OREHーKRAD 邪悪に支配された人々   作:楠崎 龍照

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ケミックさんのお陰で古龍になれる能力を手に入れた。
そしたら、弱体化した。
ヤバい。

なんなら、ケミックさんのスペックがヤバい。
魔法と科学を使った設備や兵器が尋常じゃないぐらいヤバい。


15話 人間体型→古龍骨格=動けない。

 

 

 

「……」

 

溟龍ネロミェール。

私の世界で、大人気のゲームに登場する古龍種と呼ばれる生態系から逸脱した種類に分類されるモンスターだ。

その姿を見たケミックさんは、手をパチパチと叩き興奮して、ユイさんは無言で私を見つめていた。

 

「成れたよ。成れたけど、元にどうやったら戻れるの?」

 

私はそう訊ねる。

ケミックさんは「念じたら戻れるわよ」と言うので、元に戻ろうとする。

しかし、戻れない。

あれ?

と、再び不安が私を襲う。

 

「念じたら戻れるはずだけど、龍ちゃんの場合、何かしらの手段を踏まないと戻れなさそうねー」

『呑気に言ってる場合じゃないじゃろ。このままグリムマギアに向かったら、大騒ぎで大変なことになってしまうぞ!』

「ヤバいな……。どうやって戻ろうか」

 

私こと、ネロミェールは目を細めて戻る手段を考えまくった。

 

「ねー、さっきの説明を聞いた感じ、体内ある魔力を全て放出しないと魔法が解けないのよね? もし、この龍化能力が魔法の能力と紐付いてるなら、魔力を全部放出すれば、元の姿に戻るんじゃないかな?」

 

ケミックさんの案に、私とユイさんは「あー!」と納得した。

さっそく私は水の魔法を使おうとする。

流石にこの中で使うのは不味いと思い、外へと出るために歩こうとしたのだが、ここで異変が起こった。

思うように歩くことが出来ずに、転倒してしまった。

 

「あれ……? ちょっと、待って……?」

 

起き上がろうにも、思うように力が入らない。

 

「あー、やっぱり。人間が急に四足歩行の骨格になったから、身体……というか脳が慣れてなくて、筋肉の動かし方とかが分からないのよ。私も苦労したわー」

『「先に言え!!!」』

 

それを聞いた私とユイさんは声を合わせてそう言って、ケミックさんを叱り飛ばした。

 

「ご、ごめん」

 

ケミックさんは申し訳なさそうに謝罪をする。

 

「こんにゃろー、どうにかして立たないと……」

 

私は、人間体で四つん這いになるイメージをしながら、立とうとした結果、非常に不恰好であるが、何とか立つことができた。

 

「うわぁ……凄い気持ち悪い感覚……」

 

全身に力をいれると、凄いムズムズする感覚に襲われて、かなり嫌悪感があった。

 

「参ったな……。めっちゃ動き連れぇ……」

 

私は両手両足をプルプル震わせながら、ぎこちない動きで外へと出ようとする。

ケミックさんとユイさんに介護されて、何とか家に出ることができた私は、夜の暗い広大な平原に立って水の魔法を使った。

ワンチャン、本物のネロミェールみたいに口から水を放出できると思ったが、放出できなかった。

ケミックさんの言った通り、水の魔法を使い切ったことで龍化の能力も解除され、元の人間に戻った。

 

「やべえ……。確かに理性とか崩壊しないけど、めっちゃ動くのきつい……。あとすんげえ全身に違和感を感じて気持ち悪い……」

「うーん。これに関しては馴れるしかないわねー」

「事実上の弱体化やんけ!」

『当分は、刀と銃で戦うしかないのー』

「oh.......ただでさえ、前の魔法だって完璧に使えてる訳じゃないのに、それに龍化まで……。これとんでもねえな……」

 

私はため息をついて、肩をガクリと落とした。

これからのことを考えると、先が思いやられる……。

 

「そういえば、ドラゴンになったのはいいですけど、そのドラゴンの個有の能力って使えるんですかね?」

「うーん。どうだろ……。そうだ、あれで見てみようか」

「『あれ?』」

 

私とユイさんはキョトンとしてケミックさんに向ける。

ケミックは再び、私たちをある場所へと案内した。

それは、リビングを通りすぎた更に奥の部屋。

その奥の部屋は、ひたすらに広く、白一色の壁と床で小型のロボットや機械などが置かれてある。

まさにハイテクノロジーの研究所のようだった。

 

「これよ!」

 

そして、ケミックさんは一つのマシーンを私たちに見せる。

それは、大きなゲートのような物だ。

空港にあるゲート式の金属探知機を大きくした物と言えばいいだろう。

 

「これはね。能力の詳細を知ることができる機械なのよ!」

「能力の詳細!?」

「そうよ。その人の能力や、後々の伸び代予想とかを表示してくれるのよ」

『なんともまぁ……』

「これもケミックさんが?」

「そうよ!」

「……」

 

この人……普通にやばい人じゃん。

ある意味で変人だ……。

私は心の中で、そう呟いた。

 

「さてさて、じゃあ龍ちゃんこのゲートに入って!」

「あ、はい」

 

私はケミックさんに言われるがまま、ゲート内に立った。

すると、ゲートが起動して私の全身をスキャンするように光が私を包み始めた。

スキャンが始まって10秒ほど経つと完了したようだ。

ゲートの壁からプリンターらしき機械の起動する音と共に文字が刻まれた紙が出てきた。

それをケミックさんは抜き取り、確認する。

 

「フムフム、あー。なるほどね……」

 

紙を見たケミックさんは、興味深く読んでいた。

私も見たのだが、全然分からなかった。

万一に備えてケミックさん自身にしか分からないように暗号化してあるらしい。

ということで、ケミックさんから私の能力について説明を受けた。

 

まず、私の能力だが、

元々は、外部から受けた属性(炎・水・雷・氷・土、風)を吸収し、その受けた属性の魔法を使うことが出来ていたのが、先ほど飲んだ龍化能力付与の薬と元々あった魔法能力とか合体してしまった。

そして、その属性一つ一つから、別々の龍に変身することになったという。

だが一度その対応属性に変身した龍は固定化されて、二度と別の龍に変身できない。

つまり、先ほど水の魔法を得た時に変身した溟龍ネロミェールは、水の魔法では、ネロミェールが固定化されて、二度と別の龍に変身することはできないとのこと。

また、その変身した龍の力は使用することは現状不可能で、あくまで、ネロミェールの姿で水の魔法を使えるだけとのこと。

ネロミェールの持つ水を操る能力や電気を発生させる能力は使えないらしい。

だが、その龍の力はそのままのようで、肉弾戦ではかなり有利にたてる……らしい。

ただ、鍛えればその龍の能力は使用できるようになるようだ。

 

 

「聞いてて、あんましよく分からんけど。取り敢えず、もう水の魔法はネロミェールしか変身できないわけやな?」

「そういうことね。炎や氷はまだ使ってないから、そのネロミェールってドラゴン以外に変身できるわよ」

「ただ、一回変身したら別の龍には成れないと?」

「そういうこと。それにその龍個人の能力は使えないわ。ただ、これに関しては、単純に龍ちゃんにそこまでの力がないだけで、鍛えればその龍の能力は使用できるようになるわ!」

 

ケミックさんはウィンクをしながら言った。

「がんば!」と言ってるようだ。

うーむ。

と私は唸る。

 

「取り敢えず、炎とかも龍になってみようかな。ケミックさんって水以外に何使えます?」

「炎、水、電気、風、氷、土、闇、光、植物、毒、鋼ね」

「すげぇ……」

「まぁ、これでも魔法都市の大神官してるしねー」

「な、なるほど……。それなら、炎や電気、風などの魔法を私にぶつけてください」

「今のうちに、成りたい龍になるわけね?」

「ええ、咄嗟に龍に成るにしても、変な龍に成るのは嫌なので。どうせなら、私の好きなドラゴンに成りたいじゃないですか。その龍とは一生な訳ですし」

「まぁ、気持ちはわかるわ。じゃあ、炎からいくよ?」

「お願いします」

『どんなドラゴンになるのか決まっておるのか?』

「ええ」

 

私たちは外へと出た。

私は深呼吸をして目を開ける。

それを見たケミックさんは、炎の魔法を唱えた。

鳥を模した炎が私の方に迫りくる。

私はそれを両手で抑え込み吸収。

頭の中で炎の龍を思い浮かべ、私の身体はそのドラゴンになってゆく……。

 

「ワーオ! かっこいい!!」

『邪悪の眷属もビックリな見た目じゃな。ワシは結構好みじゃ』

 

有翼の獅子を彷彿とする赤い毛並みの龍となった私は「そうっすか」と呟いた。

やはりというべきか、ネロミェール同様に違和感が半端ない。

 

「名前はなんて言うの?」

「炎王龍テオ・テスカトル」

『変わった名前じゃな』

「なははは……」

「かっこいいじゃない!」

 

私は炎を徐々に放出して魔法を解いた。

しかし、熱によって私がいた周辺の草は燃えてしまった。

 

「あー、ケミックさんすみません」

「いいわよ。魔法で生やせるし」

「そ、そうですか」

「さてさて、他の魔法もやっておきましょ!」

「あ、はい」

 

この後、私は各属性の魔法を吸収して龍に変身するの繰り返しをした。

その結果……。

 

炎の魔術・対応龍-炎王龍テオ・テスカトル

水の魔術・対応龍-溟龍ネロミェール

雷の魔術・対応龍-雷極龍レビディオラ

氷の魔術・対応龍-冰龍イヴェルカーナ

風の魔術・対応龍-風翔龍クシャルダオラ

土の魔術・対応龍-地啼龍アン・イシュワルダ

 

 

こうなった。

どれもMONSTER HUNTERと呼ばれる、私がいた地球で世界的人気を博したゲームに登場する古龍種に属するモンスターたちだ。

正直、土の魔術の対応するドラゴンは凄い悩んだ。

冥晶龍ネフ・ガルムドか、地啼龍アン・イシュワルダの二択。

悩んだ末、ケミックさんが有無を言わずに私に土の魔法をぶっ込んできて、咄嗟に頭に浮かんだのが、アン・イシュワルダだった。

しかし、動けない。

MONSTER HUNTERの世界では、常識から逸脱したような強い部類に属するドラゴンたちだが、自分がなってみると動けない。

これがフィールドにいたら、ハンターの格好の的である。

なんなら、一番弱いモンスターにも負けるかもしれない。

本来の私の最大の武器であった魔法が、龍化と一体になったことで、現状私の武器は刀と銃だけになってしまった。

まぁ、早いところ、古龍の体にも慣れないとな……。

じゃないと後々ヤバそう……。

 

 

 

 

 

「はい、これで全部ね!」

「ありがとうございます!」

 

それぞれの魔術の龍化を終えた私は一息つく。

ケミックさんは、お腹が空いたわねーと言って、私たちをリビングへと連れていく。

 

「ちょっと遅いけど、ご飯にしようか」

 

そう言いながら、ケミックさんは冷蔵庫から食材を取り出す。

私も何か手伝った方がいいと思い、立ち上がろうとしたが、それよりも先にケミックさんが、「私が適当に作るから、適当にしてていいわよー」と先手を打たれた。

さて、適当にしていいとは言われたが、どうしたものかと考えていると……。

 

『そう言えば、ケミックよ』

「なに?」

 

ユイさんがケミックさんに話かけた。

ケミックさんは、料理をしながら口を開く。

 

『食材は、グリムマギアで買っておるのか?』

「いんや? 地下施設で作ってるわよ?」

『地下施設??』

「地下施設……」

「ええ、この地方って地下にマナが大量にあるじゃん? それを利用して、マナで稼働する機械を開発したのよね。それで龍ちゃんの世界にある野菜や果実を栽培してるの。後は魚介類とか、お肉とかね」

『な、なんじゃと?』

「どゆこと?」

 

私とユイさんが、目を点にして訊ねると、ケミックさんは表情一つ変えずに、私たちが座っているソファーの近くにある床を指差した。

 

「そこの下にそれらの巨大なプラントが広がってるのよ。そこから食材を調達してるのよ。後でいってみる?」

「いいんですか?」

「いいわよ。ユイは?」

『ちょっと興味深いの……』

「じゃあ、ご飯食べたら言ってみましょうか! もうすぐしたらできるわよ」

 

美味しそうな料理の香りが漂う。

流石に腹の虫が鳴り響く。

 

『恐ろしい虫を飼っておるな』

「なははは……。腹減った……」

 

私は笑って腹をさする。

ケミックさんはニコニコさせて「もう少しでできるわよ」と言った。

 

ケミックさんの言う通り、五分ほどでご飯が出来上がった。

 

「はい! おまたせー!」

 

エプロン姿のケミックさんは、料理がのっている大きなお盆を持って、それをテーブルに置いた。

私は一目散にテーブルへと直接攻撃をする。

予想はしていたが、晩御飯の献立はビックリするほどの日本料理である。

 

ご飯(麦と米半々)

味噌汁(もやし、大根、レタス、ネギ)

マグロ?っぽいお刺身

鶏肉の唐揚げ

レタスのおひたし

 

どれもこれも、美味しそうであり、私の大好きな料理ばかりだった。

 

「まだ残ってるから、おかわりOKよ」

「マジか、ありがとうございます!! いただきます!!!」

『うまそうじゃなー』

 

ユイさんは、ケミックさんと私の料理を見て呟く。

それをみたケミックさんは、ため息をついて……。

 

「まったく、今度、転送装置でも作ってみるわよ」

「作れるんですか?」

「分からないわよ。でもやってみる価値はあるわ。小さい物質程度なら、座標さえ掴めれば可能そうだしね」

『天才か?』

「さーね」

 

ケミックさんは、顔色一つ変えない表情で、モグモグと飯を食べながら口にする。

 

「まぁ、今度やってみるわ」

 

そのあとは、なんのことはなく、食事を済ませた。

因みに、味の方は日本を彷彿とさせる味わいで、少しだけ涙が出そうなレベルで美味しかった。

私は3分を経たないうちに、全てをぺろりと食べほした。

 

「はや……」

「おかわりあります?」

「あるわよ」

「いただきます!」

『お主よく食べるのぅ……』

「腹減ってる故……」

 

そのおかわりも2分ほどで平らげ、ごちそうさまをした。

ケミックさんは、呆気にとられていた。

 

「そんなに美味しかった?」

「ええ、故郷といいますか、向こうで食べた味そのもので懐かしさのあまり」

「それはよかったわ! 向こうの世界、とくに日本の食材の味に寄せるように品種改良やらなんやらをしたからね!」

「さ、流石ですわ……」

 

この人の日本というか、向こうの世界に対する執念というかなんと言うか……。

恐ろしいほどに凄い……。

 

「さて、私もごちそうさま! じゃあ、食器を台所に置いたら、見せるわね」

 

そう言ったケミックさんは、魔法の力で食器を全て台所に置いた。

そして、そのまま私と自身に魔法でバリアを張ったのだ。

 

「下は、食物等を育ててるからね。貴方ならわかるわよね?」

「ええ。まぁ」

『ワシは?』

「あんたは、別にいらないでしょ。ほぼ霊体なんだから」

『た、確かにそうじゃな』

「じゃあ、いくよー!」

 

ケミックさんは、床を開けて下へと降りていった。

私たちも後に続く。

そして、地下室へとたどり着いた私たちは、自分の目を疑ってしまう。

そこには、水耕栽培プラントにあるであろう機械が立ち並び、ありとあらゆる野菜が栽培されていた。

そもそも、この部屋の大きさがおかしい。

パット見た感じ東京ドーム二、三個分の広さがある。

高さに至っても、一般の住宅二階建てぐらいの高さを誇っている。

 

「すごいでしょ?」

「……」

『……』

 

唖然とするわこんなもん。

野菜も、キャベツやらレタスやらほうれん草やら……。

巨大な野菜栽培プラントゾーンを過ぎると次は果物プラントゾーンだ。

そこにもリンゴ等の果物が、あり得ないほど栽培されている。

ケミックが言うには、これらのプラントは、地下に広がっているマナのエネルギーを特殊な機械で吸収し、それをエネルギーに変換して、稼働させているらしい。

しかも、マナは無尽蔵に沸いてくるため、ほぼ永久機関的に動き続けることが可能だとか。

しかも、この地下は核シェルターの三倍ほどの強度を誇り、邪悪の眷属の攻撃もある程度耐えることが可能だという。

 

「やべえ……」

『これは……うん』

 

私とユイさんは驚きのあまり、言葉を失った。

科学大神官というより、科学超神官だろこれ……。

いくらなんでもオーバーテクノロジー過ぎる……。

 

「果物プラントの先は、魚介類プラントね。あとは、豚とか牛とか鶏とかも育ててるわ」

「……」

 

とりあえず、このプラントだけで自給自足ができるのはわかった。

やばすぎる。

そのあと、私たちはリビングへと戻った。

 

「すごかったでしょ?」

「ええ、ヤバかったです」

『同じく』

「他にも色々な施設があるのよ?」

「た、例えば」

「マナを動力源としたロボット作ってたりね。ほら、あの扉の向こうを進んだ先のところに、さっきの地下プラントとは違う場所に格納庫を用意してあるのよ!」

「……」

 

やっぱこの人頭おかしい。

子供のようにはしゃぎながら説明するケミックさんを見て、私たちは苦笑するしかなかった。

 

「行ってみる?」

「ええ、なかなか興味深い」

『そうじゃのう』

 

私たちは、そのロボットがある格納庫へと向かった。

リビングの更に奥にある部屋の隠し扉から続く地下の長い階段を降りた。

五分ほど階段を降りていると、一つのごつい扉が見えた。

ケミックさんは、慣れた手つきで液晶モニターに映る長いパスワードを入力する。

ロックが解除されたのか、扉が音を発てて開いた。

そして、その格納庫には……。

 

「な"、な"ん"じゃごれ"!?」

『……………………???????』

 

先ほどの食料プラントよりも広大な空間に、日本で見たことのある戦艦や機械人形、とあるAI兵器が整備されていた。

あまりの光景に私は、自分の目がおかしくなったのかと。

この空間だけ別の世界にあるんじゃないかとすらも疑ってしまう。

 

「私の弟子が、なんだっけ? モビルスーツ? だったかな? それが大好きでねー。画像を見せてもらって、私も凄い興味が沸いて、自分で作ってみたの!」

「これ全部ですか?」

「そうよ、あー、まぁ魔法を使って、ある程度の製作工程を省いたりしたけどね」

「……」

「とりあえず、私たちの真ん前にある、巨大な戦艦がー。えーと、機動戦士ガンダムUCに登場するドゴス・ギア級2番艦 『ゼネラル・レビル』ね。他には同作品に登場する量産型モビルスーツ、RGM-89A2『ジェガンA2型』。量産型可変モビルスーツ、RGZ-95C『リゼルC型』ね。その二種類は、ゼネラル・レビル内のモビルスーツデッキに格納してあるわ」

「やっべ……」

『ワシにはわからん……』

「艦内の格納庫にジェガン48機、リゼル48機。合計96機のモビルスーツが搭載してあるのよ!」

「ん??」

 

ケミックさんの言葉に疑問が浮かぶ。

確かにゼネラル・レビルは、作中でも化け物艦と言われるほどの大きさを誇り、モビルスーツ……つまり機械人形(ロボット)を大量に搭載できる。

しかし、その搭載量は48機の4個大隊のはず。

なぜ、そんなに積めるのだろうか??

私はケミックさんに、訊いてみた。

 

「よく気づいたわね。このゼネラル・レビルは一回り、大きく作ってあるの。そんで、この戦艦は無人機動が可能だから、人員のスペースが必要としてないわけ。だからそのスペースを全て格納庫に回してるの」

「な、なるほど……」

「更に、このジェガンとリゼルは従来よりも小型化してるのよ!」

「あー、なるほど」

「私も従来の全長で作ってたけど、弟子がモビルスーツは小型の方が小回り効いて、戦況を有利にできますよっていわれたのよ」

「じゃあ---」

 

私が言おうとしたより、先にケミックさんが口を開く。

 

「確か小型モビルスーツであるヘビーガンとかGキャノンとかも見せて貰ったけど、やっぱり私にはジェガンとリゼルが刺さるなってことで、この2種類を小型にしたのよ。それから動力源はマナ魔法……」

 

 

 

科学超神官ケミックのウンチクにより割愛

 

 

 

「そう言うわけよ!! スゴくない!?」

「いや普通に凄いですよ」

『(10分も話とったぞ……)』

 

ケミックさんのとんでもない長話に、ユイさんは疲労困憊である。

それに気づいたケミックさんは、非常に申し訳なさそうな表情をして「じゃあ、夜も遅いし戻って寝ようか!」と切り上げることにした。

しかし、帰り際にも話の花が咲き乱れる。

 

「向こうの格納庫にも、何かあるんですよね?」

「ええ、第一格納庫には、さっき紹介したゼネラル・レビル。第二格納庫には、カイラム級機動戦艦『ラー・カイラム』にジェスタが置いてあるわ」

「はへー」

「第三格納庫には、ちょっと別の兵器があるのよね」

『しかし、そんなに兵器を開発してどうするつもりじゃ?』

 

ユイさんが目を細めてケミックに訊ねる。

ケミックさんは相も変わらず、にこやかに微笑みながら「わたしの技術力、科学力、魔法力の向上。あと自己満足。それと防衛ね」と自信満々に答えた。

 

『しかし、あの兵器たち……』

「わあってるわよ。あの兵器の弱点が絶妙に致命的なのよ。こっちだって何とか改良策を考えているのよ」

「致命的な弱点?」

 

そういうと、ケミックさんの弱点の解説が始まる。

 

要約するとこうなる。

 

・あれらの兵器はマナをエネルギーに動いている。

 

・グリムマギアの地中にはマナが未曾有にある。

 

・兵器に積んである動力は、その地中からあふれでるマナを吸収し、エネルギーに変換してある。

 

・グリムマギア地方にいる限り、あれらの兵器は半永久的に稼働することが可能。スマホなどで言うところの永遠に充電してる状態。

 

・つまり、マナの少ないグリムマギア地方以外では、直ぐに機能が停止する。

 

らしい。

それは確かに絶妙に致命的な弱点だ。

 

 

「なーるほど……」

「まぁ、なんとかなるわー」

『グリムマギアの守護神じゃな……』

「それより、ケミックさんの弟子ってどんな人なんですか?」

「そうねー。丸野 卓郎(ガンノ タクロウ)っていう少年でね。凄いロボットに詳しいの。魔法もそれなりに使えてかなり優秀よ。いまグリムマギアにいるはず」

「そうなのですか」

「うん!」

 

そんな話をしているうちに、リビングへと戻ってきた。

私たちは直ぐ様入浴をして、ケミックさんとユイさんの二人はケミックさん自室のベッドへ、私は借りた布団で寝ることにした。

 

今回は濃厚な1日だった。

とりあえず、明日から古龍の体に慣れるために頑張ろう。

そう思い、私は夢の中へと向かった。

 

 

 

 

そして、同時刻。

四大都市であり、魔法を専門とする魔法都市。グリムマギアでは、悪夢とも言える出来事が起ころうとしていたのだ。

 

[……]

 

神殿の入り口を影から見つめる黒いロングコートを着ている男がいた。 

この神殿の深奥に存在するある物を狙っているのだ。

扉の前には、警備兵と思われる男性が二人が笑顔で雑談をしている。

 

[……!!!]

 

男性は目にも止まらぬスピードで警備兵に接近し、二人を切り裂いた。

一瞬の出来事だ。

二人は、笑顔のまま倒れて死んだ。

多分、自分が殺されたことに気がついていないだろう。

 

[……]

 

男性は、凄まじいスピードで神殿の深奥まで走り出した。

 

[……ここか……]

 

神殿の深奥にあったのは、1つのとっくりだった。

それを見た男性はなにも言わずに、そのとっくりを地面に叩き割ったのだ。

どうなるか、わかるだろう。

割れたとっくりから、赤黒いオーラが放たれる。

辺りが揺れ、柱などが崩れ落ちた。

 

[……]

 

そして、神殿が崩壊すると同時に男性はワープでその場から離脱する。

そして、封印が解かれたアークヘイロスは地中深くに潜行し、地中にある未曾有のマナを吸収しにかかった。

 

 

 

 

 

 

続く

 

 




恐ろしいことが起こった。
まさかグリムマギアにアークヘイロスが顕現するなんて……。
このままでは、グリムマギア地方が崩壊するらしい。
私たちは、ケミックさん手製のバギーでグリムマギアへと向かい、討伐隊に参加することとなった。
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