魔女想う、剣士の旅々   作:蛇廻

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第七話

ーーーーーーーマスターへの報告。

 

王立セレステリアにて、闇の剣士カリバーが動きを見せた模様。

 

魔法学校にて教師をしていた星屑の魔女とその生徒一同が迎え撃ち、迎撃されたとのこと。皆気を失っている状態であることが確認されました。急激な魔力不足による一時的な意識障害だと思われます。

 

魔力を奪ったであろうカリバーは再びその身を眩ませました。

 

 

 

 

・・・・・・了解しました。直ちに雷の剣士を向かわせます。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・」

 

俺が今いるのは、”正直者の国”からほんの少しだけ離れた場所。そこで国で購入したパンを食っていた。随分と固くて美味しくないパンだが、とりあえず腹を満たせればそれでいい。これから、この場所で、あいつと戦うんだからな。

 

「・・・来たか」

 

その男が来たのを感じ、俺は横に立てかけていた闇黒剣月闇を持って立ち上がる。それと同時に、雷の剣”雷鳴剣黄雷”を携えた男が目の前に現れた。

 

「やぁ、裏切り者の剣士セイバー・・・・いや、今はカリバーだったな」

 

「・・・・・」

 

「ちっ、無視か・・・・昔はあんなに愛想良かったくせに、人って変わるもんだな」

 

「御託はいい・・・・目的は剣とブックだろ・・・」

 

「理解してんなら話が早い・・・・お前を粛清し、闇黒剣月闇と火炎剣烈火、そしてお前が持っている全てのブックを回収させてもらう」

 

『ランプドアランジーナ』

 

『とある異国の地に、古から伝わる不思議な力を持つランプがあった・・・』

 

「・・・・・・」

 

『ジャアクドラゴン』

 

『かつて、世界を包み込んだ暗闇を生んだのはたった一体の神獣だった・・・』

 

俺はジャアクドラゴンのライドブックを、奴はランプドアランジーナのライドブックを取り出し、それぞれ腰に装着していたドライバーへと装填する。

 

「変身!」

 

「変身・・・・」

 

『黄雷抜刀!』

 

『闇黒剣月闇!』

 

『ランプドアランジーナ!』

 

『Get go under conquer than get keen. ジャアクドラゴン!』

 

俺には漆黒の斬撃が、奴には電撃迸る黄色い斬撃が、その身を変えていく。俺は見慣れたカリバーの姿へと、奴は雷の剣士”エスパーダ”へ。

 

『黄雷一冊!ランプの精と雷鳴剣黄雷が交わる時、稲妻の剣が光り輝く!』

 

『月闇翻訳!光を奪いし漆黒の剣が、冷酷無情に暗黒竜を支配する!』

 

「はぁ!」

 

変身するや否や、エスパーダは早速聖剣を振りかざしてくる。ひとまずそれは闇黒剣で受け止めたが、エスパーダはすぐさま二手目を繰り出してくる。横一閃のその斬撃は、後ろに跳躍して避ける。

 

「どうした?避けてるだけじゃ戦いにならねぇぞ!」

 

「・・・・!」

 

すぐさま距離を詰めてくるエスパーダ。当然防御し続けるわけではない、こちらからも攻めの攻撃を繰り出す。エスパーダの振り下ろした剣を闇黒剣で受け止め、その隙にガラ空きの胴体を蹴り飛ばす。

 

「ぐふっ!・・・テメェ、よくやってくれたな・・・!」

 

考えもなしに立ち向かってくるエスパーダ。この短絡的な動き、未来を見る必要もない。向かってきたところを闇黒剣で斬り返す。

 

「ちぃ!」

 

すぐさま反撃に転じたエスパーダだったが、動きが簡単すぎる。避けて反撃する程度、あまりにも容易い。剣を一度弾き、再び蹴り飛ばす。

 

「クソが・・・・大人しく粛清されやがれ!!」

 

「・・・・・」

 

新たに本を一冊、取り出したエスパーダ。これが今代の雷の剣士の力・・・・・・結局はこの程度か。聖剣の力も、本の力も、どっちも出しきれていない。

 

『ニードルヘッジホッグ』

 

『この弱肉強食の大自然で、幾千の針を纏い生き抜く獣がいる・・・』

 

「ふん!」

 

『黄雷抜刀!トゲ!トゲ!ランプドヘッジホッグ!!』

 

『黄雷二冊!キュキュッと擦ると現れた、その魔神への願いとは、チクチクの鎧だった!』

 

「こいつでも喰らいな!!」

 

『ヘッジホッグ!ふむふむ・・・』

 

「おりゃ!!」

 

エスパーダが飛ばしてきた電撃を帯びた針状のエネルギーを飛ばしてくる。俺はその針を間を縫ってエスパーダへと近づき、一撃、二撃と、その体を斬りつける。そして最後に、その顔面を思いっきりぶん殴る。

 

「ぶぉ!?・・・・っう、やってくれんなぁ・・・!」

 

エスパーダは全く諦める様子もなく剣を構えて向かってくる。物覚えの悪い奴だ・・・動きに全く変化がない。振り下ろしてきた剣を顔を横にズラして避け、すぐさま闇黒剣で斬りつける。

 

「クソが・・・・・だったら、俺の本気を見せてやるよ!!」

 

『トライケルベロス』

 

エスパーダが取り出した三冊目の本。一部の剣士のみが可能とする、同色の本三冊を同時に使用する姿。

 

『かつて冥界の入り口に、三つの頭を持つ恐ろしい番犬がいた・・・』

 

「はっ!」

 

『黄雷抜刀!ランプの魔神が真の力を発揮する!ゴールデンアランジーナ!』

 

『黄雷三冊!稲妻の剣が光り輝き、雷鳴が轟く!』

 

「・・・ワンダーコンボ、か」

 

「セイバーだったお前は当然知ってるよな?この力・・・ワンダーコンボの力を!!」

 

「っ!!」

 

聖剣から放たれる強烈な電流に、瞬時に闇黒剣を前に突き出したが防ぎきれずに喰らってしまう。さらにその隙を突かれ、エスパーダの剣戟をまともに喰らってしまった。

 

「ふん!はぁ!!」

 

「くぅ!?」

 

「どりゃ!」

 

「ふっ!」

 

振り下ろされる剣を闇黒剣で受け止める。が、エスパーダは剣に電流を発生させ、その力を高めていった。

 

「くっ・・・・ぅう・・・」

 

「クックック・・・ふん!!」

 

「ぐぁああ!」

 

くっ・・・これがワンダーコンボの力か、敵に回すとそれなりに厄介な相手だな・・・。しょうがない、あれ(・・)を使うか。

 

「・・・ん?なんだそのブックは?」

 

「・・あぁ、あんたはこれの存在を知らなかったな」

 

俺は闇黒剣を地面に突き刺し、取り出したブックを開く。

 

『ジャオウドラゴン』

 

『邪道を極めた暗闇を纏い、数多の竜が秘めた力を解放する・・・』

 

そして月闇を手に取り読み込ませる。

 

『ジャオウリード』

 

「ふっ!」

 

『闇黒剣月闇!』

 

その瞬間、俺の周りに四体の黄金の竜とそれを束ねる一体の紫の竜が出現し、俺の身を包み込んでいく。

 

『Jump out the book. Open it and burst. The fear of the darkness. You make right a just, no matter dark joke. Fury in the dark. ジャオウドラゴン!』

 

『誰も逃れられない・・・』

 

今までの、そしてエスパーダの知らないカリバーの姿に、エスパーダは明らかに狼狽える。

 

「おいおい・・・なんだよその姿・・・なんだよその闇は・・!」

 

「・・・・・・」

 

「っ・・・・クソがぁ!!」

 

もはや余計な動きは不要。相手の攻撃をわざと受け、瞬間的に出来た隙を的確に討つ。闇黒剣で斬り、手からは闇の衝撃破。さらに闇黒剣を地面に、正確にはエスパーダの影に突き刺し、本体へのダメージを与える。

 

「ふん!」

 

「ぬぁああ!」

 

斬り飛ばしたエスパーダへと近づき、その顔面を押さえつける。そして怯んだところを思いっきり斬り飛ばした。

 

「うっ・・・ぐ・・・うぁ・・・」

 

「いくら強力なワンダーコンボといえど、使用者がそれを使いこなせていなければ意味がない・・・・さて、お前の聖剣を封印する」

 

「封印、だと・・・んなバカなこと、させるわけねぇだろ・・!」

 

『必殺読破!黄雷抜刀!』

 

「・・・・」

 

『必殺リード!ジャオウドラゴン!』

 

「はぁ!」

 

『ケルベロス!ヘッジホッグ!アランジーナ!三冊斬り!サ・サ・サ・サンダー!』

 

雷鳴剣黄雷から飛び散る黄金の光を放つ電流、対して闇黒剣月闇からは漆黒の闇が溢れ出す。

 

「トルエノ・デル・ソル!」

 

「・・・!」

 

『月闇必殺撃!習得一閃!』

 

背後より出現した四体の黄金の竜が、向かってきたエスパーダの雷鳴剣黄雷を受け止める。勇ましくも押し返そうとするエスパーダだが、そこにさらに一体、四体の竜を束ねる漆黒の竜を追加、闇黒剣を振り下ろす。

 

「ぐぁあああああああ!!!!?」

 

倒れ伏すエスパーダ。雷鳴剣黄雷はエスパーダの手から離れ、地面に転がっている。

 

「く、そがぁ・・・!」

 

「これで最後・・・・闇の力、その身を持って味わってもらう」

 

躊躇はない、ただただ振り上げた闇黒剣を、エスパーダ目掛けて振りーーーーーーーー

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

正直者の国ーーーーーー今まで立ち寄ってきた国とはまた違った一波乱がありましたが、無事に問題は解決。修行の末魔女になり、”炭の魔女”の名を授かったサヤさんとも再会しました。彼女が別れ際にくれた可愛らしいネックレスに手を当て、私は旅を再会させようと思いました。

 

ちょうどその時です。国からさほど離れていない場所・・・・けれど国からは決して見ることのできない死角となっている場所で、何かが光るのが見えました。それと同時に伝わってくる、何やら爆発したような音。本来であれば近づかない方がいいはずですが、好奇心にかられた私はその場所へと音を立てないように近づいていきました。

 

そうしてたどり着いた場所、そこではーーーーーーー

 

 

 

「う・・・ぐ・・ぅぁ・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

 

見たことのない、けれど間違いない、闇の剣士カリバーが佇んでいました。その足元には男性。すぐ近くに聖剣が転がっていましたから、おそらく彼も剣士なのでしょう。彼は苦しそうに蹲り、やがてその体は闇に包まれ消失してしまいました。

 

「っ!」

 

思わず漏れ出しそうになる声。なんとか口を塞いで体を隠しましたが、カリバーには気づかれてしまったのか、辺りをこちらの方を見ています。・・・・・・って、どうして私は隠れたのでしょう?カリバー、あの人は私のことを知っています。何も隠れる必要性なんてどこにも・・・・。

 

そう思って、姿を表そうとしたその時、全く予想だにしていなかった声が私の耳に届きました。

 

「まず一本目・・」

 

『ジャオウ必殺読破!』

 

『ジャオウ必殺撃!』

 

カリバーが何をしたのかは私には分かりません。ただ闇黒剣月闇を転がっていた聖剣に叩きつけた後、その聖剣と散らばっていた三冊の黄色い本を回収して、どこかへと消えていってしまいました。

 

問題はそこではありません。先ほどの声ーーーーーーーー長らく聞いていない、けれど決して忘れたことのない声・・・・。

 

 

 

 

ーーーーーーーーユウマ?

 

 

 

 

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