夜魔物語リリカルウィザード‐魔法少女と夜闇の魔法使い‐《更新停止》 作:アルシェス
初めまして、赤羽麗です。
突然ですが、私には好きな人がいます。
名前は雨宮時人、四歳の時にお隣に引っ越してきました。
私はその時本当に恥ずかしがり屋で、いつもお母さんやお父さんの
後ろに隠れていました。
時人と会ったのはその時です。
長いサラサラでツヤツヤの黒髪にテレビに出れそうなくらい
整った顔立ち、最初は綺麗な女の子だと思いました。
最も綺麗って言ったら睨まれて泣いた記憶があります。
その後も仲良くなりたいけど、雰囲気が周りに居る子と
まったくと言っていいほど違うからどうしていいかわからなくて
悶々としていました、ある日私が大事にしていたクマのぬいぐるみの
おなかが破けて泣いている私を見て
「…貸しな、それぐらいなら直せる」
そう言って裁縫セットでスイスイ縫っていき、
「やっぱ縫い目は目立つな…コイツ男か?それとも女か?」
それに私が男の子だと答えると、今度は布とミシンを擁して
タキシードを着せてくれました。
それから理由はわからないけど、とにかく一緒に居たいと思うようになり
何処へ行くにもくっつこうとしました。
そして小学生になりこの気持ちが[恋心]と知った時、
私はより積極的になり、男の子達に[恋人][百合夫婦]とからかわれました。
「気にするな、したら余計にからかわれる」
本人はそう言って気にもしませんでしたけど(汗)
時人は年がら年中そんな感じで、あまり仲のいい人は居ませんでした。
本人曰く、「冷めて愛想が悪いからな」とあまり気にしてない様子でしたけど
それが私には大人っぽく見えてかっこよく思いました。
そして、あの事件……私の思いがより確固たるものになった出来事がありました。
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それは私が学校での用事が長引いて、帰りが遅くなったとき
外はすっかり日が沈み、夜の帳がおり始めていました。
まだ何も知らない子供だったので、夜の外は怖かったんですけど
同じく用事が長引いていた時人が一緒だったので怖くありませんでした。
「遠藤先生も人が悪いぜ、厄介な頼み事しやがって」
そんな悪態をつく時人と一緒に歩いていたのですが、パリン
そんなガラスが割れるような音と共に周りの風景が[砕けて]変わりました。
写真で見たような荒野に赤っぽい空、そして頭上には血の様に紅い満月。
「こいつは!」
「な、なに…なんなの?!」
狼狽える私を嘲笑う様に、ヤギみたいな頭の怪物と骸骨の集団が現れました。
「ヒぃ!」
「落ち着け!後離れるな!」
おびえる私を庇う様に前に出た時人が、背負っていたランドセルを投げ捨てます。
するとランドセルは水面に放り込んだ様に[波]の中に消えました。
その後時人は両腕を伸ばして[波]に手を突っ込み、日本の剣らしきものを取り出しました。
「離れるなよ」
私を背後に庇いつつ、時人は迫りくる骸骨達を
両手の刃で次々と切り裂き、その光景はヒーローに思えました。
「わぁぁ……」
私は思わず見惚れてしまい、迫ってくる山羊頭に気づいた時には、
既に山羊頭のパンチが目前に迫っていました。
そして動けずにいる私を庇い
「グッ!」
ゴキ!……鈍い音が聞こえ、時人が吹っ飛ばされました。
「時人!」
「騒ぐな!気が散る!」
私の眼では追えないほどの速さで走ってきた時人は
左手の剣で山羊頭の首を切り落とします。
でも、右腕が変な方向に曲がっていました。
「……一か八かだな」
そう時人が呟いた時、突然残っていた怪物達が爆発しました。
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駆けつけてくれたお父さんとお母さんが怪物を退治してくれたおかげで、
私達は無事に家に帰ることが出来ました。
折れた時人の腕も、お母さんが魔法で直してくれました。
その後、ウィザードのこと、エミュレーターのこと
まさか魔法が現実のものとして存在するとは思っていませんでした。
その後、私は時人の元に向かいました。
「どう?腕の具合」
「問題無い、寝てれば治る範疇だ」
腕を回して見せる時人に、私はひとまず安心しました。
「ねえ、時人」
「どうした?」
私は、聞きたかったことを質問しました。
「どうして、逃げなかったの?」
「月匣は作った奴を倒さないと出られない、それに
お前を置いてくのは目覚めが悪かったからな」
私は、時人への好意をより確固たるものにしていきました。
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麗と一緒に月匣に閉じ込められた後、俺は更に鍛錬を積んだ。
元からジョギングに筋トレ、過去の使い手の幻影を相手にした組手。
それの質と時間を更に増やしていた。
ついでに今はこの街の[世界魔術師教会支部]にも所属している。
散々探したけど見つからなかったな(遠い目)
支部長の御神刃さんと奥さんのシルフィリア・M(ミューシス)・御神さんが
いい人であれこれ面倒見てくれたのは感謝しきれない。
さらに親父もウィザードだった、いきなり帰ってきて
彼方此方触りまわって大声出すものだから、思わず殴ってしまった。
その後、家の地下室から「どうやって集めたんだ?」と言いたくなるほどの数がある
ウィザードの一般的な移動手段[
幾つか譲ってもらえたのだから良しとしよう。
現在は公園でジョギングをしている最中だ。
「ふぅ~」
廃止り終えた後、水場で喉を潤し、汗を拭く。
前世ではかなりものぐさな性格だったのだが、今では日課だ。
「ん?」
ふと見ると、茶髪をツインテールにした五歳ぐらいの女の子が
公園のベンチに俯いて座っていた。
別に係わる理由はない、でもほっとくとエミュレーターに利用されやすいしな。
なんだかあの子を付け狙っているような視線を感じるし。
近くの自販機で無難にオレンジジュースを買い、そっと背後に忍び寄り
気づかれないように、右頬に缶ジュースを押し付ける。
「にゃ!?」
おお、いい反応。
慌ててこっちを見る女の子の顔を、俺はベンチの背もたれにもたれ掛りながら見る。
「何が理由か知らないけどさ、そんな顔してたらいいことなくなるぞ
幸せってのはな、そうゆう顔が一番嫌いなんだからよ」
暗い気分だと、幸福を一切感じなくなるもんだからな。
見たところ、痣だ汚れだはないみたいだから虐待はないだろう。
俺は缶ジュースを持たせる。
「年上としてアドバイスだ、言いたいことははっきり言いな」
「その…実は」
「おいコラ、誰が俺に話せっつった」
「…え」
「俺に話したって意味ねぇだろ、ちゃん悩みを解決してくれる奴に話せ、解ったか」
「はい」
本当に分かってるか不安だが。
「じゃあ、俺は帰るぞ」
「あ!あの!明日また会えますか!?」
「ジョギングは日課だからな、会えるだろう」
これが運命的な出会いなのだが、その時の俺は気づく由もなかった。