呪術廻戦───黒い死神───   作:キャラメル太郎

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最高評価をしてくださった、ダブルクロス 泰 時雨さん。

高評価をしてくださった、卯月幾哉 一般人A 陽乃推し jon さん、ありがとうございます。




第六十四話  堕ちても

 

 

 

 

「遠隔呪力操術──────(ごく)(ばん)

 

 

 

 (ごく)(ばん)。呪術の最高峰である領域展開を除いた、生得術式の奥義。誰しもが到達できる可能性を持ちながら、才能ある者のみが会得できるという、難易度の高い技術。

 

 五条悟の同期であった夏油傑も極ノ番を会得していた。内容は取り込んだ呪霊を1つの弾に変えて1度に撃ち放つというもの。その際には準1級以上の呪霊が持つ術式の抽出などがあるのだが、今は良いだろう。つまるところ、極ノ番とはその者にとって領域展開を除いた奥の手。

 

 遠隔呪力操術。黒怨龍已が持って生まれた術式。体内の呪力を体外に於いて自由に扱うという、汎用性が高いもの。しかしその実、操作できる範囲は限られ、言うほど自由には操れない。術式の中でも良くて中の下、下の上程度のものだった。そこへ天与呪縛を設けられた事で銃を介さねば使えず、その代わりに4㎞以上の術式範囲を持ち、高い操作技術を与えられていた。

 

 自由を持ち味にした術式に縛りを設けられた龍已の極ノ番。その真髄は完全な自由化。詳しく言えば()()()()()()()。元々世界最高の呪力出力を持つ龍已。それでも出力に限界はあった。それを極ノ番で消し去り、1度に全ての呪力を使うことが可能となる。

 

 黒怨龍已。千年以上の歴史を持つ武術を修め、呪術界に並々ならぬ怨念を抱く黒怨一族の末裔にして最高傑作。継承されてきた怨念(呪力)は世の枠組みから脱却している。そんな彼が呪力出力を取り払い、一撃に全てを賭けたとしたら、どれ程のモノが生み出されるのだろう。砕けた骨を無視して両脚で立ち、無傷の右腕だけで『黒龍』を構える。

 

 対峙するのは龍已を心の底から想う家入硝子。放てば龍已に当たることが確定し、絶対に致命傷を与えることができる特別特級呪具。その黒い銃の『黒去り』を構える。同じ黒い銃を構える2人は、全くの同時に引き金を引いた。

 

 

 

「──────『流天(るてん)』」

 

「……ッ!!」

 

 

 

 視界は黒一色となった。込められた呪力を解放するだけで、直径数キロにも及ぶ光線状の指向性呪力放出を行える龍已が、文字通り全呪力を解き放った。最早距離を取る等という域ではなく、放たれたら最後、諦めるしか無い超弩級の怨念の光線。それに対するのは術式が込められた弾丸1発。

 

 勝負は目に見えていた。龍已の呪力出力を破却した呪力放出の密度、強大さは家入の放った弾丸を正面から消滅させる。これを止められるとしたら五条悟の無限だけだろう。しかし彼は今、龍已の手によって意識を朦朧としている。今すぐに射線上に入り込んで防ぐというのは絶望的だ。それを理解して、家入は冷や汗を一条額に掻いた。

 

 しかしそんな絶望的な光景が広がり、向かってくる中で動いた者が1人だけ居た。距離を開けて対峙する家入と龍已の間で倒れていた反承司である。彼女は五条達と共に龍已と戦ったが敗北し、諦めず向かおうとして無念にも気絶した。そんな彼女が目を覚まし、立ち上がったのだ。家入は叫んだ。無駄だと思いながらも、その場から退けと。その声を聞いて、反承司は背後を振り向いた。その顔には死を予感させる薄い笑みを浮かべていた。

 

 

 

「これは、私がどうにかしますね」

 

「……ッ!?流石にこれは無理だッ!!反承司ッ!!お前の術式ではそれを跳ね返すなんて……ッ!!」

 

「跳ね返しませんよ。()()()()()()()()。これだけ強力なんですから、相当弱くなりますよ」

 

「何を……言っているんだ……?」

 

「見ていてください。私の()()()術式です」

 

 

 

 迫り来る怨念の絶望に、反承司はたった1人迎え撃つ。彼女の術式はあらゆる演算を行うことで対象の攻撃を反射する反射呪法……()()()()。見るだけで相手の術式を看破してしまう六眼持ちの五条以外には誰にも、それこそ敬愛する龍已にすら教えていない彼女の本当の術式。

 

 加えられた力をそのまま返すのではなく、向きを反転させていた。反射ではなく反転。彼女の術式は反転呪法と言う。その真髄は、向きを変えるだけでなく、()()()()()()()()()()()()()()()()ことができること。その昔、伏黒甚爾の妻である伏黒暁美の癌を術式の練習がてら反転させ、無害の小さな癌へと反転させたことがある。

 

 術式の練習でミスを犯し、大怪我を負って入院していた時に起こった出来事。相手は誰でも良いから練習したいという理由で、隣の病室の女性を実験台にやってみたところ成功し、その部分の癌は消滅した。失敗しても何も変わらないだけでリスクは無いと言っても、一歩間違えれば呪詛師認定されていたかも知れないことに後から気づいた。

 

 兎に角として、反承司零奈の術式は、効力を反転させ、無効化し、害を0にすることができる。しかしその代わりに莫大な演算を必要とし、性質を反転させるには、反転させるものへの深い理解が必要となる。もちろん、今の反承司でも龍已の極ノ番は理解できない。理外の威力すぎて想像すらできないからだ。だがそれを可能にする唯一の方法があった。

 

 

 

「反転呪法……極ノ番──────『逆流(さかながれ)』」

 

 

 

 領域展開は修得できなかった。だがその代わりに極ノ番を修得できた。反転呪法の極ノ番は、演算の完全自動化。意識しなくても勝手に演算を行い、どんな攻撃も必ず術式によって性質を反転させる。使えば0にする驚異的な極ノ番はしかし、脳の疲労を一切考えない。理解ができず、物質が解明できず、演算不可能であろうと完全自動で演算する。つまり、演算するのでは無く、演算()()()()()()()対象を反転させる。

 

 簡単に言ってしまえば強制的な反転による0化。だがそんな破格の性能の代わりに、反転させたものに使うはずだった演算時の脳の負担を、1度にフィードバックさせる。要するに、反転させるものが演算できないものであればあるほど、脳が疲弊を起こしやすく、最悪の場合脳が耐えきれずオーバーヒートする。つまり死ぬ。

 

 反承司は何となく、龍已の極ノ番を反転させたら頭が耐えきれず、フィードバックだけで死ぬと直感していた。しかしそれでも良かった。これも何となくだが、龍已が死ぬという未来が見えていたからである。彼の居ない世界に興味は無い。病的なまでに彼を信仰しているからこその、自滅とも取れる奥の手だった。

 

 右手を突き出す。掌を龍已の極ノ番に向けてその場で待つ。受け止めようとしているようにも見えるその姿は、絶望に対する希望だった。そして彼女の手に理外の怨念が触れた瞬間、反転呪法の極ノ番が発動し、性質の反転が行われた。強大すぎる怨念は、弱すぎる怨念へと強制的に反転し、少し呪力を纏っただけの掌で止まり、掻き消えた。それと同時に、反承司の体は後ろに倒れていった。

 

 

 

「龍已……せんせ…ぇ……に……殺して……もらえる…なんて……しあわせ…だ……なぁ………さきに……逝って……まっ…てます……ね……♡ふふ……────────────」

 

 

 

 

 

 反承司零奈。享年18歳。死因……極ノ番による過剰なフィードバック。黒怨龍已の極ノ番により死亡。

 

 

 

 

 

「──────ッ!!反承──────くッ!!」

 

「……この1発だけは、使いたくなかったよ。龍已」

 

「……………────────────。」

 

 

 

 倒れていく反承司の傍を弾丸が通っていった。撃てば必ず当たる弾丸は龍已の右腕の上腕に着弾し、骨を貫通して粉砕した。その後、最後の1発が放たれる。今までは四肢を砕く効果を持っていた弾丸だったが、最後の1発は確実に命を奪う弾丸。狙うのは……心臓。

 

 最後の弾丸は……一直線に龍已の胸元まで飛んでいった。放たれたら何があろうと絶対に当たる。今までの例に漏れず、弾丸は──────龍已の胸に撃ち込まれた。

 

 

 

「……っ……ごぼッ……」

 

「……龍已」

 

 

 

 胸から入り、背中から抜けていった最後の弾丸。穴が開いた胸から血が止めどなく溢れていく。弾丸は龍已の心臓を撃ち抜き破壊した。直に死ぬだろう。そんな死に体の状態で、血を吐きながら彼は歩き出す。骨が砕けた脚を前に出して歩く度に、折れた骨同士が擦れ合う嫌な音が鳴る。

 

 激痛だろうに歩き出た龍已と同じように、家入も彼に向かって歩き出した。途中倒れている反承司の横を通ったが、その時は悲しげに目を伏せた。そして龍已と家入が対面する。手を伸ばせば触れ合える距離。殺されるかも知れないという考えは、無かった。

 

 

 

「反承司のことは……すまない」

 

「……あの子が自分でやった事だ。それに、幸せそうな顔をしていたよ」

 

「……そうか。クロ、()()と一緒に行くといい。契約は……破棄する」

 

「……っ……っ」

 

「……一緒がいいとさ」

 

「俺の代わりに……硝子を傍で見守ってくれ」

 

「……っ」

 

「頼んだぞ」

 

 

 

 首に巻き付いていたクロが、家入に向かって伸ばされた折れている腕を伝い、彼女の首に巻き付いた。龍已との契約は破棄され、今や家入の契約する武器庫呪霊となった。負のエネルギーで生まれた呪霊だというのに、家入の首元から龍已を見つめる3つの目は、とても悲しそうだった。

 

 龍已と家入の目が合う。家入は言ってやりたいことが山とあるのだが、彼の目を見てしまうと言うに言えなくなってしまった。手が伸ばされて頬を撫でていく。傷だらけで鉄のように硬くなってしまった愛する男の手。まだ感じられる体温に、涙が溢れそうになる。触れ合える、最後の瞬間だった。

 

 

 

「硝子……」

 

「……何だ」

 

「俺は……いや、そうだな……『     』」

 

「……それが、最後の言葉でいいのか」

 

「……っ…………────────────」

 

 

 

 前へ倒れていく体。彼の目から光が失われ、流れていた血すらも止まってしまった。家入と龍已の体は擦れ違う。立ち尽くす家入。ばたりと倒れた龍已。大量の血によって地面に池ができる。彼は何も言わない。いや、言えない。黒怨龍已はこの時を以て、確かに死んだ。戦いは終わり、呪術師の勝利となった。

 

 

 

 

 

「……ッ……クソッ。……呪いの言葉くらい吐けよ。ばかやろう」

 

 

 

 

 

 上を向き、吐き捨てるように悪態をつく家入に反応するように、龍已の首元の指輪と右手首のミサンガが一瞬だけ震えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とある少年は目を覚ました。ぼんやりとした頭で、何で寝ていたのかを思い出そうとするが、どうも記憶が無い。何でだっけと首を傾げようとして、首の後ろが何故かずきんとした痛みを持っていることに気がつく。今年で小学3年生になる少年は、首の鈍痛を堪えながら辺りを見渡す。

 

 

 

「──────起きたか」

 

「母さん……?」

 

「首は大丈夫か?痛くないか?」

 

「少し痛いけど、大丈夫だよ」

 

「そうか。後で診てやるから、今は我慢してくれ」

 

「分かった」

 

「良い子だな」

 

 

 

「──────おい。勝手に喋ってんじゃねーよ。殺されてぇのか?」

 

 

 

 少年はいきなり声を掛けられた事に驚いた。聞いたことが無い声だ。視線を傍に居る母親の女性から移すと、暗い中に大人の男のシルエットがある。自分達が居るのは、薄暗くてカビ臭い部屋だった。壁紙が所々剥がれていて、窓ガラスは割れている。一目で使われていない部屋だということは分かった。

 

 声を掛けた男は、亀裂の入っている木製のテーブルに行儀悪く座っている。手には小さなナイフが1本。宙に投げると、ふんわりと浮かぶ。マジックのようで、少年は目を大きく開いて瞠目した。タネが分からないマジックは、不穏な状況でも少年の興味を惹いた。

 

 それはどうやっているのか咄嗟に聞こうとして立ち上がらんとした時、立ち上がれないことに漸く気がつく。体は縄で縛られている。腕は後ろで縛られ、脚は両脚を揃えるように足首の場所で。ハッとして母親の方を見ると、同じく縛られていた。起きたばかりのぼんやりした頭では、普通気がつくだろう箇所にすら気がつかなかった。

 

 

 

「呪詛師、私の息子は関係無いだろ」

 

「一緒に居ただろ。後から叫ばれてもこっちがめんどくせぇんだよ。あぁ、おいガキ。叫んだらぶっ殺すからな。呪われたくねぇなら黙ってろ」

 

「……私の息子は呪いについて何も知らない。無関係だ」

 

「は?……ぷっ。だはははははははッ!!おいおいそれはマジで言ってんのか!?あの“最凶の呪詛師”の息子だろ!?なのに呪いについて触れてねぇとか、まさか才能がねぇのかァ?術式は?」

 

「……無い。呪いも無い。非術師なんだよ」

 

「そいつぁ傑作だッ!何もねぇクソ田舎に居ると思えば、息子は一切の才能無しかッ!あの“最凶の呪詛師”と家入硝子のガキとは思えねぇなッ!」

 

「私はもう家入じゃない。()()硝子だ。それに、もう呪術界から身を引いてる。身代金なんて取れないぞ」

 

「お前がそう思っても、呪術界はそう思ってねーだろ。数少ねぇ反転術式のアウトプットができる女だ。いざという時に使える駒だぜ。失うわけにもいかねーだろ。お前らは黙って待ってりゃいいんだよ」

 

 

 

 母親……黒怨硝子は溜め息を吐いている。重いその溜め息に、息子である少年は心配そうな目線を向けている。男と硝子が何を言っているのか全く解らないからだ。呪術界やら呪いやら術式やら、初めて聞くキーワードばかりだった。

 

 少年は母子家庭に生まれた。育ちはコンビニとスーパーがあるのが救いなだけの田舎だった。母親の黒怨硝子は図書館の司書をして、1人で息子である自分のことを育ててくれている。父親は居ない。周りの子達は居るのに自分には居ないことが気になって、何で居ないのか聞くと複雑そうな、悲しそうな目をしたので焦りながらはぐらかし、それ以来話題にすら出していない。

 

 段々と思い出してきた記憶。少年と硝子は休みだった事もあってスーパーへ一緒に出かけ、買ったものが入った袋を2人でそれぞれ持ちながら帰っていた。その途中で背後から声を掛けられた。振り向こうとした少年の記憶は底で途切れている。頭が良い少年は、前の男に気絶させられたのだと察した。身代金という言葉からして、人質であるということも理解した。

 

 

 

「助けは期待すんなよ。態々車盗んで数時間の道運転してきたんだ。しかも此処は寂れた場所だ。万が一叫んでも誰にも聞こえねぇ。だが念には念をだ。叫んだら殺す。分かったな?」

 

「……クロはどこに行ったんだ。チッ……マズいな」

 

「母さん……」

 

「大丈夫だ。お前は心配しなくていい。母さんがどうにかしてやるからな」

 

「コソコソ喋ってんじゃねーよ」

 

「──────くっ!」

 

「ぁ……母さんっ!!」

 

 

 

 先まで自分も喋っていたというのに、硝子が息子に気を掛けて話し掛けていると、此処から出るための相談だとでも思ったのか、壊れかけのテーブルから腰を上げて立ち上がり、早歩きでやって来たかと思えば硝子の頬を叩いた。男の腕力で殴れば、軽くであろうと女のみにとっては強い打撃になる。

 

 両手脚を縛られていることもあって、踏ん張りが効かず硝子は倒れ込んだ。頬が赤くなっている。咄嗟に立ち上がって駆け寄ろうとして、自身もまた縛られていることを思い出した。歯痒い思い。大切な母親が全く知らない男に殴られて倒れているというのに、何も出来ない。この状況、自身の何も出来ない不甲斐なさが憎い。

 

 今まで感じた事が無いような(うら)みが、心の中に巣くい、燻っていく。黒い感情が朦々とした黒い炎となって、頭の中が異様なほど静かになり、酷く冷静になった。まるで自分ではないような感覚を味わいながら、少年は口を開いていた。

 

 

 

「──────クロ」

 

「…………っ」

 

 

 

 小さな声で硝子が言っていた名前らしきもの。それを口にした時、背後の割れた窓ガラスの隙間から黒い蛇が侵入し、少年の首に巻き付いた。額についた第3の目。それ以外は普通の蛇に()()()それはしかし、口を開けると中から刃渡り20センチ程のサバイバルナイフを吐き出した。

 

 後ろで縛られていること手の中にサバイバルナイフが落ちてきて、指2本で受け取ると器用に縄を斬り裂いた。その後即座に脚の縄を斬る。立ち上がり、右手に逆手でサバイバルナイフを持つと、視界の端で動く少年を捉えた呪詛師が驚きながら勢い良く振り向いた。その際に硝子も倒れながら顔を少し起き上がらせ少年を見、臨戦態勢を整えた我が子を見て驚いていた。

 

 

 

「……ガキ。そのナイフ何処から出しやがった。つーか、その首の呪霊はいつの間に……」

 

「どれだけ年月が経とうと、お前のような呪詛師は蛆のように湧いて出る。鬱陶しいことこの上ない。何故それだけの生き恥を晒して生き長らえようとする?不快だ。今すぐに死ね」

 

「……そうかよクソガキ──────テメェが死ね」

 

「──────っ!!戦ったらダメだっ!!」

 

 

 

 手の中にあるナイフを投擲する呪詛師。狙ったのは少年の頭。左眼を狙って投擲されたそれを、首を傾げるだけの動きで躱す。ナイフは顔の横を通って背後へと抜けていく。するとナイフは静止した動画のように空中で止まり、矛先を少年に向け倒して再び直進した。

 

 背後からの刺突に、見ないで反応した少年は体を傾けて再び躱し、ナイフの柄を握って受け止めた。柄を握って触れた途端に、空中で不可解な動きを見せていたナイフは完全に止まった。呪詛師は小さな子供が現実離れした動きをした事に固まり、硝子は何かを感じたのか少年のことを見つめた。

 

 

 

「一定範囲内の触れた物を、他者に故意を持って触れられない限り操作する術式か。対物の遠隔操術と言った具合か」

 

「なんだテメェは……普通のガキじゃねぇだろッ!何モンだッ!?」

 

「普通の子供だ。これまで呪いに触れず、呪術界に身を置かず、強く誰かを怨むこともしなかった、優しくて母親思いの良い子だ。そんな子供と……女手1つで子供を育てている立派な母親を危険な目に遭わせた。その所業、まさに呪詛師。お前に生きる価値など無い。死んで然るべきだ」

 

「意味が分かんねぇことを言ってんじゃねーよッ!クソガキがァッ!!」

 

「──────死して悔い改めろ」

 

 

 

 呪詛師が見た最後の光景は、小さな子供が壁を、天井を駆ける姿だった。雰囲気がガラリと変わり、言葉遣いも変わった子供は不自然なほど(さま)になっている構えをしていた。子供なのに、子供じゃないような、もっと大きく強大で、黒い何かと対峙している気分を味わった。

 

 どこまでも冷たい無表情を浮かべている少年に何か得体の知れないものを感じ取り殺しに掛かったが、呪詛師は何も出来ないまま接近を許ししてしまい、頸動脈をサバイバルナイフで斬り裂かれた。血が噴き出る。温かい血に反して、体温が冷たくなっていくのを感じる。呪詛師は得体の知れない感覚を味わいながら、崩れ落ちるように死んだ。

 

 血を浴びながらナイフを持って立ち尽くす少年。人一人殺した後だというのに、その表情は依然とした無を浮かべている。内に宿す呪いもなく、戦いのたの字すら知らないはずの息子が見せた蹂躙に、硝子は息を呑むばかり。だが、ふと糸が切れたように倒れた息子の姿を見てハッとした。

 

 両手脚を縛られていて動けない。それでも血溜まりの中を這いずって移動し、息子のところまで行った。首に巻き付いていたクロが、少年の握っていたナイフを咥えて硝子を拘束するナイフを斬った。腕を伝い首に巻き付くクロの頭をさらりと撫でてから、息子の体を抱き抱える。傷が無いか目視で確認し、無事であることにホッとする。2人で血塗れになりながら、硝子は息子の頬を優しく撫でた。

 

 

 

「見守ってくれていたんだな。愛してるよ、私の旦那様」

 

 

 

 黒怨硝子は息子を抱き抱えながら、虚空に向かってそう呟いた。その目は、愛おしい者を見るような目であったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────ここは……どこ?」

 

 

 

 少年はいつの間にかよく解らない場所に立っていた。周りの景色は黒一色。それ以外には何も無い、寂れた場所。だが不安には思えず、むしろどこか安心する。そんな場所に居た。母親が男に殴られて倒れてからの記憶が無い。何だか記憶が無いことが多いなぁと思っていると、肩をトントンと叩かれた。

 

 驚きながら振り返ると、大人の男が立っていた。先程も大人の男に母親が痛めつけられたばかりだったので、走って距離を取った。警戒した猫のように鋭い目を向ける少年に首を傾げた無表情の男は、あぁ……と言って追いかけるような真似はせず、その場で立ち止まり、上げた手を静かに降ろした。

 

 

 

「そう警戒するな……と言いたいところだが、無理もないか。少し、話をしないか」

 

「……何を」

 

「……少年。しょ……母親は好きか?」

 

「……好きだよ。俺のことを、育ててくれたから。でも、父親は好きじゃない」

 

「…………………。」

 

「俺が生まれた時には死んじゃったみたい。でも、母さんはいつも写真が無い仏壇に手を合わせてる。すごく悲しそうにしてる。そんなに愛されてるのに、すぐに死んじゃった父さんなんて好きじゃない」

 

「……そうか。それなら、嫌われて当然だな」

 

「でも……」

 

「……?」

 

「嫌いだけど、(うら)んでない。父さんのことを聞くと悲しそうにするけど、父さんの話をする母さんはすごく楽しそうだから」

 

「……そうか」

 

 

 

 好きじゃないし、嫌いではあるけれど、怨んではいないと言う少年に男は頷いた。何でこんな話をするのかは分からない。大好きで大切な母親のことを何で聞いてきたのかも不明だ。しかし何となくではあるが、対峙する男から安心したようなものを感じた。無表情で何を考えているのか分からないけれど、どこか分かりやすい。

 

 いつの日か、知り合いのクズだけどお金持ちだという人から高級な酒を送ってもらい、つい飲み過ぎた母親が言っていた父親の特徴に似ていた。常に無表情で最強のポーカーフェイスだったが、分かりやすい人だったと。仏壇はあっても写真が無いので顔も分からない父親だが、どんな人なのだろうと何度も思った。

 

 サバサバしている母親が唯一、本当に優しい笑みを浮かべながら語る父親に、会えるなら会ってみたいと思ったことは一度や二度では無い。でもそんな機会は訪れない。何せ生まれた時には既に死んでしまっているのだから。

 

 

 

「必要ならば継がせようと思ったがやめておこう。全ては俺の代で終わった。お前を巻き込めないな」

 

「……?何を言ってるの?」

 

「──────母さんを頼んだぞ、黒怨辰已(たつや)。大切ならば力をつけろ。取り溢さないよう、守れるよう。その素質は、確かに受け継がれている。ではな」

 

「ちょっ……待ってよ()()()ッ!!…………あれ?」

 

「もう見守ってやることもできないが、元気でな」

 

「待って……ねぇ、名前を教えてよ!ねぇ!」

 

 

 

「俺は……しがない御節介焼きの知らないおじさんだ。名乗るほどの者でもない」

 

 

 

 男は最後まで名乗らなかった。学校の先生を母さんと言ってしまったように、初めて見る男のことを父さんと呼んでしまった。だが、不思議としっくりきた。だからせめて名前だけでも知りたいと、教えてくれと頼んだが、男は名乗らずに消えてしまった。黒い、憎しみや怨念を内包するような禍々しい炎に包まれて消えてしまった。

 

 少年……黒怨辰已(たつや)の視界がぐにゃりと歪んだ。夢から覚めるんだと、漠然と思った。あの男の人と、もう少し話したかった。その思いとは裏腹に、黒一色の空間には亀裂が入り、視界は真っ白に変わった。起きた時には病院のベッドの上で、傍の椅子に座りながら手を握っている母親の黒怨硝子を見て、辰已はこれから強くなろうと決心した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もう終わりか」

 

 

 男……黒怨龍已は、ベッドの上で横になる少年と、その少年の手を握って座る母親の姿を見てから、自身の手を見下ろした。傷だらけの手は透けている。向こう側の景色が見えてしまっている。無理をしてしまったツケが回ってきた。どうにか留まっていたが、それも限界だった。

 

 でも、悔いはない。むしろここまで見守ることができただけでも奇跡に近く、2人の姿をしかと目に焼き付けたのだから。透けてきた手が更に透け始める。体も光の粒子を出しながら消えようとしている。成仏なのだろうか。単純に消えるのだろうか。初めての経験なので判らないが、龍已はそれを甘んじて受け入れた。

 

 

 

「辰已……大きくなったな。硝子……お前はいつまでも綺麗なままだ。2人とも、愛している。…………さようなら」

 

 

 

 無表情の顔に浮かべられたのは、ぎこちない笑みだった。下手くそで、引き攣っているようにも見えるその笑みは、人生で初めて浮かべた、心からの笑みだった。

 

 

 

 

 

 

 

 少年と女性の居る病室には2人以外誰も居ない。その筈なのに、2人は病室にもう1人、居るような気がして互いに顔を見合わせ、同時に吹き出して笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────ってなァにいい感じに終わらせようとしてンだゴラァッ!!」

 

「ぶふッ!?」

 

 

 

 殴られた。おもっくそ殴られた。左頬を殴り抜かれ、吹き飛ばされる。背中から倒れ込んで、痛みを訴える頬に手を当てながら上半身を起こすと、そこには……そこには死んでしまった親友の1人が腰に手を当ててこちらを睨みつけていた。

 

 

 

「妃伽……?」

 

「おう。天下の妃伽様だ。どんだけ私()のこと待たせてンだよ龍已テメェコラ。待ちくたびれたんだよすっとこどっこい。さっさと死んでコッチ来いや」

 

「──────いや会いたいからって早く死ねは割とシャレにならないからね妃ちゃん!?」

 

「慧汰……?」

 

「あ、うん。……久しぶり、龍已。気長に待ってたよ。まあ、まさか死んでから10年もそっち(現世)に留まるとは思わなかったけどさ!妃ちゃんなんて、やっと龍已に会えるって鼻歌まで歌っべぇぶぉッ!?」

 

「よ、余計なこと言ってんじゃねーぞクソザコ貧弱クソ童貞がッ!捻り殺すぞ死ねッ!」

 

「ど、童貞だけど……妃ちゃんだって処ぎょッ!?」

 

「もっぺん死んで消滅してェみてェだなァ?ぁ゙あ゙?」

 

「──────姉御様ッ!?音無さんモザイクだらけになってますよ!」

 

「反承司……?」

 

「えへへ。お久しぶりです龍已先生!お待ちしてました♡」

 

「何故お前達が……それに此処は……?」

 

 

 

 龍已が生前、学生だった頃に親友と認め、その後すぐ殉職してしまった巌斎妃伽。音無慧汰。そして、自身の手で殺してしまった反承司零奈が居た。死んだときと変わらない姿に、龍已は幻でも見ている気分になる。確かに死んだ筈。反承司に関しても、五条達が墓を建ててくれていたし、火葬もしている。

 

 それに解らないのは今居る場所だった。周りは黒いのに、前方には光で形成された階段がある。頂上は見えないが、眩い光が上に鎮座していた。何とも不思議な光景と、死んだはずの親友と生徒に頭がこんがらがりそうだ。

 

 

 

「あいたたたたた……めっちゃ容赦ないね妃ちゃん……」

 

「黙れ死ね」

 

「辛辣過ぎるっ!?」

 

「あの……それより龍已先生に説明しませんか……?」

 

「おーそっだった。あー、まあ何というかあれだ……久しぶりっつーか結婚しようぜ

 

「盛大に己の欲に走ったね?状況説明しないとだからっ!?」

 

「流れるようにプロポーズしましたね!?」

 

「は──────?むしろ結婚して孕むために待ってたんだが?つーか音無はいつまで居ンだよ鬱陶しいな。さっさと成仏しろよ」

 

「待って泣くよ?20年以上も一緒に居てそんなこと思ってたの?」

 

「あれ、誰だオマエ?」

 

「……………………………ぐすっ」

 

「わ──────ッ!?姉御様言い過ぎですよーッ!?」

 

「ケッ」

 

 

 

 音無の精神に拳をめり込ませて泣かせている巌斎と、必死に止めようとしている反承司が居てカオスで中々話が進まないが、取り敢えず龍已が居る此処は現世とあの世の中間地点だそうだ。目の前に見える光の階段を登れば、あの世に行くことができる。

 

 ただ、巌斎達は龍已が来るまでずっと待っていたそうだ。死ねば強制的にあの世へ逝ってしまうところを無理矢理踏みとどまり、龍已が1人で逝こうとしたところを連れ戻した。方法は昔にプレゼントした結婚指輪とミサンガに染みついた縁で引っ張り上げたのだそう。

 

 説明を受けた龍已は、情報を整理して理解してから、3人を抱き締めた。死んでしまった親友達。殺してしまった大切な生徒。永遠に会えない筈の3人との再会に、我慢できなかった。強く、潰れそうな程抱き締めてくる龍已に笑いながら、3人はしっかりと抱き締め返したのだった。

 

 

 

「さ、早く行こう!いや、逝こう……かな?まあどっちでもいっか!これで全員揃ったよ!」

 

「行き先は多分天国だぜ。めたくそ眩しいからな。ンで、着いたら結婚してセックスだかんな。3日は寝かさねーから覚悟しろよ。あと、反承司もな」

 

「あれ、なんか私までッ!?」

 

「龍已好きなの今更だろうが。男としてではなく~じゃねーんだよ。ナヨナヨしやがって。大人しく抱かれりゃ良いんだよ。3(ピー)すんぞ」

 

「妃ちゃん伏せられてないからね??」

 

「わ、わらひが龍已しぇんひぇえと……?」

 

「うわ赤ッ!?大丈夫零奈ちゃんッ!?」

 

 

 

 3人で和気藹々としながら光の階段の方へ向かうので、龍已も同じく向かっていった。天国と地獄理論か……と思いながら歩いていると、光の階段に近づくにつれて胸が苦しくなってくる。頭も痛くなり、体が震えてくる。脚が重くなり、1歩が踏み出せなくなる。まるで龍已のことを拒否しているようだった。

 

 前を歩いている3人は何とも無さそうだ。つまり不調が出ているのは自分だけ。3人と自分の違いを考えて……やめた。考えるまでもないからだ。己がしてきたことを考えれば、当然の結果だ。彼等は前に進み、龍已は堕ちなければならない。

 

 その場に立ち止まった龍已に気がつかず光の階段を数段上がったところで、漸くついてきていないことに気がついた3人は足を止めて振り返る。視線の先には彼1人。こちらに向かおうとするのではなく、ただ眺めているだけ。何をしているんだと巌斎が声を掛けると、彼は頭を左右に振った。

 

 

 

「俺はこれ以上先には行けない」

 

「え、なんで?」

 

「その先は天国なのだろう?ならば、俺が行けないのは道理だと思うが」

 

「そ、そんなことないよ!龍已だって人生で何度も苦労して……ッ!!」

 

「もしかして私を殺しちゃったからとか……?違いますからね?龍已先生が居ない世界とか興味ないから態と死ぬように極ノ番使っただけで、本当のところは殺されてませんからッ!もう自殺みたいなものですからっ!」

 

「それでも──────俺はお前達とは行けない。俺に相応しいのは……こっちだ」

 

 

 

 彼が振り返る。その先には怨嗟の声が聞こえ、燃え盛る怨念の黒い炎が地面から噴き上がっていた。触れば咎人の肉体を焼く、罰の炎。その先に待ち受けるのは、地獄だろう。巌斎達は善人だった。だから天国へ逝ける。だが彼はあまりにも人を殺しすぎた。罪無き者にも手を掛けた。天国へ逝ける道理は無く、地獄へ堕ちる理由があった。

 

 振り返り、黒炎が噴き出る道を歩く。肉が焼かれる感覚を味わいながら、これこそ自分には相応しいと思う。黒怨龍已が天国行き?字面にするだけでも違和感がある。黒怨一族は天国等には行けない。相応しいのは怨念渦巻く地獄だけ。そんな彼を、彼等と同じ道へは歩ませない。

 

 折角再会できたというのに、またお別れかと残念に思う。あの世があるなら、いつかは五条や硝子にも、息子にも会えたかも知れないのに。まあ、無いもの強請りはやめた方が良いだろう。これから彼は生涯に於いて犯した罰を清算しなければならない。物語で語られるような拷問を受けるか、怨嗟の炎に焼かれ続けるか。

 

 視線の先の地面が割れて階段ができる。禍々しい、負に関する何もかもを詰め合わせたような空気に、怨念の怪物である黒怨龍已でさえも一瞬息を呑んだ。これが、地獄か……と、覚悟を決め、1歩を踏み出した。

 

 

 

 

 その背中に──────反承司が抱きついた。

 

 

 

 

「──────ッ!?」

 

「ダメですよ、龍已セーンセ♪。そっちに行くなら私も行きますから、1人で行こうとしないでください」

 

「そうだよ。1人だけ仲間外れにするわけないじゃん。俺達はやっと再会できたんだから。これからは一緒だよ。ね?」

 

「慧汰……」

 

「結婚するっつってンだろーがオイ。旦那が地獄で私が天国とか、織り姫と彦星かよバカか。私も地獄に行ってやるから、勝手に行こうとすんな」

 

「妃伽……っ!」

 

 

 

 龍已の左肩に右手を置いて隣にやって来た音無。右腕を抱き締めて離れるつもりはないと睨みつけてくる巌斎。彼等は天国への道を迷いなく捨てた。親友の居ない幸福な天国よりも、親友の居る最悪の地獄を迷いなく取った。

 

 なんて愚かな選択なのだろう。自分が行くからと行ってついてくるなど、行き先は地獄だというのに。彼等を巻き込む訳にはいかない。だから離れてくれ、天国の方へ行ってくれと言うのだが、彼等は離れようとしなかった。

 

 

 

「残念だけど、死後20年掛けて俺と妃ちゃんは龍已のことを呪ったよ。だからここまで引っ張り上げられたんだから」

 

「逃げられるとでも思ったのか?あめーよ。ゼッテェ逃がさねぇ。呪術師はどこかイカレてるって、嫌ってほど知ってンだろ?諦めて地獄に行くぞ」

 

「もし私だけ天国に行っても、龍已先生居ないなら天国ぐちゃぐちゃに引っかき回して、地獄に堕ちてくるので結局は同じですよ。良いんですか?地獄行くために天国に行った人達手当たり次第にぶち殺しますよ?」

 

「……お前達という奴は本当に………っ」

 

「ほら、早く行こう!4人なら怖くないよ!」

 

「私達なら何が来ても問題ねぇ。無敵だろ」

 

「えへへ。楽しみですね、龍已先生!」

 

 

 

「……あぁ。一緒に行こう。今度は離れないよう、皆で呪い合ってな」

 

 

 

 地獄への階段を4人で降りていく。天国への道は塞がった。永遠に開くことはない。彼等は苦しみを味わうことになるだろう。本当の絶望を知るだろう。しかしそれでも大丈夫。何故なら、大切な者達が傍に居てくれるから。

 

 

 

 

 

 

 黒怨龍已は大切な者達と呪い合い、地獄の奥底で幸福を手にした。その後は誰にも解らない。知っていいのは、同じ地獄へ堕ちた者だけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

H()a()p()p()y() End

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「龍已ちょっと来て!妃ちゃんが地獄の鬼と相撲することになっちゃったから止めて!」

 

「すまん。ちょっと待ってくれ。俺を馬鹿にしたという理由で反承司が鬼を虐殺し始めたから止めてくる。妃伽は……任せた」

 

「龍已ッ!?」

 

「私に喧嘩売ろうなんざ100万年はえーんだよバーカッ!死ねやクソカスがオラァッ!!!!」

 

「ぶべぇッ!?」

 

「ちょっ、妃ちゃん!?相撲でしょ!?メリケンで殴ったらそれただの喧嘩だよッ!!ていうか相撲のルール知ってるっ!?」

 

「ぶつかり合って倒れた方の負けだろ」

 

「うーん否定しづらいっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 






巌斎妃伽

地獄にて念願だったお嫁さんになることができた。夜の営みの際には余裕だと調子に乗っていたが、キスされただけで真っ赤になって目がグルグルになってしまった。

喧嘩っ早く、龍已を少しでも馬鹿にすると悪鬼羅刹の如くキレ散らかす。喧嘩を売ってきた地獄の鬼を全てボコボコにし、全員に土下座させた後で鬼の金棒を尻に突っ込んだ。




音無慧汰

レールが要らない暴走機関車の巌斎を止めるために、日夜奔走している。最近龍已を引き合いに出せば止まってくれることに気がついたので胃に安息が訪れようとしている。

巌斎が真っ赤になって変な歩き方をしている日に、どうしたの?と言いながらニヤニヤしていたらぐちゃぐちゃにされた。揶揄ったらマジで殺されると分かってからは、安易には揶揄わない事に決めた。




反承司零奈

龍已が死ぬ気なのだと察し、龍已が居ない世界など生きる意味が無いと判断して態と極ノ番を使い死亡した。死後、あの世に行かず龍已を待っていられたのは気合いと推しへの狂気的な愛の為せる技。

巌斎に引き摺られて3〇することになった。死ぬほど恥ずかしかったが上手くできたと自負している。3日は寝かさないと言っていた巌斎が早々にダウンし、2日間龍已の腕の中で喘いでいた。狂気的な推しへの愛が進化し、推しへの愛の怪物になった。

反射呪法と術式を偽っていたが、本来の術式は反転呪法。対象の全てを演算することで性質を反転させ、(最弱)にすることができる。ただし生物には効かない。性質の反転の練習に、甚爾の妻の癌を一度治したことがある。




家入硝子(黒怨硝子)

龍已の死後、龍已と結婚した。子供は何故か龍已が死んでからできた。完成したら子供ができないようになる縛りを設けていると聞いたので、もしかしたら死んだからこそ子供ができると変換されたのかと思いつつ、愛情を注いで育てた。

最愛の人を亡くし、呪術界に完全に嫌気が差したので身を引いた。反転術式のアウトプットができる数少ない人物なので却下されていたが、五条の脅迫もあって脱出。田舎へ引っ越して息子と一緒に暮らしている。

首には常に武器庫呪霊のクロを巻き付けている。中には龍已の遺物が全て入っている。龍已の写真はクロに呑み込ませ、毎日欠かさず眺めている。

享年86歳。天国へ行くことを拒否し、勘で龍已の居る地獄へ自ら堕ちた。その後巌斎と正妻の座について言い争う。




黒怨辰已(たつや)

“最凶の呪詛師”の血を受け継ぐ子供。呪いを宿さず、呪いが見えない。しかし恵まれた身体能力を持つ。黒怨無躰流を継承しなかったが、母親を守るためにありとあらゆる武術と武器術を総ナメし、世界最強の男としてテレビに取り上げられたことがある。




天切虎徹

龍已との決戦後、幾つかの呪具を世に出した後、呪具師を辞職した。理由はこれ以上呪具を造る意味が無くなったから。結婚もせず、子供も作らず、天切家は新しく作った虎徹の父の息子……腹違いの弟に任せた。

享年54歳。いつまでも美しさを損なわず、傾国の美女のような容姿のまま静かに息を引き取った。死の間際、龍已の元へ行く呪具を自身に使い、死後は地獄へ一直線に向かって再会を果たした。




黒怨龍已

享年29歳。死後は天国に行けず地獄行きとなったが、親友達と一緒に行ったので寂しくはなかった。まさか死んでからも結婚することになるとは思わず、そして自身の生徒だった子にまで手を出す羽目になるとは思わなかった。

硝子が死んで地獄に堕ちてきたことに驚き、正妻について言い争う巌斎と硝子の間に入れなかった。どこの世界も女は強し。反承司を2日も抱いたのは、煽ったのに巌斎がダウンしてムラムラを反承司に沈めてもらい、起きた巌斎としようとして気絶。ムラムラを……というのを繰り返したため。




遠隔呪力操術・(ごく)(ばん)流天(るてん)

呪力出力を取り払い、出力を完全な自由にする。ただし、当然の如く全呪力を使えばその後、術式の使用はおろか肉体強化もできなくなる。




地獄

天国の逆位置にあるもの。罪を犯した者達が堕ちる場所。犯した罪が大きく、重ければ重いほど思い刑罰が待つ。

閻魔大王には第1補佐官という右腕が居るらしい。




作者

Happy Endを望む声が多かったのでHappy Endにした(ゲス顔)

その後の話やらちょっとした短編などを考えてはいるが、書くかどうかはまだ謎。だけど、その後の現世の親友達の話くらいは書いておきたいと思っている。




ここまで読んでいただきありがとうございました。最初はギャグ。その後はシリアスと、人によっては不快に思われる書き方をしてしまい申し訳ありませんでした。

地雷要素があったり、ご都合主義的な部分があったりと、批判を受けたりする中でここまで読んでくださった方々には感激です。本当にありがとうございました。

これにて完結となりますが、気分が乗れば短編的なのを書いてみたりしようとは思っていますので、首を長くして待っていてください笑笑



最後に、本当にありがとうございました。原作の呪術廻戦もよろしくお願いします。


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