流星のロックマン Arrange The Original 3   作:悲傷

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 そういえば皆さんは、流星のロックマン パーフェクトコレクション、どこまで進みました?
 私はドラゴンで、最終章で、ウォーロックがスバルを”見限って”出て行ったところです。
 時間無いよ~……


第40話.観光地。それは呆けたやつが行くところ

「夏休み中に、ヤエバリゾートに行ったのだけれど、その時はバスだったの。今回はウェーブライナーだから、早いわよ」

「へ~、そうなのか……」

 

 場所はウェーブライナーの中。ドリル女の話を、ジャックは聞き流しながら頷いていた。以前よりも時間がかからなくなったという点には感謝しておこう。まあ、そもそも行ったことがないし、行きたくすらないのだが。

 ウェーブライナーはトンネルに入ったらしい。窓の外は街並みから黒へと変わった。

 

「その時、私はいなかったので、どんなところか楽しみです!」

 

 とはしゃいでいるのは、ドリル女のウィザードのモードだ。

 

「そうね、私もあなたと行くの、楽しみよ」

 

 よくも観光地に行くというだけで、ここまでテンションを上げられるものだ。……いや、もしかしたらルナルナ団の活動なのかもしれない。コダマ小学校の生徒の誰かから、依頼を受けたのだろう。生徒会長選挙の一票の獲得のために、ここまでするだなんて……物凄い執念だ。

 

「今日はスバルたちはいないのか?」

「スバルくんは、別の友達から相談を受けてて、欠席よ。キザマロは学校で起きた謎の事件を追ってもらってるの。だから、今日は私たちと、先に行っているゴン太の3人だけよ」

 

 ああ、やっぱり選挙活動らしい。またつまらない物に付き合わされるのだろう。それが顔に出ていたらしい。ドリル女は微妙な表情をした。

 

「ジャックくん。ヤエバリゾートは良いところだから、きっとあなたも楽しんでくれると思うわ」

「ふん、どうだかな……」

 

 観光地。それは平和ボケした連中が、わざわざ遠くに出向いて、よりボケて呆ける場所だ。そんなところに、なんの魅力があるというのだろう。バカバカしい。

 

「どうせつまんねんところだろ」

「あら、そんな事言っていいのかしら? あ、ちょうどいいわ。見なさい!」

「あ?」

 

 ドリル女が指さす方を見る。窓の方だ。何が見えるというのだろう。ちょうどトンネルを出たようで、黒い世界は終わった。代わりに広がった光景に、ジャックは思わず声を漏らした。

 

「うわ……」

 

 銀景色。これは雪だ。一面に雪が降り積もっている。立ち並ぶ細い木々に、透き通る青空。遠くに見える真っ白な山々。太陽の光を反射しているのだろう、目がチカチカする。

 

「あら~?」

 

 ハッと気づいて振り返ると、勝ち誇った笑みを浮かべるドリル女がいた。

 

「どうせつまらない、なんて言ってなかったかしら?」

「べ、別に! み、見慣れない景色だったから、見ちまっただけだし!」

「そうね、それも観光の良いところよね」

 

 もっとからかってくるのかと思ったが、案外すんなりと引いてきた。

 

「さあ、降りるわよ」

 

 そうこうしているうちに、駅に着いた。ドリル女はさっさと降りていく。

 

「お、おう」

 

 続いて降りようとして、少しだけ足を引いた。怖がるものでもないと考え、すぐに足を下した。シャクッと足の下で音が鳴った。

 

「……へ~。これが雪ってやつか……」

 

 シャクッ、シャクッとジャックが歩くたびに、音が鳴る。何だろう、この雪を踏み潰す感触は。

 

「珍しい?」

「え、うわ!」

 

 いつの間にか、ジャックの隣に少女がいた。日焼けした顔に、青い目。髪は茶色で、上の方でひとまとめにしている。服装は黄色いバンダナに、黄色いスキーウェア。

 なんかすっごい気さくに話しかけてくるが、どう考えても初対面だ。

 

「だ、誰だお前!」

 

 ジャックの当然すぎる質問。だが、必要なかったらしい。

 

「久しぶりね、アイちゃん!」

「ルナちゃん、久しぶり!」

 

 ドリル女が、アイと呼ばれた少女とハイタッチをした。あ~、そういえば「ヤエバリゾートにいる友達が困ってる」と言っていた。この少女の事か。

 

「ジャック、紹介するわ。この子は滑田アイちゃん。私たちと同い年なんだけど……国際大会にも出場している、スキーのニホン代表選手よ」

「ニホン代表だと?」

「えへへ、まだまだ未熟だけどね」

 

 これには素直に驚いた。とんでもない天才少女だということは、ジャックにも分かる。

 

「で、こっちがジャック。私たちルナルナ団の新しい一員よ」

「いや、勝手に決めるな!」

「ルナルナ……団?」

 

 滑田アイがものすっごく反応に困った顔をした。まあ、まともな人間はこんな反応になるよな……と少し同情した。

 

「よろしくね、ジャックくん!」

「あ、ああ……」

 

 握手を求められて、素直に応じておいた。正直仲良くする気はないが、ルナルナ団とかいう珍名からは話題を逸らしたい。

 

「そういえば、ゴン太が先に来てるって聞いたけれど……」

 

 実はゴン太なんてどうでも良いのだが、ルナルナ団について熱く語ろうとしているドリル女に、話題の権利を渡すわけにはいかなかった。なんとか思いついたのが、あのゴン太しかなかったのである。

 

「あ、ゴン太くんなら、うちのグルメタウンで牛丼カレー食べてるよ。戦前の腹ごしらえだって……」

「牛丼なのかカレーなのか、はっきりしろよ」

「うん、ゴン太くんに喜んで欲しくて、私が考えたんだけれど……やっぱり変だったかな?」

 

 その時、ジャックは見た。滑田アイの頬が赤いことに。

 

「え……?」

 

 いや、まさかね。




〇滑田アイ
 ニホン代表のスキー選手。僕たちと同じ11歳です。
 普段はヤエバリゾートで練習をしています。最近は新技を開発したらしいです。
 ゴン太くんには、二回ほど危なかったところを助けてもらったことがあります。それもあってか、ゴン太くんとはとても仲が良いです。怪しいですよね~、応援していますよ。

〇滑田オサム
 アイちゃんのお父さん。ヤエバリゾートのオーナー。
 ゴン太くんがアイちゃんを助けた時、お礼にとスイートルームを無償で貸してくれた、太っ腹な人です。

〇ヤエバリゾート
 観光名所。マテリアルウェーブ……今はリアルウェーブを使った人工雪のおかげで、いつでもスキーが楽しめます。料理も美味しいです。
 営業妨害を受けて廃業危機に陥っていましたが、ロックマンの活躍によって無事に解決。今は、元通りの大繁盛らしいです。
 
 参照.マロ辞典より抜粋
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