Infinit Fall :Re   作:刀の切れ味

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最近は何でも異世界転生する時代ですが、ダンバインのように昭和のころから異世界に召喚されたり転移したりする主人公もちらほらと…
女体化とか男の娘とかもかな〜り大昔からあるジャンルらしいし、日本のサブカルは業が深いのう



Log.42 オペレーション・ネゴシエイト ④

 沢山のサーバーと記憶媒体機器が所狭さと並ぶ無機質な空間。絶えず小さな駆動音が響く部屋を進む俺は、高威力のリボルバー『B3ウィングマン』を構えて警戒を強める。

 逃走したスローンは、恐らくここにいる。僅かだが電磁気も検出されているし、ISのコア反応も微弱だが感知している。

 

「……どうだった、リーゼ?」

 

「間違いありません。格納されているドライブにアクセスしたところ、内部にはとあるISパイロットの大量の戦闘データが記録されていました。恐らく、VTシステムで再現するための材料になるのでしょう」

 

「当たりか、ならここは後で吹き飛ばすとして……大元はあの大きな機械か」

 

 サーバールームの中央には、太いパイプやコードが繋げられた大きな機械が鎮座していた。記憶媒体機器などは、全てその機械に繋がっているようだった。

 しかし、俺はそこで信じられないものを見た。その機械に刻まれた一つのロゴマーク、それは俺もよく知るものだったからだ。

 

「……おい、アレは俺の見間違いか? なんで……IMCの名前がここにある⁉︎」

 

 機械に刻まれたIMCの三文字。かつて俺がフロンティアでパイロットとして戦っていた敵、それと同じ名前がここにある。

 俺は機械に近づいて備え付けられていたコンソールに触れると、リーゼにロックを解除させる。そして、中のデータを読み取れば……

 

「VTシステム……コイツはIMCが開発したものなのか⁉︎」

 

 IMCがVTシステム開発に至るまでの経緯、そしてその過程の全てがデータとして収められていた。IMCがこの世界に存在していたなんて、にわかには信じられない。

 しかし、それと同じくらいに俺を驚愕させる情報が記されていた。VTシステムの開発過程における、膨大なシュミレート作業の施工についてだ。

 普通のコンピュータでは、人間の複雑な動きや思考を再現できない。それを補うために、連中はまた別の計画を並行して実施していたらしい。

 

「広大なAIネットワークによる並行演算処理、生体を用いた高度なシュミレート……まさか、この中には……!」

 

「──察しがいいですね。スローンを容易く退けただけはあります」

 

 後ろから聞こえてくる機械のような女の声。俺は背筋にぞくりと嫌な悪寒が走るのを感じ、振り向きざまにウィングマンを構え、引き金を引く。

 すると、放たれた弾丸は俺の後ろにいた奇妙な風体をした何かの頬を掠めた。外した? いや、まるで弾丸が曲がってそれたかのようだった。

 

(コイツは……)

 

 ヒョロリと細長い鋼の手足と、フードに隠れた仮面のように薄っぺらな作り物の表情、ソイツの特徴をあげるとキリがない。しかし、見た目はロボットのようだが、それは人間と感じさせる妙な気配を放っていた。

 

「……さっきのスローンとやらの仲間か?」

 

「ええ。私はアッシュ、どうぞお見知り置きを」

 

 そう言ってお辞儀をするロボットのような女、アッシュ。俺は油断なく銃を構えながら、リーゼに周囲を探らせようとする。

 しかし、またもや電磁気の影響が強くなってきている。アッシュが後ろに忍び寄ってきていたのに、まったく気づかなかったのもそのせいか。

 

「アンタのお仲間がまた邪魔してるのか? 電磁気は精密機器の天敵なんだよ、いい加減やめてくれないか」

 

「スローンの電磁気による妨害にも限りがありますからね。すぐにドイツ軍の増援がやってくるでしょう。それまでは我慢してください。ですが、その前に……貴方とゆっくりお話がしたいのです」

 

「そうかい。だったら、今ここで全部話せ」

 

「ふふっ、焦らないでください。まずはお互いの目的について話しましょう」

 

 そう言ってアッシュは、部屋の中央にある例の機械を指さす。やはり、コイツらの目的もVTシステムだったようだ。

 

「先日、IS学園でラウラ・ボーデヴィッヒがVTシステムを起動させましたね。あのシステムが再び表に出るのは、こちらとしてもあまり都合が良くないのですよ。だから、私たちはここに送られてきたのです」

 

「……何故、学園で起きたことを知っているのか。誰がお前たちにそれを指示しているのか。言いたいことは山ほどあるが、まずはハッキリさせておこう。お前たちの目的は奪取か? それとも隠滅か?」

 

「隠滅です。元々VTシステムは我々の所有物、今回の件はここの研究者たちが無断でラウラ・ボーデヴィッヒのISにシステムを組み込んだことが起因しています。まったく、勝手なことをしてくれました」

 

「勝手なこと、ね……」

 

「一切のデータとプロジェクトに関わる人物全てを抹消する、それが私たちに与えられた任務です。すでに残った仕事は、ここのデータを全て破棄することだけですよ」

 

 やれやれと肩をすくめるアッシュに、俺は疑惑の視線を向ける。コイツの言ってることは何一つ信用できないが、つまるところ、コイツらは勝手なことをした研究員たちの粛清に来たというわけか。

 しかしやはり、偶然にも俺と同じタイミングでここに来たとは考えにくい。こうなる事を予想していたのではと勘ぐってしまう。

 

「ただ、今回は任務以上に個人的な思い入れもあります。私は……そこにいる哀れな姉妹を救ってあげたいんですよ」

 

「なに?」

 

「貴方の後ろにある演算装置、それに何が使われているかご存知でしょう? ……人間ですよ、特殊なシュミレートを行うために生きた人間が部品として組み込まれているんです」

 

 ──アッシュの言葉は、恐らく事実だ。さっき見たVTシステム開発の全容に、そのことも記載されていたのだから。

 女性パイロットがISを起動し、操作しているという感覚。それを再現するために、年端もいかない少女が部品として組み込まれているのだという。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒが兵士にするために生み出されたデザインヒューマンだということはご存知でしょう。その中にいる彼女も同じように、造られた人間です……そして、兵士としての作用がないと判断された失敗作なんですよ」

 

「勝手な都合で生み出し、役に立たないと見れば実験の部品扱いか……とんだ外道だな」

 

「その通りです。そんなことが明るみに出たから──IMCは瓦解したんですよ」

 

「……瓦解した、だって? 今はもう、存在しないというのか」

 

「ご存知ないのですか? IMCは10年も前に消えてしまった企業ですよ。表向きは、ね。今は少し名前を変えて活動しているんです……『亡国機業(ファントム・タスク)』というテロリスト紛いの連中に落ちぶれていますが」

 

「……!」

 

 頭の中がぐるぐると混乱しているが、確かなのは一つ。この世界にもIMCが存在し、表舞台から消えてなお暗躍しているということ。亡国機業、それが今の奴らの名前らしい。

 ここの施設のような非道な実験を行っていたというやり方も、フロンティアのIMCと同じだ。奴らも兵器の試験と称して大量虐殺や捕虜を実験に使ったりしていたからな。

 

「……ご説明どうも。じゃあそろそろ真意を話してくれないか? お前らは金で雇われただけなんだろう? 本当の目的はなんだ? わざわざ俺と語り合いたかった理由が分からんな」

 

「ふふっ、その通りですね……しかし、私の目的は達しました。私たちがここで初めて出会った、それが重要なんですよ」

 

 あっけらかんと言い放つアッシュの表情は、変わらず情緒がなく思考が読み取れない。一体何を企んでいるのだろうか? 

 

『……相棒、フロンティアで活動していたエイペックス・プレデターズの一員であるアッシュ、その外見ぐらいはデータで知ってるだろう?』

 

『はい、アッシュはほぼ全身を機械に置き換えたサイボーグと推定されていましたが……私のデータベースにあるアッシュの容姿と、今目の前にいる彼女とは、一致しない点が多いです。それに……』

 

『それに?』

 

『アッシュはフロンティアで戦死しています。他ならぬ、ジャック・クーパーとBT7274が交戦し、撃破しているのです』

 

『……』

 

 俺のようにギリギリで助かってこの世界に飛ばされた……その可能性はゼロと言い切れないが、やはりコイツはフロンティアのエイペックス・プレデターズに所属していたアッシュとは別人なのだろうか。

 

「ああ、言い忘れてましたが、実は私たちは貴方を捕縛するように命令されているんです。貴方は本当の意味でのイレギュラー、貴重なサンプルですから」

 

「へえ……じゃあ俺を捕まえてみるか?」

 

「いいえ、そんなことはしませんよ。私たちは──亡国機業の計画なんてどうでもいいんです」

 

 その刹那、アッシュの姿が消えたかと思えば、俺の目の前には仮面のような機械の表情があった。作り物だが確かな意思が宿ったアッシュの瞳、それが俺の視線と合う。

 

「私たちの望みは一つ……復讐です。ある男へ復讐すること、ただそれだけです」

 

 アッシュの細い指がしなると、俺の首は目掛けて鋭い刺突が繰り出される。俺はそれを横に転がって、ギリギリのタイミングでかわす。

 アッシュの手はそのまま俺の後ろにあった演算装置の外装を貫き、そのまま外装をコードごと引き剥がす。すると、電線がショートする火花と共に、その中身が露わになった。

 

(……っ! 本当にあの装置の中には、ラウラと同じような少女が……!)

 

 演算装置の中には、磔にされやせ細った少女がいた。頭部には複雑な機械が取り付けられていて、表情を見ることはできない。しかし、その髪の毛の色はラウラと同じ銀髪だった。

 

「VTシステムなんて、IMCが進めていた計画のほんの一部でしかありません。こんなものが無くとも彼らは困りませんよ」

 

「その計画とやらは何だ? お前たちは何をするつもりなんだ……!」

 

()()の真の目的は明かせませんが……()()()の目的は先に言った通りです……全てはあの男のせいなんです。私やこの少女のような歪な命が造られたのは……」

 

 そう言ってアッシュはホルスターから拳銃を引き抜くと、無造作に演算装置に組み込まれていた名も知らぬ少女の胸を撃ち抜いた。

 少女からどろりとした血が噴き出て、システムに異常が出たことを示すアラームが鳴り響くと、アッシュは今度は俺に銃口を向ける。

 

「てめぇ、何してっ……!」

 

「貴方に分かりますか? 私たちのような造られた命というのは、どう足掻いても創造主の思惑から抜け出せない。だから、私がその楔から解放してあげたんです」

 

「勝手なこと言ってんじゃねえ! だからって……そう簡単に奪っていいはずあるか!」

 

「勝手なことを言っているのは貴方もでしょう? 今日はたまたま引き金を引いていないからって、貴方も散々殺してきたのではないですか?」

 

「……っ!」

 

「ですが、私の姉妹のために怒ってくれるのは嬉しいです。同じようにラウラ・ボーデヴィッヒのことも可愛がってあげてください。私やこの子と同じ末路を辿らないように……では、そろそろお暇させてもらいますよ。スローン!」

 

 俺が引き金を引くより早く、アッシュはスローンの名前を呼んだ。すると──俺のすぐ真上の天井が吹き飛び、そこから一機のISが現れた。

 ソイツが姿を表した瞬間、俺の目の前が真っ白になり、凄まじい衝撃が体を襲った。それに続いて全身を駆け巡るショック、俺は体が硬直して動けなくなり、針に刺されるような激痛にうめく。

 

「がっ──……⁉︎」

 

 地面に叩きつけられた俺を紅い眼光で見下ろすソイツは、ほぼ全身を装甲で覆った独特な形状をしたISだった。

 頭部は大きなバイザーと煌々と輝くカメラアイのせいでパイロットを識別できないが、恐らくはスローンのISなのだろう。

 

「彼女のISはまともな名前すら与えられていない試作機ですが、我々は『アーク』と呼称しています。その力は、もう身をもって体験していますね?」

 

(ぐ、ぅ……あ、アーク、だと……⁉︎)

 

「その気になれば基地の電子機器全てを焼き切ることだってできますが……監視カメラのデータは残しておいてあげますよ。ふふっ、それがないと、貴方の無実を証明できませんから」

 

 乾いた声で笑うアッシュがスローンに合図を出すと、アッシュがアークと呼んだスローンのISの右手に、凄まじいまでのエネルギーが集中していく。

 電磁気でこの部屋の機械類を全て破壊するつもりなのだ。そんなものを食らえば、俺たちだってタダでは済まないかもしれない。

 

『パ、パイロッ──、すぐに機体を……展開──』

 

(ダメだ、リーゼもシステムがやられちまってる……クソっ、このまま逃してたまるかよ……!)

 

 俺は感電してまともに動かない右腕を無理やり持ち上げると、最後の力を振り絞ってウィングマンの引き金を引いた。

 銃口はあらぬ方向を向いたまま火を噴き、弾丸は的外れな方向へ飛んでいった──が、弾丸は部屋にあった機械に弾かれると、アッシュの頭部へと目掛けて『跳弾』した。

 跳弾であらぬ方向から相手を撃ち抜くのは、熟練のパイロットの技だ。普通なら回避できない、しかし、ISのハイパーセンサーは誤魔化せなかった。

 

『ナイストライだ、無意味だがな』

 

 スローンがおもむろに左手を持ち上げてアッシュを庇うと、跳弾したウィングマンの弾丸はアークの装甲に容易く阻まれた。

()()()()()、俺の足掻きはコイツに邪魔された。そういう運命なのか? あの時だって、ブリスクへの攻撃を……

 

(……! まさか、コイツらが復讐を誓う『あの男』というのは……)

 

「では、またお会いしましょう。いつか、貴方のISともお話しさせてくださいね?」

 

 アークの右手にチャージされたエネルギーが解放され、甲高い金属音と共に青白い波動が放たれる。

 それは部屋にあったデバイスやコンソールの類を焼き切り、全てのデータを破壊していった。意識を刈り取られて暗転していく中で、俺はアークの姿を忘れぬように目に焼き付けるのだった。




AIやロボットのセリフは棒読みチックなイメージがある。
しかし、(笑)とか♡とかつけたり、変な語尾を付け足せば急にイキイキしだす。

お帰りなさい、パイロット♡
見事な戦果です(笑)
敵を撃破したお(^ω^)
パイロットとリンクします(意味深)

いつかそんな感じのギャグパートがあってもいいかもとか考えてみたり
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