魔女想う、剣士の旅々   作:蛇廻

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第一章
第一話


『私、魔女になる!』

 

いつの日だったか、会うなりそう宣言した幼馴染の彼女。あまりにも突拍子もなくて、一瞬呆けてしまった気がする。

 

『・・魔女?』

 

『うん!魔女になって、ニケのように旅をするの!』

 

”ニケ”。彼女が愛読している本、『ニケの冒険譚』の主人公。今思えば、彼女がそう思ったのは必然だったのかもしれない。

 

『そっか・・・・・だったら、僕は剣士になるよ!』

 

当時の自分は何を思ってその言葉を言ったのだろうか。・・・いや、大したことは考えてなかった気がする。ただただ彼女の横にいたい、なんて理由でそんなことを言った気がする。

 

その言葉を後悔するつもりはない。だけど・・・・まさかこんな運命が待ち受けていたなんて、あの時は俺たちは知る由もなかった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「っ・・・!ーーー夢、か」

 

ずいぶんと懐かしい夢を見た。俺が剣士になる道を歩き出した、その始まりの物語。

 

体を起こし、辺りを見渡す。まだ日は登っていない時間帯、寝る前にはついていたはずの焚き火はすでに消え去り、少し肌寒さを感じる。

 

「・・・・目、覚めちまった」

 

再び眠りにつく気にもなれず、空を眺める。辺りに光が一切無いおかげか、星がよく見える。

 

「・・・あいつ、今は何処にいるんだろう・・・」

 

魔女になって以降、一度も会っていない彼女のことを思い浮かべる。おそらく今もこの世界のどこかを旅しているのだろう。いや、旅を続けていて欲しい。真実など知らないまま、平和な旅を。

 

「はぁ・・・・・・ん?」

 

そんなことを考えていると、そこまで遠くない位置から何かの唸り声が聞こえてきた。もしも戦いとは無縁の一般人が聞いていたら、その身を震え上がらせていただろう。

 

「例の奴か・・・・」

 

二日ほど前に立ち寄った近隣の町で、魔物の噂は耳にした。自分とは何ら関係無いと思っていたから大して聞きもしなかったが・・・・・。なんて思っていると、また唸り声が聞こえてきた。先ほどよりも明らかに近くなっている。おそらく、俺がここにいることはすでにバレている。

 

「・・・・あまり証拠を残すようなことはしたくなかったんだが・・・・仕方ない」

 

姿は見えないが、大体の位置は捕捉した。俺は立ち上がると、一本の剣を携えて歩き出す。

 

「ちっ・・・くせぇな」

 

近づくにつれ強くなる獣臭に不快感を隠せずにいると、魔物が姿を現す。思っていたよりもだいぶ大柄な魔物だったが、まぁ、大した問題でもない。

 

魔物からしたら餌がノコノコやって来たとでも思ったんだろう。でかい雄叫びを上げるや否や襲いかかってくる。

 

「あいにく、お前程度に食われるほど俺は安くないんだよ」

 

少し横にズレるだけで簡単に避けられる。所詮はただの魔物、図体がでかいだけの獣に過ぎない。今更この程度で遅れを取るつもりなど、毛頭無い。

 

「さっさと終わらせるか」

 

『ジャアクドラゴン』

 

取り出したのは一冊の本。俺のような剣士が本領を発揮するための、大切なアイテムの一つ。

 

 

『かつて、世界を包み込んだ暗闇を生んだのはたった一体の神獣だった・・・』

 

 

それを組織から奪った闇の聖剣”闇黒剣月闇(あんこくけんくらやみ)”に読み込ませ、腰に装着済みのドライバーへとセットする。

 

 

『ジャアクリード!』

 

「・・・・・変身」

 

『闇黒剣月闇!Get go under conquer than get keen. ジャアクドラゴン〜!』

 

 

聖剣より放たれし闇の斬撃が俺の体を包み込み、俺は闇の剣士へと姿を変えた。

 

『月闇翻訳!光を奪いし漆黒の剣が、冷酷無情に暗黒竜を支配する!』

 

相手への慈悲など無い。ただ一撃の元に、斬り伏せるのみ。

 

『月闇居合!読後一閃!』

 

瞬間、魔物はその体を真っ二つに分け、俺の後ろに倒れ込む。辺りは魔物の体から吹き出した血によって赤く染まり出している。

 

「・・・・・・・」

 

ドライバーからブックを抜き取り、体を包んでいた装甲が解除される。原理とかは知らん。

 

しかし、予想外に剣の力を振るってしまった。ここが森で、人目に触れられるような場所ではなかったのは幸いだろう。短期決戦で終わらせたし、組織がここに来たとしても証拠は大して残っていない。すぐにここをたてば、奴らの捕まることは無いはず。・・・・・・よし、そうと決まれば早速だ。

 

大した荷物は普段から持っていないが、一応元いた場所に戻って辺りを確認しておく。・・・・・・うん、特に忘れ物はないな。金はしっかりと持ってるし、これ(・・)も忘れずに持っている。

 

「うん、忘れ物は無し!そんじゃ、日が昇るまではまだ時間掛かるけど、出発しますか」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

少し肌寒さを感じる風を一身に受けながら、広大な草原の上を飛ぶ、灰色の髪を靡かせている少女は誰でしょう?そう、私です。

 

魔法使いの国を出てから早六ヶ月。時間が経つのは早いものです。先日立ち寄った街で売られていた新聞によると、あの国で出会った彼女が無事に魔女見習いに昇格できたことも分かりました。彼女のことは、気長に待ちましょう。

 

それにしても・・・・あの街でもなんの情報を得られませんでしたね。これほどまでに何の情報も得られないとは・・・・相当隠れているのでしょう。もしかしたら、組織の人が言ってた通り・・・・・・・いえ、あの人達はおそらく下っ端中の下っ端、正しい情報を持っているとは限りません。とはいえ、いくら魔女といえど組織の上の者に会うにはそこそこ面倒な手続きをしなければいけません。そんなことをしてる暇はありませんし、こうやって自分で探そうと思って旅を続けてるわけですが・・・・・。

 

「まさかここまで何も得られないとは・・・・・・・あなたは今、どこにいるのですか?ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーユウマ」

 

 

 




キャラクター紹介

ユウマ

『平和国ロベッタ』出身の18歳、男。

家族は両親二人との三人家族だった。幼馴染に灰の魔女『イレイナ』はいるが、もう長い間会っていない。

今現在はある目的のために組織を離れ、一人での旅をしている。

使う聖剣は『闇黒剣月闇(あんこくけんくらやみ)』だが、持っている聖剣は他にもあるとか何とか。

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