OREHーKRAD 邪悪に支配された人々   作:楠崎 龍照

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第三のアークヘイロス。
これを倒さなければ、私たちは次に進むことができない。
私たちは意を決してアークヘイロスに挑みかかった。
そして、私も大いなる存在の異名を持つ古龍へと変身し、迎え撃つ。


22話 厄災の凶音奏人

 

 

 

「おいまて……これあれやん」

「あれね……」

 

とっくりだった。つまりこの中には……。

 

「そう。とっくりじゃ……。邪悪大戦時に封印された物が偶然にも、この隠者の居所に入ってきた。ワタシたちはこれを解き放たれぬようにこうして自身の力を捧げて守っておる。さて、二人の英雄殿。この災禍を冥界へと送ってはくれぬかのぅ?」

 

隠者はこちらを振り向く。

私たちは頷いた。

まぁ、邪悪の眷属を倒さないと、アークストーンは戻ってこないのだから、挑まないといけないのよね。

結局のところ

 

「やらないとこちらも元の世界へと帰れないので」

「まぁ、やるしかないわね」

 

そういうと、隠者は何も言わずにとっくりの蓋を開けた。

すると、私たちはとっくりの中に吸い込まれていったのだ。

ギルファーの時と同様に……。

 

「彼らに任せてよかったのかの?」

 

二人が吸い込まれたあと、隠者はそういった。

 

「ユイ様……」

 

隠者はユイのほうを見てそう言った。

ユイは腕を組みながらどや顔自慢げに隠者にいい放つ。

 

『そうじゃな。今までみてきた中で、一番最強かもしれんぞ。あの二人は』

 

それに嘘偽りはなく、真っ直ぐな碧眼の瞳で語るユイをみた隠者は少し笑い、「それなら、大丈夫じゃな」と言った。

 

「ところで……ユイ様……」

『ん??』

 

 

 

 

とっくり内部

 

 

 

まぁ、ギルファーの時と対して変わらなかった。

岩肌があって、亀裂から紫の瘴気が出てて、うん。変化なし。

私と鈴亜は歩みを進めると、やっぱりというべきか、あの人が現れた。

 

「おっひさー!」

 

ギャル魔法使いのナオミさんだ。

相変わらず陽気な挨拶をかわすが、私は一番心配していたことをきく。

 

「マフィーナのとき大丈夫だったんですか?」

 

あの虫が暴れたのは、とっくりを割って封印を解いたから、ということは、中にいたナオミさんはどうなったのか、心配になっていたのだ。

すると、ナオミさんは「あーあれねー」と呆れた表情になって、話し出した。

とっくりの中にいるナオミは分身のようなもので、本体は次元の裂け目にいるらしい。

しかし、情報は共有できていて、何が起こっているのかというのは、ナオミ本体には筒抜けということだ。

で、突然にとっくりが割れて、マフィーナが飛び出してビックリした。

と呆れながら言っていた。

 

「そんなことよりも、今回の敵は強力よー。アークヘイロス・ソナチルって言ってチョー強いから、気を付けてね!」

 

手を振って応援するナオミさんに励ましと警告の言葉をもらい、光指す道をあるいた。

さてさて、いきますか。

 

 

 

 

「ついたけどさ……」

「やば……」

 

凄惨という言葉では物足りないほど、我々がいる場所がえげつないものだった。

その場所は無数の英雄の亡骸で埋もれており、あまりの光景に気分が悪くなってしまう。

数多の英雄たちが挑み、返り討ちにあったと容易に想像できた。

 

「これは……」

「ひどいわね……」

 

私達も、その亡骸を前に顔を歪める。

そうしているうちに、前から何やらジャズが聴こえてくる。

私は咄嗟にハンドガンと刀を持って構え、鈴亜は錫杖を構える。

前から現れたのは、黒衣に包まれ、背中には巨大なトランペットを背負ってる不気味な男性がいた。

 

[さぁ、今度はどんな英雄が来たのか、楽しみだよ]

 

ニヤリと不敵な笑みを浮かべると、ソナチルはトランペットを持って吹き出した。

すると、その音にあわせて奇妙なバインドする塊が我々を襲う。

 

「うお!?」

「やばい!」

 

私と鈴亜はお互いに別の方向にダイブして回避する。

音玉はボヨンボヨンと弾みながら辺りを破壊し尽くす。

 

「なんじゃあれ……」

「音??」

 

私達はやつの攻撃に驚くが、その音玉の攻撃をみた私はある人物を思い浮かべた。

 

[アッハッハッハ!! それを避けるんだ!! 面白いね君たち!!!]

 

眉を歪めて、歯を見せたニヤケ顔で我々を見つめる彼の口調で、私の頭の中で1つの疑惑が浮上する。

しかし、いまはそれを考えている暇はなかった。

ソナチルは再びトランペットを吹いて音玉を解き放つ。

私達は回避をしながら攻撃を与える。

 

[ぐはー! 強いね君たち!! 前々から挑みかかる奴らとは大違いさ!!]

 

わざとらしく仰け反るソナチル。

多分、そんなにダメージは食らっていないことがわかる。

 

[じゃあ、いくよー!!]

 

そう言って、トランペットを吹いて甲高い音を鳴らす。

すると、トランペットから円状斬撃が飛び出して、我々を襲撃する。

 

「うお!?」

 

私は紙一重でそれを避けた。

斬撃は辺りの建造物を真っ二つにしながら虚空へと消えていく。

 

「なんじゃそれ!?」

[まだまだいくよー!!]

 

今度は低い音を奏でる。

すると、私がいる周辺の何もない虚空から、突如大爆発が起こった。

 

「どわおああああ!!!??」

 

予想してない攻撃に私は宙を舞った。

音を使った斬撃に爆発、私は某海賊アニメのキャラを思い出した。

 

[アッハッハッハッハ!!]

 

ソナチルは笑いながら、トランペットで低い音で演奏をし始める。

何の楽曲かは分からないが、ジャズと非常に噛み合っていた。

すると、私や鈴亜の足元やその周辺が大爆発を起こした。

 

「どこのスクラッチメン・アプーやねん!!」

 

私は爆風を掻い潜りながら、全力で爆閃から逃走する。

テオテスカトルになっても良かったが、なったとしても、今のテオテスカトルでは斬撃の音攻撃が対処が難しく勝ち目が薄いと判断したためだ。

 

「とっくりの中で力が減衰してるとはいえ、強いね」

「減衰しててこれかよ!?」

 

私と鈴亜は止めどなく襲い来る爆閃から逃げながら、ソナチルに攻撃を与えようとする。

しかし、走りながらのために狙いが定まらない。

 

[ほらほら、逃げ惑いな!!]

 

今度は、高音低音を交互に演奏して、斬撃と爆撃、跳ねる音玉を発生させた。

恐ろしいほどの弾幕に我々は攻撃をやめて回避に徹した。

これはさすがに洒落にならない。

 

「このやろ……!!!」

[アッハッハッハッハッハッハッ!!!!!]

 

恐ろしいほどの笑い声をあげながら乱舞演奏を繰り出す。

私は攻撃が当たるのを覚悟の上でハンドガンを取り出して、発砲した。

弾は魔物に効果的な弾なのだが、ソナチルは直撃を受けたにも関わらず、全く効いていない。

 

「化け物か?」

「化け物よ」

 

鈴亜そう愚痴を溢して魔法弾を二発放つ。

それをみたソナチルは旋律を変更し、低音の曲調に変えた。

ソナチルの周りに爆発が起きて、その爆発と爆風によって、二発の魔法弾は防がれる。

 

「効かないか……」

「いや、効く攻撃だから、防いだの方が正しいんやないか?」

「それなら、どうにかして奴を無防備にしないと……」

「どうしたもんか……」

 

鈴亜とひそひそ作戦を立てていると、ソナチルが再びジャイアンが裸で逃げ出すほどの凶音演奏を始める。

私はバウンドする音玉攻撃を何とか回避しながら接近し、切り裂こうとした。

まぁ、攻撃が成功するはずもなく、音攻撃により逆に吹き飛ばされる結果となる。

 

「どうせぇと……」

[アッハッハッハッハッハッハッ!! 無駄無駄!! やーーーー!!!!!]

 

ソナチルは高笑いをしながら、私の周辺に爆発を起こした。

あの野郎舐め腐ってやがる。

 

「ちょ……っとヤバイ……!!」

 

私は咄嗟に砂煙を吸収してしまう。

砂の魔法を得たと同時に、全身が地啼龍アン・イシュワルダへと変貌を遂げる。

 

「やっちまった……」

 

まだ少ししか慣れていない形態に私は、そう呟いた。

ソナチルは私の姿を見て、目を大きくしていた。

 

[へー、驚いた。君も僕たちと同じ力を持っているなんてね]

「龍のことか?」

[さー、どうだろーねー?]

 

しらばっくれたソナチルは天に向けて音を発した。

すると、天から爆発する音玉が降り注がせ、絨毯爆撃を起こした。

 

私はあえて動かずに、そのまま爆撃を食らった。

アンイシュワルダの纏う岩は頑丈そのもので、大量の爆撃を食らっても尚びくともしなかった。

 

かといって、こちらから攻撃ができるのかと言われれば、うーん。

背筋を何とか行使して、掌のような器官を使って攻撃を行おうとするも、ソナチルの方が俊敏で全くと言っていいほど攻撃が通らない。

 

[遅いよーー!!!]

 

アッハッハッハー!!!

爆笑と狂わせる音がこの世界に響く。

 

周囲に斬撃や爆発が乱れ咲く。

私は座り込み、背部の掌の器官を前方に押し出して壁に見立てて防御体勢に入る。

 

[アーーーッハッハッハッハッハッハーーーーー!!!!!]

 

美しく乱れ咲く爆閃や風に煽られた花弁のように飛び散る斬撃。

鈴亜も魔力の壁を使って防御に走っていた。

 

「うるせええええええええ!!!!!」

 

甲高い笑い声、ジャイアンリサイタルを遥かに超える演奏に私は、大声で叫び声をあげた。

超大型古龍であるアンイシュワルダの咆哮は、辺りの瓦礫を吹き飛ばし、散らばる音玉を掻き消した。

またその咆哮と共に何やら歌のような音がこの世界に響き渡る。

 

[くぅ……!!!]

 

流石のソナチルも、アンイシュワルダの咆哮には耳を塞ぎ、怯んだ。

その光景を見た鈴亜は地を蹴って、朱雀(アンイシュワルダ)の方に向かい、彼の耳元であることを呟いた。

 

「ずっと叫んでて」

「え?」

「いいからずっと咆哮してて」

「あ、ああ」

 

鈴亜は私から離れ、魔法を使う。

彼女の周辺に風が纏いだした。

ソナチルは再び演奏を開始する。

しかし、私は再び咆哮をした。

その咆哮は地面を爆発させるほどだ。

すると、その咆哮と共にソナチルから放たれた音玉が掻き消される。

それに、高低音で発生される斬撃や爆発を起きなかった。

 

[っち……]

「やっぱり……あなたから発する音よりも高い音がくると消滅するみたいね」

[まぁ、そうだね。なら、それよりも高い音を出せばいいだけさ!!]

 

ソナチルは先程よりも高い音を発てた。

私も負けじと咆哮をあげる。

鈴亜は大丈夫なのかと、チラリと見ると先ほど展開した風により、我々の音を遮断しているようだ。

 

「やりゃあああああ!!!」

 

その隙を逃さなかった鈴亜は、魔法の爆撃を起こして、ソナチルを吹き飛ばした。

 

[ギーエー!!]

 

オーバーに吹き飛ぶソナチル。

効いているのか効いていないのか、全然わからない。

 

「命樹の魔術!!!」

 

隙を与えないと言わないばかりに、鈴亜は魔法を唱える。

上空に見たこともない6個の金色の魔方陣が表れた。

 

「エンド・ドレッド!!!」

 

魔方陣からレーザーが槍のように飛び出して、ソナチルを貫いた。

貫かれた槍は小枝のように分裂し、地面へと落下。

そしてレーザーは勢いを止むことなく、ソナチルへと襲う。

 

[いたいいたーい!!]

「滅の魔術!!!」

 

立て続けに魔法を唱える。1つの巨大な銀色の魔方陣が鈴亜の後方に表れた。

ソナチルは不気味に微笑みながら、成すがままの状態だ。

 

「エタニティ・マギア・ゼオン!!!」

 

詠唱と同時に後方に展開されてある銀色の魔方陣がより一層輝きを増したのだ。

銀色の魔方陣はゆっくりと、そして次第に早く回転を始めだし、無数と言っても過言ではないであろう量の光の弾を撃ち出して、その回避不可能とも言える弾幕が一斉にソナチルの方に発射された。

あまりの量に眩しくて目を開けることが困難なレベルだった。

 

[へえ、面白いじゃん……]

 

ソナチルは音の防壁を展開するが、私の咆哮によって、展開された防壁が瞬く間に崩れ去る。

しかし、ソナチルはそれよりも大きな音を奏で、防壁を作り出す。

 

[これよりも大きい音をあげるだけ!!

!]

「させるかいなああああああああああああああ!!!!!」

 

そんなことを私がさせるはずもなく、声が死ぬレベルの大声をあげる。

その時、全身の筋肉を使って声を荒げ、さらに背筋がプルプルと痙攣させた。

すると、どうしたことか、その背部にある掌のような器官に異変を感じ始める。

何やら咆哮とは別の音が聴こえ出した。

フオオオオオォォォォォ……。

と風が耳を翔るような不思議な音だ。

 

[なっ……!!!]

「え?」

 

そして、無数の光弾幕が雨のように降り注ぎ、光の弾をソナチルはもろで食らったのだ。

 

[……くぅ……!?]

 

初めて苦痛に歪んだ表情を浮かべるソナチル。

 

「トドメ!!」

 

どんよりとした空が真っ白に光輝く。

何が起こるのか私には、ゆうに理解できた。

ソナチルは豪快に立ち上がると、鈴亜に向けて殴りかかる。

私はそれを阻止すべく頑張って走り出し、ソナチル目掛けて飛びかかった。

 

[わはあああ!!?]

 

ソナチルに飛び乗って動きを封じる。

ソナチルは、必死に拘束から振りほどこうとするが、アンイシュワルダの巨体ののし掛かりから逃れることなど不可能に近かった。

 

「鈴亜今のうちに!!」

「りょーかい!!!」

 

鈴亜は天目掛けて手を掲げ、魔法名を唱える。

 

「天の魔術イスカ・エタニティ・ライピア」

 

無限とも言えるほどの光の槍が天から降り注いだ。

それは無差別に、建物や英雄の亡骸をも巻き込んでの攻撃だ。

 

「危ない!!」

 

私はバックジャンプをしてその場から離れる。

しかし、そんなものでは鈴亜の魔法を回避できるはずもなく、私も直撃弾を受けた。

ボロボロを音を発てて、アンイシュワルダの岩殻が崩れ落ちる。

 

光の雨が止んだあと、辺りは平地と化した。

 

[こんなに攻撃を食らったのは久しぶりだな……]

 

ボロボロになりながら、不敵な笑みを浮かべたソナチルが立ち上がった。

ポンポンとボロボロになった身体を払い、私の方をチラリとみる。

 

[でも、彼はボロボロだね]

 

そう嘲笑いながら、倒れ伏したボロボロのアンイシュワルダをみる。

 

「……」

[こうなれば所詮、ただの動かぬ彫刻だね。あとは鈴亜、君だけだ]

「く……!」

[君、もう魔力が枯渇してるんじゃない? あれだけ強大な魔法を使えば、もうじきに魔力が0になるよね]

 

じりじりに近づくソナチル。

鈴亜も少し険しげな表情で、錫杖を構える。

ソナチルの言うとおり、先の魔法は膨大な魔力を必要とするものばかりで、もう今の鈴亜には魔力が残っていなかった。

勝ちを確信したソナチルは、さっきの攻撃で損傷したトランペットを使って演奏を始めようとする。

しかし……。

 

[……!!?]

 

何やら鬼気迫る殺気を感じ、後ろを振り向いた。

すると、先ほどまで倒れていたはずのアンイシュワルダが起き上がった。

 

[なぜ、まだ生きている!?]

「古龍は死なない。死ぬ訳がない」

 

そう言うと、アンイシュワルダの岩翼が崩れ落ちる。

更に、全身の岩を次々と剥離させ、周囲に猛烈な塵煙を巻き起こしはじめた。

そして煙よりが立ち現れる。

その姿をみた鈴亜は微笑みを浮かべ、ソナチルは唖然とした表情を見せた。

 

凄まじい絶叫とともに舞い散る塵芥を一挙に霧散させて顕現したその姿は、

ゴツゴツした第一形態とは正反対に両掌や触手を思わせる形状の皮膜のない翼脚、不揃いに捻れた形状の甲殻などからは彫り込まれた仏像を彷彿とする非生物的な姿をしている。

これが、地啼龍アン・イシュワルダの真の姿である。

 

[あのゴーレムみたいな姿は仮の姿だったわけね……!!!]

 

ソナチルは攻撃対象を鈴亜から私に変更し、爆発する音楽を奏でた。

させるはずがない。

私は両翼を地面に突き刺して、天を貫くほどの雄叫びを発した。

すると、またもや咆哮とは別の歌のような音が聴こえたかと思えば、ソナチルの地面が液状化し、動きを封じた。

 

「これって……!!」

[な……ちょ……!!?]

 

私とソナチルは動揺を隠せなかった。

その動揺は別の意味合いだろうが……。

その液状化現象を見た鈴亜は、「え? 能力使えるようになった?」と言った。

私も、アンイシュワルダの振動を使う能力が覚醒したのかと思った。

 

[こうなれば!!]

 

ソナチルはトランペットを吹いて、地盤を爆発させて、逃れようとする。

私は咆哮でそれを阻止しようするが、その咆哮すらを上回る音量で演奏したため、そのまま地盤を爆発。

その爆発の衝撃で、拘束から逃れた。

 

「……!!」

 

私は魔法を使い、岩の塊を虚空から生み出し、ソナチル向けて落とした。

ソナチルは舌打ちして音波を放って、落下する岩を分解する。

 

「やろう……!」

 

私は翼の先端をソナチルに向けて翼をプルプルと震えさせた。

すると、紙を入れた筒を吹き矢のように吹いた時の音が轟き、ソナチルのいた地盤が少し抉れたと思えば、彼は口から血を吐いて吹き飛んだ。

しかし、反動がとんでもなく、私も結構飛ばされた。

 

[ゴハァ……!!]

「うわあああ!!!」

「ワーオ、凄い!」

 

ソナチルは血反吐を吐きながら腹部を抑えて、私の方を見つめる。

 

[何が起きた?]

 

ソナチルは動揺が隠せずいた。

私はそれを無視して、両手を魔法を使って岩で固めた。

 

「だああああああ!!!!!」

 

全力でソナチルに殴りかかる。

回避しようとするが腹部の激痛に悶え、避けることが出来ずに私の岩で固めた龍の拳がソナチルの全身にぶつかる。

 

[……!!!]

 

悲鳴にならない声をあげて地面に大根おろしになる。

更に追い討ちとばかりに先端が鋭利に尖った巨大な岩を1つ生成し、それを落とした。

起き上がろうとするが、ソナチルの両手両足を巨大な岩の手錠と足枷で動きを封じる。

 

[!!!!!]

 

そのまま、岩に押し潰されて下腹部から真っ二つになるソナチル。

武器であるトランペットもペシャンコになり、使い物にならない状態になっている。

確実に消し去ろうと考えた私は、再び岩を落として潰そうとした。

その時、真っ二つにした上半身の方がムクリと起き上がり、落下する岩から逃れた。

 

「まだ生きてるの!?」

「ゴキブリか?」

 

鈴亜と私は流石に気味悪がった。

そんなことを尻目にソナチルはニヤリと不敵に笑い、こう言い放った。

 

[アッハッハッハッハッハーーー!! 面白い限りだ!!! 最後にド派手な花火をあげて、二人諸とも道連れにしてやるさ!!!]

 

ソナチルは大きく息を吸い込み……。

嫌な予感がした私は、魔法を使って全身を岩で纏い、初めの形態に戻った。

 

[うおおおおおおああああああああ!!!!!!]

 

ソナチルが雄叫びをあげたと同時ぐらいに、岩翼で鈴亜を守るように覆う。

 

[ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー]

「え?」

 

ソナチルはニヤリと不敵に笑うと、この世界を滅ぼさんばかりの規模の大爆発を起こした。

熱気や爆風が私と鈴亜を押し寄せる。

 

「やろおおおおおお!!!!!」

 

全力で鈴亜を守る。

そんな中……世界が閃光に包まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『だ、大丈夫!?』

 

案の定、私たちの帰還にナオミさんは驚いていた。

そらもう盛大に。

 

「何とか……」

「た、龍輝大丈夫?」

「古龍の生命力は尋常じゃないな!」

『それで、倒せたの?』

「はい! ほら!」

 

といって私は、ナオミさんにアークストーンの欠片を見せた。

それをみたナオミは、もう驚愕よ。

お化けでも見たような表情で声をあげて驚いた。

 

あのソナチルの自爆の後、守りきった私は、再び岩がボロボロと崩壊した。

そして、ソナチルのいた爆心地の中心にアークストーンの欠片が落ちていたのだ。

 

しかし……。

最後にソナチルが最後に言いはなった言葉。

鈴亜には聴こえていなかったのだが、私にはソナチルの不敵に笑いながら言った言葉が耳に残る。

 

[君たちの勝ちだ。次はそうはいかない。次は朱雀龍輝、君一人だ]

 

負け惜しみなのか、何か意味があるのか……。

不気味過ぎた。

 

 

 

 

 

隠者の居所

 

 

「……」

『そうじゃな。じゃが、ワシがそうなっても、二人なら成し得てくると信じておる』

「そうですか……。ならいいのですが……」

『そもそも、こうなることは覚悟の上じゃったからな。後悔などないよ』

「……」

 

「「どわあああああ!!!!」」

「『……!!!??』」

 

とっくりの中から放り出されるように出てきた二人を見て、二人は無言で驚いていた。

地面に落ちた私たちは体をはらって立ち上がる。さっそく隠者さんが私たちに口を開いた。

 

「英雄方、ソナチルを倒したのか!?」

 

ナオミさんとあんまり変わらんことをいってらっしゃる……。

私はアークストーンを二人に見せた。

二人は驚いていたが、隠者さんは頭を地面につけてお礼を述べたりして、もうこっちはどうすりゃいいのかわからんかった。

 

「英雄方、何かお礼をしたい……!!! 今日はもう泊まってくだされ!!!」

 

涙ながらに迫り来る隠者さんに私たちは気圧され、嫌とは言えなかった。

すると、隠者さんは駆け足で扉を蹴破るように開けて、広場で大声で叫んだ。

 

「隠者よ!!!! 今日は宴じゃ!!!! 邪悪の眷属ソナチルを討伐した英雄に祝福の宴をするぞ!!!!!」

 

そういうと、隠者たちは「おおおおおおおおお!!!!!」っと言って一斉に宴の準備に取りかかった。

 

 

 

 

「さぁ、何をしておる英雄方!!! 宴の始まりじゃ!!! 思う存分楽しんでくだされ!!!!」

 

先程の隠者さんは前より大胆に手招きをしていた。

もっと言うと、ユイさんもハイテンションで宴に参加していたのだ。

 

「てか、皆さん、ユイさんのこと見えるんですか??」

「うむ、我々は元神官。ユイさんのことは我々には見えるぞ!」

『というわけじゃ、今回の宴はワシも参加するぞ』

 

久しぶりに話せる人々と出会えて嬉しいのか、何時もよりも元気なユイさんだ。

 

「龍輝ー!!!」

 

鈴亜の声が聞こえたので、そちらを向くと、既に宴に参加していた鈴亜が笑顔でこちらを振っていた。

 

「早く宴に参加しようよ!! 美味しいご飯とかたくさんあるよ!!」

「そうだ!!英雄殿!!」

 

私も宴に参加した。

いま隠者の居所はソナチルの討伐による宴で類見ないお祭りの場となった。

 

 

 

 

 

続く

 




隠者の居所をサヨナラし、私たちはイクス大陸第三の都市サントプトへと向かうため、グランドキャニオンみたいな峡谷に足を踏み入れた。
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