流星のロックマン Arrange The Original 3 作:悲傷
個人的には、今回登場するあの子が最強だと思ってます。なぜあんな濃いのをモブにした?
あ、今回のあとがきはNGシーンです。魔が差して書いたのですが、本編がぶっ壊れるので……。本編とは一切関係ないです。
5-A組の教室に入ると、いつも以上に賑やかな空気になっていた。生徒たちの話題は皆同じものらしい。
キザマロと別れて自分の席に座ろうとすると、隣の少女が話しかけてきた。
「スバルくん、転校生ってどんな子だと思う。頭いいかな?」
「ひとみさん。もしかして、もう対抗意識燃やしてる?」
「もちろんよ。ルナちゃんには勝てないけれど、No.2は譲れないわよ」
「僕も負けてられないな」
ちなみにスバルはクラスで3番目だ。と言っても、この少女と大差ない成績なのだが。
椅子に腰かけると、歩み寄ってきた男子にとんでもない話題を振られた。
「星河よ。転校生を俺のレゾンに誘おうと考えてるのだが、どう思う?」
「やまもりくん。確か君のレゾンって……」
「もちろん『委員長に思いっきり怒られる!』だ!」
「それはやめとこ、冗談抜きで……」
ひとみもうんうんと頷いている。こんなレゾン、掲げられるのは宇宙広しといえど彼くらいだろう。将来は大物になるとスバルは見ている。
「まあいきなり誘うんじゃなくて、徐々に誘う感じでいいんじゃないかな?」
スバルが不登校をやめて、もうすぐ半年になる。こうして、ルナたち以外のクラスメイトと話す機会も増えた。このクラスに入れて良かったと常々思っている。ツカサが転校してしまったのは残念だが、それはもう仕方ない。代わりに入ってくる生徒が、このクラスに馴染めるように協力する。それが今の自分にできることだろう。
そうしているうちに始業のチャイムが鳴った。ドアが開き、アフロヘッド……育田先生が入ってきた。
「皆、席に……ついてるな。そんなに楽しみか?」
「物凄く楽しみでーす!」
つい1分前に、ギリギリ登校してきたゴン太が両手を上げた。
「じゃあ、前置きはいらないな。さっそく転校生と教育実習生を紹介しよう。二人とも、入ってきてくれ」
ドアが開き、一人の少年と一人の女性が入ってきた。
少年のイメージは黒だ。黒い服に、逆立った黒い髪。目つきは鋭く、何かを睨んでいるように見える。身長はスバルより少し低いくらいだろうか。
女性の方はスラっとした高めの身長。長い髪を横へ広げるように結っている。笑ってもおらず、怒ってもいない、読めない目をしていた。とりあえず美人だ。年齢は20前後だろうか。
二人は育田先生の隣に立つ。
「さあ二人とも、自己紹介を」
女性が一歩前に出た。
「クインティアです。今日から教育実習生として皆さんの授業の一部を担当させていただきます。どうぞ、よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げた。丁寧な人だ。だがなぜろう、声に抑揚が無く、冷たい印象を受けた。だが一部の男子には受けたらしい。
「クインティア先生、何歳ですか?」
「17歳よ」
「うそっ?」と声を出しそうになった。思ったよりも若かった。
別の生徒が手を上げようとしたが、育田が手で制した。
「まあまあ皆、質問は後だ。待たせて悪いね、君もどうぞ」
隣の少年の番が来た。彼は前に進み出ることもなく、ただ一言「ジャックだ」とぶっきらぼうに告げた。愛想のかけらもない。それにしても気のせいだろうか。ジャックは一瞬、スバルをにらんだような気がした。
「ジャックくん、もっと色々と話してもいいんだぞ?」
「……別にいい……」
「そ、そうかい?」
育田は軽く咳払いをした。
「ジャックくんとクインティア先生は姉弟だそうだ。皆、仲良くするんだぞ?」
「はーい」と返事が上がる。
クインティアは教室の端に移動した。授業風景を見学するためだろう。
ジャックは育田に指さされた席へと移動した。前はツカサが座っていた場所……スバルの隣だ。
「よろしくね、ジャックくん」
話しかけた。が、無視された。スバルの方を見ることもなく、めんどくさそうに椅子に座った。
『なんだ、あいつ?』
「まあまあ」
多分緊張しているのだろう。そう思うことにした。
◇
授業中、クインティアとジャックはずっと静かだった。クインティアは授業を見学しているのだから当然だろう。だがジャックの方には問題があるように見えた。授業は退屈そうに聞き、質問も一切しない。
それだけならまだ良い。休み時間になると決まって姿をくらませ、お昼ご飯の時も一人で黙々と食べていた。ゴン太が外で遊ばないかと誘おうとしたが、華麗なスルーを披露した。
他のクラスメイトから尋ねられた、どんな物が好きなのとか、クインティア先生と姉弟なのは本当なのかという質問には一切答えなかった。どこの国出身なのかという問いには舌打ちしていた。
今日一日、ジャックは誰とも会話をしていない。全身から話しかけるなというオーラが出ているのだ。最初は話しかけていたクラスメイトたちも、今は少し距離を置いているようだった。
それを見て心配してしまうのがルナという少女である。
「ジャックくん、一切馴染んでいないわね」
「というか、どっかの誰かに似てる気もするんだよね……」
黒っぽい見た目に、他人を寄せ付けない雰囲気。どこかあいつに似ている気がした。
「なあ委員長。あれじゃあ寂しくねえかな?」
体は大きいが、根は寂しがり屋のゴン太らしい見解だった。
「こういう時こそ、委員長の出番です!」
「そうね、次期生徒会長として当然の務めよね。それに、私たちには引きこもりを復学させたっていう実績があるのですから!」
「誰の事だよ」
『てめえだよ』
ルナルナ団は4人そろって、つまらなさそうに座っているジャックに近づいた。彼も気づいて、めんどくさそうにルナたちを睨んだ。
「ジャックくん、学校はどうかしら?」
「別に……」
ジャックの目がスバルを捉えた。やはり、彼は自分に興味があるらしい。
「おいお前、星河スバルだな」
「え、僕のこと知って……」
「スバルくんに興味があるの? なら話は早いわ。彼はルナルナ団の一員なの」
スバルを話題のきっかけにしようとしたらしい。ルナが話を始める。
「ルナルナ? まあ良い。それより星河スバル……」
「そうルナルナ団。リーダーが私、白金ルナよ。この5-Aの学級委員長にして、次期生徒会長の最有力候補なのよ」
「知るか」
ジャックが口を曲げた。スバルでもイラっとしているが理解できたが、ルナは珍しく気づけていないらしい。善意で動いている時こそ、人は己の間違いに気づきにくくなるのだ。
「まあそういわずに。ルナルナ団の活動に興味ないかしら。入団したらスバルくんとも……」
「興味ねえよ。俺は今星河スバルに……」
「この前のロケットをプロデュースしたときとか凄か……」
さすがにスバルが止めようとしたが、遅かった。ジャックが勢い良く立ち上がった。
「お前うるせえええ!!」
教室がシンと静まり返った。さすがのルナも面食らっていた。
「なんなんだお前さっきから! 委員長だがなんだか知らねえけれどよ。ペラペラペラペラと口やかましい。俺が話そうとしてんだ、邪魔すんじゃねえよ!」
「な、なによ……」
ここで反論してしまうのがルナの強気で良いところであり、悪いところである。
「私は親切にしようと思って……」
「余計なお世話だ!」
ジャックは踵を返すと、乱暴な足取りでドアへ向かい、力任せに開けた。そして振り返った。
「バーカ、ドリル女!」
「ド、ドリッ!?」
確かに硬質化したら掘削機になりそうな、委員長自慢のツインドリル。それを馬鹿にして、ジャックはさっさと出て行ってしまった。
後には、静かになった5-Aの教室が残った。
「ねえ、私間違えたかしら?」
「いやまあ……」
正直に言うと、ちょっと出しゃばりすぎたと思う。だがジャックもあそこまで怒る必要はないはずだ。なのでここはごまかすのがいいだろう。
「僕、ちょっとジャックを探してくるよ」
「もういいんじゃね?」
次に不機嫌になったのはゴン太だった。
「あんな乱暴な奴、気にしないでもよ」
「そうです。委員長がせっかく声をかけているのに」
キザマロも頷く。二人にとってルナは恩人だ。なのでジャックのさっきの態度は許せないのだろう。
それを承知で、スバルは首を横に振った。
「いや、僕は行くべきだと思うんだ」
「それって、彼がスバルくんに興味がありそうだったからですか?」
キザマロの質問に首を横に振った。
「ううん。そうじゃなくて……昔の僕を見ているみたいだなって」
「あ……」とゴン太とキザマロの声がそろった。
5年生になったばかりのころ、スバルは誰も寄せ付けなかった。学校に誘ってきたルナたちを無視して、邪険に扱っていた。だが彼らはしつこく絡んできた。天地研究所に遊びに行くとき、どこから情報をつかんだのかは知らないが、後をつけてきたくらいだ。だが気づけば彼らのペースに巻き込まれ、だまされる感じで学校に連れてこられ……学校に通うようになり……そして今のスバルがいるのだ。
「スバルくん……」
「だからさ、僕はもう少しだけ頑張ってみるよ」
「……分かった。悪かったな」
「そうですね、失礼しました」
「良いよ」と軽く手を振った。
「というわけでロック、ちょっと付き合ってね」
『はあ、子供のお守りは苦手なんだがな』
そういいながらも付き合ってくれるのがウォーロックである。スバルは教室の外へと歩みだした。
NGシーン
「は~い、皆! 私の名前はクインティア。クインティア先生って呼んでくれると嬉しいな。よろしくね♪」
そこで動画は終わった。
「というキャラ作りした方が良いかと思うのだけれど、どうかしら?」
「絶対にやめてくれ……」
ジャックが青い顔をしていたのは言うまでもない。