OREHーKRAD 邪悪に支配された人々   作:楠崎 龍照

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私、フィーナ・セイレンは朱雀龍輝の能力を覚醒させるために戦いを行うことになった。
そして、龍輝の能力の正体は、非常に面白い能力だった。


7話 能力覚醒 自然の魔術

 

 

 

 

龍輝とルナ姉妹は、家具を揃えて自分達の部屋を作り上げていた。

 

 

私、フィーナ・セイレンも仲間が増えたのは非常に嬉しいことよね。

もっと、たくさん仲間が増えることを願ってるわ。

 

 

そして、幾日か経ち龍輝やルナ、レラ、マリ、フェネ、フルたちも闇英雄に馴染んできた時、それは起こった。

 

「今日はルナが家事の当番ね」

「はーい!」

 

そう、ルナ初めての家事。

一応、みんなで家事のやり方は教えたので大丈夫だと思っていた。

しかし、1つだけ洒落にならないことが起こった。

 

「みんなー!! ご飯だよー!!」

 

ルナの元気な声が七重の塔に響く。

私を含む闇英雄たちは早々と大広間へと向かい、唖然とした。

 

「おやおや……?」

 

バズズーが目を丸くして呆然と目の前にある異物を凝視する。

テーブルに置かれている料理は、最早料理と呼べるのか?と思えるものだった。

鍋……なのだが、青い汁に青みがかったホタルイカやホタテ、キャベツ、大根、肉……。

闇鍋といってしまえばそれまでだけど、闇鍋でも、この色合いは食欲わかない……。

闇黒鍋……。

しかし、ルナはドヤ顔で自分の作った料理を誇らしげにしていた。

その表情はちょっとだけポンコツで可愛い。

 

「私お手製の鍋!!」

「鍋……ですね……」

「鍋が本体で、その中の具材が器か……?」

「ま、まぁ、食べたら美味しいかもしれないよ?」

 

バズズーとソナッチの言葉に私はフォローする。

他の闇英雄たちも、私に言った似たようなことを言って、自分に言い聞かせていた。

 

「それじゃあ、いただきまーす!」

 

ルナの言葉と共に全員が鍋に入ってある具材を取って口に含む。

その瞬間だった。

 

「ぐっ!!?」

「うぁ!?」

「……!!??」

 

死を思い浮かべた。

その味は得体知れぬ破滅的な味だった。

最早料理と呼べるものではないと私は思う。

 

「なに、これ?」

「まっず……」

 

吐き出す寸前で破滅と滅亡の申し子のような味だ。

何がヤバイいって、作ったルナですらゲロゲロ寸前になっていた。

 

「おか、ひいな……」

「おいバカルナなに入れたんだよ!!?」

 

あまりの不味さにマリが怒声をあげる。

 

「蜂蜜と、酢を……」

「バカだろお前!!?」

 

恐ろしい発言にファンギルが突っ込みをいれる。

これは流石にヤバイ……。

 

「……」

 

しかし、そのなかで唯一文句を言わずに食べている人物が二人いた。

 

「普通……?」

「可もなく不可もなくって感じね」

 

龍輝とコイールはそう言いながら口に含む。

 

「お前らまじでいってんのか?」

 

ファンギルは唖然としてそう言った。

それに対して龍輝はコクりと頷く。

 

「ああ、まぁ、美味い訳ではないが、うん。食べれる」

「そうね。本当に普通の味ね」

「なんという……」

 

全員が手を止めて感心する。

 

「私、味覚が変なんか知らんけど、基本的に料理は美味しいって言って食べるからなー」

「私も龍輝ちゃんと同じかも」

「まぁ、美味かろうと、不味かろうと私は全部食べますよ。父母祖父母からご飯は残すなと言われとるので。それに、作ってくれたのに、不味いと言う理由で残すのはいかがなもんかと」

「そうねー」

 

そう言って、龍輝とコイールはモグモグと食べ始める。

そう言われてしまっては、私たちは残す勇気がなかった。

皆、意を決してルナが作ったご飯を口の中に放り込んだ。

 

 

 

「ルナ……。お前が家事当番のとき、外食にしようぜ……」

「そ、そうね。そうするわ」

 

ファンギルの消えるようなか細い声にルナはボソッと呟いた。

あまりの不味さに朝飯が最後の晩餐になるところだったわ……。

 

 

破滅料理から少し経った昼間……。

 

 

『なー龍輝』

「ん?」

『フィーナと模擬戦したらどうや?』

「私と?」

 

店で買ってきた弁当を食べながら言う。

能力開花も兼ねた龍輝の戦闘力向上である。

 

「そうやな。私は構わんで、フィーナはどうする?」

「いいわよ! これ食べ終わったらやっちゃおーね!」

「おう」

「龍輝とフィーナの戦いか。是非とも観戦したいですね」

「ヒョヒョ、そうですな。若い者同士の戦い興味深い!」

 

カラパシやバズズーも興味津々である。

龍輝がいかほどの強さなのか気になるようだ。

 

「龍輝がんばれー!」

 

フルはお弁当を食べながら龍輝にエールを送っていた。

私は能力なしでどこまで強いのか、少し気になる。

 

「ごちそーさまー!!」

「ごちさんです!」

 

弁当を食べ終わった龍輝は立ち上がった。

私も食べ終わったので、龍輝に聞いてみる。

 

「やる?」

「やなー。やるかー」

 

私たちは外へと飛び出した。

龍輝は闘争に満ちた表情をしているが、緊張しているのか、腕がプルプル震えていた。

 

「どちらかがギブアップするまでやる?」

「せやなー」

『では、バトル開始の合図がしたら、始めてくださいね』

 

純潔の邪悪が言う。

私と龍輝は真剣な眼差しを送り……。

そして……。

 

『開始!!!』

 

純潔の邪悪のバトル開始の合図、その瞬間ーーー

 

「えい!!!」

 

 

-アイス・パルチザン-

 

 

氷を槍状に何本も形成し、それを朱雀目掛けて放つ。冷却と共に槍の弾幕が龍輝に襲う。

 

「な……じゃそりゃ!?」

 

龍輝は驚愕しつつ、全速力で桜の木々に隠れて、氷槍の攻撃を防ぎきる。

大量の氷槍が刺さった木々が支えられずに崩れ倒れた。

 

「逃がさないわよ!」

 

木片や砂煙で視界が悪くなり、龍輝の姿が確認できなくなった。

私は氷を生み出しながら、桜並木に近寄る。

周辺に氷柱を作り出して、龍輝の視界を阻害する。

私は氷を操作する力を持っている。

もし、龍輝がここに攻めて来ても、周辺にある氷柱を操作して龍輝を凪ぎ払える。

 

「さぁ、龍輝……。どうでる?」

 

私が小さく呟くが龍輝の反応はなし。

こちらの動きを伺っているのかな?

そう思ったときだった。

龍輝が表情変えぬ、かなり怖い形相でこちらに走ってきた。

まるで能面のような形相に、私は一瞬気圧されながらも氷柱を操って、朱雀に四方八方から強襲させる。

 

 

-アイス・モンストルム・ピアーズ-

 

 

「(やっぱあの氷柱で攻撃してくるか!!)」

 

龍輝は強襲する氷柱を紙一重で躱し続けた。

そのまま私の方に接近する。

私は持っていた槍を構えて応戦態勢に入った。

 

「どりゃあああ!!!」

 

朱雀の蹴りが私の腰を掠める。

咄嗟の判断がなければ、そのまま吹っ飛ばされていた。

続いて左ブローが飛んできた。

私は槍でそれを受け止めて朱雀の腹に蹴りを入れる。

 

「あ"ぉ"!!?」

 

龍輝は濁った苦声を上げて、体がくの字に曲がり、そのままぶっ飛んだ。

ぶっ飛んだ体は周辺にあった氷柱に激突した。

 

「う"……ぐぉ……!!!」

 

龍輝は膝から崩れ落ち、何度も咳き込んだ。

私はその隙を逃さずに、身体中に冷気を纏わせてそれを朱雀目掛けて放出する。

 

 

-アイスヴェル-

 

 

もちろん、死なない程度には出力は押さえているが、その勢いは、周辺の草木をドライフラワーへと変えるほどだった。

 

「あかん、ギブ……」

 

流石の龍輝はそう口にすると同時に、両手を頭を守るように塞いだ。

すると、私が放出した冷気は朱雀の両手に吸収されていた。

その光景に輪廻の邪悪は驚いたような声をあげる。

 

『あら、覚醒した?』

「え? なんやこれ?」

「龍輝の能力?」

 

龍輝自身も非常に驚いていた。

もちろん、戦いを観戦していた闇英雄たちも同じ。

全員がざわざわし始める。

私が解き放った冷気は全て龍輝の手のひらに吸収されたのだ。

そして、朱雀から冷気が漏れ出ていた。。

 

『あれが龍輝の能力である魔法か?』

「わからん、でも、やっっべぇ……」

 

龍輝の身体中から冷気がプシューと風船から漏れる空気のように溢れている。

 

「わからん。どういうことか全くわからんけど、取り敢えず氷の魔法が使える!!!」

 

龍輝は苦しそうな声と表情をしながら、闇雲に手を張り手のように私に向けて解き放った。

すると、不恰好な氷の塊が私目掛けて飛んできた。

何度も何度も。

 

「あ……ったれええええええ!!!!」

 

それは氷塊の雨霰だ。

私はそれを極低温の光線を指から放ち、一個一個氷塊を撃ち砕いていく。

私は手加減することなく地面を蹴って、龍輝に急接近。

足の部分を氷で硬く凍らせて、龍輝のお腹を思いっきり蹴った。

 

「うぐぅ……!!!!??」

 

ぶっ飛んだ龍輝は口から冷気を吐き出しながら、地面に2、3回バウンドした後、叩きつけられる。

龍輝は地面にうずくまり、呻き声をあげる。

龍輝の全身から冷気が蒸気機関車もビックリなほど放出されていった。

そして……。

 

「ぎ、ギブアップぅ……」

 

体から冷気が完全に抜けると同時に龍輝は情けない声を上げてぐったりとする。

私や他の観戦していた闇英雄たちは続々と龍輝に寄っていった。

 

「龍輝いいい大丈夫!!!?」

 

フルが心配そうに龍輝の体を起こした。

意識はあるようで、「あ、ああ。大丈夫」と龍輝は自力で起き上がった。

そして、

 

「ひぃぃぃっくしゅん!!!」

 

特大なくしゃみを放ち、ブルブル震えだした。

フルが超心配そうに朱雀を見る。

 

「うおおおおおおさびいいいいいいいいい!!!」

「わっ、冷たい!!」

 

フルは驚きながら、龍輝の身体を必死に擦って暖めようとした。

 

「ブウェェェクショオオオオン!!!」

 

再び爆音のくしゃみ。

こう言うのもあれだけど、唾とか飛んでいてかなりバッチィと思う。

だけど、フルはそんなこと気にもすることなく、龍輝をおぶってシャワールームまで連行した。

 

 

「朱雀の能力、凄い面白そうね」

『多分、あの能力、外部から炎とかの自然現象……っていうの? それを吸収して初めて、その魔法を使用できるって感じっぽいな』

「そうみたいね」

 

私と輪廻の邪悪はそう呟く。

 

「あったけええええええええええ!!!!」

 

シャワールームでは、龍輝の歓喜の声が響いていた。

よっぽど寒かったのだろう。

龍輝は「ひやあああああきもちいいいいいいい」等と声を上げてシャワーをしているように思えた。

 

「あ、フルちゃん、朱雀は?」

 

私は龍輝の洋服をシャワールームまで持っていこうとするフルの姿があったので、一応訊ねてみる。

 

「大丈夫っぽいよ。すごい幸せそうな顔でシャワー浴びてる」

「そう、良かった」

 

そういうと、フルはシャワールームへと行ってしまった。

 

 

「なーるね……」

 

龍輝は自身の能力を輪廻の邪悪を聞いて、なんとも言えない表情をしていた。

 

「かなりピーキーで汎用な魔法使いになりそうやなー」

『なんかとんでもない能力になったな』

「ああ、まぁでも、ものにしてみせるわ」

 

そう言って龍輝は牛乳をグビッと一気に飲み干した。

それをみた輪廻の邪悪は『能力発動した?』と龍輝に訊く。

 

「いや、そんな感じはない」

『牛乳は言うてしまえば水やから水属性の魔法が使用できるようになりそうなもんやけど……』

「いや、特に変化ないなー」

 

龍輝は身体をあちこち見ながら、そういった。

 

『うーむ。謎や……』

「ああ、謎や」

 

そう言って、少し間を置いて「先ずは能力の制御をしないとな……。でないとあの様やし……」と苦笑いした。

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

「うおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

朱雀は再び能力制御を行っていた。

私が氷を作り出し、それを吸収。

そして、その能力の維持制御をしている。

 

「これあれや、その属性を吸収するときにいいいいい!! こ、心の中でえええ!! い、いい、いいい意識しないと!! 発動しないっぽいいいいいいいいうおおおおおおお!!!」

 

絶叫しつつ、あちこちに穴の間風船のように、龍輝の身体中から冷気が溢れでる。

そして、すぐに能力が解けた。

 

「ひええええええええええさびいいいいいいいいい!!!」

 

龍輝は立ち上がり、身体を痙攣させながら、地団駄した。

しかし、急に地団駄をやめて、私にライターを持ってくるように指示した。

私は急いでライターを持ってきて、龍輝に渡す。

すると、龍輝はライターから火をつけて、その火を吸収した。

 

「これでどうよ!!!」

 

朱雀から陽炎と共に炎がボッと発火する。

 

「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

そして、朱雀はまた雄叫びをあげながら維持制御に励むこととなった。

 

 

 

 

続く




あっはっはっはっは!!!
朱雀の能力はとっても興味深い能力だ!!

          by正義の闇英雄ソナッチ
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