからよ』

 

 教室を見渡せば、単純食いしん坊なゴン太が今にも走り出しそうな顔をしていた。彼のみならず、知識人のキザマロが今か今かと携帯端末を手に取っている。

 加えて学級委員長のルナである。手を口元で組んで静かに座っているようだが、あれは隠しきれない笑みをごまかすための仕草だ。他のクラスメイトよりも一回り精神が成熟している彼女ですらあれである。

 

『今日、なにか大きなイベントでもあるのか?』

 

 ウォーロックの質問に、スバルは不思議そうな顔をした。

 

「え、昨日言ったじゃん。ロックは興味無さそうだったけれど」

『昨日……あのウンチク話か?』

 

 スバルが言っているのは、昨日電波ウイルスを倒す前の話である。「防犯意識が……」というくだりで説明したはずだ。だがスバルのオタク話は長ったらしく、ウォーロックは半分聞き流していたのである。

 もう一度説明したほうが良いかと思ったが、遅かった。育田の準備が整うのが先だった。

 

「皆、携帯端末の準備は良いか」

 

 教室全体から「は~い」と返事があった。

 

「ではこれより、皆の端末を最新のOSにバージョンアップさせる。基本プログラムが丸ごと変更する大掛かりな物だ。それじゃあ更新データを送るぞ」

 

 そう言って育田が電子パネルに触れた時だった。

 

『ちょ、ちょっと待て!』

「なに?」

 

 突然ウォーロックが焦り出した。

 

『プログラムを丸ごと書き換えるだと!?』

「そうだよ、昨日説明したよ。何か問題でもある?」

『あるだろ!? プログラムと連動している俺はどうなる!?』

「……あ」

 

 ウォーロックはAM星人と呼ばれる宇宙人で、電波生命体だ。現在は携帯端末のプログラムと同化している。

 

「どうなるって……さあ?」

『さあってお前!!』

 

「無責任にもほどがあんだろ!」という言葉は続かなかった。育田が電子パネルの操作を終えたからだ。途端に端末がガタガタと暴れ出した

 

『うおおおお!! なんか大量のデータが送られてきたぞーーー!!!』

「え、ロックが悲鳴を上げるほど!?」

『なんで嬉しそうなんだてめええ!!?』

「これは凄そうだぞ」

 

 オタク魂に火が付いたのだろう。苦しんでいるウォーロックを気にも留めず、スバルは鼻息を荒らくしながら更新状態を表すメーターを凝視していた。20%……60%と増えて行き、やがて100%になった。

 そして液晶画面の様子が一瞬で切り替わった。背景は青色で、オレンジ色の四角いパネルがいくつも表示されている。

 

「す、凄いや! これが新しいOSの携帯端末! ディスプレイの見た目が今までと全然違うよ!」

 

 喜んでいるのはクラス全体だったが、席から立ち上がるほど興奮したのはスバルだけだった。

 

「はいスバル、席につけ~。……全員無事にバージョンアップが終わったみたいだな。その生まれ変わった携帯端末こそ『ハンターVG』だ!」

「ハンターVG……カッコいい……」

 

 うっとりとするスバルを気にかけることなく、育田は説明を続けた。

 

「先ほど説明した通り、今回の更新は皆の『電波ウイルスに対抗する力を上昇させるため』のものだ。簡単に、かつ個人でウイルスバスティングができるように改良されたのが、このハンターVGだ」

 

 育田は自分の端末から一枚のカードを取り出した。

 

「これが何か分かるな。そうバトルカードだ。電波ウイルスと戦うための唯一の武器であり、ウイルスバスティングの必需品だ」

 

 カードの表面には「キャノン」という文字と共に、大口径の銃のような絵が描かれていた。色は白で、形は四角い。

 

「これらの扱いが簡単になるよう改良されている。他にも色々な機能があるから、じっくりと試してみるように」

 

 育田の説明が終わると、ちょうどチャイムが鳴った。

 

「これで今日の授業は終わりだ。来週から本格的に2学期が始まる。皆、気を付けて帰るように」

 

 皆が返事をして、夏休み明け最初の一日が終わった。と言っても、明日は土曜日なのですぐに休みとなるのだが。

 

「さてと……早速色々と試して……」

 

 スバルが携帯端末……ハンターVGを手に立ち上がろうとした時だった。ハンターVGが再びガタガタと暴れ出した。

 

「うわ! ちょ、何……」

『スバル……』

「あ、ロック?」

 

 ハンターVGへのバージョンアップに興奮しすぎて、ウォーロックの存在そのものを忘れていたことに気づいた。

 

『外……外に……』

「外? う~ん、屋上でいいか……」

 

 どうやら人目につかないところに行ってほしいらしい。スバルは教室の外に出ると、エレベーターを目指した。

 

 

 エレベーターのドアが開いて、スバルは屋上に出た。周りを窺って誰もいないことを確かめる。植木に、授業の一環で栽培されている野菜、スプリンクラーが静かに回っている程度だ。

 

「誰もいないか。お待たせ、ロック。ウィザード・オン!」

 

 ハンターVGの液晶画面に並んでいる四角いパネルを見た。「パーソナルデータ」や「バトルカード」など、様々な項目が並んでいる。その中から「ウィザード」と書かれているボタンをタップした。

 するとウォーロックが転がるようにハンターVGから飛び出してきた。

 

「ブハアアアアア!! 」

「ど、どうしたのロック?」

「どうしたもこうしたもあるかぁ! さっきの更新のせいで、俺の体全体が書き換えられたんだよ。分かるか? なんの心構えも無く、不意打ちで無理矢理口の中に大量のデータを押し込まれた俺の気持ちが!? ベルセルクを飲み込んじまった時の比較じゃなかったぞ! ウップ」

「ご、ごめんごめん」

 

 元から青い顔を更に青くするウォーロック。彼がここまで弱るのも珍しい。背中をさすってあげた。

 

「まあいい。次、更新があったら事前に言ってくれよ?」

「言ったつもりなんだけれどな……」

「かいつまんで、要約して伝えてくれ。簡潔にだ」

「分かった、気を付けるよ」

「ならいい」

 

 大人しいスバルと、ちょっと熱くて怒鳴りやすいウォーロック。これがこのコンビのあり方だ。

 

「ったく、お前ってしっかりしてるようで時々抜けてるよな。大吾のやろうとは大違いだぜ。もやしだし」

「もー、そうやってすぐに父さんと比べないでよね」

 

 そう言いながらスバルはおでこにかけてある白いサングラスを手に取った。レンズは緑色だ。

 

「父さん、いつ帰ってくるかな?」

 

 このサングラスの名前はビジライザー。父親が使っていたものだ。それをかけると、スバルの視界にオレンジ色の道が見えた。電波の道、ウェーブロードだ。そして電波世界の住人達……デンパくんたちが行き交っているのが見えた。きっとメールでも運んでいるのだろう。

 

「そうだな、今も宇宙のどこかを彷徨っているのかもな」

 

 星河大吾。スバルの父親だ。宇宙飛行士であり、スバルの憧れそのものだ。そしてウォーロックの友人でもある。そんな大吾は3年前から宇宙で行方不明である。

 

「そんな顔すんな。あいつが帰ってくるまでは、俺が代わりにお前を守ってやるからよ」

「父さんに比べたら頼りないけれどね」

「お、言うようになったじゃねえか。不登校だったスバルのくせに」

「それは認めるよ」

 

 3年間登校拒否していた過去は否定できないし、友人もブラザーも作らないと決めていた時すらあった。もっとも、今はそれを乗り越えているが。

 それを証明する様に、ハンターVGがピピピと着信を告げた。

 

「あ、委員長からだ」

「ドヤされるんじゃねえか?」

 

 委員長とは、先ほど口元で手を組んで、興奮を隠していた白金(しろがね)ルナのことである。学級委員長の彼女は基本的には優しいのだが、頻繁に怒るおっかない面もある。今までの彼女を思い出してしまうが、振り払うように首を横に振った。

 

「そんなことないでしょ。怒られる理由が無いし。えっと……ポップアップだったっけ、これ?」

 

 ハンターVGの画面には、大きくて四角いタッチパネルが表示されており、ルナの顔が表示されている。有事に合わせて、必要な操作が自動表示されるこの機能を「ポップアップ」というらしい。

 今は「通話に出る」というパネルを選択した。ハンターVGから電波粒子が射出され、長方形のパネルを形どった。エアディスプレイと呼ばれるものだ。

 そこにルナの顔が映る。ドリルのような金髪縦ロールに、蛇のような吊り上がった目。だが顔立ちは可愛らしい。青い服を着た彼女はスバルを見るやいなや、待ってましたとばかりに勢いよく口を開いた。

 

『おっそーい! 電話に出るのが遅いわよ!! そしてあなた今どこにいるのよ!?』

 

 慌てて耳を塞いだ。

 

「やっぱりドヤされちまったな」

「な、なんて理不尽……」

 

 スバルのぼやきが聞こえなかったのか、無視したのか、ルナは勝手に話を進める。

 

『授業が終わるなりすぐに飛び出していくんですから。大事な話があるから、すぐに売店に来なさい。良いわね?』

 

 はいもいいえもYesもNoも言う暇もなく決定された。たじろぐスバルに、エアディスプレイがずいっと詰め寄った。ルナの顔が鼻先にまで近づいた。

 

『す・ぐ・に・よ?』

「……はい」

『よろしい』

 

 一方的に会話がきられて、エアディスプレイが閉じた。彼女が決めたことに逆らう権利など、スバルにはない。

 

「しかたない、行こうか」

「おうおう、尻に敷かれてんな」

「言わないでよ」

 

 ウォーロックをハンターVGに戻し、エレベーターの前に立つ。扉が開くと中に人がいた。眼鏡をかけた大人しそうな少年と目が合った。

 この出会いが新たな物語の幕開けになるとは、スバルは思いもよらなかったことだろう。

 




○星河スバル
 コダマ小学校5年生。A組。
 身長145cm。
 つい誰かの手助けをしてしまう優しい人。成績は優秀でクラスでは3番目の成績。運動神経も良くて学年でも上位(羨ましいです)
 趣味は天体観測と機械いじり。
 好きなスポーツは野球。
 好きな歌手は響ミソラ。
 嫌いな食べ物は人参とグリンピース。
 宇宙飛行士で科学者のお父さんと、美人で料理上手なお母さんが自慢。
 額のビジライザーと、首から下げている流星型のペンダントは、お父さんの遺品らしい。本人は生きていると主張している(僕も信じていますけれど)
 実は地球の危機を2度救ったロックマン。
 皆のヒーロー。ロックマンは誰にも負けません。
 将来の夢は宇宙飛行士。

○ウォーロック
 スバルくんの相棒。
 電波の体を持った宇宙人……AM星人。ただし、生まれと育ちは兄弟星のFM星らしい。
 FM星王、ケフェウスが地球への侵略を行った際に、地球に亡命してきた元FM星軍所属の軍人。
 スバルくんと出会って、FM星人たちと戦って地球を救ったもう一人のヒーロー。
 最初はAM星を滅ぼされた復讐を果たすつもりだったらしいけれど、今はケフェウス王とも和解して、スバルくんのウィザードとして暮らしている。
 好きな物はバトルと刑事ドラマ。
 趣味は戦うこと。
 嫌いな物は暇な時間。
 歌には興味ないらしい。
 スバルくんと違って喧嘩っ早い乱暴者ですけれど、良い人だと思う。


 参照.マロ辞典より抜粋
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