ただ、ケミックさんと鈴亜さん。
そして、クリサリスとコクーンがそれを上回っていた。
壮絶な死闘の末に勝利したのは、私たちだった。
[私は、私は……アークヘイロスなのよおおおおおおお!!!]
マフィーナは発狂したように叫びをあげる。
地面に伏したマフィーナをよく見ると、右半分が完全になくなり、顔も欠けていた。
残っている左腕と、小さな左足で何とかうつ伏せになっている状態だった。
そして、その断面から緑色の体液が耳を塞ぎたくなるような音を発てて吹き出す。
[に、人間ごときがあああああああ!!!!!]
トコヨは左の掌から風を纏わせた円盤形のエネルギー弾を作り上げ、それを私たちに放った。
「……!!!」
鈴亜さんは走り、右腕から青い刃状に形成した魔力の剣で迫り来る円盤型のエネルギー弾を踊るように回避しつつ、次々と切り裂く。
私のいた地球で世界的人気のアニメ、ドラゴンボールに登場する、とある神様みたいなことをやってらっしゃる。
あれいいな。
機会があれば教えてもらおう。
「でや!!」
更に、マフィーナの残った腕を斬りつけた。
[ぐううううううううう!!!!!]
マフィーナは苦しめな声を上げつつも、巨大な蟻や百足を召喚し、討伐隊に襲わせるが、クリサリスやコクーンによる援護射撃により阻止されてしまう。
どれだけ大きい虫であろうと、コクーンやクリサリスの前には全てが無に帰する。
聴こえるのは、無機質で耳に残る歌声と虫たちの断末魔。
[邪魔をするなああああ!!!!!]
雷を起こしてコクーンたちの動きを止めようとする。
『電撃魔術出力最大。放電開始。』
クリサリスはレールガンから電気を放電し、蜘蛛の巣状の形を作った。
マフィーナが解き放った雷は、クリサリスが放った雷とぶつかり合って相殺される。
その間も人々はマフィーナを討伐するために攻撃を加えまくる。
そのなかでも、ケミックさんと鈴亜さんの攻撃は苛烈を極めており、一発一発がマフィーナを怯ませるほどだ。
[この私が……アークヘイロスが……こんなやつらにいいいいいい!!!!!]
「押せ!! 押すんだ!!! もう少し!!! もう少しだ!!! マフィーナはもう虫の息だ!!!」
サスクワッチは枯れた声で討伐隊に命令する。
討伐隊は今までにない希望に満ちた声で「おおおおおおおおおおお!!!!」と返事をした。
しかし、マフィーナは胴体を上げて、球体を出現させた。
[ぅうるさいハエどもがあああああああ!!!!!]
「不味い!! レーザーがくるぞ!!」
「私が!!!」
サスクワッチの声に、我こそはと言わんばかりに鈴亜さんはマフィーナに向けて飛び上がり、魔法の壁を作り出した。
マフィーナのレーザーは発射され、討伐隊に襲いかかるが、少女の防壁によって防がれる。
「今よ!!」
無防備のマフィーナに人々が襲いかかる。
私も白鞘の刀を持って、斬りかかる。
数百人にも昇る人々の怒涛の連撃。
そして、討伐隊によって、殻が砕ける音と共に青い体液が吹き出し、マフィーナの左腕が切り裂かれた。断面から青い体液を飛沫を上げて吹き出し、マフィーナは悲鳴をあげる。
[ヴァアアアアアアアアア!!!??]
これにより、マフィーナは半分の顔と胴体だけとなる。
支えるものが無くなり、地面にコロンと転がってしまう。
最早、邪悪の眷属の肩書きというモノは、ドブ川で洗濯をしたかのように汚れきっていた。
ケミックさんと鈴亜さん、コクーン、クリサリスが強すぎた。
しかし、これだけ身体を消し飛ばされても余裕に生きているのは、普通に凄い。
虫の生命力には驚かさせる。
[こ、こんな……こんなこと……]
マフィーナは体を震わせて呟く。
だが、我々はそんな戯れ言など無視してトドメを刺そうとする。
しかし、その時だ。
マフィーナは最後の魔力を振り絞った。
[こんなことあって良いわけがないわ!!!!!!!]
そう絶叫すると切断面から氷を生み出して、自身の身体を象った。
[貴様ら全員……皆殺しにしてやる!!!!!]
氷で自分の欠損部位を無理矢理作り出し、再び空へと舞い上がる。
我々は一ヶ所に集まって、結界を張った。
[私をコケにしやがってええええええ!!!!!]
完全に怒り心頭のマフィーナは、氷の腕を振り上げる。
「いま!!!」
その時、突然ビームが放たれて、振り上げられた腕を切断した。
何事かと全員がビームが飛んできた方を向く。
そこには、洞窟内で破壊されたはずの自走砲があった。
「何とか間に合った!!!」
「卓郎か!?」
「ああ、さっきの自走砲は破壊されたから、新しいやつを持ってきた、これから援護するよ!!」
そう言って、再びビームをマフィーナに向けて撃つ。
マフィーナは叫び声を上げながら怯みまくる。
「迎撃!!!!!」
これは絶好のチャンス、大砲等の銃火器、炎の魔法がマフィーナに直撃をする。
虫の殲滅を完遂したクリサリスやコクーンもマフィーナに向けてレールガンや主砲を撃つ。
消耗した体力で象った身体は、非常に脆く氷の身体は音を立てて崩壊した。
しかし、その砕けた鋭利な氷の破片が動き始め、討伐隊の人々に襲い掛かる。
「させるわけないでしょ?」
「そうね!」
ケミックさんと鈴亜さんが炎の攻撃で襲い掛かる氷を全て溶かしたことで事なきを得たが、もし、あれが襲い掛かってきたと思うと、肝を冷やさずにはいられない。
[ふざけんじゃないわよおおおおおおおおおおおお!!!!!!!]
絶叫し、マフィーナは炎を纏わせた岩を虚空から出現させてそれを降らせた。
まるで隕石のそれは私たち目掛けて落下する。
すかさずケミックさんと鈴亜さんが隕石を撃墜するために動く。
私を含め、他の者たちはマフィーナ討伐に専念する。
マフィーナから放たれた魔力の奔流と似たようなブレスを放つ。
その一撃は、瞬時に半数の隕石を塵に変える程の威力だ。
負けじと鈴亜さんも大魔法を唱える。
手のひらから炎・水・雷・風・氷・土の六属性が圧縮されたビームを放った。
半分の隕石を瞬く間に消し飛ばし、さらにそのままマフィーナにも当てた。
ビームを放ち終わると、その衝撃か鈴亜さんも後ろに吹き飛ばされる。
しかし、鈴亜さんの攻撃を受けたマフィーナは大ダメージを受けたようで、身体の一部が溶けてなくなった。
ぶっちゃけ、この二人と戦闘兵器数機があれば、どうにでもなってしまいそうなほどだ。
もう、あいつらだけでいいんじゃないかな?と思ってしまう。
羽、両腕、両足を失くし、胴体、顔は半分以上を失ったマフィーナは、地面に叩きつけられるが、それでもしぶとく生きて我々を魔法を使って滅ぼそうとしてくる。
それには、全員が戦慄した。
生命力が鬼である。
黒光りするGかよ。と……。
[お前らを……殺す……殺してやる……]
そう恨み言を囁きながら、攻撃を行おうとする。
しかし、こうなってしまえば、最早我々の敵ではなかった。
支援部隊が、回復魔法を唱え続け、討伐部隊がマフィーナの息の根を止めにかかった。
更に卓郎の自走砲のレーザー攻撃も合わさり、マフィーナの身体はぼろぼろになった。
[こんな……こんな奴らに……こんな奴らにいいいいいいいいいいい!!!!!!]
そう叫んだマフィーナは最後の力を振り絞り、身体を浮かせて最後の魔法を唱える。
「これは……!! まずい!!」
流石の鈴亜さんも焦りを見せ、魔法を唱える。
一方のケミックさんは、顔色1つ変えることはなく、私の方を見つめた。
それに私は嫌な感じを覚える。
なにかを言うよりも先にケミックさんは、私を鷲掴みにした。
「ちょ……!!?」
「さぁ、龍輝の出番よ!!」
「まてぃ!! このパターンは!?」
「うるあああぁぁぁ!!! 龍輝ミサイルううう!!!!!」
物凄い勢いで、マフィーナにぶん投げた。
私は悲鳴をあげること無く、歯を食い縛りつつ後ろから火炎放射が来るのを待つ。
しかし、飛んできたのは火炎放射だけではなかった。
「コクーン!!! 卓郎!!!」
「りょーかい!! ロックオン!!!」
『ミサイルターゲット捕捉』
ハッチの1つがパカリと開き、1つのミサイルが私に目掛けて発射され、自走砲からはレーザーが放たれる。
更にケミックさんの火炎放射が私を襲ってくる。
再びテオテスカトルに変身。
それを確認したケミックさんは、私に向けてミサイルにしがみついてと訳の分からん無茶振りを言いやがる。
「んなこと言ったってエエエエええ!!!」
私は悲鳴に近い言葉を言いながら、迫りくるミサイルにしがみつこうとする。
何とかミサイルの羽にしがみつくことに成功した私だが、よくよく考えてみれば、かなりまずいのでは??
と、心のなかで感じたときには既に遅かった。
ミサイルとテオテスカトルとなった私はマフィーナに直撃する。
更にその直撃する瞬間に、ケミックさんは今までにないほどの熱量の炎を吐き出し、それに上乗せするように自走砲のレーザービームが当たる。
マフィーナは最後の力を振り絞った大魔法を放が、それは私の直撃と同時。
ミサイルの爆発と、ケミックさんの炎、卓郎のレーザービームに板挟みとなった私の身体は炎の蓄積の許容量を一瞬のうちに超えて大爆発を起こした。
それと同時にマフィーナの大魔法の暴発。
今までにない大爆発が巻き起こる。
「……!!!!!!」
私は悲鳴にならない悲鳴を上げて地面に叩きつけられた。
マフィーナはというと、全身が火傷によりボロボロとなっているが、まだしぶとく生き残っていた。
「いまだ!!!」
サスクワッチたちは、その満身創痍どころの騒ぎではないマフィーナに重火器や魔法の弾幕を張る。
その攻撃の殆どがマフィーナに直撃。
全身の甲殻や皮膚などが溶け落ちるが、マフィーナ自身、意識を失っているのか、声を発することはなく、ただただ地面にゆっくりと落ちていくだけだった。
「……!!!」
鈴亜さんは、物凄い形相の状態で炎の魔法を放つ。
剛炎の柱がマフィーナを串刺しにする。
「炎焉柱」
更にマフィーナの身体から、槍を象った炎が体液を蒸発させながら突き出た。
「これで終わり!! 消え去れえええええええええ!!!!!!」
鈴亜さんは声が枯れんばかりの怒声をあげながら、手のひらから炎のエネルギーを解き放つ。
炎の熱線が拡散しつつ集束し、グリムマギアの建物の一部を焼き付くしながら、マフィーナは爆発四散。
散らばった体片も燃えて塵と化した。
「終わったのか……?」
何処からかそんな声が聴こえてくる。
力が抜けたのか人々がヘナヘナと地面に倒れていった。
私も息を切らしながら、胡座をかく。
ケミックさんは龍化を解除し、コクーンとクリサリス、卓郎に指示を出す。
「卓郎、クリサリス、コクーン、マフィーナ及び使役虫の索敵チェック!」
『索敵開始』
『索敵開始』
「わかった!」
電子音を発しながら索敵を行い、暫くしてコクーンとクリサリスは声を発した。
『索敵完了。マフィーナ及ビ使役虫ノ存在無シ。マフィーナノ討伐完了』
『索敵完了。マフィーナ及ビ使役虫ノ存在無シ。マフィーナノ討伐完了』
「あらゆるレーダーからもマフィーナたちの反応は確認されない!!!」
それを聞き、マフィーナが討伐されたことが分かり、一斉に歓声が沸いた。そう、我々は勝ったのだ。
叫び声に近い喜びをあげる者。
感動に涙を流す者。
緊張が解れ、へたへたと崩れる者。様々だった。
私は胡座をかきながら、何故か大爆笑する。
何でかは知らん。
その後、討伐隊、避難から戻ったグリムマギアの住人は広場に集められた。
住人たちは、「あの悪魔を討伐してくださって本当にありがとうございます。このご恩は一生忘れません。本当にありがとう!!」と言って深くお辞儀をしていた。
私は若干、涙腺が緩み歯をグッと噛み締めた。
街の被害も、想定したよりは被害は少なかった。
サスクワッチ隊長は、マフィーナ討伐協力の感謝の旨を伝え、更にサスクワッチさんは、鈴亜さん、ケミックさん、そして私の名前を呼んだ。
「正直、君たちが居なければ、我々は負けていた。ありがとう!!!」
そう言ってサスクワッチ隊長、ヤルソー将軍たちは私達に頭を下げた。
他の人々も拍手喝采となった。
ここら辺のことはよく覚えてない。
緊張で胸が張り裂けそうだったから。
その後、討伐隊と住人は犠牲となった人々の墓を建てて供養をした。
そして、その日の夜は宴だった。
もう飲んで食べてのどんちゃん騒ぎで、それはマフィーナの戦いが嘘のように。
私は鈴亜さんとケミックさん、卓郎さんたちと飲んでいた。
「普通にヒリヒリするんやが……」
「まー、それしか方法がなかったから、それにたっちゃんの爆発が無かったら、勝てなかったかも!」
「そうね! あの爆発のおかげだよ!!」
ケミックさんと鈴亜さんは、ニコニコとそう言うが、最後のあれはひどい。
「でも、あれだけのことをされて生きてる君の生命力も相当だと思う」
卓郎さんは、興味津々に私の身体を見つめている。
「ケミックさんに打たれた龍化のおかげじゃないか?」
「あ、だからテオテスカトルになれたのね!」
鈴亜さんはそう言った。
彼女もモンスターハンターをやったことがあるのだろう。
そこから、4人はそのゲームの話になった。
ケミックさんは、そのゲーム内の兵器や世界観に興味を引かれていたのは!言うまでもない。
「朱雀くん、だっけ? 君もガンダムのことしってるのかい?」
突如、卓郎さんはそう言ったので、私は「にわかだけど、ある程度は知ってるよ」と答えた。
すると、卓郎さんは、目の色を変えて早口になって語り出した。
幸いなことに、私の好きな宇宙世紀という世界観の事だったので、ついていくことができた。
鈴亜さんもガンダムのことは熟知しているようで、4人は飯を食べながらガンダムについて語り合った。
「やっぱり量産型が良いわ!!」
ケミックさんは、手を地面に叩きながら訴える。
「それは本当にわかる!!」
「子供の頃は、主人公の乗ってるガンダムが至高みたいな感じだったけど、成長するにつれて、量産型の良さが分かってくるのよね!」
「やっぱ、連邦のバイザー型がええな。ジェガンとかリゼルとか」
「「それ!! あとは名無しのスタークジェガンパイロット!!」」
「そう!」
こんな感じである。
そして、鈴亜がこんなことを言った。
「ガンダムの擬人化とかも良いよね」
「擬人化?」
ケミックさんがキョトンとする。
卓郎と鈴亜は、ケミックさんに擬人化の素晴らしさを事細かに説明をした。
「フムフム……なるほど。そんな趣向も悪くはないね。それに実用もありそう」
「また捗りそうだね」
「そうね! 人にパワードスーツのような感じでモビルスーツをつけてみよう!」
ケミックさんは、子供のようにはしゃぐ。
「擬人化か。うちの知人にマジもんの擬人化みたいな女の子いたな」
私はルナたちのことが頭に思い浮かび、口に出してみる。
すると、鈴亜さんと卓郎さんがこちらをギラリと見つめてきた。
「ほんと!?」
「あ、ああ」
「どのモビルスーツ?!」
「えーと、シナンジュ、そのスタイン、ユニコーンガンダム、バンシィ、フェネクスかな?」
「まじで!?」
「武器はビームマグナムとか!?」
「いや、そんなのではないな」
「えー! 勿体ない」
「俺が作ってみせるよ!」
卓郎さんは、訳の分からないことを言い始める。
鈴亜さんもそれに「良いじゃん!がんばれー!」と励ましを入れた。
「おれは宴が終わったら、その子達のためにビームマグナムやアームドアーマーの製作をするよ!!」
「じゃあ、私はささっとアークヘイロスと邪悪を倒して世界を平和にするね!」
何故か卓郎と鈴亜が意気投合している。
私はそれを見ながら、飯をムシャムシャと食べていた。
因みにこの活気に満ちた大団円、それは朝まで続いたのだ。
朝の9時。
青い空。白い雲。素晴らしいほどの晴れ晴れとした良い天気だった。
広場では討伐隊の面々は荷物を纏めていた。
「おう! お前か!」
私はサスクワッチ隊長に声をかけられた。
「はい?」と返事を返す。
「お前はこれからどうするんだ?」
「そうですね。私は違う街に行きます。邪悪を倒すために」
「そうか。頑張れよ!! 俺は応援してるぜ!!」
サスクワッチ隊長はニッコリと笑い、肩を叩いて激励した。褒められると伸びるタイプの私はこう言うのに良い意味で弱く、満面な笑顔で「はい!」と言った。
「俺はここに残ってグリムマギアを建て直すんだ!!」
「そうなんですか?」
「ああ!! 討伐隊半分ぐらいがここに残って再びグリムマギアを活気に溢れる魔法大都市にするらしいな」
「なるほど」
「お前は邪悪を叩き潰す。俺たちはこのグリムマギアを復活させる。どちらが早く達成できるか競争と行こうぜ!!」
「はい!!」
サスクワッチ隊長の提案に、私は頷いた。
「だから、決して死ぬなよ? 俺の不戦勝は勘弁だからな?」
「もちろんですよ!」
「よし! じゃあ、俺はそろそろあっちに行くぜ。無理はするなよ?」
「はい!」
「じゃあ、そろそろ俺はいく!!!」
「はい!」
「頑張れよ!!! 競争だ!!!」
「負けませんよ!!」
朱雀はそう言うと、サスクワッチ隊長は笑い広場に走って向かった。
卓郎がいたので、最後に挨拶をしようと考えた。
「行くのか?」
「ああ、私も邪悪を倒してはよ帰りたいからな」
「頑張れ! 死ぬなよ?」
「ああ」
「俺は朱雀の友人の娘専用の武器やスーツを開発するぜ!」
「それは、アイツらも喜ぶわ」
「じゃあ、暫しのお別れだな!」
「ああ、また逢おう」
そう言って、私は広場を後にする。
「たっちゃーん!」
ケミックさんが手を振りながら走ってきた。
「ケミックさん! どうされました?」
「お別れの挨拶をね!」
「あー、なるほど」
「それとー」
チラッと後ろを見る。
そこにはユイさんが、顔を見せる。
すると、ユイさんは涙を流しながら、感謝を述べた。
『龍輝……本当に……本当に……ありがとう!!!』
「ちょ……そんなに泣かなくても……」
「ユイのこんな姿を見たこと無いからレアねー!」
私はどうすればいいか分からず、あたふたした。
それは小さな子供を泣かし、あたふたする大人と一緒であった。
何とか泣き止んだユイさん。
私たちは次の街へと行こうとすると、ケミックは私に1つの小型の機械を渡してきた。
「なにこれ?」
「内緒」
「そうですか。そういえば、ケミックさんもグリムマギアの修復ですか?」
「そうね。一応大神官だし」
そういえば、この人大神官なんだった。
ふつうに忘れてた。
「まー、モビルスーツたちも手伝うように指示出してるから、早めに修復できそうね」
空を見ると、カイラム級機動戦艦一隻、クラップ級巡洋艦二隻、グリムマギアに現れて、多数のモビルスーツがカタパルトから放たれた。
本当にこの人は大神官なのだろうか。
メカニックとかの方が天職なのではないだろうか。
「それと、アークヘイロスマフィーナ戦で貴重なデータがとれたから、とあるモビルスーツが開発できそうよ」
「どんなモビルスーツですか?」
「秘密」
「そうですか」
「あと、ユイさんに頼まれて、いま製作中の兵器も完成に近づいてきたわ!」
「な、なるほど」
「じゃあ、頑張ってね! 死んじゃダメよ?」
「ええ」
ケミックさんと別れた私とユイさんは、グリムマギアを出ようとした。
すると……。
「おーい!!」
後ろから女の子の声が聴こえてきた。
それを聞いた私とユイは後ろを振り向く。
そこにいたのは、鈴亜さんだった。
「いたいた!!」
「鈴亜さん?」
私は鈴亜さんに話しかける。
鈴亜は息を切らしながら、こう言った。
「ねえねえ、一緒にいかない?」
「え?」
「二人でいった方が楽しいし、アークヘイロスも楽に倒せるよ!!」
突然の事だったので、一瞬キョドりかけたが、何とか平静を取り戻し、良いよと言った。
すると、少女はパァァと輝き、喜んだ。
「じゃあ、これからよろしくお願いしますね」
「うん! よろしく!!」
続く
まさかの鈴亜さんと一緒に旅をすることになった。
嬉しさと不安に満ち溢れていて、非常に複雑である。