魔女想う、剣士の旅々 作:蛇廻
『それが、魔女としての格好?』
『おや、ユウマ』
『ついこの間、魔女見習いになったばっかだと思ったんだけど・・・・もう魔女か、ずいぶんと早いな』
『それはひとえに私が優秀だからですよ♪・・・・・そういうユウマこそ、もう剣士の仲間入りしているじゃないですか』
『それもそうだな』
『それがあなたの剣ですね・・・確か、火炎剣烈火、でしたっけ?』
『あぁ、炎の剣士”セイバー”になるための剣だ。俺はこいつと、最高の剣士になってみせる!いつかお前にも、その姿を見せてやる』
『旅をしながら、気長にお待ちしますよ』
『あぁ・・・・・・それじゃあイレイナ、いってらっしゃい』
『はい、行ってきます』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はっ!・・・・いけません、私としたことがついつい居眠りを・・・」
最近はどうも気疲れすることが続いていますからね・・・・次の街に着いたら、思いっきり羽を休めるとしましょう。
さて、ついつい居眠りをしながらもその寝姿はとても美しい、見る人全ての視線を射止めてしまう美少女は誰でしょう?
そう、私です!
私が今向かっているのは、王立セレステリアと呼ばれる街です。ここ最近は気疲れするような出来事の連続で、あまりゆっくりと休めてはいませんでしたので、この街ではゆっくり休みたいと考えているところです。
っと、見えてきましたね。あれが、王立セレステリアですか。私は心をワクワクさせながら受付に向かい、街へと足を踏み入れます。
「おぉ・・」
思わず感嘆な声を漏らしてしまいました・・・・。これまで立ち寄ってきたどの街とも違う雰囲気、つい時間を忘れて見入ってしまうような素敵な街並みをしています。辺りには魔法を使って大道芸をしている男性や、空を飛んで配達をしている方も。・・・・おや?あそこに大きな建物が・・・・時計塔でしょうか?ひとまずはあそこを目指すとしましょう。
というわけで歩くこと数分、特に何かが起こるというわけでもなく普通に時計塔へと辿り着きました。ただ、その時計塔はある建物の敷地内にあり、入り口にはこう書かれていました。
『王立魔法学校』
私の故郷、平和国ロベッタにはこのような施設はありませんでした。なんて羨ましい・・・!早速見学を・・・・・。
「こら君、ここは関係者以外立ち入り禁止だ。外から見る分には結構だが、敷地内に入るのはご遠慮願おう」
「え〜・・・・私、魔女なんですけど・・」
「いくら魔女様といえど、規則ですので入ることは出来ません」
「むぅ・・・・」
残念ですが・・・・・仕方ありません、諦めるしかなさそうですね。街の方の散策でもしましょう。
と言うわけで仕方なく街中へと戻ってきたわけですが・・・・先ほども思いましたが、この街はどうして建物と建物の間に障害物を設置しているのでしょう?あれでは魔法使いは空を飛びにくいと思うのですが・・・・。ちょっと聞いてみましょう。
「すいません」
「はい、どうしました?」
「私、旅の者なのですけど、少し聞きたいことがありまして」
「あら、私に答えられることならいいけど・・・・何かしら?」
「この街は、どうして建物と建物の間に障害物を設置しているのですか?あれでは魔法使いたちは空を飛びにくいと思うのですが・・・」
「あぁ、それはわざとそうしているのよ」
「わざと?」
「えぇ、空を飛ぶときってみんな疲れないように低く飛ぶでしょ?けれど全員が低いところを飛んでいたら渋滞してしまうし、細い隙間とかだと事故も起きやすくなる。そうなると関係ない人や地上の人達も危ないでしょう?その代わり、この国では建物の高さが統一されているわ。魔法使いたちが飛びやすいように」
「なるほど」
ここでは魔法使いの人もそうじゃない人も、お互いに譲り合って生きている。
・・・・・・・特に何か目的があるわけではありませんが、なんとなく空からの景色が見たくなりました。
「・・・・うわあ」
眼下に広がるのは、地上からの風景とは全く違う鮮やかな街並み。同じ高さに並べられた色とりどりの屋根は、まるで絵画のよう。
「素敵な光景・・・・彼が好きそうです・・・・・」
「いた!」
「?」
そんな時、すぐ近くからそんな声が。顔を上げるとみると、すぐ近くに男女二人の魔法使い・・・・いえ、まだ見習いですらない方達がなぜか私を見ていました。先ほどの「いた」とは、もしかして私のことでしょうか?
「あなた、灰の魔女さんですよね?」
「えぇ、そうですが・・・あなたたちはなんですか?」
「わ、私たちは王立魔法学校の生徒なんですぅ」
「あぁ、先ほどの・・・・・学校の生徒さんが、私になんの用ですか?」
「お、お願いです、理由を聞かずについて来てくれませんか?」
「いやです」
「ふぇ!?」
「どうしてですか?」
「なんかいやだから、いやです」
「そこをなんとかお願いしますよ、騙されたと思ってついて来てください」
「無理です、それじゃあ・・・・うぇ!?」
さっさと立ち去ろうと思いますが、これは予想外。いつの間にか私は彼らと同じ魔法学校の生徒さん達によって囲まれてしまっていました。どうやら全員目的は同じようで、どうしても私を魔法学校まで連れていきたいみたいです。
「なぁお前ら、協力プレイで行くとしようぜ」
「そうね、全員で捕まえましょう」
「手柄、独り占めすんなよ!」
全員が一斉に動き出しました。全く、これだけの人数・・・・抜けるなんて簡単ですよ?
「ほっ」
「「うわ!?」」
囲まれてたとはいえ、それはあくまでも私と同じ高さから上にかけて。真下はガラ空きだったので、箒を急降下させてさっさとお暇させてもらいます。
「全く、一体なんだったので・・・・えぇ!?」
どうやら簡単には諦めてくれないようです。後ろを見ると、私を追ってくる姿が。先ほどよりも人数は減っているので、何人かは諦めてたのか・・・いえ、どうやら分散して追跡してるだけのようですね。地の利は向こうにありますし、回り込むことは彼らにとって雑作もないことなんでしょう。
「ま、そう安易と捕まるつもりもありませんけどね」
こうして、私と魔法学校の生徒による、盛大な鬼ごっこが始まったのでした。・・・・・・ちょっと鬼多すぎません?
・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・」
闇黒剣月闇が見せた未来、世界の崩壊。それに伴うイレイナの犠牲。
それを阻止するためには、全ての聖剣を封印する必要がある。そして、そのほとんどが組織の元に・・・・。
「まずは組織を誘き出すか・・・・そのためには・・・」
向かうは王立セレステリア。イレイナが足を運び、師と再開する地だ。