流星のロックマン Arrange The Original 3 作:悲傷
次回更新日は、7月14日(金)です。
ドラマ撮影の当日。スバルは忘れずにミソラに渡すものをカバンに入れ、キザマロに指定された時刻にウェーブライナー乗り場に向かった。そして驚愕の光景を見ることになる。
「ゴン太。もう来てたの!?」
そこにはゴン太がいたのだ。隣にはキザマロもいる。
「聞いてくださいよスバルくん。ゴン太くんったら、今日は一番乗りだったんですよ」
「おう、目覚まし三つぐらいかけたぜ!」
『いつもそうしろよ』
ほんとうになとスバルはウォーロックの発言に頷いた。それならルナのお怒りだって減るのだから。
「ところで、その背中のリュックは?」
ゴン太とキザマロの背中にはリュックサックがある。大体予想はしていたが、一応聞いておいた。
「そんなの決まっているでしょう?」
二人が中を取り出して見せる。予想と寸分違わぬ結果だった。
「ミソラちゃん応援グッズです!」
「ミソラちゃんファンクラブとして当然だろ!?」
「……そう」
ミソラのことは好きだが、ファンというわけではないスバルには、理解できない領域だった。
『で、後は委員長とジャックか?』
『ジャックくんは先にオクダマスタジオに行ってるってメールが来てたから、後は委員長だけだね』
「委員長ってば、珍しく遅いよね」
「俺、頑張って早く来たのにな……」
「たぶんあれですよ。昨日帰る前に行ってた、あれ」
「あれか~」
昨日下校する際、ルナのハンターVGにメールの着信があったのだ。彼女は飛び上がって喜ぶと、勿体つけるように宣言したのだ。「明日、皆に見せたいものがあるの。楽しみにしていてね」と。
「一体何なんだろうね」
『統計的にはそろそろ来るはずなんだけれどね』
『そんなことまで分析してんのかよ』
ペディアの分析力に脱帽していると、そのルナがやってきた。その姿を見て、スバルは目を細くした。
「ごきげんよう、皆」
「……委員長、僕たちエキストラ役だよ?」
「あら、私の格好がどうかしたかしら?」
大ありである。黒いドレスをイメージさせる服を着ているのだから。女優にでもなったつもりなのだろうか。
『おい、頭大丈夫か?』
「なんですって!」
「あ、うっすらと化粧してる」
顔を真っ赤にしてルナが数歩下がった。
「そ、そんなことより、あなたたち……昨日言ったことを覚えているかしら?」
覚えてるも何も、ちょうどその話をしていたところである。
「なにか見せてくれるんだっけ?」
「フフフ、よく訊いてくれたわね」
本当に頭は大丈夫だろうか。いつもよりテンションがおかしい。
「さっそく紹介するわ」
そういって、ハンターVGを取り出した。
「ウィザードオン!」
「え?」
ハンターVGから緑色の電波が飛び出した。それは耳の長い兎だった。緑色で、目は黄色い。さかさまになった赤い帽子にすっぽりと収まって、ちょこんと手だけを出している。
「かわいい~」
「かわいいですね」
「いいんじゃねえの!?」
スバルたちの賛辞を受けて、緑の兎は帽子ごとくるりと一回転して見せた。
「こんにちは。私、ルナちゃんのウィザード。名前はモードです。よろしくお願いします」
最後に一礼。とても丁寧なウィザードだ。
「委員長、ついにウィザードを持ったんだね!」
「なんとも委員長にお似合いのウィザードですね」
「当然よ。大事なパートナーですもの。じっくり時間をかけて設計したし、お小遣いもつぎ込んだわ。お父様とお母様のお手伝いをして、ちょっと融通してもらったし」
そこで買ってくれるのではなく、対価として労働をさせるところがルナの両親らしい。厳しさと優しさを持っていると言える。
「得意なことはおしゃれスポットの検索と、ファッション情報の情報収集です。今日は私がコーディネートしてみました!」
「ああ、だからか……」
なのでこんなトンチキな格好をしているらしい。
「ルナちゃんのクールさを出すために、まずはメインカラーを黒に設定。白いブラウスに黒いジャンパースカートです」
長袖の白い服。フリルなどはついておらず、シンプルだ。ジャンパースカートは胸元からひざ下までの長いものだった。
「ルナちゃん、丈はもっと短いほうがよかったですか?」
「い、いえ。これで充分よ」
「白色のソックスと、黒いブーツ。今回はツインテールの止めリボンも黒っぽいのに変えました」
配色が黒と白しかない。だがルナの金髪を考えると、これ以上色を足すのはよくないかもしれない。カラフルというよりは落ち着きのなさにつながりそうだ。まじめなルナにはかえって合わないだろう。
「ど、どうかしら?」
「良いと思います」
「ばっちりだぜ委員長!」
ゴン太とキザマロからは好評だった。スバルもたぶん良いと思う。
「うん、いいんじゃないかな?」
「そう、よかった!」
スバルが称賛すると、ルナはようやく緊張した顔を崩した。
「さすがモードね」
「やった。ルナちゃんの役に立てました!」
ぴょんぴょんと飛び跳ねるモード。愛くるしいことこの上ない。
「そっか、これで俺だけか……ウィザード持ってないの……」
ゴン太がしょんぼりと項垂れた。量産型のウィザードですら予約が殺到しているのだ。ゴン太の番が回ってくるのはだいぶ先のことかもしれない。
「まあまあ、そのうち持てますよ」
「そうそう、私だってオーダーメイドだけれど、こうしてモードが来てくれたわけだし」
「それに、いても煩いだけってこともあるよ」
『おい、それは俺のことかスバル!』
ハンターVGからウォーロックが飛び出してきた。
「他に誰かいる?」
「てめえ、本当に一度いなくなってやろうか!」
「ロックがいない、静かな暮らしか。それも良いな~」
「おい、家出していいかまじで?」
言うまでもないことだが、これはスバルとウォーロックのじゃれあいである。互いに本気で言ってはいない。
そんな他愛ない話をしているとウェーブライナーが来た。
「さあ行きましょう。ジャックと合流しないと」
四人とウィザード三体が乗り込むと、すぐに発車した。目指すはオクダマスタジオだ。
〇白金ナルオ
委員長のお父さん。企画開発の仕事をしている。結構なお金持ち。
厳しい人らしい。でも委員長は良い人だと言ってます。家族リッチ自慢コンテストとかに出て、優勝してきたとか。
〇白金ユリ子
委員長のお母さん。三角形の眼鏡が似合う。委員長のお父さんと一緒に働いている。
こっちも厳しい人らしい。最近は委員長のために料理を勉強してるらしいです。
参照.マロ辞典より抜粋