アサルトリリィ Ephemeral Illus¡on   作:詩音にゃ

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深優ちゃんの紹介も兼ねて


第0.5話 明日は入学式

 儚は自室で一人、机に向かって座っていた。ルームメイトの深優はどこかに遊びに行っている……と思う(儚によるとそうらしい)。壁に掛けられているカレンダーには「えいぷりる」とか「4月だよん」とか、深優の落書きが所々にあったりする。

 儚の手には一冊のノートが。表紙に「日記」と書かれていて、少し汚れてしまっているそれを、どこか懐かしむように一ページ目を開く。裏表紙にはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 [私の目指すリリィ]

 どんな時でも仲間を信じる。

 絶対に油断しない、諦めない。 

 誰からも憧れられるような強いリリィになる。

 

 

 

 

 

 これは、儚が高等部一年生の時から付け始めた日記だ。そして、この標語のような怪文章は始めの日に書いた目標である。「まぁ誰にも見せないからいいだろう」的な気持ちで書いてしまった為、今ではかなりの黒歴史になっているが。

「……こんなん誰にも見せられないや」

 そう呟きながら隣のページに目を通す。

 

 

 

 

 

 4月×日

 今日は入学式。中等部からそのまま上がってきたからそんなに違和感はないけど(知ってる子いるし)、ちょっと雰囲気が違う?制服とか。個人的には高等部の制服好きだな。深優に聞いたら「中等部の方が良かった」とか言ってたけど(笑)。いやぁでもホントこの制服夢結に似合ってる。まぁ夢結は何着てもOKなんだけど。

 

 

 

 

 

「……一体何書いてんだ私てか最後の方がガチ目な黒歴史じゃん」

 

 とかツッコミを入れつつ、でも思い出は振り返りたいと思い読み進めていく。何冊かあるので、全部読むのは大変だ。

 

 

 

 

 

 ○月□日

 天葉のシルト候補……じゃなくて、来年絶対契り結ぶ樟美(くすみ)ちゃん(中等部3年生)に会いに行った。会うや否や抱き合ってる2人=The・百合!!百合だぁぁぁぁぁ!!祭りだぁぁぁぁぁ!!(ウルサイ)

 私と梅と天葉と樟美ちゃんの4人で色々な話した。樟美ちゃんの料理の腕はプロだとか。てゆーか可愛い。

 

 

 

 

 

「あれはヤバかったな~いきなり百合百合し始めるんだもん」

 

 

 

 

 

 △月▽日

 亜羅椰(あらや)に喰われそうになって逃げようとしたら、対決みたいなの申し込まれた。フェイズトランセンデンス意外と強くて(当たり前だ)焦ったけど、同じの(長いから略す)で対抗し続けたら結局私が勝った。

 かなり亜羅揶悔しがってたけど(笑)。まぁそれはそれで可愛かった……というより、美しかった。……性格さえ良ければもっとね、うん。←は?

 

 

 

 

 

「懐かし……てかカッコのツッコミ多いな」

 

 

 

 上の文章から分かる通り、儚は百合好きだ。可愛い女の子が大好きなのである。亜羅揶みたいな問題行動はしないが。

 そんなこんなでゆっくり日記を読み終わり、この黒歴史達を引き出しの奥に仕舞い込もうとした時。ドアの開く音がした。

 

「!!」

 

 深優が入ってきた。急いで日記を隠す。

 

「あれ~何やってんの?? あ、それ何?」

「い、一年生の復習してただけだよ」

「ふーん」

 深優の気が逸れたことを確認し、黒歴史達を縮地かゼノンパラドキサ並みの速さで引き出しの奥に仕舞った。

「ん? 今なんか隠した?」

「何も」

「いや絶対何かしたでしょ。怪しいもん」

「気のせい気のせい」

「復習とか言って、どうせ何か見てたんでしょ」

「いやいや」

「嘘付け、分かってるから」

「昔の下っ手くそな文字を眺めてただけ」

「違うでしょ! ウチ、知ってるもんね~。ウチらに隠れて秘密ななんかやってたんだねん」

 

 謎の言い合い(?)が続く。

 

「なんでだよ。てか『ウチら』って何」

「え? 夢結とか梅とか祀とかその他諸々」

「はぁ」

「まぁ見せたくないなら見せなくていいけど」

「分かった見せない」

「ちょっとそこは『うーん……』て考え出すとこでしょーが! ってか認めたな! 何か隠してたって!」

「あ」

 

 間接的にバレてしまった。

 

「見ーせーてー」

「いーやーだー」

 

 引き出しを守る儚vs手を出す深優の戦いが始まる。

「ぐぬぬぬぬ……もう少し便利なレアスキルだったら……!」

「便利なレアスキルって何よ!?」

 

 攻防戦がヒートアップしてきた時。

 

「おーい儚~? そろそろ明日の入学式準備始まるよ~?」

 ドアの外から声がした。

 そう、明日は入学式で、儚達の1コ下が入ってくる日であった。

 

「あっそうだった! 天葉? 入っていいよ」

「どーぞー」

 声の主は百合ヶ丘女学院2年生、天野(あまの)天葉(そらは)だ。

「深優もいたし」

「ほんじゃ深優行くぞー」

「急ごうぜ」

 

 3人揃って歩き出す。準備と言っても会場や校舎中の清掃くらいで、これといって大仕事なわけではない。

 この3人の担当場所は同じで、会場中の会場、即ち講堂である。

「重要なとこじゃん、サボれんわこりゃ」

「サボるつもりだったの!? 梅みたいなこと言わないで」

「本人に失礼だ」

 深優はどこか梅気質だ。

 

 担当場所に着いた時、天葉が口を開いた。

「そういえば、さっき二人部屋で何か言い合ってたよね?」

「あーそれは儚が「何でもないよ~!!」

 儚がわざと声を遮るように叫んだ為、周りにいた人達&天葉が肩を震わせる。

 ちょうど近くにいた梅が「おう、どした儚?大声出しテ」と聞いたが、それにも「だから何でもない~!!」と叫び声を上げた。あの黒歴史を思い出し、顔は真っ赤だ。

 

「そこのあなた達、静かにしていただけます?」

 叫び声に気付いた史房が注意した。

「「「すみません!!!」」」

 

 

 

 

 

 準備が終わり、天葉と梅は儚達の部屋にお邪魔していた。

「も~儚のせいで怒られちゃったじゃない」

「本当に申し訳御座いませんでした」

「梅はいいよね、縮地で逃げられて」

「あの時は使ってないゾ?」

 明日は大切な行事があるので体を壊さないように休養を取っておけ、という生徒会の指示で解散後は各自ゆったりと過ごすタイムの筈だったが……、

「てことは、亜羅揶が入ってくるということか」

「亜羅揶に何か?」

「あ、同じ趣味ってことだナ」

 いつも通りの談笑タイムになっている。

「違いますー。私は人を喰ったりしません」

「下品なのはいけません」

 

 

 

 

 

 窓の外がすっかり暗くなった頃。儚達はベッドに潜り込んでいる。もう寝る、という状態で、ふと深優が儚に声を掛けた。

「……ねぇ大丈夫?」

「何が」

「シルトについて。儚狙う一年生絶対めっちゃいるっしょ」

「あ、そこ辺は上手く対処するからダイジョブ」

「まぁね。じゃ、お休みぃ」

「うん、お休み」

 深優と言葉を交わし、瞼を閉じる。

 

 

 

(いよいよ後輩が入ってくる、か。どんな子が入ってくるかめっちゃ楽しみ)




儚ちゃん百合好きって設定ですね、はい。前回割り込める箇所がなかったもので、今回登場させました。
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