OREHーKRAD 邪悪に支配された人々   作:楠崎 龍照

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輪廻の邪悪と名乗る黒い精霊は、私に支配されて闇英雄になってくれと言われた。
胡散臭さ全開で、色々と恐ろしい未来しか見えなかったが、逆に胡散臭さ過ぎて、逆に信憑性が高いまであった。
まぁ、最後の人助けとして闇英雄になりますかな。

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言い忘れておりました。
この物語に登場する7人の闇英雄の名前はパタポン3に登場するダークヒーローのキャラクターからとっております。


1話 輪廻の闇英雄 朱雀 龍輝

「どゆこと?!」

 

素の言葉が出た。

当ったり前だろうよ。

出会って1分も経たない人に、かける言葉ではない。

そして、輪廻の邪悪と名乗るこの黒い精霊はキョトンとした様子で『そのままの意味やで?』と言うものだから、反応に困る。

先ほどまで感じていた恐怖や焦燥は何処かへと飛んで行った。

 

「……」

「輪廻さー。突然すぎるんじゃない? 小野寺さんも整理が追い付いていないわよ?」

『あらー』

「えーと、支配されて闇英雄になるとは?」

『そうやなー。まぁ、簡単に説明するとやなー……』

 

輪廻の邪悪の説明をまとめてみると、こうなる。

 

とあることが原因で邪悪は、自分が支配をしている闇英雄がいなければ、自然消滅する。

その為、この世界に迷いこんだ人達に頼み込んでいる。

邪悪に支配されて闇英雄になった暁には、別の次元の世界に行くことができる。

一般の人間よりも肉体が強くなれる。

自分の好きな能力を1つ取得出来る。

等があるらしい。

ただし、能力付与はその人の身体能力や精神力等によって左右され、いずれにしても、好きな能力そのものを得ることは難しい。

また、取得できる能力は、宝石で言うところの原石のようなものであり、そこから自ら鍛練等で磨かなければならない。

つまり、能力の開花、成長は自分次第ということ。

 

もし、支配されるのが嫌なら、ここで起こったことを口外しないという約束で元の世界に返してくれるらしい。

口約束だけで、とくに破っても何もないというのが、優しいと言えば優しいか……?

 

『どうする?』

「そうやなー。家族もいないし、輪廻の邪悪だっけ? あなたに支配されるのも悪くはないと思う」

『ちょっと待って、本当にええのか?』

「何が?」

『いや、だって、支配やで? こんな黒い精霊に支配されるねんで? 普通なら、肉体とか乗っ取られてしまうとか考えるはずやのに。素直に「ええよ」なんて言うから』

 

いきなりの輪廻の邪悪の言葉に戸惑うに私は少し笑ってしまった。

 

「やー、まぁ確かに疑ったよ? でも元の世界に戻っても、家族いないしな。それなら、一か八か貴方に支配されて闇英雄になるわ。それにそうすることで、貴方は消滅から免れるんやろ? なら、なおさら。最期の人助けってことで!」

 

私の話に、その場にいた全員が唖然として静まりかえる。

 

「(胡散臭いほどに聖人……)」

『(これはとんでもない人が迷いこんできましたね……)』

『小野寺はん、本当にええんか?』

 

輪廻の邪悪は再度、私に問いかける。

その問いに私は二回頷いた。

 

「ああ、私は貴方の言ったことを信じるよ」

『わかった。ありがとうな』

 

輪廻の邪悪は静かに感謝の言葉を口にすると、腕をニョロンと出して私の方に向けた。

 

「?」

『小野寺はんを支配する。俺の手に触れてくれ』

「りょーかい」

 

私は目を瞑り、深呼吸をして差し伸べる輪廻の邪悪の手を掴んだ。

私と輪廻の邪悪が光に包まれるのを感じた。

 

『好きな能力を教えてくれ。限度はあるけど』

「私の能力か……」

 

真っ先に浮かんだ能力……それは……

 

 

 

 

『なるほど……。ただしどうなるかは分からんで? 小野寺はんの強さ次第や』

「りょーかい……」

『じゃあ、これからお前さんは輪廻の闇英雄や。いま持っている名前ではなく、別の名前をつける……何にしようか』

「決めてええの?」

『お好きに』

「じゃあ、朱雀龍輝で」

『どういう意味やそれ』

「えーと、あだ名?」

『そうかー』

「うん」

『じゃあ、朱雀龍輝はん、これからよろしくな!』

「ええ、こちらこそ」

 

私と輪廻の邪悪は握手をした。

てか、支配されている感じがしないのだが、気のせいだろうか?

「これからよろしくね!」とフィーナさんもにこやかな笑顔で歓迎をしてくれた。

八人目の闇英雄の誕生である。

 

「支配され……たんか?」

 

私は自分の身体を見るが、特に変わったところもない。

その様子を見て、輪廻の邪悪が喋る。

 

『そうやで、能力を得た事と身体が丈夫になったこと以外、変化ないよ』

「な、なるほど」

「ところで、どんな能力を貰ったの?」

 

フィーナさんが、興味ありげに私の方を覗いてくる。

私は少しドキっとしつつ「魔法」と言った。

 

「魔法なんだ」

「おん」

「一回使ってみてよ!」

「ええけど、どうやるんや?」

 

私は輪廻の邪悪に訊ねるが、輪廻の邪悪は頭を傾げて『分からん』と答えた。

 

「まじかい」

 

私は呆れ声で呟きながら力を込めるが一向に魔法が発動されることはなかった。

 

「うーん……。取り敢えず色々と方法を試すしかないなぁ……」

 

一旦諦めることにした。

そのあと、私はフィーナさんに連れられて、この七重の塔【永和】内の案内をしてもらうことになった。

中は外で見たよりも非常に広々としていた。

1階にキッチン、リビング、広大な露天風呂、トイレがあった。

2階から7階が闇英雄の部屋が用意されていて、2階は全て7人の闇英雄たちが使っているらしい。

その為、私は3階にある1つの部屋が私の自室になった。

部屋の大きさは一人部屋にして少し大きいぐらいの部屋だ。

とりあえず、私はリュックサックを床に置いて、床に座り一息ついた。

 

「ふう……」

 

この一日で、私の全てが変わった。

私が輪廻の邪悪に支配され、闇英雄になるという選択肢が吉とでるか凶とでるか……。

これからの人生が非常に興味深くなってきた。

 

「さて、これからどうしようかな……」

 

殺風景な自室の真ん中で座り込んで、考え込んでいると、扉がノックする音が聞こえた。

私は扉のほうを振り向き、返事をすると、扉が開き、赤い髪をした……たぶん16か17歳と予想される少年が入ってきた。

 

「フィーナからきいたぜ。テメーか、新しく入ってきたやつは?」

 

少年は如何にも不良そうな口調で睨み付けながら問いかける。

私は立ち上がりながら、頷いて自己紹介をした。若干舐められてるなと感じつつも、平静に礼儀正しくお辞儀をする。

すると、目の前の少年も自己紹介を始めた。

 

「おう、俺の名前はファンギル・リュコスだ。まぁ、これからよろしくな」

「ええ。よろしくお願いします」

 

一通りの自己紹介が終わると、ファンギルはその場を離れた。

このとき、私はいまいる闇英雄メンバー全員に挨拶をするべきだと思い、2階へと向かった。

輪廻の邪悪に案内してもらい、1つ1つの闇英雄の部屋を回っていったが、ファンギルとフィーナ以外出掛けており、挨拶ができなかった。

輪廻の邪悪曰く、もうすぐしたら晩飯だからそのときに、挨拶の場を設けてくれるそうだ。

そこまでされると緊張の絶頂なのだが、まぁ、用意してくれるだけありがたく思う。

とりあえず、その晩飯の時まで私は自室に籠って、魔法の使用を輪廻の邪悪と何度も試みることにした。

 

 

 

 

現在時刻は7時。

 

 

 

晩飯の時がやってきた。

結局、3時間ほど魔法の使用を試して見たが、魔法を使えることはできなかった。

落胆する私は、輪廻の邪悪に連れられて一階の大広間へと向かう。

飯が並べられており、7人の闇英雄たちが座布団に座っていたのだが、パッと見てヤクザの会合である。

あまりの緊張に、心臓の鼓動が新幹線のように早くなって、挙げ句の果てには腹痛が私を襲ってくる。

腹痛という波に乗ってサーフィンをしながら、私は挨拶をすることとなった。

 

「皆さん、えーと本日闇英雄になりました。輪廻の闇英雄。えーと、あの……朱雀龍輝です。よろしくお願いします」

 

たぶん、10秒ぐらいの時間だが、私には永遠の時間に感じた。

緊張の真っ只中……中学校で全クラスの前で発表をして大恥をかいたのを思い出した。

しかし、それは杞憂に終わり、皆さん寛大に受け止めてくれた。

 

「僕の名前はソナッチさ、よろしく!」

「ワシの名前はビークス・スメルヴァロナだ」

「私はバズズー・ツァンイン、どうぞよろしくお願いします。龍輝さん」

「ヒョヒョヒョ、また孫が増えて嬉しいですわい。私はカラパシじゃ、よろしくのぅ」

「アタシはコイール。よろしくね♪」

 

各々自己紹介をしてくれたが、一回では覚えられんだろう。

私は、心の中で申し訳なく思いながら、この食事中に意地でも覚えておこうと考えた。

と心に決めたのだが、7人の闇英雄たちの質問攻めにあって、嫌でも覚えてしまった。

挙げ句の果てに質問攻めで飯がまともに食べれなかったまである。

 

まず、ソナッチは黒と黄色を混ぜた髪色をしていて少し、ナルシスト気質がある。

ビークスはダンディーなおっさんで、強欲な化身だった。

バズズーは物凄い物腰が柔らかく、丁寧な喋り方。

カラパシは身近なおじいちゃん。

コイールはお姉キャラで気さくな人だ。

ソナッチとファンギルは仲があまりよくないのか、いがみ合いが多かった印象がある。

とは言っても、逆に仲がいいのだろうか?

そして、ファンギルとソナッチはフィーナに弱いのか、フィーナの言葉に、萎んだ風船のように返事をしていた。

こりゃあ、結婚したら嫁の尻に敷かれるな。

 

「「「「「「「「ごちそうさまでしたー!」」」」」」」」

 

 

飯が終わり、フィーナからここのルール的なものを教えてもらう事になった。

どうやら、家事炊事はローテーションで行われるらしく、その人が一日の家事炊事、掃除に洗濯、朝昼晩の飯、全て一人で行うらしい。

飯の献立はその人に任せるらしく。

色々な次元に出掛けて、その世界の店から買ってきてもいいし、自分で作ってもいいし、とにかく自由だった。

ちなみに、私の当番はコイール姉さんの次らしい。

そして、風呂が沸いたら皆それぞれ適当に入る。

 

「こんな感じかな。今日はファンギルが当番だから、お風呂沸いたら知らせてくれるわ」

「なるほど……わかりました」

 

そういって、私は風呂に入るまで外の散策をしようと考えた。

一生ここに住むことになっているのだから、どこに何があるのかを知っておきたかった。

私は玄関で靴を履いて外に行こうとした時、ファンギルの怒声とも取れる大声が風呂場から聞こえた。

 

「お前ら風呂じゃああああああ!!!!」

 

いきなりの声に私はビクリと身体を跳ね上げた。

 

「ビックリしたぁ……」

 

私はそんな情けない自分を笑いながら風呂場へと向かった。

ここで驚いたのが、風呂場は1つしかない、つまり混浴ということになる。

流石に私はビックリした。

風呂場に入ったらフィーナさんが使ってるんやから。

バスタオルでカラダが隠されおり、ゴールデンな部分は見えなかったが、それでも充分すぎるエロさがあった。

なんなら、それ故なエロさがあって、もうヤバい。

語彙力が地平線の彼方へと飛んでいく。

それを踏まえてフィーナさんが色気を出してくるのだから堪ったもんじゃない。

私はろくに風呂に浸からずにそそくさと風呂から上がって、部屋に逃げた。

スマホを弄ろうとしたが、圏外故にゲームができなかった。

仕方がないと、私は自分の布団を貰ってそれを敷いて少し早いが就寝しようと考えた。

時間はまだ9時だが疲れと昨日の夜更かしで思いの外早く寝付けそうだ。

明日は、とりあえず輪廻の邪悪に頼んで家具をなんとかして貰おう。

そう思いながら、私は眠りについた。

 

 

 

 

 

朝。

思ったよりもすっきりした目覚めを体験した。

こんなにすっきりとした朝を迎えたのは本当に久しぶりだ。

私は起きて外を眺めると、ある異変に気づく。

時間は午前8時になっているのだが、不思議なことに真っ暗だ。

 

「……なぜ?」

 

私は不思議に思っていると、フィーナの朝食の合図が聞こえたので、一先ず私服に着替えて一階の大広間へと小走りで向かった。

大広間には全員が集まっていて、私の登場に全員が「おはようございます」と挨拶。

私も「おはよーございます」と言って返事をしながら、テーブルの前に座り込む。

そして、朝飯の時間が始まった。

トーストに半熟卵、ウィンナーに牛乳と朝の定番的な献立だ。

味は女の子らしい上品な味と言えばいいだろうか……。

まぁ、簡単に言うと、めっちゃうまい!!

私は黙々と朝御飯を口の中に放り込んでいると、カラパシさんが私の方を見て、こう言った。

 

「ひょひょ……。よく食べますなー。良いことです。もりもり食べて元気に過ごす。若者はこうでなくては」

「え? あ、ありがとうございます」

 

私は恐縮しながらお礼を述べた。

皮肉で言っている訳ではないようだ。

いま話すべきではないと思いながらも、あのことを話してみた。

 

「そういえば、いま朝っぽいですけど、なぜ外はこんなに真っ暗なので?」

「この世界、太陽がなくて真っ暗なのよねー」

 

ソナッチさんが、トーストを食べながらそう話した。

全員の話を聞くには、いまの我々の力ではどうすることもできないらしい。

だから、逆にその暗闇を利用しようということになり、何もなかった地に桜を意地と気合いで咲かして、ライトアップ。

さらに道の端に灯籠を置いて、和風的なテイストにしたのだという。

いつかは太陽のような光を出して朝と昼を迎えたいと口々に言っていたが、同意だ。

てか、よく桜を咲かせたな……。

私はそう心の中で思ったが、別の次元にも往き来できるらしいから、もしかしたら、どこでも咲くような特殊な桜もあるのかもしれない。

一応、謎が解明できた私は周りの目を気にしながら、ゆっくりと食べ始める。

 

「そういえば、龍輝は能力使えた?」

 

フィーナが聞いてきたので、私は首を横に振った。

 

『多分、朱雀の身体能力が低すぎて、開花すらしてない可能性があるねんな』

 

輪廻の邪悪の心ない一撃に私は口に含んでいた牛乳を少しだけ吹き出した。

若干、私もそう思ってたことを言わないでくれ。

 

『まぁ、鍛練してたらそのうち開花する。がんばれ!!』

「簡単に言わんといてくれー」

 

目を瞑り、嘆き呟く私に闇英雄のみんなは色々と修行を手伝ってくれると言ってくれた。

優しい方々だ。

私は感銘に射たれながら朝飯を食べた。

 

「流石フィーナ殿、素晴らしい料理をありがとうございます! ごちそうさまでした!」

 

バズズーさんは、フィーナに一礼を交わした後、自分の食器を持って台所へ持っていった。

私はモッチャモッチャと朝飯を食べて、食べ終えた食器を台所に持っていき、自室に駆け込んだ。

修行の前に、自室のレイアウトをしたかったからだ。

そして、リュックサックから財布を取り出してお金が充分にあることを確認すると、私は輪廻の邪悪を呼んでみた。

 

『どしたー?』

 

モアッと黒い霧が発生すると同時に、輪廻の邪悪が姿を現した。

 

「出掛けたいんやが、どうすればいい?」

『なんや、買い物か?』

「せやな」

『ええよ。お金持ってんの?』

「うん」

『そかー、えーとなー。ちょっとこっちきてー』

 

そう言われ、私は輪廻の邪悪について行った。

長い廊下を抜けた先に、なにやら只ならぬ扉についた。

輪廻の邪悪はその扉を開き、中へと入っていった。

私も一瞬、戸惑いながらも中へと入った。

すると、そこには先ほどとはうってかわって幻想的な空間が広がっていたのだ。

無限に広がる階段が、木の根のようにそこかしこに繋がっていた。それは正に銀河を結ぶコースミックウェブのようだ。

そして、あらゆる箇所に扉があった。

 

『ここは、次元の入り口や。この扉を開けると、その場所の世界へと行くことができるねん。そうやなー。まぁ、ここら辺の扉にするとええわ』

 

そういって、輪廻の邪悪は私の近くにある扉を指差した。

私は頷いてその扉の前に立ち、深呼吸をして扉の取っ手を持った。

 

「……」

 

扉を開けた。

木が軋む音を鳴らしながら扉は開き、扉の中は白い光に包まれていて、視認することは困難だった。

私は腕で目を多いながら、足を踏み入れた。

家具を買いに行くだけなのだが、まぁなかなか壮大なものである。

 

 

 

続く




なー、絶対にいく場所間違えてるやろこれ……(笑)
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