魔女想う、剣士の旅々   作:蛇廻

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第二十三話

待て・・・・待ってくれイレイナ・・・・・そいつは、お前じゃ・・・・・。

 

 

 

闇黒剣・・・・・・でも、奴の聖剣は・・・封印できなかった・・・・・・・。なんで俺は、ここで寝ているんだ・・・・なんでこの体は、動かないんだ・・・・・。

 

 

 

・・・・あれは、なんだ?闇黒剣が切り裂いた空間から・・・・・・雷が・・・・・。・・・まさか、あれは・・・・・・・。

 

「まさか!!」

 

大声を上げながら飛び起きる。周囲には父さんと母さん、そしてイレイナとその両親。突然の俺の声にみんな驚き、俺を見てくる。

 

「なんだ、急にどうしたユウマ?」

 

「いや・・・え?」

 

「もう、寝ぼけてるの?今日はイレイナちゃんのお祝いの日でしょ?」

 

父さんと母さんがそんなことを言ってくる。そうだ・・・・今日は確かお祝いの日、イレイナが魔術試験に無事に合格した記念だ。何かが俺の中で引っかかっているような気がするが、次第にそれも薄れていく。先ほどまで見ていたはずの光景は、すぐん思い出せなくなっていた。

 

何か、イレイナが関わっていた気がするが・・・・・俺はちらりと、イレイナの方を見る。今まで見たことがない、それでいてしっくりとくるイレイナの魔女見習いとしての姿。まだ本格的に魔女としての修行を始めているわけではないが、それでもイレイナは夢への第一歩を踏み出したのだ。しっかりと祝わなければ。

 

しかし、当のイレイナ本人はあまり嬉しそうではない気がする。

 

「どうかしたのか、イレイナ?」

 

「あぁ、いえ・・・・周りがあまりにも弱かったので、合格するのは当然です。これ絵は、魔女になるのも時間の問題ですね」

 

「わぁ〜さすが・・・」

 

自信というか、なんというか・・・・・・ともかく、何かあまり良い予感はしなかった。それが俺の率直な感想だ。おそらく父さん達も気付いているのだろう、何やら考えているように思う。

 

しかし、魔女になるのも時間の問題とはいうが、それまでにもやらなければならないことがある。それが師匠となる魔女に認められること。それにはまず師匠となる魔女を見つけなければならないのだが・・・・・まぁ、ここロベッタにも魔女は沢山いる。誰かしらイレイナを弟子にとってくれる人はいるだろう。

 

しかし、なんだろう・・・・・・・・・・そんな簡単な問題ではなかった気が・・・・・・・・。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「どうしましょうユウマ・・・・・」

 

「・・・え〜と、どうした?」

 

あれから三日後、俺もイレイナに負けてられないと外で素振りを行っていた際、その場にやってきたイレイナが開口一番にそう言ってきた。最初は話が見えなかったが、どうやらイレイナはここ三日間でロベッタに住まう全ての魔女のもとへ訪れたらしい。しかし、誰も弟子にとってくれる人はいなかったとのことだ。どうやら最年少で魔術試験を、それも一発で合格してしまったイレイナは悪い意味で目立ってしまったらしい。魔女たちはイレイナのことをあまりよく思わず、全員がイレイナの弟子入りを断ったとのことだ。

 

「まさか全員から断られるとは・・・・・・」

 

「このままでは魔女になることはできません・・・・・・・」

 

「ん〜・・・・・・とは言ってもなぁ、さすがに知り合いに魔女なんていねぇし・・・・・・ヴィクトリカさん達には?」

 

「もちろん話しましたが・・・・そんなすぐに解決できるような問題でもありませんし・・・」

 

「だよな〜・・・・・ん〜、どうにかして力になってやりたいんだが・・・・・」

 

「・・・・・すいません、急にこんなこと・・・邪魔になっちゃいましたよね」

 

「あ、おい、どこに行くんだ?」

 

「帰ります。あまり長居してユウマも時間を取るわけにもいきませんから」

 

そう言ってさっさとイレイナは去って行ってしまった。俺はそんなこと気にしないのになぁ・・・・・家に帰ったら、父さん達にも話してみるか。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

さらに数日、あの日以降イレイナのことを見ていない。イレイナのことは父さんにも相談したが、”心配しなくても大丈夫だ”としか言われなかった。とはいえ、やはり心配だ。

 

ということで、俺は普段は修行に使う時間を返上してイレイナの家に向かうことにした。のだが・・・・・。

 

「え?いない?」

 

「えぇ、今イレイナは森の奥の廃小屋に住んでいるという、”星屑の魔女”の弟子になっているの。住み込みだから、今ここにはいないわ」

 

「星屑の魔女・・・・・・それじゃあ、無事に弟子入りを受け入れてもらえたということですね」

 

「そうね、無事に・・・・」

 

何か含みのある言い方な気がするが、しかし、無事に弟子入りできたというのは喜ばしいことだ。最近顔を見ていないのも、その星屑の魔女の元で魔女になるための修行をしているからだろう。それなら納得だ。

 

あいつは直実に、自身の夢に向かって歩み出している。俺も負けてはいられないな。

 

そう思い、俺も俺の夢に向かうための修行に向かう。父さんは普段家にいる機会は少ないが、どういうわけかあの祝いの日以降は家に居続けている。剣士である父さんから色々教わるにはまたとない機会だ、逃すわけにはいかない。俺は急ぎ家に戻ることにした。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「手合わせ頼む、父さん!!」

 

「熱心なことだな・・・・そんな剣士になりたいか?」

 

家でゴロゴロしていた父さんを引っ張り出し、いつも俺が修行の場として使っている広場に来る。広場、とは言っても人工的に整えられているわけではなく、ただ開けた草原というだけだ。しかし、どうにもここがしっくりくる。

 

「なりたいさ、剣士は俺の夢なんだから!!」

 

「・・・・そうか、しょうがない、相手をしてやる」

 

使う得物はお互い木刀。万が一でも怪我がないようにだし、それは俺も納得しているが、父さんの聖剣を触ってみたいという願望もある。剣士を目指す身として、やはり聖剣は憧れの物だし、一度見てみたいし、触ってみたい。前々からそう思っているのだが、結局一度だって見たことがない。

 

「ほっ」

 

「うわ!?ちょ、急に何すんのさ!」

 

「お前がいつまで経っても仕掛けてこないし、何やら雑念が入っていたようだったからな。それで?どうするんだ?」

 

「何を〜・・・おりゃ!!」

 

父さんの言う通り、今は修行に集中集中!!こんなんじゃイレイナには置いてかれてしまう!

 

「よっ、ほっ。そんな太刀筋じゃ、動かなくても片手で余裕で往なせるぜ?もっと思考を凝らせ」

 

「まだまだ!!行っくぜ〜!!」

 

 

 

・・・・・数十分後、俺は無様にも地面に大の字で横たわっていた。当然だ、父さんは立派な剣士・・・・今の俺が到底敵う相手ではない。

 

「まだまだだな、ユウマ。その程度の剣じゃ、剣士なんて夢のまた夢だぞ?」

 

「うっ、手厳しい・・・・・父さんはどの位の時に剣士になったの?」

 

「ん?そうだなー・・・・・・少なくとも、史上最年少で剣士になったって話題にはなったぞ?」

 

「へ〜・・・・・」

 

史上最年少・・・・・ついこの間も同じようなことを聞いたな。イレイナも史上最年少での魔女見習いになってるし・・・・・俺の周りにはそういう天才な奴が多いのかな?

 

「さて、まだ時間は早いが・・・・どうする?」

 

「当然も一戦・・・・・したいんだけどさ、一回だけ父さんの聖剣見せてくれない?」

 

「ん?なんでだ?」

 

「気になるんだよ!!聖剣が!!一度ぐらいは見てみたいしさ!!」

 

「お前にはまだ早いさ」

 

「え〜?じゃあいつになったら見せてくれるんだ?」

 

「そうだな〜・・・・・・お前がお前自身の剣を手にした時・・・・かな?」

 

「なんじゃそりゃ・・・一体いつになるんだよ〜・・」

 

「そう悲観的になるもんじゃない。案外すぐだろうさ・・・・・それで?もう一戦・・・・するんじゃないのか?」

 

「当っ然!!」

 

俺は地面から飛び起き、横に置いていた木刀を握る。とにかく聖剣のことは置いておく、今は修行だ修行!!

 

 

 

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