そこで、とある問題に巻き込まれたフルは、とんでもない発言をする。
「有さん!?」
私がそういうと、有さんこと、有沢劉也は「やぁ」と少し微笑んで挨拶をする。
有沢劉也は、私の数少なき友人で最近はお互いの多忙により全くあっていたなかった。
久しぶりの再会に私と有沢は話が弾んだ。
因みに、有沢は私のことを龍輝とあだ名で呼んでいる。
「有さん、最近どんな感じ?」
「普通かな? 良くもなく悪くもなく。だよ」
「おーそかそか」
私がそういうと、逆に有沢の方から私に言ってきた。
「龍輝はどうなんだい?」
「ん?」
「龍輝の方はどんな感じだい?」
その言葉に私は喉を詰まらせた。
闇英雄になったなど言えるわけがない。
まぁ、有沢の場合、それを言っても「そうか」と返すだろう。
そんな想像がつくが、後々の面倒事はごめんなので、私は適当にやっているとはぐらかした。
「そういえば、有さんは何故東京に?」
「ちょっと親戚の家にね?」
「あーね」
「本当に面倒だよ」
「せやろうな」
「全く、別の世界に転生したいよ」
「お、おう」
「まぁ、そんなことできないけどね。もし、可能なら喜んで転生するよ。この世界より何倍もマシさ」
「……なぁ」
「ん?」
「……あのさ!」
私はあることを言おうとするが、有沢の両親の声が遮る。
「劉也いくぞー!」
「はーい! ちょっとまって! で、なになに?」
「いや、なんでもないよ?」
「?? そうかい? じゃあまた今度」
「おう!」
そういって、私と有沢は別れた。
「……まぁええか」
そういって、私は時計を見た。
針は2時50分を指しており、話しすぎたと感じながら目星がついた家具を持つ。闇英雄になった影響なのか、前は持てそうになかった家具が入った段ボールも易々と持つことができた。
私はレジに向かっていると……。
「龍輝ー」
フルが家具を持ってやって来た。
「おーフルかー」
「探したよー!」
「あー。すまねー。なんかよう?」
「うん。龍輝はどんな家具を選んでいるのかな?って」
「あーね。私はシンプルなタンスやな。後はベッドも買いに行こうと思う」
「へーそうなんだー!」
あれこれフルとワイワイ話をしながら、ルナたちと合流し、レジでの会計を済ませた。
ルナたちは会計が良く分かっていなかったので、私が全部代わりに行った。
とりあえず、全員が荷物を持って店を後にする。
時計を見ると3時を回っていたので、私は五人にどこかカフェに行かないか?と提案してみる。
「行く?」
「「「「「いくー!!」」」」」
万一致での賛成。
我々は荷物を邪悪たちに持って帰ってもらい、カフェへ向かった。
近辺にあったカフェがあったので、そこに入ることにした。
「世界一カフェが似合わない男」と母親から呼ばれた私。
まぁ大学附属のカフェによく行っていたが。
「いらっしゃいませー!」
女性店員が大きな声で言った。
店内は木で作られており、淡い色をした照明で、あたかも森林の中にポツリとあるカフェテリアのようだ。
装飾もそれを彷彿とさせる作りをされており、非常にゴージャスである。
ルナ姉妹はキョロキョロと辺りを見渡しながら、ついてきていた。
若干挙動不審で端から見たら怪しい人々に見えなくもない。
6名座れる席を探し、座ることにした。壁際で私、フル、ルナ。窓際のほうにマリ、フェネ、レラといった感じで座ることとなった。
「ご注文決まりましたらお呼びください!」
「はいー!ありがとうございます」
店員から渡されたメニューを手に取り、それをテーブルに広げて皆にも見せる。
「みんなどれほしい?」
「私はこの『リ・レッド・スイセイパフェ』かな?」
「では、私は『ホワイテストユニコーンパフェ』を」
「俺はー、えーとこの『ブラックライオンフルーツ』!」
「私は『フェニックスパフェ』かなー?」
「……龍輝はなに頼むの?」
ルナ、レラ、マリ、フェネが口々に欲しいものを言っていく中で、フルは私に質問してきた。
「私? 私はー。『ウルトラギガビッグパフェ』やな」
そういうと、フルは「じゃあ、私もそれにする」と言った。
「結構量多いけど大丈夫か?」
私はフルに言うが、自信満々のようで大丈夫と言った。
私は店員さんを呼んで、みんなの欲しいやつを注文した。
ついでに、店員がお冷を頂いてデザートが来る間にのんびりと過ごすこととなった。
「ふー」
お冷やを飲んで、一息つく私。
リラックスできるjazzが流れており、素晴らしく落ち着く。
Jazzが大好きな私にとっては、これ程落ち着く時間はないだろう。
目を閉じ、息を吸い込んで、吐き出す。
今日に見た謎の夢や疲れもどうでもよくなってくる。
少ししていると、店員さんが、トレイの上にデザートを持ってやってきた。
「失礼します。『リ・レッド・スイセイパフェ』『ホワイテストユニコーンパフェ』『ブラックライオンフルーツ』です!」
慣れた手付きで、淡々と三つのパフェをテーブルに置いて、厨房へと戻っていった。
入れ替わりに別の店員さんが、こちらのほうに来た。
「お待たせいたしました『フェネクスパフェ』です!」
金色の翼を模したコーンが特徴的で、生クリームに金粉が巻かれており、フェネクスと言われると確かにそうだと思える。
「お、美味しそう……」
ルナたちは無意識にそう呟いた。
「あとは、私とフルのやつだけか」
「そうだねー」
「大きいから準備に手間取ってるんじゃねえか?」
「フル大丈夫なの?」
「お腹壊してもしらないわよ?」
ルナとフェネが不安げに言うが、フルはどこ吹く風。
大丈夫大丈夫と余裕だった。
「大変お待たせいたしました。『ウルトラギガビッグパフェ』でございます!」
店員二人がかり、総勢四人の店員さんが持ってきたパフェは想像以上にでかいものだった。
どんぶりの2倍の大きさはあろう器に富士山の如き山盛りのコーンフレークやらポッキーやらたくさん盛られた、まさにウルトラギガビッグパフェである。
朱雀を除く五人全員が唖然とメデューサに見つめられた石像の如く、固まっていた。
「ありがとうござーす!」
私は持ってきてくれた店員に礼を述べてスプーンを取った。
そして、チラッと横を見ると、フルがボーっと目の前に立ちふさがる巨大なパフェを見つめていた。
ちょっと可愛い。
「さて、いただきますか!」
私たちは、いただきますをして、目の前にあるパフェを掬って口に含んだ。
甘くて涙が出るほどに美味しいものだった。
下品な甘さではなく、ほどよい甘味のあって舌から口全体に甘さが広がる。とても素晴らしいものだ。
ルナたちも「美味しい美味しい!!」と大絶賛。
フルも呆気にとられてはいたが、それでも美味しいと涙を流しながら食べていたので、よかった。
私はウルトラギガビッグパフェを僅か5分でペロリと平らげた。
これには皆も驚きであった。
「なんで俺らのパフェの15倍はある巨大なパフェを俺らと同じ時間で食べれるんだよ!?」とマリが笑いながら突っ込みをいれる。
「よく言われるよ!」
と私は笑ってごまかした。
「……」
チラッと横を見ると、フルの手が止まっていた。
どうやら、お腹が一杯のようだ。
まだまだ残っている。
捨てるのは非常に勿体ないというか、やってはいけないと私の中である故に、私は「手伝おうか?」と言った。
「ご、ごめん。無、無理」
ギブアップのご様子。
そして、急に立ち上がり、「トイレー」と叫んでカフェの奥へと消えていった。
その間に、この死ぬほど美味しいパフェを黙々と食べた。
私のあまりに美味しそうな表情を見たからか、途中からルナたちもウルトラギガビッグパフェを食べはじめた。
3分もしないうちに食べ終わり、我々一同は幸せに浸りきっていた。
「龍輝」
「ん?」
「私たちを連れてきてくれて本当にありがとう!!」
「感謝してもしきれないほどだ」
「ああ。ありがとな。これからもよろしく!」
「うん! 本当にありがとう!!」
ルナたちは幸せな笑顔で私に心からの感謝を言った。
なんだろうか、心がフワッとするような幸福感に包まれる。
女の子の幸せな顔を見ると気分がよくなるのは、私が気持ちの悪い人間だからだろうか?
それからフルが来るのを待っているが、全然来ない。
「フル遅くね?」
「本当ね……」
「何かあったんじゃ」
口々に呟く。
少し不安になった私は席を離れてトイレの方へと向かった。
それに続いてルナたちもついてくる。
トイレのほうに向かっていると、どういうことか、なにやらザワザワと声がしてきた。
店員と客との揉め事か?
私はそんなことを思いながら、ザワザワする方を見てみると……。
「Oh....マジかよ……」
フルが明らかな6人の不良……というかパリピに絡まれていた。
絡まれていたというかナンパ? らしいこと受けていた。
当の本人……フルは別に興味ないよ、等と言って断っているのだが、パリピどもは引く気配なし。
「私、そういうのよく分からないから」
「いいじゃん。一緒に行こうよ」
ていうか、なんでカフェテリアにパリピがいるんだよっていう突っ込みはダメか?
私はの西の方出身だから、そこら辺がよく分からないのよな。
パリピでもカフェテリアに行くのだろうか?
てか、そんなことを考えてる場合じゃねえな。
早くフルを救出しなくては!
闇英雄になる前の私であれば、こんな状況は確実にクソビビリチキンと化していただろう。
しかし、闇英雄になって多少力がついて、肉体が丈夫になったことで、まぁ穏便にパリピどもに話しかけれる自信がついたのだ。
まぁ、ここで騒ぎを起こすのも後々面倒なことになりそうなので、平和に行きたいところである。
私はパリピの方に近寄って、「フル帰るぞー」と言った。
すると、まぁ想像は出来ていたのだが、パリピどもが私に絡んでくる。
「あぁ? お前誰だよ」
「私ですか? 私は彼女(フル)の友人ですが」
「なー、彼女貸してくれよ!」
なーんか訳の分からないことを……。
私はルナたちに「会計やっといて」と言って会計に行かせた。
ルナたちは「はーい」っと返事をしてカウンターまで向かった。
どうやら、その行いがパリピどもに気に食わなかったようで、突っかかってくる。
なぜだよ……。
一触即発の空気に周りの客たちもこちらをジッと見つめていた。
店員もやってくる騒ぎ。
「ですから、私はこれから帰るので、フルも連れていかなければ」
「あぁ? なんでお前がそれを決めるんだよ!?」
「なぁ、こんな男ほっといて俺たちと遊ぼうぜ?」
別のパリピが言うと、フルはとんでもないことを口に出した。
急に、私の腕を握ったと思うと……。
「私、龍輝の所有物なの!! だから、お前らに興味ないの!!!!!」
「「「「「「……はい?」」」」」」
急なフルによる爆弾発言に店内が静まり返る。
根も葉もない爆弾発言。
私は全身に変な汗をかき初め、もうどうしたらいいか分からなかった。
静寂が包む中で、聴こえてくるのはレジに居るであろうマリの笑い声だった。
「龍輝行こ!」
フルは固まって動かない私を無理矢理引っ張って、元の席に向かおうとする。
パリピどもは呆気にとられたまま、呆然と立ち尽くすばかりだ。
「オー、フルよ」
「なーに?」
「お前、とんでもないことを」
会計を済まして、適当に街をブラブラと歩きながら、私は苦笑する。
「だって、そうでも言わないと、アイツら諦めてくれそうになかったし」
「お、おう」
「まぁ、逃げれたからいいじゃねえか!!」
まーだ笑っとるよこの人(マリ)。
ルナたちもクスクスと笑ってるし。
そして、私にはどうしても聞きたいことがあった。
「なぁフル」
「ん?」
「さっきの所有物についてだが」
「なぁに?」
「あれはその場しのぎの言葉だよな?」
「どうだろうね?」
こ、こいつ……。
「まぁ、アイツらを撒くために言った言葉だよ?」
「なら、ええんやがな」
「本当に所有物がよかった? 別に所有物になってもいいよ?」
「やめろー」
ニヒルな笑みを浮かべるフルに私は苦笑するしか他なかった。
適当な裏路地についた私は扉を出現させて私たちの世界と帰還する。
しかし、まさか有沢劉也に会えるとは、まぁ元気でよかった。
また会いたいものだ。
そして、今度会えたら聞いてみよう……。
続く