流星のロックマン Arrange The Original 3 作:悲傷
カウントダウン!
残り6日!
スバルたちはミソラと別れて、ライブ会場へと移動した。ミソラはライブの準備があるらしい。浦方マモロウと会った場所に向かう中で、スバルはその時のことを話していた。
「大きなプロジェクターでさ、ミソラちゃんのライブ会場になるんだって。それを作っていたマモロウさんって人がすごくってさ!」
「そうなんですか。ぜひ会ってみたいです!」
「うん、タイピングがすごく早くって、見る見るうちにプログラムが……」
「分かった、分かったから……」
盛り上がりだすスバルとキザマロを、ルナがげんなりとしながら抑える。ゴン太はというと、歩きながらレトルト牛丼を食べている。オックスと一緒にだ。レトルト牛丼を携帯していることにも、ウィザードが人間の食べ物を食べれることにも驚いたが、突っ込まないことにした。
そうしているうちに、ライブ会場に着いた。
「で、スバルくん。そのマモロウさんてどんな人なの?」
なおも止まりそうになかったオタクコンビの話を遮るように、ルナが尋ねた。
「えっと、ドレッドヘアーが八方向に伸びてて……」
「あの人ですか?」
モードが実体化した。指さす方を見てみると、八本のドレッドヘアーの男性がいた。例のプロジェクターの前でかがみ、必死にエアディスプレイを操作している。スバルはそれを見て違和感を覚えた。
先ほどのスムーズなタイピングとは違う、何か苦戦してるような印象を受けた。
「マモロウさん!」
浦方は振り返ることもなく答えた。
「スバルくんか。今手が離せなくて……この!」
エアディスプレイの画面がちらりと見えた。電波ウイルスの姿が見えた。
「もしかして、プロジェクターに?」
「ああ、そうなんだ!」
「すいません、アクセス権限をください」
浦方は驚いたように振り返った。だが隣に出てきたウォーロックを見て、頷いた。
「本当はよくないんだが、それ!」
スバルのハンターVGにアクセス権限が贈られた。タッチして承認。そしてウォーロックに告げる。
「ロック!」
「任せておけ!」
スバルのエアディスプレイにプロジェクター内の様子が映された。電波ウイルスたちが右へ左へと闊歩している。そこに、電脳内に飛び込んだウォーロックが映る。
「バトルカード、マッドバルカン!」
ウォーロック手がバルカン砲に変わる。銃口から多数の弾が飛び出し、ウイルスたちを次々に砕いていく。脅威を覚えたのか、生き残った何匹かが逃げようとする。
「スカルアロー!」
ウォーロックが手に弓矢を持った。斜め上に向かって、弧を描くように放つ。逃げようとしていたウイルスたちを奇麗に射抜いた。
『他にはいねえみたいだぜ、スバル』
「ありがとう」
「助かったよ、スバルくん」
浦方は肩の荷が下りたという顔でスバルに礼を言った。
「俺もウイルス退治は苦手ではないんだが……やはり今はウィザードがいないと難しいな」
「そうですね、ウイルスも強力になってきていますし」
どうやら浦方はウィザードを持っていないらしい。
「これで、最終チェックさえ終わらせれば完成だ」
浦方がプロジェクターに触ろうとした時だった。ウォーロックが中から出てきた。険しい顔をしている。
「スバル、倒したウイルスからこんなのが出てきたぜ」
手には一枚の手紙があった。どうやら文章データらしい。
「なんでウイルスが?」
データをハンターVGに読み込み、開く。
「……え?」
中身を見て、スバルは言葉を失った。
「どうしたんだ、スバル?」
「何が書いてあったの?」
ルナも覗き込んでくる。そしてスバルと同様に青ざめた。
「響ミソラのライブを中止にしろ。中止にしなければ、観客は無事では済まない……」
スバルはゆっくりとマモロウを見た。
「これって……」
「脅迫状……だな」
「そ、そんな!」
ルナの言葉を最後に、沈黙が下りた。だが浦方がすぐにそれを破った。エアディスプレイを開いて、何人かに同時に回線を繋げた。
少々早口で分かりづらかったが、彼らは『ミソラサポーターズ』のメンバーらしい。この脅迫状に対抗するよう指示を出しているようだ。
「以上だ。皆、俺たち『ミソラサポーターズ』の結束力が試される時だ。ウィザード監督たちにも伝えておいてくれ」
『分かった。任せておいてくれ』
そこで通信は終わった。
「というわけだ、スバルくんたちは大部屋に避難しておいてほしい」
これはオクダマスタジオの問題だ。スバルたち小学生を巻き込むのは違うだろう。だが、はいそうですかと下がれるスバルではない。
「マモロウさん、僕にも手伝わせてください」
浦方は面食らったようだが、すぐに手を横に振った。当然の対応だろう。
「スバルくん、これは俺たち大人の仕事だ。さすがに任せられない」
「お願いです。ミソラちゃんが危険なのに、じっとしているなんて無理です!」
「いや、けどな……」
するとウォーロックが口をはさんだ。
「そうか、ならスバル。俺たちは勝手にやらせてもらおうぜ」
そう言いながらも、目は浦方を見ていた。つまり、スバルを目の届く範囲に入れておくか、勝手に行動させるかのどちらかを選べと言っているのだ。勝手に動かれる方が困るのだが、だからと言って前者も選びづらい。
困った顔をする裏方。あともう一押しといったところだろうか。どう手を打とうか。
「裏方さん……」
そこで援護を入れてくれたのはルナだった。
「私はスバルくんのブラザーで、白金ルナと言います」
「ん、ああ……そうなのかい」
「私からもお願いします。スバルくんを『ミソラサポーターズ』に加えてあげてください」
ルナの後ろで、ゴン太とキザマロが飛び上がった。
「先ほども見た通り、スバルくんの電波ウイルスを退治する力は本物です。これまでも、いくつもの大きな問題を解決してきた実績もあります。きっと力になってくれると思うんです」
浦方がプロジェクターの方を見た。先ほどのウォーロックの戦いぶりを思い出しているらしい。
「裏方さん、さっき言ってくれましたよね。僕に、ブラザーとしてミソラちゃんを支えてあげてほしいって。僕にとっては、今がその時なんです」
スバルは小細工なしに、ただ自分の気持ちを伝えた。浦方が目をつぶる。そして意を決した。
「分かった。ただし、俺が常に同行する。俺が危ないと思ったら、すぐに引く。約束してくるか?」
「はい、もちろんです!」
ようやく浦方は認めてくれた。浦方がハンターVGを操作する。スバルのハンターVGに『ミソラサポーターズ』への勧誘が来た。承認ボタンを押すと、レゾンが書き換わった。
―― レゾン結成 ――
―― チーム名:ミソラサポーターズ ――
―― レゾン :ライブを成功させる ――
メンバーには、スバル、浦方……それと何人かのスタッフたちがいた。
「い、良いのかよ委員長!?」
「見てくださいよ。ルナルナ団のメンバーから……」
キザマロのエアディスプレイにはルナルナ団のメンバーが映っている。ルナ、ゴン太、キザマロはいるが、スバルがいなくなっている。レゾンは基本一つしか設定できないため、スバルが外れてしまったのだ。
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。ミソラちゃんが大変な目にあっているのよ」
ゴン太とキザマロと異なり、ルナは何一つ動じていなかった。
「ごめんね、委員長。終わったらすぐに戻るから」
「馬鹿ね、ここはお礼を言うところよ」
「そうだね、ありがとう」
ちょうど裏方のハンターVGが着信を告げた。メールらしい。
「……スバル、倉庫のオートロックが動かないらしい。ライブに使う機材が取り出せない状態だ」
ウォーロックが鼻を鳴らした。
「ほ~、さっそく妨害をおっぱじめやがったか!」
「ウイルスかもね。マモロウさん、行きましょう!」
「ああ」
浦方が先に走り出した。スバルの道案内をするためだろう。後を追うように、スバルも走り出した。
◇
ルナは黙してスバルを見送った。とんがり頭が角を曲がって見えなくなる。そして、大きくため息をついた。
「私って、ほんとおせっかいね……」
〇オックス・ファイア
メテオサーバーの情報解析に成功。
ロックマンの味方の一人。地球人の牛島ゴン太とFM星人のオックスが電波変換した姿。
口から吐き出す炎が強力。また、巨体を生かした拳や体当たりも脅威である。単純な攻撃力のみなら、ロックマンを凌駕する。
しかし、力任せの攻撃が多いことと、巨体ゆえの鈍重さが目に付く。
総合的な戦闘能力はそれなりと見られる。
参照.ハートレスの書記より抜粋