OREHーKRAD 邪悪に支配された人々   作:楠崎 龍照

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買い物に出掛けた私はとあるVRゲームの体験会が開催されていたので、興味本位で参加をすることにした。
そして、そのVR空間で私はとある少女のNPC?に出会う。
そして、私はとんでもないことに巻き込まれるのだった。


2章 アークヘイロウ編
9話 邂逅


 

 

 

 

午前7時00分

 

今日は朱雀が家事炊事当番である。

 

「さて、これでええか」

 

朱雀は台所で朝ごはんを手抜きにならない程度のクオリティで作り上げて、大広間へと持っていった。

献立は目玉焼き、ウィンナー、味噌汁、ご飯。

典型的な朝ごはんと言えるだろう。

 

「さて食べるかー!」

 

闇英雄たちが全員集まると、朱雀はそういって朝ごはんを食べた。

朱雀は一足先に食べ終えて、台所でフィーナから借りた本を読んでいた。

異世界転生というカテゴリーの小説である。

朱雀はあまり興味はないのだが、フィーナから進められて、昨日から呼んでいるのだ。

みんなが食べ終わるまで、とりあえず読むつもりである。

 

「ごちそーさまー!」

「美味しかったよー!」

「アッハッハッハ!! 朱雀料理うまいねー!!」

「ごちになりました」

 

食べ終えた食器を台所に置いて、感謝を口々に述べており、朱雀は「おーす」「おう」「まーな」等と相づちを立てながら読書に没頭していた。

そして、ふと台所の方を見ると、食器が山積みにされており、朱雀は付箋を挟んで、食器洗いをすることとなった。

 

 

20分後、全ての食器を洗い終え、昼飯のために買い出しに出掛けようと考えた。

朱雀は自分のリュックサックを背負って、自分の住んでいる地球に向かった。

 

そこのスーパーで適当に買い物を済ませて帰ろうとした時だった。

朱雀はあるものに気付き、ふと足を止める。

 

「VRゲーム??」

 

巨大な高層ビルのフロントガラスにはそのようなポスターが記されており、人が並んでいた。

少し興味を持った朱雀は、まだ時間もあるし大丈夫だろうと考えて、そのVR体験会場へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

「おー、すげえな流石VR!」

 

朱雀は初めて体験するVRゲームに感銘を受け、興奮していた。

朱雀は目の前に広がる西洋風の大理石で出来た街並みをみて満足でいっぱいだった。

 

「(興味本意で参加して正解やったな。まさかこんなに凄いとは……実際は座ってるだけやのに、まるで自分の足で歩いてるみたいや)」

 

朱雀は映し出されたVR世界の街中を歩き出す。

途中で家の近くに置かれている花壇などを触れてみる。

しかし、これはあくまで体験版、花壇などを触れることは、まだできないようだ。

花は朱雀の手をすり抜ける。

 

「(こういうのも、製品版では完璧に触れるようになるのかな? だとしたら楽しみやな!)」

 

朱雀はNPC等にも触れてみたが、やはりすり抜けてしまう。

それから、一通り実験した後、朱雀はあることが頭を過る。

 

「そういえば、クエストはどうなっとおやろ?」

 

そう考えて、クエストを受注する方法を探っていると……。

 

「あの……」

 

そういって朱雀に話しかける美少女がいた。

その美少女は青い神官服を着ており、頭は青い頭巾を被っていた。

赤ずきんちゃんが着ているみたいなやつだ。

確認し辛いが金色の髪、碧眼、朱雀から見て程好い程好い程好い胸をしており、アホみたいに可愛かった。

年は朱雀と同じか1つ下ぐらいだろうか。

 

「はい。どうされました?」

 

朱雀はそう返すと、美少女は朱雀の手を握りだした。

 

「英雄様! どうか……どうか助けてください!!」

 

手を握られ、涙目で助けを乞う美少女を前に朱雀は狼狽する。

 

「(なに? イベント? それと手……あったか……それに……)」

 

いい匂いがする。

朱雀は心のなかでそう感じつつ、丁度、クエストに行こうと思っていたから朱雀は「ええ、構いませんよ」と頷いた。

すると、美少女はニッと微笑み、閃光を解き放った。

 

「え?!」

 

朱雀は訳がわからないまま、光に呑み込まれる。

そして同時刻……。

邪悪たちが騒ぎ立てる。

朱雀が失踪したのだ。

 

『どうします?』

 

勇気の邪悪が輪廻の邪悪に問う。

他の英雄たちも集まり、心配そうな表情で話し合っていた。

輪廻の邪悪は声を絞り出す。

 

『……このまま、様子見や』

 

と。

他の英雄や、邪悪たちはざわつき始める。

そして他の邪悪や英雄が口を開く前に輪廻の邪悪は続ける。

 

『朱雀の元に飛べない。何者かがその次元に行けないようにブロックしてある』

『そんな……誰が……』

『龍輝が行った世界で何か手がかりは?』

 

正義の邪悪が輪廻に訊くが、輪廻の邪悪は首を横に振った。

 

「ねえ、龍輝は……龍輝は助かるの?」

 

いまにも泣きそうな声でフルは輪廻の邪悪に掴みかかった。

 

『分からない……いま、その次元に行けるように頑張っているけど、望みが薄い……』

 

輪廻はそう言うと、フルは絶望に浸りきった表情で膝から崩れる。

 

「そんな……そんなぁ……」

 

ボロボロと涙を流しながら、壊れたラジオのように、龍輝、龍輝と呟いていた。

ルナたちはフルの背中を摩りながら、フルの部屋へと送っていった。

 

『今のところ、龍輝を信じるしかないな……』

『そうやな……』

 

正義の邪悪の言葉に輪廻の邪悪はコクりと頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うーん……。……!!?」

 

朱雀が目を覚ますと、そこはさっきとは違い深い森の中にいた。

彼は驚きすぐさま起き上がり、周りを見渡す。

 

「えっ!? 森!? 場面急にかわったんかこれ?!」

 

朱雀は場面が変わった原因がクエストが始まったからだと考えるが、その森が異様なまでにリアルなことに気づく。

朱雀が自分がどうなったのかわからずパニックに陥っていると、そこにある人物が現れた。

 

『英雄様……』

「!?」

 

後ろから話しかけられ、朱雀は咄嗟に振りかえる。先程いまあの美少女だった。

 

『わけあって貴方をお呼びしました……』

「(この人……さっきの……!?)」

『私はユイ……。どうかこのイクス大陸を救ってください……』

 

ユイと名乗る美少女は涙目で朱雀に助けを乞うた。

そして、朱雀はある結論にたどり着く。

ここはゲームの中じゃない……と……。

 

『いまこの世界は邪悪の影響を受け、次第に混沌と化しています。対抗するには力の源である『アークストーン』が必要なのです』

 

ユイはそう言い、そして……

 

『アークストーンに同調できる貴方なら……きっと世界を救えるはず!』

 

朱雀の手を握り、自身の胸にさりげなく当てる。

 

「!!!!!!!!!?????????????」

『かつて邪悪を封印した英雄の再来を……私たちは待ち続けたのです!』

 

っと、ユイが説明をする。

因みにだが、朱雀は最後らへんの説明は全く聞いていなかった。

今まで感じることのなかった女性の胸の感触にもう人の話を聞くような余裕なんて彼にはありはしなかった。

 

『英雄……ねぇ……(ていうか、俺……闇英雄だから……どうなるんやこれ……????)』

 

朱雀は色々と整理し、考えていると……。

 

『……もう気付いているだろうが。ここは『げいむ』とやらの世界ではないぞ。真の英雄になれるか否かは……お主の力量次第じゃ!』

 

ユイは朱雀を見下しつつ指をさして話す。

本性というか、これが本来のユイである。

朱雀はまんまとユイのハニートラップに引っ掛かったのだ。

 

「え……えええ!?」

『他の者にとられるやもしれんしな~♪』

「ぐっ……仕方ない……なってやろうじゃないか!!」

 

そういって朱雀は宣言する。

最早それしか道はないと悟ったのだろう。

そういうとユイはニコニコした顔をする。

 

『ついでに、アークストーンを見つけんと、元の世界には帰れぬぞ♪』

 

天使のような顔で悪魔のような事を言い出す。

 

「おい私の中では一番肝心なとこだわ!!」

 

突っ込みをいれる朱雀。

意地でも邪悪を倒し、アークストーンを手に入れて元の世界に戻ると誓った。

てか、ユイが邪悪なんじゃね?

ん?邪悪??

え?

私は少し疑問におもったが、流石に違うだろうと思い考えをかきけした。

 

『そういえば、お主の名前を聞いてなかったの』

「あー、私の名前は……朱雀龍輝です」

 

まさか異世界に転移して、闇英雄になったと思えば、そこから更に異世界に転移して英雄になるなんて……。

とてつもない急展開に、私はため息をついた。

 

 

 

 

続く




なんてこった……。
恐ろしいことになっちまった……。

by輪廻の闇英雄 朱雀龍輝
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