魔女想う、剣士の旅々   作:蛇廻

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第二十七話

一夜明け、時刻は昼頃。そいつは再び、クォーツへと降り立った。燃え盛る羽根を消し、地に足を着けたそいつーーーーバハトは、自分を待っていたであろう二人を睨みつけた。

 

その二人、ユウマとイレイナの腰には既にそれぞれのドライバーが装着されており、準備は万端といった風だ。

 

「ーーーははっ!どうやら剣士として戦うようだな」

 

「えぇ、決めましたから。・・・私は魔女としても、剣士としても、生きていくと。ユウマと一緒に・・・!」

 

「無の剣士・ファルシオン・・・・・・お前は今ここで、俺達の手で倒す!」

 

「倒す、か・・・・・不死身の俺相手に大きく出たなぁ!!」

 

『エターナルフェニックス』

 

「行くぞイレイナ!」

 

『ブレイブドラゴン』

 

「はい!」

 

『ランプドアランジーナ』

 

それぞれがそれぞれのブックを取り出し、ドライバーに装填。一斉に納刀されていた聖剣を引き抜く。

 

『烈火抜刀!』

 

『黄雷抜刀!』

 

『抜刀・・・・!』

 

「変身!」

 

「変身!」

 

「シーーーーーー・・・・・・・・変身」

 

『ブレイブドラゴン!烈火一冊!』

 

『ランプドアランジーナ!黄雷一冊!』

 

『エターナルフェニックス!虚無!』

 

それぞれの本より飛び出たドラゴンが、魔人が、不死鳥が、剣士としての装甲を創り上げていく。

 

「これが・・・雷の剣士・・・・」

 

「イレイナ・・・雷の剣士の能力は説明した通りだ。おそらく全てではないだろうが・・・」

 

「はい・・・大丈夫です」

 

「ふん・・・話している暇があるのか!?」

 

話をしている二人の間に割って入るように、跳躍したファルシオンが無銘剣を振りかざす。それに合わせて二人はそれぞれ横に飛んで避け、ファルシオンを挟み込むようにして聖剣を構える。

 

「・・・・はぁ!」

 

「ふん!」

 

先に動いたのはセイバー。ファルシオンに迫り火炎剣を振り下ろし、ファルシオンはそれに反応して受け止める。聖剣を能力を発揮しない、純粋な力比べ。勝ったのは・・・・・・・・ファルシオンだった。

 

「グァ!」

 

「ふん・・・・・まずは貴様からだ!」

 

「くっ!」

 

先ほどとは逆の立場となった。ファルシオンが無銘剣を振り下ろし、セイバーが受け止める。しかし、先ほどの展開からもこのままではセイバーが競り負けることは明白である。

 

「なんだ、これ終わりか?その程度でよく俺を倒すとか戯言をほざけたな」

 

「それは・・・どうかな?」

 

「何?・・・・っ!」

 

異変に気づくファルシオン。周りには、彼ら3人の剣士を囲うようにして作られた電気の檻が貼られていた。それは頭上すらも覆っている。

 

「こいつは・・・・そうか、貴様か!」

 

「ふぅ・・・なんとか出来ました」

 

この檻を作り出したのは、雷の剣士でありエスパーダ。ニードルヘッジホッグを使って自分たちの周囲に針を支柱のように並べた彼女は、そこに雷を永続的に落とすことで雷の檻を作ったのだ。

 

「だが、それだけでこんな檻が出来るわけが・・・・・・・っ、そうか、魔法か・・!」

 

もちろん、これを作り上げたのはエスパーダだけではない。基盤となるものを作り上げはしたが、そこに頭上まで覆えるほどの檻を作り上げるのは雷鳴剣やブックだけでは不可能だった。そこで、彼女たち(・・・・)に協力してもらうことにした。

 

「よし・・・このまま電気を流し続けるぞ!」

 

「はい!」

 

「う〜ん・・・・やっぱりちょっと電気魔法は苦手だな〜」

 

「あら、それだったら教えてあげましょうか?」

 

「いえ、教えてもらうならイレイナさんがいいです」

 

「いやそこは師匠の私にしろよ」

 

「あらあら、イレイナは人気ですねぇ」

 

今現在、檻の外では四人の魔女による電気魔法が放たれていた。それぞれが層になるように電気を放つことで、支柱となった針に落ちた雷はやがて伝播していき、この電気の檻を作り上げることに成功したのだ。

 

「少なくとも、これで空中戦は封じた」

 

「はっ・・・・それがどうした。この程度の檻、無にすることなんて容易いーーーー!」

 

「そんなこと・・・させませんよ」

 

ファルシオンが電気の檻の意識を向けた一瞬、エスパーダがファルシオンを斬りつけた。ファルシオンがその気配を感じた頃にはもう遅い、エスパーダによる光速の剣戟が加えられていく。

 

とはいえ、相手が不死であることに変わりはない。加えた剣戟はその瞬間から修復していく。

 

「貴様・・・何がしたい?そんなことをした所で無駄なのは分かりきっている!!」

 

「えぇ・・・・どちらにせよ、剣士になったばかりの私一人では出来ることは限られます。でも・・・・・私は一人じゃない」

 

『ストームイーグル』

 

『この大鷲が現れし時、猛烈な竜巻が怒ると言い伝えられている・・・』

 

『西遊ジャーニー』

 

『とあるお猿さんの冒険記、摩訶不思議なその旅の行方は・・・』

 

「はぁ!!」

 

『烈火抜刀!語り継がれる神獣のその名は〜!クリムゾンドラゴン!』

 

エスパーダがファルシオンの気を惹きつけている間に、セイバーは計三冊の同色ブックを同時に使用。炎の剣士セイバーのワンダーコンボである”クリムゾンドラゴン”へと姿を変える。先代のエスパーダの時と同様、ワンダーコンボは強力な力を使用者へと与える。まだ剣士になったばかりのイレイナは使うことは出来ないが、一人ワンダーコンボになるだけでも戦況は変わるだろう。

 

「ふっ!はっ!」

 

そのままファルシオンとの鍔迫り合いへと発展する。ワンダーコンボの分簡単攻め負けるようなことはなく、拮抗する。しかし、決定的な一打には程遠い。それだけファルシオンとの実力差は大きいと言うことか。

 

「無駄だ!姿を変えたところで所詮はその程度!俺には到底届かない!!」

 

「それは・・・どうかな・・・・・?・・・・イレイナ!!」

 

『必殺読破!アランジーナ!一冊撃!サンダー!』

 

「はぁああああ!!」

 

セイバーの声にファルシオンが振り向くと、そこには右足に雷撃を纏ってこちらに向かってきているエスパーダの姿が。すでに十分なほどのエネルギーが溜まっている。ファルシオンは避けようとするが、セイバーに抑えられ避けることができない。

 

「はぁあ!!」

 

「ぬぉおおお!?」

 

そうこうしているうちにエスパーダの攻撃をまともに食らってしまう。まだここまでの力しか引き出せないのか、はたまた会えて抑えたのか・・・・残念ながらファルシオンを倒すところまでは持っていけなかった。だから、その役目は彼が引き継ぐ。

 

『必殺読破!烈火抜刀!ドラゴン!イーグル!西遊ジャー!三冊斬り!ファ・ファ・ファ・ファイヤー!!』

 

一度納刀した火炎剣を一気に引き抜き、刀身に炎を纏わせた火炎剣を横一閃で切り裂いた。

 

「はぁあああああ!!」

 

間髪入れずにもう一閃入れる。それによってファルシオンは耐えきれずに、爆発を起こした。

 

「っ・・・はぁ・・・はぁ・・」

 

「ユウマ!」

 

火炎剣を地面に突き、肩を大きく動かしているセイバーの元にエスパーダが駆けつける。

 

「どうやら、なんとか勝てたようですね」

 

「・・・・いや・・・・・」

 

「え?」

 

すでに勝ったと思っているエスパーダとは裏腹に、セイバーはその警戒を一切解かない。そんな彼が見る先には、ファルシオンが装着していたドライバーが地面に転がっている姿だった。

 

「あれは・・・・」

 

そのドライバーの元に、一つの羽が舞い落ちる。まるで炎のような色をしたそれはドライバーに付着し・・・・・大きく燃え上がった。

 

「な!?」

 

「やっぱり・・・・あの程度じゃ無理だってことか」

 

やがて火が消えるとそこにはファルシオンの姿が。体を抑える様子も疲れている様子も一切なく、先ほどまでの戦いはまるでなかったかのような雰囲気を出している。

 

「油断してたよ・・・・・まさか俺を倒すなんてな。だが・・・・・あの程度じゃ俺を完全に倒すことは不可能だ」

 

『必殺黙読!抜刀!不死鳥無双斬り!』

 

「っ!イレイナ!!」

 

「きゃ!?」

 

ゆっくり考える間もなく放たれる斬撃から、セイバーはエスパーダを守ろうと突き飛ばす。しかし、自分が避けるような余裕はなかった。

 

急ぎ立ちあがろうとしたエスパーダが見たのは、斬撃に飲み込まれようとしているセイバーの姿だった。

 

「がぁぁああああ!?」

 

「ユウマ!!」

 

一切抑えられることもなく、斬撃に飲み込まれるセイバー。やがて姿を表したのは、変身が解けたユウマだ。ユウマは膝から倒れ込む。まだ意識ははっきりとしていて起きあがろうとするが、どうも上手く起き上がれない。

 

そんなユウマの元に、ファルシオンが歩み寄る。

 

「これで終わりだ・・・・・まずはお前を、無に帰す」

 

動けず、避けることもままならない彼に、無銘剣が振り下ろされた。

 

 

 

「ユウマーーー!!!」

 

 

 

 

 

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