Infinit Fall :Re   作:刀の切れ味

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 『フロンティア』
 地球から遠く離れた辺境の開拓宙域。独特な原生生物が生息するいくつかの惑星が点在している。人気のバトルロワイヤルゲーム、『Apex Legends』の舞台であるアウトランズは、フロンティア周縁に位置する惑星群。
 巨大な軍産企業『IMC』とレジスタンス組織『ミリシア』との戦争が長らく続いている。

辺境の宇宙とか企業とか、なんとなくボーダーランズに近しいものを感じる


Log.2 パイロットとのニューラルリンク

 人間という生き物は、普段は二足歩行で地面に立っている。だから、三次元的な動きをするにはそれなりに訓練が必要だ。対G訓練とか平衡感覚の強化とか、まあ色々ある。

 その上でパイロットは専用装備である『ジャンプキット』とスーツに施された各種装備を用いて、縦横無尽に戦場を駆け回る。ちょうど今の俺のように、だ。

 

「よっ……!」

 

 手首に装着された『グラップリングフック』からワイヤーを射出し、壁に先端の突起を打ち込む。それを巻き取りながら、弧を描くよう高速移動する。

 そこへ更にジャンプキットのスラスターから推進剤の青白い炎を吐き出して加速すると、グローブとブーツに仕込まれた吸着装置によるウォールランで駆け抜ける。

 

(スーツの機能に問題はない。さすがは束、完璧な仕事だぜ)

 

 腰に取り付けられたバックパックから、一本のクナイを取り出し目の前の壁へと投げつける。突き刺さったクナイ『パルスブレード』は、ソナーによる周辺探知が可能な装備だ。

 発せられたソナーは壁の向こう側のターゲットを感知し、それをヘルメット内のデバイスに表示する。俺はその数を確認すると同時に、勢いのまま窓から建物内部へと突入する。

 

(IMCの中継ステーションを攻めた時を思い出すな。あの時も確かこうやって……)

 

 床を転がって素早く体勢を整える俺を出迎えるのは、天井に設置された無数の自動タレットだ。

 俺はタレットが火を吹く前にスーツの機能を二つ起動する。一つは『クローク』。簡単に言えば光学迷彩だ、目視ではほとんど視認できなくなる。二つ目は『ホロパイロット』。ホログラムによる自分のダミーを作り出して、敵を撹乱させるのだ。

 瞬時に姿を消した上にホログラムによるダミーを生成したのだから、タレットにはダミーの方が本物にしか見えないだろう。なんせこのダミーは光学照準すら欺ける。

 そして予想通り、ホログラムに向けて銃撃を浴びせるタレット。俺はその射線をくぐり抜けながらバックパックから取り出したサッチェル爆薬をタレットに投げつけ、そのまま廊下の奥へと突き進む。

 

「むっ……!」

 

 T字路になった廊下の両サイドから現れるアサルトライフルで武装した二人の兵士。それを視認した瞬間、腰のホルスターから拳銃の『P2016』を引き抜き、ジャンプキットのスラスターの勢いを利用した高速のスライディングを繰り出す。

 二人の兵士がアサルトライフルの照準を合わせて引き金を引こうとするが、あまりにも遅すぎる動作だ。それよりもずっと早く俺の拳銃が火を吹いた。

 頭に一発、胸に一発。的確に急所に命中させると、兵士が倒れるのも確認せずにT字路に躍り出る。すると、通路の奥にはまた兵士が控えていた。

 先ほどの兵士とは違って全身を堅固なプロテクターで覆っている上に、大きな盾とサブマシンガンを構えてこちらに突進してくる。動きは鈍重だが、この狭い通路では中々に厄介だ。

 

(拳銃の口径じゃ撃ち抜けないか……ならば!)

 

 背部に格納していた二組の小さな機器を床に投げ、線を引くように展開する。すると、機器から青白く薄い壁が俺の前に展開し、兵士のサブマシンガンの弾丸を弾いた。

 このエネルギーシールドの『増幅壁』は単に盾としただけでなく、矛の役割も果たす。外面は弾丸を弾くが、内面からの弾丸は逆にエネルギーを纏わせてその貫通力を増すことができるのだ。

 

「ワンホールショットはパイロットの必須科目だぜ」

 

 片方の兵士に拳銃を構えて、盾でカバーしている頭部に狙いを定めトリガー。増幅壁に強化された弾丸が盾に命中するが、貫通まではしていない。

 続いて二発、三発、四発と立て続けに発砲し、盾の一点に弾丸を集中させる。兵士は怯まずに突っ込んでくるが、五発目でようやく盾越しに兵士の頭を撃ち抜いた。

 

(意外と硬いな。露出した手足を狙った方が早かったかな……む?)

 

 もう片方の兵士はサブマシンガンでは増幅壁を突破できないと見ると、そのままの勢いでシールドバッシュを仕掛けてきた。さすがにこれだけの質量で突進されれば、増幅壁でも防げない。しかし、兵士が増幅壁に触れた瞬間に、俺は更なるスーツの機能を発動させる。

 増幅壁を突破した兵士の盾が俺に激突する寸前で、俺の体が霧のように搔き消える。突如目の前の人間が消えれば誰だって驚く、この兵士もそうだった。

 そんな呆然と動きを止めた兵士の首に、俺の両腕が絡みつく。兵士が我に帰った時は既に遅く、首の骨が嫌な音を立てて折れていた。

 

「ふぅ……」

 

 力なく倒れる兵士を横に転がしながらサッチェル爆薬のスイッチを起動。廊下の奥から爆発音が轟き、ヘルメット内のデバイスに全てのターゲットが撃破されたことを示すメッセージが流れた。

 

(久しぶりに体を動かしたが、腕はあまり錆び付いていないようでよかった……にしても、仮想空間ってのは慣れないもんだな。駆け出しの頃はガントレットに挑んでは気分を悪くしてたっけか)

 

 そんな昔のことを思い出しながらヘルメットを取り外すと、辺りが眩い光に包まれ、俺の意識は瞬時にブラックアウトしたのだった。

 

 

 ──

 

 

 ……目を開けると、目の前が何かに覆われていた。なんだかいい匂いもする。俺は仮想空間から出たばかりで気怠い体を起こしながら、顔にかかっていた何かと、頭に取り付けていた機器を取り外す。

 俺の顔にかかっていた何かは服だった。しかもフリルやら何やらがついた女物の。まあ、こんなものを着ているのはあいつしかいないが。

 

「またか……何度言ったら脱いだ服をきちんとしまってくれるのやら……」

 

 辺りを見回すと、仮想空間でのトレーニングを始める前には綺麗だった部屋(俺がリハビリがわりに掃除した)は、またもやゴチャゴチャとした空間に様変わりをしていた。

 そんな中で、半裸の束が嬉々としてパソコンに向かい合ってカタカタとキーを打ち続けていた。

 

「やーやー、お疲れさん。トレーニングの様子は見させてもらったけど、さすがはパイロットだね。人間とは思えない動きだよ」

 

「ああ、お前がパイロットのスーツや装備を完全再現してくれたからな。なんなら前よりも動きやすくなった気がする……それよりも、なぜ数時間程度でこんなに部屋が汚くなる?」

 

「研究に集中した結果だよ」

 

「……」

 

 まあ、束が人としてある意味で駄目人間であることはここに来てからの一週間でよく分かった。最初は絶世の美女だとかで少し浮ついたもんだが。

 

「ちょうどラストスパートをかけてたところでね。ようやく完成したよ、君の相棒くん」

 

「……っ⁉︎本当か⁉︎」

 

 思わぬ知らせに、手に持っていた機器と束の服を脇に放り投げてしまう。相棒の改修が終わった、それはつまり相棒のシアキットの、コアデータの復元が完了したということか。

 だが、途端に不安になってきた。データが復元したとはいえ以前と変わらない相棒のままなのだろうか。

 

「あー、相棒くんのコアデータは本っっっ当に宝の山だったよ。束さん、あれだけでご飯が100杯はいけちゃうなー。うふふ、あとで試したい実験や研究がてんこ盛りだよぉ〜……おっと、そんな顔しなくても相棒くんに会わせてあげるよ。いやぁ、張り切りすぎて腕によりをかけまくっちゃった」

 

 満足げな束は鼻歌交じりに手元のコンソールを操作すると、部屋の壁がまたもや動き出し隣の格納庫と繋がる。

 その格納庫には、天井のライトに照らされて鈍い輝きを放つ一体の巨人がいた。以前よりスケールダウンした上に、少し形状が変わったところがあるが間違いない、俺の相棒だ! 

 

「それじゃ起動するよ」

 

 束の合図を皮切りに、相棒の全身に動力が満ちていくのが目に見える。そして、機械音を立てて動き出す相棒のカメラアイが、前と変わらぬ緑光を放った。

 

「相棒……っ!」

 

 俺は初めてここに来た時と同じように相棒のそばへと駆け寄ると、そのボディに触れる。向こうもこちらに気付いたのか、緑光のカメラアイをこちらに向けて来た。

 

「俺が分かるか、『SDー6853』。俺のことを……覚えているか?」

 

「……」

 

「おい、黙ってないで何か言ってくれ……頼む……!」

 

「……身体形状が70%不一致、パイロットを認識できません……声紋認証、パイロットを認識。データに矛盾が生じています、貴方は私のパイロットなのですか?」

 

 以前と変わらぬ相棒の声! だが、忘れていた。俺はフェーズシフトの影響か知らんが身体が若返っているのだった。それこそ、相棒とはまだ会ったこともない頃の年齢のだ。

 音声で俺を認識できても、身体的特徴の違いから認識に食い違いが起きているのだ。

 

「……そうだ、お前にリンクしていたパイロットにお前が最後に交わした言葉、それを覚えているか?」

 

「会話ログを参照……多量のノイズを検出。最後に参加した作戦時のログは60%のみ再生できます」

 

 あの時の相棒は正に限界を超えていた。データが破損しているどころか、正常に記録されているかも怪しい。だが、相棒が最後に俺にかけてくれたあの言葉、俺は死にかけていたがはっきりと覚えている。

 それはお前もだろう? どんなにボロボロでも、あの言葉はお前の中で何回も繰り返された試行と計算の中から導き出された言葉なんだ。

 

「会話ログの最後尾に記録されたログを再生します」

 

「お前がいなけりゃ、俺はとっくに死んでたんだ……俺の相棒はお前だけだ! お前のパイロットは俺だけだ! だからさ、俺を……!」

 

「『信じて!』」

 

 俺と相棒の言葉が重なったその瞬間、俺と相棒との間に目に見えない繋がりが生まれる。それを伝って頭の中に溢れんばかりの情報が流れ込み、俺と相棒の存在が重なり合っていくのを感じた。

 

「……プロトコル1、パイロットとのニューラルリンクを確認。やはり貴方は……私のパイロットなのですね」

 

「あぁ……よかった、俺を分かってくれたんだな」

 

「はい、私のパイロットはレイ、貴方だけです。容姿については以前と不一致な点が多々見られますが」

 

「ははっ、ヒゲも生えてないしな」

 

「貴方の無事を確認できてよかったです。おかえりなさい、パイロット」

 

「……ただいま、相棒」

 

 大きな手でサムズアップする相棒、俺もつられてサムズアップを返す。それを見て、俺はようやく安堵した。また相棒に会えたのだと。

 

「おおー、まさか本当に適合しちゃうなんてね。君、実は女の子だったりしないよね?」

 

「なんのことだ? あ、いや、まさか……」

 

「はい、パイロット。貴方の懸念の通りです。束博士による改修を受けた私には、ISコアなるものが搭載されています」

 

 束と相棒の口から出た言葉に俺は驚きを隠せなかった。ISは女性にしか扱えない、そんなISのコアを束の魔改造によって搭載したという相棒。女性でなければ反応すらしないはずのISコアと俺は繋がりを持っているのだ。

 俺が実は女性? そんなわけあるか。ちゃんと股座に付くものは付いている。大きさについては聞くなよ。

 

「ま、こうなるのはある程度予想済みだったけどね。細かいことは気にしないの。とりあえず、君にはレイと共に束さんのために働いてもらうから。よろしくねー、リーゼちゃん」

 

「リーゼ? 私の名前は『SDー6823』です」

 

「違う違う、それはタイタンとしての型番でしょ? 君のISとしての名前は『Riese(リーゼ)Sierra(シエラ)』 どう? 可愛いでしょ?」

 

「項目『可愛い』から新たな名称を評価…………結論、この名称は『可愛い』です」

 

「おお、分かってるねー」

 

 一人頭を悩ませていた俺をよそに、相棒と束がどんどん話を進めていってしまう。何やら新しい名前を付けてもらっていたようだ。

 束いわくリーゼとは、北欧やフランスなんかでは女性の名前なのだという。それ以外にもドイツ語じゃ巨人って意味もあるとか。なるほど、理に適った名前だな。

 

「リーゼ……うん、確かにいい名前だ。じゃあ、改めてよろしく頼むぜ、相棒。いや、リーゼ!」

 

「はい。新たな名称で心機一転です、パイロット」

 

「……」

 

 なんだか束の魔改造のせいか、やけに人間臭くなった気がする。別に悪いわけじゃないんだが、ついそれが可笑しくて俺は吹き出してしまった。

 

 

 ──

 

 

「全システム、正常に稼働。FCS、各パッケージにも異常はありません、いつでもいけます」

 

「ん、了解」

 

 リーゼが戦闘前のチェックを行うのを確認しながら、任務の内容を改めて確認する。何の任務かといえばそれはもちろん、束からの任務さ。

 任務の内容は、とある国にあるPMC軍事基地の破壊。束曰く、そこの連中はISの存在を汚したのだとかなんだとか。とにかく途轍もなく怒っていた。

 まだリーゼとリンクしたばかりであまり慣らしも済んでいない俺を送り込んでぶっ壊そうとする辺り、かなり頭にきているのだろう。まあ、俺としては貴重な実戦になる。存分にリーゼの性能を確かめさせてもらうさ。

 

『あーあー、聞こえてるー?』

 

「束か、問題なく聞こえてるぞ」

 

『もう数分で目的地に着くけど、君たちが降下する直前に基地の防衛システム、各種通信機器に同時にハックを仕掛けるよ。あいつらが混乱しているうちに、徹底的に基地を破壊して。徹、底、的にね』

 

「あ、ああ、分かった」

 

『それと恐らくだけど……基地にはISコアが一つある。それも回収して』

 

 ISコアとな? ふむ、なんとなくだが束が怒っている理由に検討がつくな。人目のつかない辺境の地で、ISを使った非人道的な実験でもきてたんじゃないか。まあ、束が容赦するなと命令するなら、こちらはそれに従うまでだ。

 

「パイロット、まもなく大気圏を突入します。戦闘準備を」

 

「オーケー……俺たちの初陣だ、派手にいこうぜ」

 

「項目『派手さ』……多量の爆発物等や戦闘効率を度外視した戦い方と認識。了解しました、それに最も適したロードアウトに換装します」

 

「いや、今のは言葉の綾だって……」

 

 そんなやりとりをしながら、俺たちが乗っているポッドが大気圏に突入するのに備える。この束が作成したダイレクト・ドロップ・ポッドはICBMと同じような原理で、大気圏外まで射出したポッドを再び大気圏に再突入させ、目的地に直接投下するというとんでもない代物だ。

 なぜわざわざそんな大掛かりな物を作ったのか聞いてみれば、そうじゃないと完全再現できないじゃん、と一言で一蹴されてしまった。

 

「指定座標に向けて進入角度を調整──ブースター、再点火。突入を開始します」

 

『ふっふっふっ……それじゃあ、タイタンフォール、スタンバイ!』

 

(それが言いたかったのか……)

 

 再びブースターに火が灯ったポッドは、瞬時に加速を始め地球の大気圏へと突入を始める。空気との摩擦にポッド表面が赤熱化していくが、リーゼに搭乗した、いやリーゼを纏った俺にまでは熱は伝わってこない。

 

(さて、進化した相棒の力がどれほどのものか、じっくり試させてもらおうか)

 

『高度12000、11000、10000km、成層圏に到達。ポッドをパージ、ドームシールドを展開』

 

 ポッドがボルトの弾ける音ともに切り離され、バラバラになる。外気にさらされ落下の風圧に機体がミシミシと音を立てるが、すぐさま展開されたドームシールドが風圧を防ぐ。

 そしてそのまま、俺とリーゼは重力で加速しながら流星の如く落下していった。

 

「FCS、PIC、及び各制御、情報伝達系オンライン。マルチターゲットミサイル、XO-16の安全装置を解除──全システム、戦闘モードに移行!」

 

 高度計の数字がみるみるうちに低下していく、あと数秒もすれば地面に降下するだろう。俺は高揚してきた気分を深呼吸で鎮めると、眼前に迫ってきた地表のPMC基地に視線を向ける。

 今頃は束のハックに混乱して右往左往しているのだろう。そんなところに上空から俺たちが降ってきたら、それはもう驚くに違いない。態勢を立て直す前に一気に攻め落とさせてもらおうか。

 

「地表まで3000、2000、1000……0!」

 

 ドームシールドに覆われたリーゼが地面に衝突する。シールドに覆われているのでこちらにダメージはないが、周りの物体はそうはいかなかった。

 近くにいた兵士は粉々に弾け飛び、建物は衝撃に撓み崩壊した。隕石のごとく落下してきた俺たちはそれだけで基地に大きな損害を与えた。

 

「な、何が起きた……! 今のは⁉︎」

 

「空から何かが──おい、あれを見ろ! ア、アレは……一体なんだ⁉︎」

 

 困惑する兵士達の声が、リーゼのセンサーから聞こえてくる。その反応は至極当然だが、次の瞬間にはリーゼが手に持つ20mmオートライフル『XO-16』から放たれた弾丸の嵐によって、物言わぬ肉塊と化した。

 

「当基地の司令塔と思しき建築物を確認」

 

「マルチターゲットミサイル、全弾ロックオン!」

 

 リーゼの背部に装着された二機のミサイルポッド、発射口のハッチが開き基地の司令塔であろう建物へと照準が合わせられる。

 

「こちらC地区パトロール! 現在、正体不明の大型兵器と交戦中! 誰か応答を、誰か……くそっ! 通信機器が使えねぇ! どうなってんだ!」

 

「あいつ、管制塔を狙ってるぞ! とにかく撃て、何とかして止めろ!」

 

 周りの兵士が必死に銃弾を浴びせてくるが、全て装甲の表面に展開したシールドバリアーに弾かれ、装甲に傷すら付かない。

 

「シ、シールドバリアー……⁉︎馬鹿な……あれはISなのか⁉︎」

 

 通常兵器を微塵も寄せ付けない堅固なバリアー、歩兵の小銃程度では減衰させることすら難しいだろう。それでも些細な抵抗を続けていた兵士達は、リーゼがおもむろに向けたオートライフルから放たれた徹甲弾でミンチとなった。

 そしてそのままリーゼの背部のポッドから放たれた幾多ものミサイルは、管制塔に直撃しバラバラに吹き飛ばした。

 

(何という戦力差……なるほど、これが世界の戦場を変えてしまったISの力か)

 

 タイタンも戦場では兵士にとって大きな脅威ではあったが、ISと違ってかなりの数が戦場に投入されていた。タイタンにはタイタンをぶつけるのが一番手っ取り早く有効な戦術だったからだ。

 対してISは束しかコアが作れない故、少数しか存在しない。つまり数が少ないせいで、目には目を、という対処ができないのだ。唯一無二だからこそ脅威となりうる。

 

「管制塔の破壊を確認、あとは残存勢力の撃破のみ。プロトコル2 我々の任務はこの基地の全敵勢力の撃破、及びISコアの回収です。進軍を続けましょう」

 

 俺はリーゼの言葉に従って歩みを進める。その際、足元に転がっていた兵士の死体を踏み潰していったが、今更そんなことで心を傷めることもなかった。

 パイロットに求められる資質の一つ、それが強靭な意志。パイロットはどんなことにも怯まず進み続ける、それは裏を返せば血も涙もない冷酷さを持っているという事だ。

 

(はっ、一度引き金を引いたのなら、後は十人殺そうが百人殺そうが同じさ)

 

 以前は故郷のため、ミリシアのためと言って引き金を引いた。今は束のため、相棒のため、自分のためと言い聞かせて……我ながらロクでもない奴である。

 そんなことを考えながら、俺とリーゼは屍の山を増やしながら基地を蹂躙していった。




 『IMC』
 タイタン、MARVINなどのロボット開発で大成した『ハモンド・ロボティクス』を中心とする企業群。クローン技術やAIネットワークを用いた物量でフロンティアを支配していた。
 
タイタンフォールやエイペックスで起こるアレコレは大体IMCのせい
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