魔女想う、剣士の旅々 作:蛇廻
・・・・多分!!
イレイナ誕生日記念回
今日、俺はたった一人で街へと出てきていた。目的はただ一つ・・・・一週間後に控えているイレイナの誕生日プレゼントを買うためだ。ここ数年は会えていなかったから祝えなかったが、今年は一緒にいるわけだから、やはり何かしら祝わなくては。
「しかし、どうするか・・・・金の心配はひとまずないし、久しぶりだからちょっと豪華にしてみてもいいんだが・・・・」
しかし、久しぶりということもあってかやはり難しい。豪華に、とは言っても、旅をする手前あまり荷物になりそうなものは避けたい。そうなってくるとやはり限られてくる。
「旅をする上で荷物にならなくて、なおかつイレイナが喜びそうなもの・・・・う〜ん・・・・」
とりあえずイレイナが好きなものを考えてみよう。まず一つ目・・・パン!・・・・誕生日プレゼントにパンって・・・・どちらにせよ今日買うものでもないな。二つ目・・・・本!いや、物によるが場合によっては荷物になるよな・・・・。それじゃあ三つ目・・・・旅!・・・・誕生日プレゼントだって言ってんだろ。
「誕生日プレゼント考えるのってこんなに難しいことだったかな・・・・昔はどんなの渡してたっけ?」
ちょっと昔を振り返ってみよう。・・・・・あれ、何してたっけ?当然プレゼント買えるほどの金なんて持ってなかったから、確か・・・・家族で誕生日会をやってたんだっけか。クッソ昔の俺役に立たねぇ・・・。
「マジでどうしよう・・・・」
「あれ?ユウマさんじゃないですか」
「ん?・・・あぁ、サヤか」
声をかけられ振り返ってみれば、そこにはサヤがいた。
「なんでここにいるんだ?」
「仕事ですよし・ご・と!!ほんの少し前に到着したところです・・・・で、ユウマさんは何をそんな右往左往しているんですか?正直怪しいですよ」
「え、マジで?」
「マジで。もう怪しくて怪しくて一回捕まえとこうかと思ったぐらいです」
「おいちょっと危ねぇな」
「それで、何してたんですか?」
「いや、一週間後にイレイナが誕生日でな・・・こうして誕生日に一緒にいられるのって何年ぶりとかのレベルだから、ちょっと豪華なプレゼントを用意しようと思ったんだけど・・・何をプレゼントすればいいか一向に決まらなくてな・・・」
「は?イレイナさんが誕生日?え、いつ?」
「え、だから一週間後」
「そんな大事なことなんでもっと早く言ってくれないんですか!?僕知りませんでしたよ!!」
「いやそんなこと言われても・・・」
「こうしちゃいられない!僕も急いでプレゼントを用意しなければ!!」
「え、あ、おい!!お前仕事は!?・・・行っちゃった・・・・・」
あいつの中の優先順位ってどうなってんだ?絶対イレイナ>>>越えられない壁>>仕事とかだろ。うん、絶対そう。
「・・・・そういえば、イレイナがつけてるネックレスって、サヤがプレゼントしたものって言ってたよな・・・。なるほどアクセサリーか・・・・」
ちょっと見てみるか・・・・いや、それでサヤと被ったりしたらアレだよなぁ・・・・。試しに他の人たちに聞いてみるか?すぐに聞けそうなのは・・・・サヤとユーリぐらいだが・・・・ユーリは論外だな、うん。となると残りはサヤか、・・・・よし、追いかけよう。
・・・・・・・・・・
「つーわけで、力を貸してくれ」
「プライドとかそういうの全くないんですね、ユウマさんは」
「必要ないからな」
今の俺にとって重要なのはプライドとかじゃなくてどうイレイナのプレゼントを選ぶかだ。そのためにはプライドなんてかなぐり捨ててやるさ。
「とりあえず、サヤはプレゼント何にする予定なんだ?」
「まだ決めてませんよ?さっき知ったばかりですから」
「ネックレスとかじゃないのか?」
「ネックレスは前回プレゼントしましたから、今回は別のです。あぁ〜何にしようかなぁ〜、イレイナさんに似合うもの・・・・イレイナさんに似合うもの・・・・」
随分とまぁ熱心だな・・・・。仕事は大丈夫なのだろうか、俺の知る由ではないが。てかサヤといてもあまり参考になるものはなさそうだ。やっぱりなんとか自分で考え・・・・・ん?
「これは・・・」
俺の目の前にあるのはどこにでもあるような服屋。そこで売られているあの物に、俺の目は止まった。・・・・うん、これからの季節的にも良いんじゃないか?あまり荷物になることもないだろうし・・・・。
そう思い立ったが吉日、俺は店に中に入ると、早速それを購入することにした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1週間が経過、今日はイレイナの誕生日当日だ。今俺の手元には二つのプレゼントがある。一つは俺が用意したもの、もう一つはサヤが用意したものだ。あの後同じく仕事でやって来たシーラさんに捕まり、サヤは連行されることとなった。幸いにもプレゼントは買った後だったので問題はないが、残念ながら1週間の仕事言いつけられ、本日にイレイナの元駆けつけられなくなってしまった。そのためあいつが用意したプレゼントは俺が渡すことになったのだが・・・・・・あいつことだから抜け出すなりしそうだけどな。
「イレイナ、今ちょっといいか?」
「ユウマ、どうしました?」
隣部屋に泊まっているイレイナの部屋へと入る。どうやら読書をしていたらしい、イレイナの膝上には一冊の本が置かれている。
「今日が何の日か覚えてるか?」
「今日ですか?」
本人だというのに忘れてしまっているのだろう、パッと答えが出て来ず、悩み始めてしまう。しかし、あまり時間をかけるのもな。
「今日はイレイナ、お前の誕生日だぞ」
「・・・・あぁ!すっかり忘れてました」
「そういうわけで、ほらこれ、誕生日プレゼントだ」
「わぁ!ありがとうございます!!・・・って、二つ?」
「あぁ、こっちのが俺からで、こっちがサヤからだ」
「サヤさんから?」
「この間街で会ってな、イレイナの誕生日が近いって話したら仕事そっちのけでプレゼント選びしてた」
「何やってるんですか・・・」
「まぁその後シーラさんに連行されてたけど。それで当日に会えないから、俺が渡すことになった。“誕生日おめでとうございます!”だってよ」
「ふふ、彼女らしいですね」
そういいながら、イレイナは早速プレゼントを開け始める。
「こちらはユウマのでしたね。これは・・・・手袋、ですか?」
「街を歩いてる時に見つけてな。季節的にもそろそろ使いどきだし、"これだ!"って思ってな」
俺が用意したのはごく普通の手袋だ。結局豪華とかそういうのは無くなってしまったが、大丈夫だろう。
「ふふ、ありがとうございます。手袋は持っていませんし、ありがたく使わせてもらいます」
「あぁ、そうしてくれ」
「それで、こちらがサヤさんからでしたね」
俺のは無事に喜んでもらえたらしい、笑顔を浮かべたまま、もう一つのプレゼントを開ける。
「これは・・・・」
「マフラー、だな」
結局、似たり寄ったりなプレゼントになってしまったようだ。まぁ、ガン被りじゃないだけまだマシか・・・。
「・・・二人揃って、私そんなに防寒してないと思ってます?」
「いやそういうわけじゃない!ただの偶然だ、偶然!」
「・・・別に怒ってなどいませんよ。せっかく買ってもらったものですし、今年はしっかりと使わせてもらいます」
「そりゃ良かった・・・・・ん?今年は?」
「え、えぇ・・・・つい一人だと、防寒とか疎かになりがちで・・・多少の寒さは魔法でどうにか出来ますし・・・・」
「・・・・」
これは手袋にして正解だったようだ。サヤのマフラーも、話を聞く感じ持っていないようだし。
「防寒具にして良かったよ」
「あははは・・・・」
「あれ?よく考えたら闇の世界使えば荷物になるとか考えなくて良かったじゃん!!」
「ユウマ、急にどうしたんですか?」
「いや、こっちの話だ・・・」