流星のロックマン Arrange The Original 3   作:悲傷

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 皆さんお待たせしました。
 いやあ、私も書くのが久々すぎて、キャラの動かし方に戸惑いました。
 とりあえず、この二人は永遠に爆発してください。


第22話.誰だ?

 ジャックを追いかけてやってきたのは、コダマタウンの公園だった。緑豊かで、子供たちのみならず、大人にとっても憩いの遊び場だ。公園内にあるバトルカードショップ『BIGWAVE』は開店準備中らしい。看板に電気が灯っていない。

 

「おかしいな、こっちに来たはずなんだけれどな……」

 

 ブランコや滑り台はあるが、人の影は見当たらない。今日は珍しく、学校帰りに立ち寄る子供たちの姿もない。

 

『ったく、あのジャックって野郎、世話が焼ける奴だな』

「ロックも探してよ」

 

 

 ジャックはそのBIGWAVEの屋根の上にいた。逃亡者のようにこっそりと覗き見ている。

 

「なんで追っかけてくんだよ、めんどくせえ……」

 

 腹が立つ。本当に腹が立つ。今日は朝からずっとイライラが止まらなかった。なんであんなヘラヘラ笑っている連中と、同じ空間にいなくてはならないのだ。学校の勉強内容もレベルが低い。何もかもがお遊戯に見える。

 

「ん、なんだコーヴァス?」

 

 ジャックはハンターVGに声をかけた。

 

「……なるほど、ここで電波変換して襲っちまおうってわけか……それもありだな」

 

 なぜ自分がこんなしょうもない時間を過ごしてストレスを貯めなくてはいけないのか。理由は簡単だ。ロックマンだ。星河スバルがロックマンだったのが原因だ。だったらそれを取り除いてしまえばいい。

 とうのロックマン様は、人間の姿で明後日の方向を見ている。

 

「やっちまうか……」

 

 一瞬だ。明日からも続くあの地獄の時間が簡単に取り除けるのだ。迷う理由なんてない。ハンターVGを頭上に掲げようとした。その手がガシリと掴まれた。驚いて振り返る。クインティアだった。いつもの無表情だが、弟には姉の怒りの色が見えた。

 

「いい加減にしなさい」

「ね、姉ちゃん……けれど……」

「それに人が来たわよ」

「あ……」

 

 見ると、スバルの後ろから人が近づいてくるところだった。これはもう不意打ちできるタイミングではない。ジャックはクインティアに促されるままその場を後にした。

 

 

「ん?」

 

 スバルはBIGWAVEの看板の方を見た。

 

『どうした?』

「今、誰かいた?」

『猫の間違いじゃねえか?』

「それもそうか」

 

 わざわざ店の屋根の上に昇る理由なんてない。店長の南国ケンならいざ知らず、この町に来たばかりのジャックがそんなことをする理由はないだろう。

 

「にしても、ジャックはどこに……」

「えいっ!」

「え?」

 

 突然視界が真っ暗になった。目の周りに温もりがある。

 

「ふっふっふ……動くなスバルくん。動けば命はないぞ―」

「え……え?」

 

 背後から聞こえてくる声。どうやら自分はこの人に目隠しされているらしい。

 

「さあ、私が誰か当ててみたまえ!」

 

 得意げな声。どうやら声の主はこの問題に自信満々らしい。でも簡単すぎる。

 

「え、いや誰って……ミソラちゃんでしょ?」

「ふえ……?」

 

 視界が開けた。白い手がスバルの視界から消えていく。背後の人が一歩離れたのを確認してから、スバルは振り返った。

 

「あ、やっぱりミソラちゃんだ」

 

 ピンク色のパーカー。大きなギターを背負った緑色の目をした少女がいた。だがなぜだろう、頬を思いっきり膨らませている。

 

「違うよスバルくん……」

「はい?」

「こう……なんかあるでしょ?」

 

 両手を少し上にあげて、右左へと迷うように動かしている。

 

「分かっててもわざとボケるとか……こう……ね?」

「そういうものなの?」

「そういうものだよ……」

 

 思いっきり溜息を吐かれた。どうやらスバルの反応にご立腹らしい。だが次の瞬間にはコロッと笑みに変わった。

 

「ま、いいや」

「良いの?」

「良いの。だって覚えててくれたもん。忘れられちゃってたら、どうしようかなって思ってたから」

「忘れるわけないじゃないか!」

 

 彼女の名前は響ミソラ。スバルと同じ11歳で、国民的人気アイドルだ。だがそんなことよりも重要なのは、スバルの初めてのブラザーだということである。そしてスバルにとって……彼自身、顔が少し熱くなっているのを自覚した。

 そんなスバルの隣に、ゆっくりとウォーロックが出てきた。いつもと違って、目が斜め下へと降りている。

 

「お、ロックくんじゃん。君もやっぱりスバルくんのウィザードになったんだね」

「おう。……で、『君も』って言うことはよ……いんのか、あいつ?」

『あら、あいつ呼ばわりはないんじゃないかしら?』

 

 ミソラがハンターVGを取り出すと、そこから水色の電波粒子が飛び出した。それは竪琴に目と口と手がついたような姿へと変わる。

 

「ポロロン、ご期待通り登場よ」

「げっ、ハープ!」

「ちょっと、『げっ』はないんじゃないの、『げっ』は!?」

「いやお前めんどくせえんだよ」

「どの辺がよ。私は尽くす女よ!」

 

 さっそく痴話喧嘩が始まった。

 

「相変わらずロックくんはハープが苦手だね」

「ロックも仲良くしたら? 同じ異星人同士なんだし」

 

 彼女の名前はハープ。ウォーロックの出身地であるAM星の、兄弟星であるFM星人だ。FM星人侵略の際に戦闘員として地球にやってきて、そのままミソラのパートナーになった。先ほどの会話からすると、今はミソラのウィザードになったらしい。

 ちなみにミソラとハープも電波変換ができる。

 

「スバル、てめえ楽しんでんだろ!」

「もちろん!」

「あああー! 腹立つー!」

 

 思わず笑いあうスバルとミソラ。そんな二人の時間は一瞬にして掻き消えた。

 

「うおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 絶叫が聞こえた。振り返ると、公園の入り口付近に一人の少年がいた。スバルは見覚えがないが、この街の住人だろう。

 

「ミソラちゃんだ! ほ、ほほほほ本物のミソラちゃんがいるうううう!」

 

 そのバカでかい声は大勢の人に聞こえてしまったらしい。

 

「やばいぞ!?」

 

 ウォーロックが空へと飛んだ。その間にも公園の周囲から声が聞こえてくる。

 

「ミソラちゃん、ミソラちゃんだって!?」

「あの大人気アイドル、ミソラちゃんが……!?」

「コダマタウンに来ているじゃとおお!?」

 

 ざわめきがどんどん大きくなっていく。それだけではない。足音だ。人々の足音が集まって、でかくなっていく。ちなみに、先ほどの少年は興奮しすぎたのか仰向けに倒れている。

 

「な、なに!?」

「スバル!」

 

 ウォーロックが戻ってきた。

 

「大勢の人間が押し寄せてきてるぞ。すげえ数だ!」

「大勢って……20人くらい?」

「100超えてるんじゃねえか?」

「嘘でしょ!?」

 

 ちょっとしたお祭り騒ぎである。そんな中、混乱している人が一人。

 

「うわわ、どうしよう……」

「ポロロン! だから変装しなさいって言ったじゃない」

「だ、だって……変装しちゃったら、スバルくんに気づいてもらえないかもしれないし……」

「私の忠告を無視したあなたが悪いのよ。ま、頑張りなさい」

 

 ハープはそれだけ言うと、さっさとハンターVGの中へと戻っていった。

 

「俺もそうすっかな」

 

 ウォーロックも同様にだ。なんだかんだ言って、こういう時は気が合うウォーロックとハープである。

 

「そ、そんな……見捨てないでよハープ!」

 

 こうしてみて改めて思う。目の前で話している自分のブラザーは、とんでもない人物なのだということをだ。あまりにも一緒にいるのが当たり前すぎて、つい忘れてしまう。

 

「なんて考えてる場合じゃない!」

 

 こうしている間にも、ミソラファンたちによる進撃は近づいてくる。半泣き状態になっているミソラ。スバルの気持ちは最初から決まっている。

 

「ロック、付き合ってもらうよ!」

『はぁ、しゃあねえな』

 

 ハンターVGを頭上に掲げた。

 

「トランスコード003! シューティングスターロックマン!!」

 

 ロックマンに電波変換すると、ミソラを抱きかかえた。

 

「ごめんよ!」

「きゃっ!」

 

 そして頭上にあるウェーブロードの一本へと飛びあがった。

 ここからだと公園の様子がよく見えた。幾つかある公園の入り口から、大量の人が押し寄せていた。同年代の少年少女はもちろん、青年や大人、老人まで。幅広い年齢層の人たちがミソラを探していた。中にはウィザードを出して、一緒に探している者たちまでいる。ウィザードたちにもミソラファンが多いようで、嫌々というよりは必死に探しているように見えた。

 そのミソラが、まさか頭上にいるとは思いもしないだろう。

 

「あ、ありがとうスバルくん」

「う、うん……」

 

 これが最適解だと考えて実行したが、少々まずい形になった。

 スバルの両手はミソラの背中と膝裏に、ミソラの両手はスバルの首に回されている。お姫様抱っこだと気づいて、思わず手放しそうになる衝動を抑えた。

 

「あ、あのミソラちゃん……電波変換してくれると助かるんだけれど……」

「あ、そそそ、そうだね!」

 

 なぜかミソラが顔を真っ赤にしている。

 

「ね、ねえハープ……」

『仕方ないわね。スバルくんに迷惑かけるわけにはいかないものね』

「ありがとう。電波変換!」

 

 ハンターVGを取り出して合言葉を唱えた。だがミソラに変化は起きない。

 

「……あれ?」

『どうしたのかしら?』

 

 スバルにはすぐに分かった。

 

「ミソラちゃん。ハンターVGに更新してからの電波変換は初めて?」

「え、どうして分かったの?」

 

 答える前にミソラのハンターVGが着信音を告げた。

 

『メールだわ。開くわよミソラ』

「うん。えっと……サテラポリス? 認証コード……004?」

「ミソラちゃん。そこに書いてる言葉を読んで」

「これ? えっと……トランスコード004。ハープ・ノート」

 

 ようやくミソラの体に変化が起きた。ピンク色の粒子がミソラを覆う。ピンク色のボディとヘルメットに、水色のバイザー。手には水色のギター。ちなみにギターの頭には顔がついている。これはハープがギターと一体化したものだ。

 

「あ、なれた」

「よく分からないけれど、電波人間はサテラポリスに登録されるみたいだね」

 

 そんな会話をしながらハープ・ノートをウェーブロードへ下した。ちょっと名残惜しかった。

 

「スバルくん、これからどうしよう?」

 

 下では今でもミソラの大規模捜索が行われている。

 

「電波世界なら安心だから、このまま展望台か、学校の屋上へ行こう」

「なら学校の屋上が良いんじゃないかな。ルナちゃんたちもすぐに呼べるよね?」

「良いよじゃあ……」

「うおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 絶叫が聞こえた。振り返ると、ウェーブロードに一体のデンパくんがいた。

 

「ハープ・ノートちゃんだ! ほ、ほほほほ本物のハープ・ノートちゃんがいるうううう!」

 

 そのバカでかい声は大勢の電波世界の住人達に聞こえてしまったらしい。

 

「ハープ・ノートちゃん、ハープ・ノートちゃんだって!?」

「あの大人気アイドル、ミソラちゃんが電波変換した……!?」

「コダマタウンに来ているだとおお!?」

 

 さっきの繰り返しが起きてしまった。

 

「に、逃げよう!」

「う、うん!」

 

 どうやら電波世界も安全ではないらしい。2人はウェーブロードを飛び移って、慌てて逃亡した。

 後に分かったことだが……この時、コダマタウンでのみ電波通信障害が起きていたらしい。




〇響ミソラ
 僕たちのアイドル。国民的人気歌手でその実績は(中略)。
 背負っているギターは、トランサーの機能も付いています。と言っても、機種がハンターVGになった今は使ってないらしいですが。
 FM星人のハープと電波変換ができます。今までスバルくんと一緒に、色んな戦いに参加してきました。
 なんかもう色々と凄すぎます!

〇ハープ
 ミソラちゃんのウィザード。FM星人らしいです。
 ウォーロックとは仲が良いのか悪いのかよく分からないです。

 参照.マロ辞典より抜粋
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