アサルトリリィ Ephemeral Illus¡on 作:詩音にゃ
翌朝。入学式の看板が設置され、『祝 御入学』と書かれた花輪が並ぶ校庭に、在校生や新入生の声が響いていた。
そんな中で……
「はぁあぁぁぁあぁぁ~」
儚は何故か盛大に溜め息をついていた。
「うぉぉい儚?」
「どうしたの」
側で新入生をしていた深優と天葉が問う。
「なんでそんなに溜め息……あ」(察し)
「可愛い子がい過ぎて辛い」
「……ほらやっぱり」
超どうでもいい会話をしているいつもの?メンバー(梅はいないが)。彼女達は今、中等部時代からその名を馳せている実力派やあまり交友のない海外のガーデンからの留学生等、色々なリリィを見に来ている。ついでに儚は新たなカップリング誕生の瞬間に立ち会う為や美少女探しに。
「……あのツインテちゃんは工厰科か~。あ、あそこのクローバーの髪飾りの子可愛い!」
なんかぶつぶつ言っていた。
「んじゃ私、樟美のところ行ってくるね」
一年生が二人程いる所に駆けていく天葉。
「行ってらー」
「うちらも行こうか」
「え、ちょっと待って」
少し遅れて儚達も天葉の元へ。
「……?」
突然、人集りがざわめき出した。
人の山の先には夢結ともう一人、薄桃髪のリリィ。彼女は猫耳のような飾りを身に付けている。
「中等部以来お久しぶりです夢結様」
「何かご用ですか、遠藤さん」
「亜羅椰と呼んで頂けませんか?」
妙にニヤついた顔で夢結と相対している彼女は、百合ヶ丘女学院一年生、
「そして入学のお祝いにCHARMを交えて頂きたいんです」
自身のCHARM―――赤いアステリオン―――に手を添える亜羅椰。
天葉達ギャラリーの反応は……。
「『お祝い』って自分で言うのかよ……って彼奴CHARMに手掛けてる!?」
儚がツッこむ。
緑ロングヘアの一年生、
「亜羅椰の奴、夢結様に何やってんのよ~」
それに同じく一年生の
「喧嘩売ってるんだよ、いっちゃん」
「止めます? 天葉様」
「私は興味あるかな~」
「じゃあ見てますか」
一同は取り敢えず見ていることにした。
「お退きなさい。時間の無駄よ」
「なら、その気になってもらいます」
夢結の牽制も虚しく、このまま平穏に事を終わらせてくれ……という一同の願いに見事反し、亜羅椰の指輪が光る。金属音と共に彼女のCHARM[アステリオン]が起動する。周囲からどよめきが漏れた。
「抜きやがった!」
「ガチで夢結とやるの!?」
「手加減はしないわよ」
「あら怖ぁ~い、ゾクゾクしちゃう」
全く動じない夢結。先輩に対しても挑発的な態度の亜羅椰。
いよいよ始まってしまうかと誰もが思っていたが、そこに間に入る者が現れた。
「はぁ~いそこ、お待ちになって?」
(ナイスタイミング、そこのリリィ!)
赤茶のウェーブがかったロングヘア。お嬢様口調で割り込んできた彼女に、儚は素直に感謝した。
「わたくしを差し置いて勝手なことなさらないで下さいます?」
「何よあなた」
食い下がる亜羅椰。
「お目にかかり光栄です。わたくし
彼女は有名CHARMメーカー“グランギニョル”の総帥を父に持つ自身も有能なリリィ。中等部時代は聖メルクリウス・インターナショナルスクール。大人びた体つきの一年生。
「夢結様には、いずれわたくしのシュッツエンゲルになって頂きたいと存じております」
(はぁ・・・それはムズいぞ・・・)
「しゃしゃり出てきてなんのつもり!?それとも夢結様の前座というわけ?」
「上等・・・ですわ!!」
「え、ちょっと!?」
楓が自身のCHARMケースのジッパーをスライドさせたため、思わず儚から驚きの声が漏れた。
だが。
ぱしっ。
取り出そうとした楓の手は、別の誰かの手により止められてしまった。
「だ、駄目だよ楓さんまで!」
「!?」
「えっ」
「!!」
自分の名を呼ぶ乱入者に、勝ち気な表情から一転し、動揺した様子になる楓。
(わたくしの間合いに入ってくるなんて……!)
因みに、儚は楓の手を止めた少女に見覚えがあった。
そりゃそうだ。
ピンク色のボブヘアーを四つ葉のクローバーでサイドテールにした彼女は、つい数分前に自分が目を付けた者なのだから。
「リリィ同士でいけませんよ!」
「わたくしの格好いいところを邪魔なさらないで!!」
「駄目ですってばぁ!!」
揉み合いになる二人。
「邪魔なのはあなた達でしょう!!」
しびれを切らしたのか、亜羅椰まで声を荒げる。
「……いいわ。面倒だから、三人まとめていらっしゃい」
楓達とは違い、夢結は落ち着いている。
「私まで!?」
自分も一緒にされたことに驚く四つ葉の少女。
「いえ、わたくしは夢結様の味方なんですわ!」
「もう、私だけ見て下さい夢結様!」
「(そんなに夢結夢結言っても夢結が困るだけだぞ・・・)」
騒ぎが大きくなってきてしまった時。
ゴーンゴーン……・・
騒ぎを中断するかのように、校舎の鐘が鳴った。
亜羅椰の“椰”を“揶”って間違えそうで怖い(というか既に一回間違えてます)