あまりの強さに私は心が折れた。
そして、そんな情けない姿を晒した私に、ユイさんは衝撃の発言をした。
更に、私の財布の中に入れてあったとあるカードゲームの1枚のカードが光を放った。
「あ、アークヘイロス・ギルファー……ですか?」
『……』
ユイさんの表情が険しくなる。
邪悪の眷属……名前からして大ボス感満載である……。
それ……大丈夫なの? 私が倒せるものなの?
私は心のなかで不安を散らかしていると、ユイさんが口を開く。
『ふむ……アークヘイロスか……』
「強いんで……?」
『当たり前じゃろう……。邪悪の眷属の一人じゃ。じゃが見事ギルファーを倒せばアークストーンが手に入り、元の世界に戻れるやも知れんぞ……?』
「マジで!?」
ユイさんの衝撃発言に、おもわず私は声をあげてしまった。
それにランカン将軍や回りの人が一斉にこちらを見る。
「英雄殿、どうされました?」
「え? あ、いえ。それでギルファーはどこに?」
私はランカン将軍に聞くと、ランカン将軍は、とっくりを取り出し、私に見せる。
陶器でできた、よく見るとっくりだ。
ランカン将軍が言うには、このとっくりの奥底に閉じ込めているらしい。
とっくりの中は、眷属の力をある程度封じる能力があるが、その封印も次第に弱り、最後には封印が解かれるらしい。
封印が解かれる前に何としてでも倒さなければならない、とのこと。
そして、この中に入ることで、ギルファーのところに行ける。
「とりあえず、行ってみるかな……」
「英雄殿。ご武運を……!!」
「で、どうやってとっくりの中に入るんですか?」
「とっくりの口元に手をかざせば入れますよ」
「わかりました」
私はとっくりの口元に触れて、そのままとっくりの中に吸い込まれた。
とっくり内部
「ここがとっくりの中か……」
岩肌に囲まれ、地面の亀裂からは紫色の霧を出しており、何とも言えぬ異質感をだしていた。
いま自分がとっくりの中にいるという感覚が全くない。
『そうじゃな』
「おーユイさん」
どうやらユイさんもとっくりに入ったようだ。
いつもより険しい表情をしている。
「ユイさんも一緒に戦ってくれるんで?」
『たわけ、ワシは戦えぬ』
「そうっすか……」
『それより、お主、そんな武器で大丈夫なのか?』
「しらねー」
『……』
ジトーっとした目付きで私を見つめてきた。
とりあえず、私は光が差す所へと歩いた。
光がある所へと向かうと、黒い魔法使い帽を被り、黒いローブを身に纏った美少女がいた。
如何にも魔法使い風貌をしている。
「あれが、ギルファー?」
『たわけ違うわ!』
「へえ~? アンタが次の研究材りょー……じゃないじゃん★ 英雄候補ね~」
「!?」
とんでもねえ一言が聞こえた気がするけど、まぁ、幾千あるうちの1人と考えれば、研究材料と見られても仕方ないかな?っと私は自分で解釈する。
「コレね?コレチョー自慢の傭兵カードなの~。邪悪の眷属なんてゴミ同然のイチコロだからマジで!!」
そういってナオミというギャル魔法使いは私にあるカードを渡す。
「これは?」
私は珍妙奇天烈な物質を見た奇怪すぎる表情でナオミさんに聞く。
ナオミさんはギャルッギャルの言葉で言うので、よくわからなかったが、要約すると、こうである。
このカードは自分が作り出した新しい武器で、ボッチ英雄にぴったりの代物らしい。
なんでも念じると、そのカードに描かれたモンスターが召喚されて共に戦ってくれるという。
しかし、まだ試作品段階で、制限時間があるらしく、それを過ぎると召喚されたモンスターは消えてしまうらしい。
そして、再度召喚するにもある程度のリキャストが必要と。
なるほど……。
私はそれを手に取り、邪悪の眷属への場所を聞くと、ナオミは「あっちの奥よ! さ、どんどん奥へ行っちゃって~!」と言いながら強い光を放つ方を指差す。
私はカードを持って、ユイさんと共に向かった。
大丈夫、何とかなる。
そう言い聞かせて俺は不安と緊張で張り裂けそうな心臓を押さえて光の中へと入った。
二人が光の中へ行った時、ナオミはあることに気づいた。
「あ、渡すカード間違えちゃった」
ギルファーがいる空間。
そこはかつて栄えていた感じの廃城があった。
空は曇っており、所々で雷鳴が鳴っている。
周囲は山で囲まれて、結構不気味だ。
更にあちこちには、ギルファーに敗れたであろう、英雄たちの屍が無数と散らばっていた。
そんな中に私は放り投げられる。
「どあああああああああ!!??」
光から抜けると、なんか知らんけど落下していた。
そして、地面に叩きつけられる私。
めっちゃいたい。
私は、幸先の悪さに深いため息をついていると……。
[ヴゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!]
「!?」
何処からかドスの効いた低い叫び声が響き渡り、心臓が止まるかというぐらいに飛び上がる。
多分、あの叫び声がギルファーの声なのだろうと考えた。
そう思うと背筋がゾクッとして、手足が震えてきた。
「……まぁ、ナオミさんが言ってたカードがあるし、なんとかなるよな……」
必死に心に言い聞かせる。
じゃないと心臓が張り裂けそうだ。
『龍輝後ろ後ろ!!!』
「はえ?」
ユイが血相変えて必死に私の後ろを指差す。
私は後ろを振り向き、唖然とする。
開いた口が塞がらない状態だった。
そこにいたのは黒い鎧、黒い甲冑を身に纏い、自身より倍あるハンマーを持った怪物がいた。
「こいつが……ギルファー…………」
私はあまりの気迫に圧倒されて後ずさる。
恐怖で足が震え、動くことができなかった。
[では、始めよう。史上最高の闘争を!!!]
「あっ……あ……あぁ……」
ギルファーは雄叫びを上げながら、巨大なハンマーを振り上げた。
しかし、私はそれを見つめるだけで、動こうとしなかった。
正確にはできなかった。
『龍輝!!!』
「え?」
ユイの呼び声で正気を取り戻した私はギルファーの方を見る。
「え、やばい!!!??」
危機を察知した私は全速力でその場から離れる。
ギルファーのハンマーが降り下ろされた。
その鉄槌は地面に直撃し発生した衝撃波は、この場所全てを薙ぎ払った。
「やべえええええ!!!!」
『いいから早く呼び出せ早く~~!!!』
必死で逃げ惑う私にユイは大声で指示する。
私は先程もらったカードを地面に置いて召喚。
6体の騎士たちがギルファーに臆することなく挑み掛かった。
これで一安心、そう思った俺が甘かった……。
[無駄だ、であああああああ!!!!]
ギルファーの攻撃は想像以上に過激で、ちょっとの攻撃で騎士達が完膚なきまでに打ちのめされた。
[英雄様のためなら……この命……喜んで、ささげる……]
[我が……人生に……悔い……なし]
「は?」
私は彼らや彼女らが傷つき、一方的にやられるのを見ているだけだった。
助けに行かなければと思っていても足が動いてくれない。
『どうした、加勢してやつを―――』
「……むりやろ……」
『え?』
「あんなの、私が倒せるのか……」
『何を言って……』
「あんなやつ、私が倒せる訳が……」
無理だ。
無理すぎる。
ナオミさんが、眷属なんてゴミ同然と言っていた最強のカードが、ギルファーによって壊滅寸前まで追い込まれた。
絶望的な状況に弱音を吐く私。
サイコガンダムの非ではない……。
無理かもしれん。
『たわけ!! それでも英雄か!!?』
すると、ユイは怒りの声をあげる。初めての怒声に、私は思わずビックリする。
私は涙目で怯える表情を見せるのが嫌でずっと俯いていた。
『アヤツたちは、お主でも英雄と思い、戦っているのじゃぞ!?』
「じゃあ、ユイさんが戦ったらええやろ!!!」
『ワシは戦えぬと言ったじゃろ!!』
「なんで!?」
『ワシの肉体は、この世界には存在しないからじゃ』
「……は……?」
予想だにもしなかった一言に思わず涙目の顔のままユイさんの方を見た。
そこには俯き、拳を握りしめたユイの姿があった。
俯いているので、表情は見えない。
『邪悪が復活したとき、ワシはアークストーンの欠片を使い、お主らの世界から人々をこちらに送り、戦力の増強を考えた。かつて女神イクスが行ったように……』
「……」
『結果はお主らの世界から人々を召喚することに成功した。しかし、女神イクスがいない状態で……しかも欠片のアークストーンでそれを行った代償は大きかった』
「……」
『ワシの肉体は別の異次元へと飛ばされ、意思はそちらの世界へと飛んだのじゃ』
俺は思わぬ発言に黙り込むしかなかった。ユイは更に続ける。
『そして、ワシは最後の魔力を使い、この世界にワシの幻想を作り出した。つまり今のワシは幽霊と言っても過言ではない。もうじきワシの肉体は滅びるじゃろうな……』
「マジで言ってる?……」
『ここにいる神官以外のやつらは皆ワシのことは見えておらん』
「……!!!」
その時私はあの商人やランカン将軍のことを思い出した。
そういえばそうだ。
確かに私がユイさんと会話しているとき、あの二人や、街の皆は不思議そうに俺のことを見ていたし……。
更に、あの鶏ハイテンション野郎の初めの一言を思い出す。
『オおおオキャクサアンおヒトリサマー!??』
『ああ、はいそうです』
私はあのとき、あまりの疲れで適当に返事を返したけど……。
あいつはお一人様と言っていた……。
『だから、ワシはランカンの時、小声で喋ったのじゃ。お主のことじゃから、小声で返してくれると予想しての』
「……そうだったのですか」
『それよりお主、早く加勢せぬか!!』
「……!」
『あいつらにとっては、こんなお前でさえ、英雄として思い……戦っているのじゃぞ!!』
[がぁ……]
[英……雄……さ、ま]
「…………ああああああああもおおおおおおおお!!!!!」
少女の姿をした騎士が苦しむ姿を見て、私のうちにある何かがプツリと切れた。
あー、もうええや、もうどうにでもなれ!!!
私は大声を上げながら周りにあった剣を一本だけ手にとって走り出した。
「であああああああああああああああああああああああ!!!!!」
私は全力でギルファーに切りかかった。
しかし、ギルファーはそれを指で受け止め、弾き返した。
「ぐぅお!!!」
私は地面に叩きつけられ、さらに剣は真っ二つに砕け散った。
「つ、つえぇ……」
[英雄よ。お前の力はその程度か?]
「知らんがな!」
私は辺りをキョロキョロと見渡す。
水は……あー、ない……。
雷鳴ってるけど、落ちてくる気配なし……。
炎も……ないか……。
私は、魔法を使うための媒体を探した。
しかし、見つからずにガクリと肩を下ろした。
[なら、お前も他の英雄と同じく、砕け散るがいい!!!]
ギルファーは大きく飛び上がり、ライダーキックを私に目掛けて放つ。
「うわっ!!?」
間一髪、私は後ろに退避したので、肉塊になることは何とか免れた。
ライダーキックの衝撃で巻き上げる砂煙や石ころが私に直撃する。
「うお!?」
私は咄嗟に目を覆い隠し、砂煙や石から身を守った。
だが、私はあることが脳裏をよぎる。
「もしかして……!!!?」
私は砂煙や石を触れて、それを念じた。
すると、何やら力がバキバキと沸いてくるのを感じ取れた。
[うるああああああああああ!!!]
ギルファーは私に目掛けて拳を振るってくる。
「ばああああああああ!!!!」
私は地面を思いっきりぶん殴った。
すると、ギルファーの足元の地面がグラグラと揺れ始める。
ギルファーも何かを察したようにその場から離れようとした。
しかし、遅かった。
足元の地面が盛り上がり、そのまま地面が爆発を起こした。
その地盤は粉々に砕けながら、宙を舞う。
避けきることができなかったギルファーも宙を待って、そのまま地面に叩きつけられた。
「使えた……!!!」
自然の魔術。
土や砂を吸収することで、おそらく、地か土の魔法が使用できるようになったのだろう。
しかし、やはり制御することが完全とは言えず、身体から砂煙が漏れ出ていた。
[ぐはぁ……。はっ……ははは、それが英雄の力か……。面白い!!! 面白いぞおおおお!!!!]
ギルファーは高笑いをしながら、攻撃の予兆を見せた。
私はそれを見逃さず、すぐに拳を地面に殴って、ギルファー周辺の地盤を沈下させる。
ギルファーはよろめいて、倒れそうになった。
私はその隙をついて、周囲にある剣を一本拝借して、ギルファーに斬りかかる。
土の魔術を得ているお陰か、いつもより数倍の力が出たお陰で、鎧を貫通し肌に直撃した。
[どうやら、俺と戦う気になったようだな!!!]
ギルファーはニヤリと笑みを浮かべる。
このまま押し通せばいける!と思った私が甘かった。
ギルファーは持っているハンマーを横に振っていた。
『龍輝よけるんじゃああ!!』
ユイが必死に叫ぶが、予測可能回避不能。
そのまま巨大なハンマーが私の身体の左横に直撃、吹っ飛ばされて、城壁にぶち当たる。
全身に焼けるような痛みを感じ、声のない叫び声をあげる。
「ーーーーー!!!!」
私はあまりの痛みにのたうち回った。闇英雄になっていなければ、脳震盪とかを起こして確実に死んでいただろう。
しかし、それ込みでも少し車酔いしたかのような感じに襲われる。
「っかぁはぁ……!!!」
口から大量の胃液を吐き、悶え苦しむ。
この時、私は召喚した騎士たちはこのような痛みをさっきから感じていたのか、と痛感した。
[英雄さまを……守るんだ!!]
[私たちの身に代えても!!!]
私が感じた痛み以上のダメージを受けているのに、騎士たちはそれでも主である英雄を守ろうと、自らを盾となろうとしていた。
それを見た私は、涙を流した。
例え召喚した騎士であっても、あんなボロボロになりながらも、自身の為に命すらも投げる女の子を見たからだ。
私は情けなさ、不甲斐なさを感じた。
[愚かな……!!!]
ギルファーはそう言うと、物凄いスピードで騎士たちに襲い掛かろうとした。
しかし、盾となろうとしている騎士達の体が光を放ち、消えていった。
結果、ギルファーの攻撃は空振りに終わる。
「な……まさか……」
『時間……切れじゃ……!!』
「ッチッ……いや、やるしかない!!!」
それでもやるしかないと感じた私は、手のひらから大きな岩石を作り出して、それをギルファーの持っているハンマーのヘッド部分に撃ち込む。
ギルファーは、それに怯みハンマーから手を離してしまう。
「今じゃあああああああああ!!!!!」
私は巨大な石をいくつも作り出して、地面に落ちたハンマーを封印するように覆い隠した。
「これで、お前のハンマーは使えない!!!!」
[いいぞ!! 面白い!!!。もっと心震える闘争を!!!!]
ギルファーはほんの一瞬怯みながらも、楽しそうに拳を私に振るう。
「あああああああああああああ!!!!」
私は巨大な分厚い岩壁を生み出して意地でも、ギルファーの拳の衝撃を和らげようと試みる。
拳が岩壁に命中し、岩壁がバラバラに砕けながら、私は吹き飛ばされた。
岩壁がなければそのまま大怪我待ったなしだ。
「ったぁ……!!!」
それでも私は膝をつき、攻撃の手が止んだ。
[どうした英雄よ!!! よもや終わりと言うまいな??]
その隙をついたギルファーは、自身の拳を降り下ろそうとした。
「言わんわバカタレがぁああああああああ!!!!!」
私は若干怒り気味に、そう言い放ちながら、足を岩で固めて武装し、ギルファーの拳を受け止める。
ギルファーのパンチ攻撃は武装した岩が一瞬にして砕け散らした。
「にゃろー!!!」
私は騎士たちがもう一度、召喚できるまで時間を稼ぐために逃げに徹することにした。
[俺から逃げることは不可能だ!!!!!]
「わぁっとるわ!!!」
私は不規則な軌道を描きながら、逃げ回る。
「ユイさん召喚できるのはまだか!?」
『もう少しじゃ!!!』
「オーケー!」
それを聞いた私は振り返り、土の魔法を使用する。
左右から巨大な岩壁を作り出して、迫り来るギルファーに押し潰すように放つ。
[ぐぁああ!!?]
岩に挟まれて、ダメージを受けるギルファー。
私は剣を構えて身動きの取れないギルファーの胸部分を突き刺す。
「ぜいや!!!」
[ぐっ!?]
「終わりじゃあああああ!!!」
私は全力でギルファーの腹部を深く突き刺そうとするが、ギルファーは気迫で岩壁を吹き飛ばした。
その衝撃で私も大きく宙を舞う。
ギルファーは飛び上がり、ダブルスレッジハンマーを繰り出す。
[沈め!!]
「……!!!」
私は抵抗の暇もなく、その技を食らい。
地面に叩きつけられる。
「ッハァッッッッ!!!!!?」
私はいままでに感じたことのない痛みにその場で痙攣していた。
私は歯を食い縛りながら、お腹を抑え込んで身悶えた。
これほどの攻撃で生きているのは、確実に闇英雄になったことによる肉体強化の賜物だろう。
感謝してええのかわかんねぇや……。
だが、全然動けない……。
やべえ……。
[終わりだな……。英雄!!!]
そう言うと、ギルファーは拳を振り上げる。
『龍輝!!!』
「あ、これ流石に死んだか?」
私はそう思った時だった。
私のリュックから目映い光が放ち始めた。
[むう!?]
「は……?」
私やユイさん、果てにはギルファーまで攻撃をやめて、その光を見つめていた。
光を放っていた正体は財布の中に、お守り代わりとして入れてあったカードゲームに使用するカードだった。
そのカードが青い光を放っていたのだ。
「なんで……」
『これは……召喚の光じゃ……』
「え? じゃあ……」
『あぁ』
私の言葉にユイさんは、こくりと頷く。
私は、そのカードを取り出して、念じることにした。
すると、カードのイラストから黒い光と共に、一対の巨大な炎を纏う鳥が姿を現した。
紫炎を纏い、あちこちに金色の装飾がなされた美しくも神々しい大鳥。
『なんと……!?』
「マジかよ……。魔凰デ・スザークまじで召喚できたぞ」
驚くユイさんに私も、驚きながらそう答える。
私は心踊る気分だった。
まさか、デ・スザークを召喚できるなんて……。
更に言うと、こいつの効果をしっている私は、もしかしたら勝てるんじゃないかと考え始める。
ただし、油断は禁物だ。
全力で行かないとさっきみたいになる。
「いくぞ!! デ・スザーク!!」
私の言葉にデ・スザークは頷き、咆哮する。
それを見たギルファーはニヤリと笑みを浮かべた。
[どうやら、準備ができたようだな!!]
「おう、待ってくれてありがとうな!!! デ・スザークの能力発動、お前の力を削り取る!!!」
そういうと、デ・スザークの炎翼が展開し、紫色の炎を纏った。
その炎は徐々に強くなり、ギルファー目掛けて炎が発射、ギルファーを包み込んだ。
[むっ!?]
ギルファーは逃げることなく、そのまま仁王立ちでデ・スザークの能力を受けた。
[くっっっっっおおおおおお!!? な、なるほど、俺の力を削いで推しきる作戦かぁ!!!! 本当に、今回の英雄は実に楽しませてくれる!!!]
ギルファーは笑いながら、あえて能力を受けきった。
ギルファーの力を削りとったデ・スザークは天に向かい大声をあげる。
[クッフフフフフ、どうやらいままでの英雄とは訳が違うようだ。さぁ、英雄よ。これで貴様と俺の力はほぼ互角。再び心踊る最高の闘争を始めようか!!!]
「あぁ、私だって、さっさと邪悪を倒して元の世界に帰りたいんでな!!!」
立ち上がったギルファーは衝撃波を発生させるほどの大声を上げて拳を振るう。
そんなことさせる訳がない。
私は、ギルファーの拳に巨大な岩を纏わせた。
大幅に力が落ちたギルファーは、その岩の重りに耐えきれず、地面についた。
[ぐ……。なかなかやるな……!!!]
追撃とばかりに私は地面を殴り、ギルファー周辺の地面を突起させて、ギルファー目掛けて突き刺す。
槍の如き岩は、ギルファーの鎧を貫通し、血が吹き出る。
[ぐぅ……っくっ……ははは、いいぞ!!! いいぞ英雄!!! もっと俺を楽しませろおおおお!!!!]
ギルファーの大声は衝撃波が走り、私は吹き飛ばされる。
デ・スザークは、それを見逃すことなく、すぐに俺をキャッチしてくれた。
おかげで、壁への激突は免れた。
「サンキュー、デ・スザーク。マジで助かったわ!」
[ぴえー!!!♪♪]
主にである私に褒められて嬉しかったのか、デ・スザークは見た目に合わない子犬のようなキュートな声をあげる。
あまりのギャップに驚きを隠せない朱雀であったが、そんな余裕あまりなかった。
[邪悪の眷属の力、うるあああああああああ!!!!!!]
ギルファーは巨大な腕を地面に叩き、岩盤が抉れるほどの衝撃波を放つ。
『龍輝危ない!!!』
ユイさんが叫ぶが、俺は動じなかった。
「卍月の流星群!!!」
デ・スザークは雄叫びと共に飛翔、周囲から黒い玉を形成し、ギルファー目掛けて放つ。
衝撃波をかき消して、すべての玉がギルファーに命中する。
[いいぞ!! このような素晴らしい闘争を俺はまち続けていた!!!]
ギルファーが感銘を受けている隙に、私はすさかず、リキャストが終わった、先程の騎士たちを召喚する。
[英雄様!!]
[ご無事で!!]
騎士たちは口々に私の安否を喜ぶ。
あんなことがあったのに、それでも私の身を……
私は情けなさや悔しさからでる溢れんばかりの涙を堪え、剣を銃を構えた。
「お前ら、これでけりをつける。まずは奴の動きを封じるで!!」
[[[はい!!!]]]
[なら、俺も貴様に送るとしよう。俺の今持つすべての力を持って!!!]
そう言うと、ギルファーは巨大になり、拳を構える。
俺とデ・スザーク、傭兵たちは一斉にギルファーへと突き進んだ。
[戦いは、無限に広がる!!!!!]
巨大な拳で大気を割る程の勢いで我々目掛けて殴る。
俺たちは全力でそれに対抗する。
拮抗するギルファーと我々。
[おおおおおおおおお!!!]
「うおあああああああああ!!!!」
その鍔迫り合いに終止符が打たれた。
朱雀やデ・スザーク騎士たちがギルファーの拳を打ち破り、トドメを刺したのだ。
[ぐはぁ……!! グフっ……。フハハハハハ……。英雄たちよ。良き闘争だったぞぉ!!!]
ギルファーは膝をつき、闘争を満喫しながら笑みを浮かべて光に包まれた。
それと同時に私は意識を失い倒れた。
続く
アークヘイロス・ギルファーを倒した私とデ・スザークと召喚騎士たち。
中々な凱旋を受けながら、私は将軍からある刀を頂いた。
嬉しいのだが、まだまだ帰れそうにない。
皆心配してるだろうな……。
心配してくれてるのかな?
やべえめっちゃ不安になってきた。