流星のロックマン Arrange The Original 3 作:悲傷
カウントダウン!
残り5日!
エグゼのころから思っていましたけれど、ヒールナビや、ヒールウィザードって、どういう経緯で販売されたんでしょうね。
私なりに考えた設定を今回は出します。非公式設定なので、あしからず。
明日も更新します。
スバルは浦方の後ろについて、オクダマスタジオを駆けた。案内されるような形で、トラブルが起きている倉庫の前に来た。一人の男性スタッフが浦方に説明をする。どうやら電子ロック式で、操作を受け付けない状態らしい。
「俺のウィザードを中に入れたんですが、応答がなくって……」
「僕に任せてください!」
スバルとウォーロックが前に進み出た。ここは二人の出番だろう。
「ああ、任せたぞスバル。こいつがアクセス権限だ」
浦方からアクセス権限を借り、スバルはウォーロックを中へと送り込んだ。エアディスプレイにウォーロックと電脳世界が映る。電脳内を少し進むと、大きな物体を見つけた。ウォーロックが近づくと、画面が鮮明になってくる。
『なんだこいつは!?』
スバルも驚いた。それは氷の塊だった。高さはウォーロックの2、3倍はある。その中には一体のウィザード。
「俺のウィザードだ!」
先ほどの男性スタッフが悲鳴を上げた。
「氷なら溶かすしかない。バトルカード、マシーンフレイム!」
『おら食らえ!』
およそ救出とはかけ離れた掛け声を上げて、ウォーロックは腕に付いた火炎放射器を向けた。氷が炎に包まれる。これで氷が溶けるはずだった。5秒ほど経った頃、ウォーロックが手を止めた。
『……駄目だスバル。火力が足りねえ!』
氷は平然とその場に居座っていた。小さくなったようにすら見えない。マシーンフレイムの威力は確かで、電脳内の床にはヒビが入っている。
『こいつは一点集中の火力がいるな。それも、バトルカードを上回るくらいのやつだ』
「そんなこと言われても、バトルカード以外に炎なんて……」
そこまで言って思い出した。スバルは別のエアディスプレイを開いて、電話を開いた。これでウィザードは救出できる。一件落着だろうと安堵していた。だがそういう時にトラブルは起きるのだ。
『スバル、敵だ!』
ウォーロックが叫びながら後ろに飛び退いた。ウォーロックがいた場所を、電気の鞭が激しく叩いた。
「誰!?」
エアディスプレイの画面角度を変える。ウォーロックの前方には一体のウィザードがいた。赤紫色のボディに、吊り上がった黄色い目。側頭部と肩には小さな角。そして手には先ほどの電気の鞭。
『こいつは確か……』
「ヒールウィザードだ!」
ヒールウィザード。こちらも一般的に販売されている、量産型ウィザードだ。だが今までスバルが目にしてきた量産型ウィザードとは異なる種類だ。
スピカモールで暴走したウィザードや、今氷漬けにされているウィザードは、ノーマルウィザードと呼称される。それに対し、この鞭を持ったウィザードはヒールウィザードと呼称する。量産型でありながら戦闘に長けた性能を持っている。
どちらも開発販売メーカーが使う正式名称ではない。あくまで世間一般的な呼び方だ。ただこのヒールウィザード、少々問題点があるのだ。
『ヒッヒッヒ、その氷に用があるのか? 悪いがそいつはできねえな。お前はここでおしまいだ!』
言い終わるが早いか、また鞭を振るってきた。ウォーロックは、自分の緑色の
「バトルカード、グランドウェーブ!」
『オラッ!』
ウォーロックの手にツルハシが握られた。それで地面をたたくと、一本の衝撃波が波を立てて走った。ヒールウィザードに直撃した。
『ギャヒィ! やりやがるな。なら……来い、ウイルス共!』
ヒールウィザードが手をかざすと、二体の電波ウイルスが召喚された。指示に従うように襲い掛かってくる。
「やっぱり使ってきた……」
ヒールウィザードには一つ、大きな特徴がある。それが電波ウイルスの使役だ。人間にとって害悪でしかない電波ウイルス。それを退治するのではなく、従えて戦力してしまおうという目的で開発されたのだ。実際これは強力で、電波ウイルスと戦う際に大きな効果をもたらしてくれる。
だがそのウイルスによる悪影響なのか、戦闘に長けているゆえの弊害なのか、ヒールウィザードはどうも人格が好戦的なのだ。中には人間に反旗を翻し、こうして悪事を働く者もいる。なんでも、開発元の会社がやらかしてしまったとか……。
今は改善されたプログラムがアップデートされており、その後に販売されたウィザードにもきちんと組み込まれている。しかし、アップデートを受けていない初期型のヒールウィザードは、こうして人間の元を離れて、悪事を働いているに至る。
そんな彼らの世間的な扱いは、電波ウイルスと同じだ。
『ぶっ倒すぞスバル!』
「うん、行くよ!」
元は人間に作られた存在ゆえに、少々かわいそうではある。だが彼らを放置しておくことはできない。
「バトルカード、エアスプレッド!」
ウォーロックの手が銃に変わった。高速の弾丸が正面のウイルスに命中した。そこから複数の弾が当たりに飛び散り、もう一体のウイルスとヒールウィザードを巻き込んだ。彼らの動きが止まる。
「ボボボンボム!」
スバルはちらりともう一つのエアディスプレイを見ると、別のバトルカードを送信した。ウォーロックの手には黒い塊が握られる。一本の導火線がついた爆弾だ。
『行くぜ!』
ヒールウィザードとウイルスの中央あたりに、それを投げつけた。これは少々使いづらいバトルカードで、敵に当てる爆弾ではない。床などにおいて、その後に炎属性の攻撃を当てると爆発するのだ。手間がかかる分、威力は高い。
ここでスバルは炎属性のバトルカードを送るべきなのだが、そうしなかった。必要がないのだ。代わりに火をつけてくれるものがいるのだから。
『ファイアブレス!』
ウォーロックが後ろへと飛び退くと、頭上から炎が降ってきた。それはボボボンボムの導火線に触れ、爆発させた。
『ギャアアア!』
悪事に手を染めたヒールウィザードは、二体のウイルスと共に跡形もなく消滅した。終わってみれば、無傷のウォーロックがそこにいた。
『へっ、よく分かったな。お前にしちゃ察しが良いじゃねえか』
『ブルル、俺を当てにしておいて、その言い草はねえんじゃねえのか?』
ウォーロックの前に赤いウィザード……オックスが下りてきた。
『へっ、そうだな。ありがとうよ』
『お、おう……お前が礼を言うとはな。悪いもんでも食ったか。牛丼食うか?』
『お前にだけは言われたくねえよ。ってか、さっそくゴン太に感化されてんじゃねえか!』
そんな二人を置いておいて、スバルは電話相手にお礼を言った。
「ありがとうゴン太」
『おう、そのままオックスを連れてってやってくれ』
炎のスペシャリスト、オックス。彼がいれば心強い。さて、さっさと本題を済ませてしまおう。
「ケンカしてる場合じゃないよ。オックス、そのウィザードを助けてあげてほしいんだ」
バトル中、ずっと忘れされられていた氷漬けのウィザード。これ以上の放置はかわいそうというものだ。
『おう、任せておけ。オックスフレイム!』
オックスは口から炎を吐き出した。先ほどのファイアブレスとはどう違うのかは分からないが、彼にとっては違う技らしい。氷が見る見るうちに溶けて、びしょ濡れになったウィザードが息を吹き返した。
『た、助かった。ごっつ寒かったわ。どないなっとんねん、ほんま!』
今度はアキンド弁のウィザードだった。ウィザードに訛りを持たせるのが流行っているのだろうか。
『良かったな』
『ブルル、俺様に感謝しろよ』
『ほんまおおきに!』
「あのさ、ちょっと良いかな。君を氷漬けにした人はどんなウィザードだった?」
これだけの氷だ。ウイルスの仕業とは考えられない。それに先ほどのヒールウィザードとも考えづらい。あいつにはこれほどの氷を生成する力はないはずだ。スバルの予想は的中した。
『女のウィザードやったな』
「女……」
さっきのヒールウィザードはどう見ても男型だった。やはり別にいるみたいだ。
「特徴は?」
『見たことないやつやったな。あと、どえらい別嬪やったで。ワイの好みやわ~』
「……そう?」
と言われても、人間のスバルにはウィザードの容姿端麗というものが分からない。
「他には?」
『知らん』
「……そっか」
手掛かりはほぼ無しだ。女ということくらいしか分からない。さっきのヒールウィザードを生かしておけば、情報を聞き出せたかもしれない。思った以上に弱すぎて、勢い余って倒してしまったことが悔やまれる。眉をしかめるスバルの肩に手が置かれる。浦方だった。
「とりあえずスバル、よくやってくれた」
「ありがとう、俺のウィザードを助けてくれて」
浦方と男性スタッフから感謝された。それにこれでミソラのライブ道具を取り出すことができるのだ。今はこれで良しとしよう。
そう思った時、浦方のハンターVGが鳴った。浦方がメールを開く。
「スバル、またトラブル発生だ!」
「分かりました!」
犯人の妨害は続く。今はできることに専念しよう。
〇アキンドシティ
ニホン国の西の方にある都市。商いが盛んです。方言が結構きついです。
参照.マロ辞典より抜粋