流星のロックマン Arrange The Original 3 作:悲傷
ついにあの大人気キャラが登場します!
コダマ小学校の玄関。ここの特徴と言えば、初代校長先生の銅像と、たくさん並べられたトロフィーという名の過去の栄光だろう。ちなみに夜になると銅像の髭が伸び、トロフィーが一つ増えるらしい。
両方とも学校の七不思議らしいが、よくもまあこんな狭いところに7分の2も押し込んだものである。
待ち合わせ場所はトロフィー置き場だ。ここにスバルの客人が来るらしい。だがスバルたちを待っていたのは無人の空間だった。
「ここだよね、ロック?」
『ああ、間違いねえ』
ウォーロックが再度メールを開いて見せた。コダマ小学校の玄関にあるトロフィー置き場。やっぱり間違いないし、ここしかない。
ルナたちも周囲を見渡した時だった。
「ああ、こっちだ」
男性の声がスバルたちに投げられた。玄関近くにある売店から一人の青年が歩み寄ってくるところだった。
白い上着と、藍色のズボン。青と紺が混ざったような髪。眉は太く、そして凛々しい目が特徴的だった。年齢は20手前といったところだろうか。すらっとしたその体系もあり、スバルは思わず見とれてまった。
そんなカッコいいお兄さんはスバルたちの前に立つと、持っていた鞄に手を突っ込み、何かを取り出した。
「うまい棒食べるかい?」
キリッとした目で、歯を爽やかに光らせ、五指の間に一本ずつ……スバルたちの人数分のうまい棒が挟まっていた。
「あ、残念な人だ」とスバルたちの思いが一致した。ただ1人を除いては。
「うまい棒! 食う食う!」
ゴン太だけが満面の笑みで受け取っていた。
「お、君も好きみたいだな」
「おう。すげえよな。うまいのに一本10ゼニーだなんて」
「分かる。ついついたくさん買っちゃうよ」
たぶん大人買いと言うものなのだろう。
「あの、あなたが僕に用事がある人ですよね。どちら様でしょうか?」
天国にいるような顔でほお張っているゴン太を他所に、スバルは尋ねた。男もゴン太に負けじと、うまい棒をサクサクサクと吸い込むように完食した。
「ああ、俺は
そう言って鞄の中身を見せた。うまい棒がぎっしりと納まっていた。
「……はい」
初対面の自己紹介でうまい棒の山を見せられたとき、どんな反応をするのが正解なのだろうか。きっと誰も知らない。
反応に困っているスバルに構うことなく、暁シドウと名乗った男は爽やかな笑顔で尋ねてきた。
「君は星河スバルで間違いないな?」
「え!? どうして僕の名前を……」
「ハハハ、すでに調査済みさ。名前はもちろん、ロックマンのこともね」
この時のスバルの反応は仕方のない事だったのだろう。一瞬でポケットの中にあるハンターVGへと手を伸ばし、片足を後ろへと引いた。右手は胸より少し下で、軽く拳を握る。肩に力が入っていないのが重要で、上下左右へと柔軟に素早く動かせる。攻撃を捌くことも、踏み込んで攻撃に移ることもできる、攻防に長けた姿勢だ。
「その反応……どうやら俺の調査は間違っていなかったみたいだな」
スバルだけでなく、ルナもキザマロも、呑気なゴン太までも口を閉ざしていた。皆の思いは確かめるまでもなかった。4つの警戒の目を受けながらも、暁シドウと名乗った男は明るい笑みを崩さなかった。
「そう警戒することは無い。俺は敵じゃないよ」
そんなことを言われて「はいそうですか」とは言えない。両眼は暁シドウを睨んだまま動かず、ハンターVGと共に汗が握られる。
『スバル、そう身構えるな。ここで戦いにはならねえよ』
「……ロック?」
意外な言葉だった。こういう時、相手を信用しないのがウォーロックだ。そんな彼がスバルを諫めたのだ。
「どういうこと?」
尋ねた直後にしまったと思った。謎の男が目の前にいるのに、ウォーロックに話しかけてしまった。
『気にするな。こいつは俺の存在にも気づいてるだろうよ』
「ああ、知っているとも。AM星人のウォーロックだろう?」
『そこまで調べていたのか』
ウォーロックはFM星人ではなく、その兄弟星のAM星人だ。FM星人については地球人に広く知られているが、AM星人の方はそうでもない。それにも関わらず、暁はウォーロックの情報を正確に掴んでいた。
「……ロック、戦いにはならないって?」
『ああ。俺が敵の立場なら、のこのこと敵の目の前に出て来て、お前の正体を知っているなんて言わねえ。わざわざ呼び出したってんなら、不意打ちで息の根を止めるか、何も知らないふりをして騙すか……のどちらかだ。ロックマン様の実力を知っているなら、尚更な』
そしてこう付け加えた。
『俺たちを利用しよう腹だろ?』
「早く要件を言ってほしいということか? まあ、すぐに信用して欲しいっていうのは無理のある話か」
動じることもなく、暁シドウはまた鞄からうまい棒を取り出した。飽きないのだろうか。
「単刀直入に言おう。明日、俺と戦って欲しい」
「結局戦うんですか。でも明日?」
『今じゃダメなのか?』
ウォーロックがスバルの気持ちを代弁してくれた。警戒心むき出しのウォーロックの態度に、暁シドウはその笑みを少したりとも崩すことは無かった。
「駄目。明日だ。場所はスピカモール」
「最近できたショッピングモールね。おしゃれな服やアクセサリーのお店も多いとか」
流石おしゃれに気をつかうルナだ。すでにチェックしていた。
「その通り。実は明日、そこで大会が開かれるんだ」
暁はハンターVGを取り出し、エアディスプレイを展開した。ウィザードが激しく戦っている映像が映った。上には「ウェーブバトル大会」と大きな文字で書かれている。これはポスターだ。
「見てのとおり、バトルウィザードを集めたトーナメント戦なんだ。そこにロックマンが来たら、盛り上がるだろう?」
『それだけの理由か?』
「ああ。だって楽しいだろう?」
スバルは何も反応を示さなかった。いや、この暁シドウという男を睨んでいた。
わざわざ学校にまで来て、スバルを呼び出して、ロックマンだと突き止めているとまで宣言して、目的がただの大会への参加。あまりにも不自然だ。
ただ大会に誘いたいだけなら、初めからこのポスターを見せればいいだけの話だ。ロックマンと戦いたいだけなのなら今からでも良い。楽しいと言うだけの理由で、わざわざここまでするとは思えない。
そもそもこの男は何者なのだろう。スピカモールの営業職員とは思えない。そんな人にスバルの正体を突き止められるとはとうてい考えられない。
「スバルくん、そんな話乗る必要はありませんよ」
「キザマロの言う通りよ。怪しいわこの人!」
「俺もなんか駄目な気がする」
「酷い言われようだな……」
シドウが心から悲しそうな顔をした。これは本心なのだろうか、演技なのだろうか。
「スバルくん、こんな人よりもギガエナジーカードよ。なんとかして手に入れないと……」
「ギガエナジーカード? なら俺が用意しよう」
ルナの動きが止まった。いや、スバルたち全員のだ。4人は一斉に、そしてゆっくりと言葉の主を見た。
「今、なんて?」
スバルの問いに、暁シドウはニッコリと笑みを見せた。一見すると、とても親切で優しいお兄さんだ。
「俺が用意するよ、ギガエナジーカード。必要なんだろう?」
「いえ、用意するって……一般人には手に入らないって……」
しどろもどろとするルナに、暁シドウは白い歯を光らせた。
「それができちゃうんだな~。おっと、入手手段は話せないけどな。スバルくんには、大会に出てもらわなきゃならないし。俺に勝てたらあげるよ」
「勝てたら……ですか?」
「ああ。出るだけ出て、手抜きをされたらつまらないしね」
スバルは歯噛みした。大会でこの男に勝てば、ギガエナジーカードという希少な物を贈呈してくれるという。すぐにでも飛びつきたい話だが、それは危険だ。
この暁シドウ。何も自分のことを語っていない。正体は不明で実力も未知数。何が狙いなのかすらはっきりしていない。
怪しい。怪しいしかない。
うまい話には必ず裏がある。断るしかない。参加するなどという選択肢はありえない。
「参加しなさいスバルくん」
「ほえっ!?」
今日一番デカい声だった。少々裏返っていた。
「決まりだな」
「いや、ちょ……」
動揺するスバルの肩に、ゴン太とキザマロの手が置かれた。2人の目は座っていた。あ、これは思考停止したやつだ。諦めろと言う合図だ。
「じゃあ、明日スピカモールにて、ウェーブバトル大会で会おう。俺に勝てたらギガエナジーカードをプレゼントしよう。それじゃ」
スバルの参加が決まるないなや、暁シドウはさっさと歩きだした。そしてスバルとすれ違う際、足を止めた。
「明日を楽しみにしているよ。スバル……いや、ロックマン」
沈黙を貫くスバルに軽く笑うと、暁シドウはすたすたと去っていった。サクサクサクという音が小さくなっていく。
「歩きハンターVGならず、歩きうまい棒ですか……」
「良いなあ……」
「いや真似しないでくださいよゴン太くん。行儀悪い……」
ゴン太とキザマロの後ろでは、スバルがルナに抗議をしていた。
「どういうこと委員長? 大会に参加しろなんて……」
「ギガエナジーカードが手に入るのよ? 断る理由なんてないでしょ。それとも、私が生徒会長になれなくていいっていうの?」
それを言われるとなんの反論も許されない。黙るしかなかった。
「ロック、あの人をどう思う?」
だがあの暁シドウが信頼できるかは別の話だ。今のところ怪しいとうまい棒以外に情報が無い。画面内のウォーロックは腕組みをしながら、明後日の方を見上げていた。
『似ているな』
てっきり、気に食わないとか胡散臭いとか悪口を並べると思っていた。それだけに予想外な言葉だった。
「似てるって、何が?」
『あの暁ってやつ……お前に似ているなと思ってな』
スバルは目を
「僕、あんなにかっこよくないよ」
『当たり前だろ。そこじゃねえよ。雰囲気と言うかこう……』
「……いや、自分で言っておいてなんだけれど……傷つくよ……」
「とりあえず……」
ルナがパンと手を叩いた。
「明日はスピカモールに行くわよ?」
そう、とにかく行くしかないのだ。
ギガエナジーカードを手に入れるのもちろんだが、なぜ暁シドウがロックマンの正体を知っていたのか、あの男が何者なのか……それも明らかにしたい。
全ては明日のスピカモールに行くしかないのだ。
「明日はウェーブライナーの駅前で集合。時間は……キザマロ」
「はい、大会開始時間と時刻表を見て、後でご連絡します」
「ええ、お願いするわ。じゃあ皆、今日は解散!」
ルナの鶴の一声で今日は下校となった。スバルは3人と途中まで一緒に帰宅し、家路へとついた。
○ムー大陸の復活
ドクター・オリヒメが起こした世界戦争。
超古代文明、ムー大陸の技術を手に入れたオリヒメは、世界に対して降伏勧告を行い、人類の選別を行った。
目的は「一つの強大な力が世界を支配すれば、争いは無くなる」という狂気にも似たものだった。
ロックマンの手によって腹心のエンプティーを倒され、その野望は砕け散った。ムー大陸も再び海中へと沈んでいった。
○ムー大陸
今は亡き古代文明。現代にも勝るとも劣らぬ技術力を有しており、大陸を空に飛ばしていた。オリヒメが研究していたマテリアルウェーブは、ムー大陸の技術を元に開発した物らしい。
海底に沈んでいたが、オリヒメの手によって再び空に浮かぶ。
ロックマンの手によって崩壊し、海の底で眠りについた。
○オーパーツ
ムー大陸が残した古代遺産。
・大剣の形をしたベルセルク
・獣の頭部に似たダイナソー
・手裏剣の形をしたシノビ
が確認されている。
手にした電波体に強大な力を与える武器だったらしい。
詳細はWAXAも把握していない。
○ドクター・オリヒメ
先の世界戦争の首謀者であり、マテリアルウェーブ研究の第一人者。
元は軍事大国「アマノガワ国」の女性研究者である。婚約者のヒコを戦争で失い、後に姿を消した。
オーパーツを集め、ムー大陸を復活させ、その超技術をもって世界に宣戦布告をした。
ロックマンに敗れた後は改心したのか、サテラポリスに出頭。現在はアメロッパ本部にて収監されいる。
参照.ヨイリーレポートより抜粋