Infinit Fall :Re   作:刀の切れ味

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 ○タイタン
 IMCが開発した全長7mほどの二足歩行ロボット。搭乗者とリンクし、AIのサポートと併せて柔軟な動きを可能とする。様々な産業で活躍していたが、軍事兵器として転用されている。
 様々なタイプが存在し、主に軽量級(ストライダー級)、中量級(アトラス級)、重量級(オーガ級)の三つに区分けされる。

 タイプによってAIの性格も違う、カワイイ
 


Log.4 戦闘効率評価:対IS ②

「さてと……こっからはこっちも反撃させてもらう!」

 

 土煙の中からスラスターによるダッシュで飛び出しながら、手に持つオートライフル『XOー16』をラファール・リヴァイヴに向けて連射する。

 大口径の20mm徹甲弾だ、戦車の装甲だって貫く。咄嗟に回避行動に出たラファール・リヴァイヴだったが、何発かが装甲を掠めシールドバリアーを僅かながらも減衰させていた。

 さらに背部ユニットのミサイルポッドを起動し、マルチロックミサイルを数発発射する。高い誘導性を誇るミサイルだが、黙って食らってくれるほどラファール・リヴァイヴもすっとろくはない。

 

「馬鹿にして……!」

 

「……! ヴォーテックスシールド、オンライン!」

 

 ミサイルを華麗に回避しながら、アサルトライフルを構えてトリガーを引くラファール・リヴァイヴ。俺はそれに対し左手を掲げて、そこから発生したエネルギーシールドで弾丸を防ぐ。

 ただ、このヴォーテックスシールドは特殊な機能を持っていた。先ほど防いだ弾丸は、まるで蜘蛛の巣に捕らえられた蝶のように、シールドに捕らえられていたのだ。

 

「こいつは返してやるよっ!」

 

「きゃっ……⁉︎」

 

 絡め取った弾丸を撃ち込まれた速度そのままに弾き返す。撃ち込んだ弾丸がそのまま跳ね返ってくるとは思ってなかったのか、パイロットの少女は小さく悲鳴をあげていた。

 そのまま追い討ちをかけるようにオートライフルを連射するが、やはり、ラファール・リヴァイヴの機動力の前には有効打にはならない。

 

「パイロット、敵はこちらよりも高機動です。ロードアウトの変更を推奨します」

 

「……そうだな。リーゼ、ロードアウトを『ノーススター』に変更だ」

 

「了解、ロードアウト『ノーススター』をダウンロード。専用シャーシへ換装します」

 

 リーゼが手に持っていたオートライフルが量子化し、シャーシ各所の装甲も変形、軽量化していく。背部のスラスターもより大型のものへと取り替えられた。

 そして、背部ユニットのミサイルポッドは、クラスターミサイルポッドへと変更。オートライフルの代わりに新たに大型のプラズマレールガンがパッケージからコールされ、ロードアウト『ノーススター』への換装が完了した。

 

「姿が変わった……⁉︎」

 

「ドッグファイトといこうか、お嬢さん!」

 

 大型化したスラスターから青白い炎を吐き出しながら勢いよく空中へと飛び出し、背部ユニットのミサイルポッドからクラスターミサイルを射出する。ミサイルはラファール・リヴァイヴ付近で炸裂すると、多量の子弾が展開し広範囲を爆撃した。

 パイロットの少女は直撃を避けるため、ジグザグに動き回りクラスターミサイルの爆撃をかわしていく。俺はそれを後ろから追跡しながらエネルギーを充填させたプラズマレールガンを構えた。

 

『目標との距離300、高速機動による照準修正──プラズマレールガン、エネルギー充填率100%……!』

 

「了……解っ!」

 

 リーゼの機動予測による照準修正を受けながら、俺は狙いを研ぎ澄ませた一撃を撃ち放った。限界まで充填されたプラズマレールガンから放たれた砲弾は……少女が直前で回避行動に出たことにより、背部の非固定ユニットに命中し、貫いた。

 

「……つあっ……!」

 

 命中した箇所はラファール・リヴァイヴのブースターに当たる部位だったらしく、機動力が著しく低下していた。これでさっきまでのような高機動は維持できまい。

 

「ロードアウトを『リージョン』に変更!」

 

「了解、指定ロードアウトを換装します」

 

 先程は装甲が削除されて軽量化したのに対して、今度は上から鎧を着せるかの如く、全身に追加の装甲が展開していく。

 基本装備であるロードアウト『エクペティション』よりもさらに重装甲かつ、高火力の大型ガトリングガン『プレデターキャノン』を携えたのがロードアウト『リージョン』だった。

 唸りを上げて回転するプレデターキャノンの砲身から放たれる凄まじい弾幕は、瞬く間にラファール・リヴァイヴのシールドバリアーを削り取っていく。

 

「──っ……ぐっ……!」

 

 左手に装着された物理シールドで弾幕を凌ぎながらも反撃してくるラファール・リヴァイヴ。しかし、その反撃も砲身の前面に展開したガンシールドとリージョンの分厚い装甲に阻まれて、大したダメージとはならなかった。

 

「うぅ……うあああっ!」

 

 このままの撃ち合いでは勝てないと踏んだのか、パイロットの少女はショットガンをコールし、物理シールドでカバーしながら突撃してきたのだ。

 物理シールドで防ぎきれなかった弾丸がその身に突き刺さるも、少女の勢いは止まらない。

 

(ラファール・リヴァイヴにはアレがある……相打ち覚悟か!)

 

 近距離から放たれるショットガンの散弾が、シールドバリアーが削り取っていく。少女はこちらが接近戦を得意とするものではないことを感じ取ったのか、さらにスラスターを全開にして距離を詰めてくる。

 そして、物理シールドをパージ。ラファール・リヴァイヴの持つ火力だけなら第二世代機最強と謳われる武装、六十九口径パイルバンカー『灰色の鱗殻(グレースケイル)』展開する。

 このまま距離を詰め、その一撃必殺の杭を叩き込むつもりなのだろう。ISでも直撃すれば間違いなく絶対防御を誘発する威力、さすがのリージョンの装甲でも耐えきれない。

 

「……リーゼ!」

 

「防護煙幕、散布」

 

 グレースケイルを振り上げた彼女だったが、目の前を濃密な煙幕で覆われ俺を見失ってしまう。だが目の前にいることには変わりないと踏んだのか、彼女はそのままグレースケイルを目の前の空間に打ち込んだ。

 炸薬が弾け、銃口から放たれる杭。装甲が裂ける甲高い音が響き渡り煙に混じって火花が飛び散る。その杭がコクピットに命中していれば、ついでに血飛沫も舞っていたかもしれない。

 

「……っ!」

 

「──っと、ギリギリセーフってやつか……!」

 

 放たれた杭はリーゼの右腕のマニピュレータに命中していた。少女はグレースケイルのリボルバー機構を回転させ次弾を装填する……が、肝心の杭がマニピュレータに突き刺さったまま引き抜けない。

 

「逃がしませんよ」

 

 突き刺さった杭を握りしめるリーゼ。煙幕を散布して撹乱していた間にロードアウト『エクスペティション』へと切り替えていたリーゼ。その背中には、アコライトポッドの『エネルギーサイフォン』が展開していた。

 ポッドから放たれる一筋の青い閃光、それはパイロットの少女に命中するとその動きを束縛した。

 

「チェックメイト、だ!」

 

 もう片側のミサイルポッドのハッチが開き火を噴く。放たれたのは誘導ミサイルではなく非誘導の高火力弾頭『ロケットサルヴォ』だ。

 その至近距離での爆撃は動きを縛られた少女が躱せるはずもなく、無慈悲に爆炎に飲み込まれていった。

 

「──っあああぁ!」

 

「敵ISの絶対防御の発動を確認、対象を無力化します」

 

 損傷していない左手のマニピュレータで、爆発の衝撃で気を失ったパイロットの少女に摑みかかるリーゼ。そのままタイタン、ISと二つのコアを利用したシステムハックでラファール・リヴァイヴの機能を停止させていく。

 束仕込みの他者のISコアにすらアクセスできる強力なハッキング能力だ。それはついにラファール・リヴァイヴの絶対防御を強制解除させ、リーゼは少女を無理矢理ISから引き剥がした。

 マニピュレータに掴み上げられた少女のフルフェイスのヘルメットが外れ、彼女の素顔が露わになる。戦場に立つにはあまりに幼い顔立ち、だが敵として相対した以上は容赦はしない。

 

(恨めよ……)

 

 今まで戦場でそうしてきたように、俺は少女の頭を掴むマニピュレータに力を込め握りつぶそうとした。

 しかし俺は見てしまった、少女の首筋に誰かの所有物であることを示すかのような首輪が付けられているのを。そして、少女の頰には一筋の涙の跡があった。

 

(……被験体、ISを動かすための駒、ってところか。こいつもここの科学者どもにいいように利用されていただけだと……あぁ、こういうのはガラじゃないんだけどなぁ)

 

「パイロット? どうしましたか」

 

 少女を殺すことを躊躇ったの感じ取ったのか、リーゼはカメラアイを瞬きしながら俺に問いかけてくる。

 

「いやな、そいつを殺すのはちょっと気がひけるというか……そいつだって俺たちと戦うのは本意じゃなかったみたいだしな」

 

「そうですか。パイロット、貴方がそう思うのなら、私はそれに従います。ISのコアだけ回収させてもらいましょう。私はこれよりコアの摘出に移ります、パイロットは……」

 

「……おお、あっさりと見逃すんだな。前だったら報復行為のリスク回避だとかなんだとかで容赦なかったのに……ま、お前がそう言ってくれてよかった」

 

 パイロットの少女を殺さないことに二言もなく賛同するリーゼに肩すかしを食らいつつも、俺は内心安堵していた。人殺しに抵抗はないが、やはり幼い子供まで手をかけるのは気が引ける。

 

「俺は残りの仕事を片付けに行く。なに、もう手間取ることもないだろうさ」

 

 俺はリーゼから降りると腰に差していた拳銃とナイフを引き抜き、施設の更なる深部へと足を向ける。まだここには、人体実験を行っていた科学者どもがいるはず。そいつらにはきっちりと鉄槌を下さなきゃならん。

 今頃はご自慢のISが負けたことに慌てふためいているだろう、俺がそこに行くまで、せいぜい部屋の隅で震えているといい。

 

「お気をつけて、パイロット。束博士からの通信によると、国連のIS含む機甲部隊がこちらに向かっているとのことです。撤収に間に合うよう、迅速な行動を心がけてください」

 

「お前も間違えてコアを潰すんじゃないぞ?」

 

『私の右手は先ほどの戦闘で稼働率が40%低下しています。ですが、その心配はご無用でしょう』

 

 カメラアイを仕切りに動かして、機能停止したラファール・リヴァイヴをスキャンするリーゼ。それを尻目に俺は、残された標的を排除するために走り出した。

 

 

 ──

 

 

「……ああ、くそっ……血糊が取れない」

 

「パイロット、ナイフで無闇に動脈を傷つけるのはあまり推奨できません。脊髄による素早い一撃が最も効率的でしょう」

 

「あのクズ野郎どもがなかなか首輪の鍵のありかを吐かないもんだからさ……」

 

 先導するリーゼの後ろを、俺はナイフに着いた血糊を落とそうと躍起になりながらついて行っていた。リーゼはというと、先ほどのラファール・リヴァイヴのパイロットの少女を抱えていた。

 束が指定した回収地点まであと少し。だが、俺たちがこの少女を連れてきたのを見たらどう反応するだろうか? 間違いなくいい顔をしないだろう。

 

「はぁ……ただの歩兵の相手だけなら楽なんだがな。こんなとこにはもう行きたくないね」

 

「精神的疲労を検知。パイロット、悲観的になってはいけません。貴方の先ほどの戦闘は見事でした。我々の戦闘効率評価は大きく向上、対ISにおける優位性が示されました」

 

「あのな、俺だって人間なの。見たくないもの一つや二つはある。ましてやこんな年端もいかない女の子を兵器として扱ってるなんてな……」

 

「戦場における兵士の優劣に性別は関係ありません。実験とはいえ、パイロットとして選出されたこの少女には、戦士としての才能があるのかもしれません。それにISのパイロットは皆女性です、このような場面にはまた出くわすかもしれませんよ」

 

 リーゼの言う通りだ、こんな甘いことを言っていてはISとの戦いでいつかヘマをやらかす。だが、俺とて血も涙もないわけじゃないんだって。

 殺す相手と殺さない相手との線引きくらいはある。自己満足かもしれんが、俺は別に殺人快楽者じゃない。殺さなくて済むならその方がいい。

 

「相手がさっきの科学者どもみたいなゲスだったらやりやすいんだがね」

 

「パイロット、あまり感情に流されるのはよろしくありません」

 

「分かってるって……お前はいいよな、AIだからさっぱりと割り切れて」

 

「『皮肉』を検知」

 

「褒めたんだよ。そういう冷静さがモノを言うこともあるんだから」

 

 そんなやりとりをしながら、歩き続ける俺たち。それがなんだかフロンティアでの戦場を思い起こして、俺は思わず笑ってしまった。

 弾丸と爆薬が降り注ぐ戦場を相棒と共に駆け抜け、そしてまたこうやって戦いが終わった後に二人で下らない話をするのが、俺は好きだったのだ。

 

(フロンティア、か……ミリシアの同胞たちは、まだIMCと戦ってるのかな……いや、もはや俺が考えても仕方のないことか。あの世界の俺は、もう死んだようなものなのだから)

 

 一先ずはこの少女のことを束にどう言い訳するかを考えておこう。あそこに放っておいても国連の部隊に拾われていただろうが、どんな扱いを受けるかは知らん。

 しかし、なぜ殺さなかったのかと言われれば、それは完全に俺の気まぐれであって……ダメだ、良い言い訳が思いつかん。

 

「パイロット、素直に話せば束博士も分かってくれるでしょう」

 

「そうだといいんだが……あのウサギ、自分が興味ないものにはとことん対応が冷たいからな」

 

 とりあえずあの実験施設よりも酷い仕打ちを受けないようにしてやらないと。そこだけは庇ってやらなくちゃいけない。

 しかしまあ、気まぐれで情けをかけといてなんだが、こういうことで頭を悩ませるのはなんとも面倒臭いものだな。

 

(あー……本当、我ながら柄じゃないことやってるなぁ……)

 

 今の俺の様子をSRSの仲間が見たら、きっと笑い飛ばすに違いない。でもバカにはしないだろう。なんだかんだで手を貸してくれる、SRSの仲間たちはそんないい奴ばかりだったのだから。




そのうち二次創作じゃなくてオリジナルの作品も書きたいと思いつつ、設定考えるだけでギブアップするこの頃
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