流星のロックマン Arrange The Original 3 作:悲傷
おめでとう!
この話は、この日に投稿したかったのです!
次回の更新は8/6(日)です。
ミソラのライブ、最後の曲。観客たちの視線は、ステージに立つ一人の少女へと向けられる。シンと静まり返る会場。その中で一人歌うのだ。それはどれほどのプレッシャーなのだろうか。見ているスバルの方が手に汗を握ってしまった。
だが、そんな緊張など飲み込んでしまう少女らしい。ミソラはギターを持ち直すと、体でリズムを取り出した。そして手が動き出す。流れ始める軽快な曲。音が弾み、人々の胸が高鳴る。そして歌い出した。
――ウェーブロード 広い世界――
――夜空見上げ 独りぼっち――
――キズナ 探して ただ彷徨う――
観客たちのサイリウムが一斉に動き出す。
――うそに怯え 逃げ続けて――
――こどくにさえ 気がつかずに――
――ただ 唄い続けていたの――
曲はより高く、大きく飛び上がる。
――星の 光が 輝く――
――私の 心に 降り注ぐ――
――そして あなたと 巡り会えたんだ――
ようやく、スバルは理解した。
――アワ・バンド・ワズ――
――ディスカバード・ゼン――
ミソラの汗が滴るのが、この距離からでも見えた。
――震えて 泣いていた 私を 見つけてくれたね――
――シューティング・スター――
――くらやみ 照らし かけてく――
上がっていく観客たちのボルテージ。曲も、ミソラの歌声もより力強くなっていく。
――その 笑顔に 力貰うんだ――
――こわいものなんか 何もない――
――振り返らない ずっと 前を見て 光 つかむ――
この中で、たぶん顔を赤くしてるのは自分だけだろう。そして、ミソラと目があった。
――キミの笑顔――
――それが 私の ハートなんだよ――
――シューティング・スター――
――くらやみ てらし かけてく――
最後のウインクは、きっと一人に向けられたものだろう。
ミソラの曲が終わる。歓声。絶賛の声。ミソララブと叫ぶ大勢の人々。
こうして大盛況の中、ライブは終わりを告げた。
―― チーム名:ミソラサポーターズ ――
―― レゾン :ライブを成功させる ――
―― レゾン達成 ――
◇
観客たちが帰り、ミソラのライブ会場には誰もいなくなっていた。今はライブを作っているプロジェクターの出力テストのため、ライブ会場は展開したままだ。というのが表向きの話。今、そのライブ会場は二人の貸し切りとなっている。
「あの、どうだったかな?」
「す、すごく良かったと思うよ!」
「そ、そう!?」
ステージ上での活発な彼女はどこへやらだ。ミソラは顔面どころか、手や足まで真っ赤にして手をモジモジとさせている。負けじとスバルも全身真っ赤になっている。
数秒の沈黙ができてしまった。耐え切れず、話し出そうとする。
「あ、あの……」
「あ、えっと……」
だが同時だ。声が重なって、互いに遠慮してしまって、また無言になってしまった。
「ええと、ミソラちゃんからどうぞ」
「あ、うん……え、えっとね……ブラザーになった時のこと、覚えてる?」
「もちろんだよ。展望台で……」
ふとスバルは思い出した。
「あの時の約束かな?」
「あ、覚えて……はないね、スバルくん?」
「すいません、今思い出しました」
「フフ、良いよ。もう半年くらい前の話だもんね」
ブラザーバンドを結んだあと、ミソラはギターを弾きならしたのだ。今の気持ちと、スバルをテーマにした曲を思いついたと。
「一番に聞かせてあげるって話だったけれど、新曲として発表しようって、いろんな人たちに言われて……」
「そうだったんだ……」
たぶん、曲を作っているところを聞かれてしまったのだろう。音楽関係者の偉い人たちからの提案で、こうして世間に公表することになったわけである。
浦方が「ラストソングだけは」というはずだ。
「ありがとう。最高の曲だったよ」
「ほんと? スバルくんへの良いプレゼントになったかな?」
「もちろんだよ」
「良かった……」
目を細めて微笑むミソラ。胸を掴まれるような感覚に襲われた。
「あ、あの……そそそ、そういえば……」
「なあに?」
「ミソラちゃん、すごいよね。あれだけ妨害が起きていたのに、ステージの上で歌って……」
「あ、それは……」
ミソラは自分の胸元に手を入れ、何かを引っ張り出した。ペンダントだった。スバルがプレゼントした物だ。
「スバルくんが一緒だって、守ってくれるって、分かってたから……だから、私がその分お客さんたちを守らないとって……」
「そっか……任せてよ。ミソラちゃんは僕が守るから」
「うん、知ってる」
「そっか、知ってるか……」
それだけ信頼があるということなのだろう。自分の胸にある父のペンダント。それが別の意味で誇りに思えた。
と、その時だった。スバルのハンターVGが鳴った。電話だ。出ると、ゴン太とキザマロの顔がデカデカと映った。
『大変だスバル。スズカちゃんがやばい!』
「え?」
『オクダマスタジオの入り口です。すぐに来てください!』
「分かった!」
エアディスプレイを閉じるが早いか、ミソラとアイコンタクトを交わして、電波変換をした。今は一秒でも移動時間が惜しい。
〇ボツネタ④
この2章では、キャンサー・バブルと、クラウン・サンダーの登場も考えていました。ムーン・ディザスターもです。
経緯は……ミソラの控室に行く→ウェーブロードで言い争っているキャンサー、クラウン、そしてムーン・ディザスターを発見→ムーン・ディザスターは「ミソラとかいうアイドルと歌勝負するYO!」とやってきて、それをミソラちゃんファンクラブのメンバーであるキャンサーたちが止めていた→ロックマンがやめてほしいというと、力づくで来る→ロックマンが勝つ→せめてミソラの曲を聞いていってほしいという→ライブの妨害中、ロックマンと共に電脳へ来る3体。周りのウイルスたちを抑える働きをする→ライブ後、ムーン・ディザスターはミソラのファンになっており、意気揚々と帰っていく→ミソラ「スバルくん、あの人だれ?」スバル「……えっと……どう説明しよう?」
という流れを考えていました。
ですが、ただでさえ2章は……スズカ、アイス、浦方と新登場キャラが多く、彼らを入れて無駄なやり取りさせても蛇足である。むしろ物語がごちゃごちゃしてきてテンポが悪い。なにより、ムーン・ディザスターのキャラが崩れている。
という理由からボツにしました。
この3人は別の形で出してあげたいですね。