るろうに剣心虎眼流武芸譚   作:ならない

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間が空きすみません。
その上短いです。



覚悟

予期せぬ仇敵との再会に凍り付き動き固まった二人を怪訝そうに見ていた薫が口を開く。

 

「ええと···お知り合い?」

 

瞬間、仁之助と剣心は同時に動いた。仁之助は跳ね上がる様に立ち上がり、剣心は茶碗の乗ったお盆を落とした。

 

「「······」」

 

仁之助は拳を構え、剣心は腰の逆刃刀に手を掛けた。

 

(どうする?どうするのだ仁之助!?)

 

仁之助は顔には出さないが心中では焦っていた。此方は武器の類いは寸鉄一つ帯びていない、対する相手(抜刀斎)はすでに刀(逆刃刀などとは夢にも思わない)に手を掛けていた。

 

(勝てるか?無手であの抜刀斎に)

 

だが迷いは一瞬の事だった。

 

(無手なれども、殴る拳(打つ手)は有る)

 

両の拳をより強く握り締め相手の隙を伺う。一度覚悟を決めてしまえば相手を観察する心の余裕が出てくる。

驚いた事に抜刀斎の姿は刃を交えた十数年前のあの夜から全く変わっていなかった。()()()()()()は京都に居た頃にあった陰りが晴れてむしろ若返って見えた。

 

(妖怪の類いではないか?)

 

背筋がゾッとした。

 

一方の剣心は視線を仁之助から外す事無くゆっくりと歩を進め、突然の事に呆然としている薫を背後に庇う様に立った。

 

「剣心···」

 

心配そうに名前を呼ぶ薫の方には振り向かず、しかし、優しく言う。

 

「大丈夫でござるよ薫どの」

 

そして次に若干厳しめに言った。

 

「下がっていてほしいでござる」

 

ぶつかり合う闘気で張り詰めた空気が部屋を満たす。二人は互いに手の届く距離で睨み合いながら顔色は少しも変えなかったが、しかし、緊張で背中にびっしょりと汗をかき、口の中は乾ききっていた。

歴戦の二人でさえそうなのだから、年若い薫にとっては想像を絶する重圧だろう。息が詰り口も聞けず、肩を剛力で押さえ付けられた様で立ち上がる事が出来ない。

 

時間が止まった様な重々しい沈黙、暫しして風が襖の隙間から吹き込んだ。瞬間、無声の気合いと共に二人が同時に動いた。仁之助は踏み込み拳を繰り出す。剣心も腰の逆刃刀を抜き打った。

 

「二人共止めなさい!!」

 

二人の間に割って入った薫の声が意外なほど大きく響いた。咄嗟に引いた仁之助の拳は薫の顔面スレスレに止まり、剣心の逆刃刀は薫の胴を薙ぐ直前でピタリと止まった。

 

「お願い止めて···」

 

真っ青な顔、息もたえだえで絞り出す様な声を上げた薫はそのままヘナヘナとその場にへたりこんだ。

 

「神谷先生!?」「薫どの!?」

 

部屋に満ちていた闘気は霧散してしまった。

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